著者
園山 貴之 畑 弘己
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.22-007, (Released:2022-06-24)
参考文献数
31

Torquigener albomaculosus has been found at depths of 10–30 m on the southern coast of Amami-Oshima Island, Kogoshima Prefecture, and at 100 m off Hamahika-jima Island, Okinawa Prefecture. However, there have been no reports on the morphology and pigmentation of the larvae and juveniles. Eggs of To. albomaculosus were collected from the southern coast of Kakeroma-jima Island, Kagoshima Prefecture, at a depth of 32 m, and development of eggs, larvae, and juveniles were observed in captivity. Comparisons were made with previous reports on the development of pufferfish species inhabiting Japan and adjacent seas. Eggs were 0.96 ± 0.02 mm (n = 20) in size, spherical in shape, colorless, transparent, demersal, and adhesive. Immediately after hatching, larvae were 2.43 ± 0.08 mm (n = 11) in total length and the number of myomeres was 8 + 11 = 19. Dendritic melanophores were present on the dorsal surfaces of the head and body, dorsal and ventral sides of the abdominal cavity, but were absent from the caudal region. The mouth and anus had already opened but the yolk still remained. The yolk was absorbed within 2 days of hatching. At 19 days after hatching, ossification of teeth began in the upper and lower jaws. Simple small spinules appeared on the gill covers and abdomen. They were pointed at the distal end and not divided. Black melanophores were distributed from the snout to the region between dorsal- and anal-fin bases, absent from the caudal region. The larvae became juveniles 36 days after hatching. At 61 days after hatching, the sides and dorsal surface of the body were silver, the ventral surface was yellow, and the area covered by small spinules extended posteriorly beyond the dorsal and anal fins. The larvae and juveniles of To. albomaculosus can be distinguished from those of other pufferfishes inhabiting the waters around Japan by the absence of black melanophores on the caudal region, the distribution and development process of small spinules, and body color.
著者
小畑 弘己 丑野 毅 高瀬 克範 山本 悦世 高宮 広土 宮ノ下 明大 百原 新 那須 浩郎 宇田津 徹朗 中沢 道彦 中山 誠二 川添 和暁 山崎 純男 安 承模 田中 聡一 VOSTETSOV YU. E. SERGUSHEVA E. A. 佐々木 由香 山田 悟郎 椿坂 恭代
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

日本の考古学において、縄文時代の農耕の存否問題は古くから議論され、今でも論争中の課題である。この混乱の根底には、確実な栽培植物が存在しなかったという研究上の制約があった。我々は、この問題を解決するために、土器中に残る植物種子や昆虫の痕跡(土器圧痕)を検出することで解決しようと考えた。研究期間内に、日本列島の縄文時代~弥生時代171遺跡、海外の新石器時代9遺跡において圧痕調査(約400, 000点の土器)を実施し、多種・多様な栽培植物種子や貯蔵食物害虫(総数552点)を検出した。また、圧痕法の学問的定立のための方法論的整備を行った。その結果、まだ問題点は残るものの、縄文時代の栽培植物の実態と問題点を明らかにすることができた。
著者
中橋 孝博 分部 哲秋 北川 賀一 篠田 謙一 米田 穣 土肥 直美 竹中 正巳 甲元 眞行 宮本 一夫 小畑 弘己
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

In order to elucidate the homeland of immigrant Yayoi people and Jomon people, we performed morphological, mtDNA, and stable isotope analysis on ancient human skeletal remains of China, Russia, Mongolia, Okinawa and Taiwan, where people' s exchange with the Japanese archipelago in prehistoric age have been assumed. As a result, we obtained a lot of new, useful data regarding the ancients people in these area. And, in Ishigaki Island, we determined the age of human fossil(about 20, 000 years ago) and have contributed to the discovery of the first Pleistocene human fossil in this area.
著者
次山 淳 松村 恵司 松村 恵司 次山 淳 池田 善文 梅崎 恵司 江草 宣友 小畑 弘己 神崎 勝 北野 隆亮 木村 理恵 小泉 武寛 小林 義孝 栄原 永遠男 芝田 悟 関口 かをり 高橋 照彦 田中 大介 永井 久美男 濱崎 真二 降幡 順子 古田 修久 松崎 俊郎 松村 恵司 宮崎 貴夫 森岡 秀人
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

3カ年にわたる研究により、銅銭を基軸に据えた貨幣制度の導入が、中国式都城の建設と一体的に企画され、富本銭が発行された歴史的経緯が明らかになった。和同開珎の発行時には、銭貨の規格性を維持しつつ発行量の増大を図るために、鋳銭体制の整備と鋳銭技術の改良が図られていること、地金貨幣である無文銀銭を駆逐するために和同銀銭が発行されるなど、7世紀末から8世紀初頭にかけての貨幣関係記事が、名目貨幣である国内通貨の定着に向けた一連の貨幣政策として整合的に理解できるようになった。
著者
小畑 弘己 宮浦 舞衣
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.3-14, 2021 (Released:2023-02-01)

本野原遺跡は,宮崎市の中心部から 50 km 西に位置する,約 4300 ~ 3500 年前の九州地方の縄文時代で最も大きな集落の一つである。我々は,36 回にわたるこの遺跡での 179,135 点の土器の「圧痕法」による調査によって,マメ類を含む 500 点以上の種実や家屋害虫の圧痕を発見した。この調査以前には植物性食料資源と推定されるものは本遺跡ではコナラ属の堅果類のみであった。X 線機器を用いた追加調査の結果,九州地方で最も多数のダイズやアズキなどのマメ類圧痕を得るとともに,九州初の多量マメ類混入土器を検出することができた。これらの発見は九州地方における最も初期のマメ類栽培と栽培植物の豊作に対する精神と儀礼的行為の出現の可能性を示す。さらに,土器胎土中の高密度のマメ類種子はそれらの粘土中への意図的混入を強く示唆している。
著者
宮本 一夫 宇田津 徹朗 田中 克典 三阪 一徳 小畑 弘己 上條 信彦 米田 稔 欒 豊実 靳 桂雲
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

研究代表者が提起する東北アジア初期農耕化4段階説の内、第2段階の山東半島から遼東半島へのイネの伝播仮説を、土器圧痕調査で実証した。同段階の偏堡文化の朝鮮半島無文土器文化の成立への影響を、山東半島・遼東半島の土器製作技術の調査によって明らかにした。また、この段階の山東半島の水田の存在について楊家圏遺跡のボーリング調査によって示した。さらに第4段階の北部九州の弥生文化の成立年代を炭化米の年代によって明らかにした。
著者
小畑 弘己 小林 啓 中沢 道彦 櫛原 功一 佐々木 由香
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

各研究目的ごとに以下のような実施状況と成果があった。1.圧痕調査・軟X線・X線CTによる調査:北海道館崎遺跡・鹿児島県一湊松山遺跡・千葉県加曽利貝塚・宮崎県椨粉山遺跡をはじめとする縄文時代を中心とした10遺跡で圧痕調査を実施し、一部は軟X線・X線CTによる調査を実施した。栽培植物の地域的な偏りと種実混入土器の発見などが成果として挙げられる。とくに北海道館崎遺跡では、縄文時代前期末のヒエ入り土器と同後期のコクゾウムシ入り土器を検出でき、これらを報告書に掲載した。潜在圧痕を含む混入個数およびその意義については、論文(英文)投稿・作成中である。2.土器作りの民族調査による土器作り環境と種実・昆虫混入のメカニズムの研究:タイ北部の土器作りの村を訪ね、土器作り環境の調査と試料採集を行った。土器作りの場において穀物の調理屑や家屋害虫が混入する可能性を実物資料によって検証することができた。現在論文作成中。3.X線CTによる種実・昆虫圧痕の検出技術の開発:埼玉県上野尻遺跡におけるオオムギ圧痕候補について軟X線およびX線CTにより撮影・観察を行い、オオムギでないことを検証した。伊川津貝塚のアワ入り土器を軟X線・X線CTで撮影し、その個数を検証した。4.食以外の種実利用・家屋害虫拡散プロセスに関する研究:2本の論文(邦文・英文)を作成し、公開した。5.土器編年(縄文時代晩期)の整備:大陸系穀物圧痕を有する九州地方の晩期土器の調査を行い、編年的な位置づけを行った。これら成果に関しては、その一部を12月に明治大学で開催した研究公開シンポジウムを通じて広く一般の方へも公表した。その他、一般図書や雑誌において、圧痕法研究に関する最新成果を公表した。
著者
小西 和彦 阿部 芳郎 佐々木 由香 宮浦 舞衣 小畑 弘己
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.117-120, 2022-09-25 (Released:2022-09-29)
参考文献数
9

We report that a nest of mud-dauber wasp, Sceliphron sp., was found in the Yagibara Shell Mound of Jomon cultural age in Chiba Prefecture, Honshu, Japan. This is the first record to be found nest of Aculeata from shell mounds. Though all Sceliphron species recorded from Honshu, Japan have been considered to be invasive insects, at least one species is considered to be native.
著者
新里 貴之 中村 直子 竹中 正巳 高宮 広土 篠田 謙一 米田 穣 黒住 耐二 樋泉 岳二 宮島 宏 田村 朋美 庄田 慎矢 加藤 久佳 藤木 利之 角南 聡一郎 槇林 啓介 竹森 友子 小畑 弘己 中村 友昭 山野 ケン陽次郎 新田 栄治 寒川 朋枝 大屋 匡史 三辻 利一 大西 智和 鐘ヶ江 賢二 上村 俊雄 堂込 秀人 新東 晃一 池畑 耕一 横手 浩二郎 西園 勝彦 中山 清美 町 健次郎 鼎 丈太郎 榊原 えりこ 四本 延弘 伊藤 勝徳 新里 亮人 内山 五織 元田 順子 具志堅 亮 相美 伊久雄 鎌田 浩平 上原 静 三澤 佑太 折田 智美 土肥 直美 池田 榮史 後藤 雅彦 宮城 光平 岸本 義彦 片桐 千亜紀 山本 正昭 徳嶺 理江 小橋川 剛 福原 りお 名嘉 政修 中村 愿 西銘 章 島袋 綾野 安座間 充 宮城 弘樹 黒沢 健明 登 真知子 宮城 幸也 藤田 祐樹 山崎 真治
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2007

徳之島トマチン遺跡の発掘調査をもとに、南西諸島の先史時代葬墓制の精査・解明を行なった。その結果、サンゴ石灰岩を棺材として用い、仰臥伸展葬で埋葬し、同一墓坑内に重層的に埋葬することや、装身具や葬具にサンゴ礁環境で得られる貝製品を多用することが特徴と結論づけた。ただし、これは島という閉ざされた環境ではなく、遠隔地交易を通した情報の流れに連動して、葬墓制情報がアレンジされつつ営まれていると理解される。