著者
小嶌 慶太 青木 真彦 石井 智 田村 光 小島 正夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.625-629, 2013-03-31 (Released:2013-06-07)
参考文献数
18

巨大な直腸異物の2例を経験したので報告する。症例1は65歳,男性。肛門痛,腹痛を主訴に近医を受診し腹部単純X線写真上,約30cmの針金を腹部に認め当院に紹介された。腹膜刺激徴候は認めず,CTでは腹腔内遊離ガス像およびS状結腸内に靴べらとS状結腸壁を貫通する針金を認めた。同日緊急手術を施行したところ,針金はS状結腸壁を貫通しS状結腸間膜内に迷入していた。靴べらはS状結腸内に認めた。靴べらと針金は経肛門的に摘出した。穿孔部位を含め腸管切除を施行した。術後13日目に退院となった。症例2は58歳,男性。主訴は直腸異物の摘出困難。CTで直腸からS状結腸に棒状異物を認めた。穿孔所見もなく,腰椎麻酔下に異物を鉗子で摘出した。術後1日目に退院した。直腸異物では腹部症状も軽度にあらわれる可能性があり,治療方針決定においては詳細な病歴聴取,理学所見,そして画像診断も重要であることが認識された。
著者
笹田 周作 石井 智也 小林 優里 清水 菜央 小宮山 伴与志
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.239-247, 2022-04-01 (Released:2022-03-14)
参考文献数
30

We investigated the effect of anodal transcranial direct current stimulation (anodal tDCS) on the performance of full-effort box stepping exercises in athletes and non-athletes. Twenty-one subjects (athletes: five men and six women, non-athletes: four men and six women) participated in this study. tDCS was applied through two electrodes placed on the vertex (anode) and the forehead (cathode). A 2-mA anodal stimulation was applied for 15 minutes, while sham stimulation was applied on different days with similar electrodes. Participants were asked to apply a maximal effort while stepping up and down a 10-cm tall box for 20 s following termination of the tDCS. The 20 s box stepping was repeated three times with 15 s of rest. The number of total steps was significantly increased following anodal tDCS compared to sham tDCS. The degree of increase in performance was more prominent in non-athletes than in athletes. In non-athletes, a differential pattern of fatigue in performance between stimulus conditions was observed. In contrast, this significant performance modulation between stimulus conditions was not detected in athletes. Our findings of improved stepping performance following anodal tDCS depended on the training level of the subject group; this implies modulation of descending command from CNS to active muscles by tDCS. It is suggested that the degree of neural modulation for controlling complex and full-effort leg movements due to tDCS is higher in non-athletes than in athletes.
著者
渡邊 慎一 石井 智也 石井 仁 岩井 将行
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.21-27, 2023 (Released:2023-09-28)
参考文献数
16

本研究は、雪洞「かまくら」内の温熱・空気・紫外線環境を明らかにすることを目的とする。測定は、2019年2月12日に岐阜県高山市において実施した。屋外および「かまくら」内において、気温、相対湿度、気流、長短波放射量、CO2濃度、UV Indexを測定した。測定日の昼間(9:30〜16:00)において、屋外の平均気温は2.2℃であり、「かまくら①(出入口が1ヶ所)」および「かまくら②(出入口が2ヶ所)」の平均気温はそれぞれ0.4℃および−1.1℃であった。UTCIの平均値は、屋外が20.4℃、「かまくら①」が2.2℃、「かまくら②」が1.8℃であった。「かまくら」内のCO2濃度は、炭の燃焼や人体の呼気によって上昇した。昼間の屋外におけるUV Indexの最大値は4.61であり、紫外線の強さは「中程度」と評価された。一方、「かまくら」内では最大でも0.05であり、紫外線強度は極めて小さかった。
著者
石井 智美 鮫島 邦彦
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.79-84, 2006 (Released:2014-03-15)
参考文献数
23

モンゴル遊牧民はヒツジ,ヤギ,ウシ,ウマ,ラクダの乳を様々に加工してきた。ゴビ地方のラクダはフタコブラクダで,搾乳の中心家畜であるが,飼育地域が限られ,モンゴル遊牧民のラクダ乳利用に関する報告はまだ少ない。筆者らは,モンゴル国のラクダ乳の成分,ラクダ乳からつくられたチーズ aaruul の一般成分分析,微量成分分析を行った。その結果,ラクダ乳はウシ乳より,脂肪含有量が高かった。ラクダ乳 aaruul は脱脂したモンゴルのウシ乳 aaruul に比べ,蛋白質,脂肪,カルシウム含有量が高かった。ラクダ乳 aaruul に健康に良いと生の野草を加えることも行われていた。そしてモンゴルのヒツジ,ウシ乳の加工で行われる脱脂がラクダ乳では行われていなかった。Aaruul の硬さを Tensile Tester で測定した結果,脱脂したウシ乳 aaruul より早い時間で崩れた。aaruul の硬さには乳脂肪含有量が関与しているのではないかと考えた。ラクダ乳酒中から乳酸菌は複数種の Lactobacillus 属と Lactococcus 属菌株,酵母は Kluveromyces marxianus var. lactis を分離した。
著者
石井 智美 鮫島 邦彦
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.845-853, 1999-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
21
被引用文献数
1

A dietary survey on the nutritional intake of the Mongolian Gel tribe was conducted while living with the tribe from June to July in 1997. The traditional Mongolian diet consists mainly of dairy products in the summer and meat in the winter, supplemented by flour. The meals are of a very simple style, with five of the nine main dishes being dairy products which are consumed almost daily. The average energy intake for a householdhead is around 2, 200 kcal, which is just sufficient for health maintenance. Dairy products account for 48% of the total energy intake and 40% of the total protein intake. Although the use of flour in the summer diet is thought to ensure an adequate dairy energy intake, flour is also thought to lead to an increase in salt intake. Lactose in dairy products, and collagen in meat both help to make up for the lack of vegetables in the Mongolian diet, while vitamin C is provided by the consumption of internal organs and blood, as well as by-kumiss. The Gel tribe are therefore able to effectively obtain sufficient by utilizing all of the available foodstuffs.
著者
今村 薫 斎藤 成也 石井 智美 星野 仏方 風戸 真理 Nurtazin Sabir Azim Baibagyssov
出版者
名古屋学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

世界には、おもにモンゴルに分布するフタコブラクダとアラビア半島からサハラ砂漠に分布するヒトコブラクダの2種の家畜ラクダがいる。これらは別種だが、カザフスタンでは昔から目的に応じて2種の交配が行われてきた。近年は、乳量の多いヒトコブラクダと、寒さに強くてカザフスタンの気候に適したフタコブラクダを交配させたハイブリッドの作出が盛んになってきている。そこで、ラクダの動物としての特性をDNA、生態、行動の点から解明すると同時に、ラクダを人間がどのように利用してきたか、その相互交渉の歴史と現状についての研究を進めた。
著者
石井 智之 熊谷 敏 大場 允晶
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.249-259, 2015 (Released:2015-03-10)
参考文献数
21

近年の低成長期において価格競争が激化し,単一のコスト変動要因にのみに着目して,限界利益のみを見る経営が困難になりつつある.また,市場環境の変化に対して製品のコストや損益がどのように変化するかを迅速に把握する必要がある.本研究ではプロセスモデリングをコスト計算に応用し,市場環境の変化に即応して,製品のコストや損益を構造的かつ詳細に把握できるコスト管理方法を提案する.  プロセスモデルでは,コスト変動要因毎に,トランザクションと呼ぶアクティビティの集合を定義する.そして材料費,設備費などのコストをアクティビティ毎に把握する.そしてプロセスモデルをコスト構造マトリックスに変換し,市場環境変化を与えたときのコストと損益の算出方法を明らかにする.これにより経営状況の変化に対応でき,数値的な根拠を意思決定の際に与えるコスト管理モデルを提供する.
著者
石井 智之 井家 敦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.190, pp.59-64, 2010-08-26
被引用文献数
1

近年,P2P(peer-to-peer)技術を用いたストリーミングモデルが注目を集めている.P2Pストリーミングは配信サーバだけでなく参加したピア間での配信も可能とするため,クライアント・サーバ型のストリーミングモデルに比べて負荷分散やスケーラビリティに優れる.このようなシステムにおいて,供給力の高いピアをネットワークの上流に配置することでスケーラビリティをより向上させることが可能である.本研究では,トポロジ構築の際に動的にピアの入れ替えを行うことでスケーラビリティを向上させるアルゴリズムの提案を行う.また提案したアルゴリズムに対して,ピアの離脱が発生する場合と発生しない場合についてシミュレーションにより構築したトポロジの特性を観測する.
著者
石井 智子
出版者
北海道教育大学
雑誌
情緒障害教育研究紀要 (ISSN:0287914X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.63-72, 1994-03-10

Mと共に歩んだ4年間,それはMとの関わりの道であり,自分自身の再発見の道でもあったと言える。Mは高校入学当初から目立つ存在の生徒であった。この生徒に,これから4年間関わろうとは思ってもいなかった。関わりの中で,Mが母と一番正面から向かい合いたいということがみえてきた。Mは担任教師との葛藤のなかで,遅刻・欠席かかさみ,荒んでゆくのを眼の当たりにした。その中で,Mをできるだけありのままに受け入れることができるようになっていったことや,毎日メモでコミニュケーションを行ったことが,Mとの間に信頼の絆をつくる基盤になったと思われる。筆者との関わりを通じて,自分を受け入れる存在に気付いたことで,Mは自立への道を歩みだしたように思われた。