著者
神保 至 佐藤 徳幸 中島 歩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.2, 1995-03-27
被引用文献数
1

従来のプログラミング理解システムは、主にプログラミング教育を目的として開発・利用されてきており、ソフトウェア保守などの実用的な場面にはあまり応用されていない。そこで我々は、プログラム理解システムをソフトウェア保守作業の支援という、より実用的な場面(具体的には業務処理プログラムを理解する場面)に応用し、ソースコードから機能仕様レベルの情報を導出することを試みている。本稿は、そのために必要となる知識構造モデルについて述べたものである。
著者
小澤 正直 神保 雅一 松原 洋 西村 治道 浜田 充 ブシェーミ フランチェスコ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

量子測定理論と量子集合論を軸に量子計算量理論と量子符号理論に新しい数学的方法を開発した.本研究代表者が確立した小澤の不等式と呼ばれる普遍的な不確定性原理の研究を発展させ,世界で初めて測定誤差と擾乱に関するハイゼンベルクの不等式の不成立を実験的に観測し,小澤の不等式の成立を確認した.また,量子計算の実現に伴う様々なモデルに対して,計算量,デコーヒーレンス,必要な物理的リソースなどを明らかにした.更に,誤差を回避するための新しい符号化法を開発した.これらの成果により,量子情報技術の開発,関連産業,文化などにも幅広いインパクトを与えた.
著者
神保 宇嗣 鈴木 隆之
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ : 日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
no.20, pp.6-14, 2006-02-20

This article reviews our Internet project activities to establish on-line databases of Japanese moths. Though many large on-line databases of moths are available in the world, only a few resources were available in Japan until our projects began. Our projects consist of the following three parts. "An Identification Guide of Japanese Moths Compiled by Everyone" (http://www.jpmoths.org/) is a huge database which stores 12,000 photographs of 3,200 species. "List MJ: A tentative checklist of Japanese moths" (http://listmj.mothprog.com/) is an up-to-date checklist of Japanese moths. "Gaml" (http://www.mothprog.com/moth/gaml) is a mailing-list for exchanging various information concerning taxonomic, ecological and faunastic studies on moths. One of these "Everyone's Handmade Identification Guide…" is a characteristic project. Most of photographs in this database are taken and identified by anonymous collaborators including some researchers. When a contributor posts a moth image on the bulletin board at the website, someone identifies the image and then the webmaster registers the identified image in the database. These projects provide a communication base for all those interested in moths. They are also useful for researchers since the posted images sometimes include remarkable information for them. These projects will contribute to international projects of biodiversity databases. Further information gathering and improving of accuracy of identification are issues in the future.
著者
細谷 忠嗣 神保 宇嗣
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.48-57, 2010-06-25

2010年は国際生物多様性年であり,10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)が開催される.現在,人間活動によって生じた地球温暖化などの環境変化や開発による生態系の破壊,密猟や乱獲などによる生物多様性の急速な喪失が,生物多様性の危機として大きな問題となっており,「2010年目標」の評価や「ポスト2010年目標」の策定,遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)など本会議には大きな関心が集まっている.この会議に向けて,日本でも日本生物多様性観測ネットワーク(J-BON)や東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ(ESABII)などの関連する大きなプロジェクトが立ち上げられている.分類学には,これらの生物多様性条約に関わるプロジェクトへの貢献が期待されている.こうした問題解決への参画は,分類学への関心を高め,その地位を向上させるだけでなく,新しい研究分野開拓という形で学問自体の進展にもつながるであろう.本特集では,生物多様性条約関連プロジェクトに参画している研究者がその概要と分類学者との関係のあり方を紹介していくことで,分類学者として生物多様性条約とその関連活動にどのように向き合い,そして参加していくべきかを考えていく.
著者
細谷 忠嗣 神保 宇嗣
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.48-57, 2010

2010年は国際生物多様性年であり,10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(CBD COP10)が開催される.現在,人間活動によって生じた地球温暖化などの環境変化や開発による生態系の破壊,密猟や乱獲などによる生物多様性の急速な喪失が,生物多様性の危機として大きな問題となっており,「2010年目標」の評価や「ポスト2010年目標」の策定,遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)など本会議には大きな関心が集まっている.この会議に向けて,日本でも日本生物多様性観測ネットワーク(J-BON)や東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ(ESABII)などの関連する大きなプロジェクトが立ち上げられている.分類学には,これらの生物多様性条約に関わるプロジェクトへの貢献が期待されている.こうした問題解決への参画は,分類学への関心を高め,その地位を向上させるだけでなく,新しい研究分野開拓という形で学問自体の進展にもつながるであろう.本特集では,生物多様性条約関連プロジェクトに参画している研究者がその概要と分類学者との関係のあり方を紹介していくことで,分類学者として生物多様性条約とその関連活動にどのように向き合い,そして参加していくべきかを考えていく.
著者
柴田 碧 神保 努 水谷 淳
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.3-11, 1994-08

本論文は昨1993年11月のSTECH'93において,その手法の概要を,そして本年1994年7月に日本機械学会D&D Conferenceにおいて,その中核をなす脱線車両の動力学についての発表予定の2論文をまとめたものである。最近,新幹線の速度向上は目ざましいものがある。また在来線についても160Km/h程度までの高速化が考えられている。しかし,東海道新幹線をはじめ,在来線では築堤上をはじめ,支持基盤の弱い線路区間が多くある。これらが強震程度以上の地震時にどのような状態になるかは,過去の多くの地震の事例で明きらかである。これについては,京大亀田のリポートもあり,高い密度で運転されている列車がこのような区間に突入する可能性は高い。一方,整備されたが高架区間でも,地震動はかなり激しくなると考えられ。たとえ線路支持構造物は健全であっても,高速の列車が脱線する可能性は大きい。本論文,前半では上述のような事象の多様性に対し,確率論的立場からどのような解析を行ったらよいかを,地震発生から,死傷発生の全過程について述べ,後半では脱線後の列車(車両列)の挙動に関する実験的研究について述べる。結果の一つの特徴としては,同一条件で脱線しても,車体の挙動はある単一の統計的分布をなすのではなく,複数の正規分布などで表わされる状況になり,理想化した条件下でも,その結果は非常にばらつき,いわゆるカオス的状況になる。このことはさらに,線路周辺の状況が千差万別の実路線における,事故の確率論的予測にはかなり特別の手法の導入を必要とするということを意味している。
著者
江川 孝志 長谷川 義晃 神保 孝志 梅野 正義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, pp.230-231, 1994-09-26

Si基板上にGaAs結晶を成長させることにより、Si基板としてのメリットとGaAsの電気的・光学的優位性を兼ね備えた光・電子集積回路や光インターコネクションなどの新しい機能デバイスが実現できる可能性がある。しかし、SiとGaAsでは約4%の格子不整合、約2. 5倍の熱膨張係数差が存在し、転位および熱歪みの発生、表面モホロジーのマクロスッテプの発生、成長層へのSiのオートドーピングなどの問題点があり、これらはSi基板上のデバイス特性の劣化につながる。本報告では、MOCVD法を用いたSi基板上GaAs系光・電子デバイスついて報告する。
著者
神保 敏弥 浅井 照明 菊池 徹平 河上 哲 南 春男
出版者
奈良教育大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

C^nのコンパクト部分集合KからC^nへの写像f=(f_1,・・・,f_m)によるグラフG={(z,f(z)):z∈K}の多項式凸性については、n=m=1のときの結果が多く見られるので、これらの拡張として、主にn=m>1のときにKを超球や多重円板の場合に取り、研究計画に従い、いくつかの例を構成することができた。これらを総合し、本質的な部分が解明されつつあるので、定理の形としまとめられるよう、現在鋭意検討中である。また、m=1,n>1,Ref,1mfが多重調和の時は、グラフGが多項式凸集合であるとのAlexanderの結果の関数環的な別証明を得たので、さらにこの拡張も考慮中である。超球Bで正則、Bで連続な関数族A(B)の2つの関数f,gによる零集合がBの境界に含まれるならば、A(B)の峯集合であるとの、Stoutの予想は、fに少し条件を付ければ、正しいことを示せた。以上の経過については、関数環研究集会で話した。得られた結果は次のとおりである。作用素環分野では、単純C^*-環の最小指数の乗法性の簡易な証明を与えた。これは、フォンノイマン因子環の最小指数の乗法性の証明としても有効である。後者の乗法性は、煩雑な手続きのもとで、その成立は確認されていたが、C^*-環の指数理論を適用することで、それが初等的に証明できることを示した。K-理論分野では、フレイムド多様体としての射影シムプレクティック群のコボルディズム類の非自明性を調べるため、そのフレイミングを考察する観点からその位相的実K群の環構造を決定した。
著者
井出 光信 神保 実 久保 長生
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.281-281, 1991-03-25

第9回学内病理談話会 平成2年11月10日 東京女子医科大学南別館2階大会議室
著者
神保 宇嗣 杉島 一広 小木 広行
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.315-323, 2004-09-30

日本でこれまであまり知られていなかったナニワズハリキバガ(新称)Anchinia cristalis(Scopoli,1763)を北海道本土から記録し,幼虫期および蛹期の習性とともに再記載した.日本のキバガ上科には類似した種はおらず同定は容易である.今回,4月に本種の幼虫がジンチョウゲ科のナニワズDaphne jezoensisの先端の葉数枚を綴ったシェルター内に見出された.幼虫は夜行性で,シェルター外で葉を食害する.蛹化は枝や壁面に尾端で懸垂した状態で行われ,繭が構築されないために蛹が裸出する.蛹はタテハチョウ科で知られる垂蛹に近い.成虫は5-6月に羽化した.国外での食餌植物としては,同じくジンチョウゲ科のヨウシュジンチョウゲDaphne mezereumおよびカラフトナニワズDaphne kamtschaticaの記録がある.本種には極東亜種A.cristalis kuriliensis Lvovsky,1990が記載されているが,この扱いおよび北海道集団の所属は今後の課題である.Anchinia属は旧北区から5種,東洋区から1種が知られるが,極東からは本種のみが記録されていた.知られている限りでは,本属の種はすべてジンチョウゲ科のDaphne属を寄主とする.また,原索動物サルパ綱の属Anchinia Rathke,1835の存在に気づいたが,ナニワズハリキバガの属Anchinia Hubner,1825のほうが先行するので原索動物のほうが新参同名となる.Anchiniaの科階級群の所属に関して,1970年代中期以降様々な提案がなされてきた.それらは大きく分けて三通りに分類される.すなわち,Hypertrophaを模式属とする科階級群にハリキバガ属を含めるとする第一の処置,Amphisbatisを模式属とする科階級群に含めるとする第二の処置,そしてハリキバガ属を含むたかだか6属からなる単系統性の高い亜科ないし族(模式属はハリキバガ属あるいはそれに最も近縁と推定されるHypercallia)を設けるという第三の処置である.第一の処置の根拠は,蛹が裸出し起立するという習性がHypertrophaとハリキバガ属に共通するというものである.しかし,本研究での観察により,ハリキバガ属の蛹が起立するのではなく懸垂することが明らかにされたため,この処置の妥当性は疑問視せざるを得ない.第二の処置は,ハリキバガ属とAmphisbatisの間に顕著な差違があるにしても,より適した群が見あたらないから,という消極的な理由によるものである.この処置は,ハリキバガ属とAmphisbatisが近縁であるとの誤解につながる畏れがあるために採用しがたい.それに対して,三つ目の処置は,その亜科あるいは族の単系統性を支持する形質が複数示されており,さらに先の二つの提案をした著者であっても,その群の近縁性は支持している.従って,この処置を採用しHypercalliinaeを認めることは妥当であろう.しかしながら,この亜科に近縁な分類群は特定されていない.ハリキバガ亜科の強く支持された単系統性と,それに近縁な分類群が未知であることを同時に示すため,本報ではLeraut(1997)の案を採用し,ハリキバガ属を広義マルハキバガ科の亜科Hypercalliinae(ハリキバガ亜科:新称)の一員として扱うこととした.マルハキバガ科は多系統的な分類群であることを前提とした"waste basket"として機能してきたので,ハリキバガ亜科が他の特定の群に近縁であると誤解される可能性は低く,また将来キバガ上科の科階級群の再編が行われる際にハリキバガ亜科が見逃されることも避けられるであろう.
著者
稲富 裕光 王 躍 菊池 正則 中村 龍太 内田 祐樹 神保 至
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-18, 2005-03

本報告では,半導体結晶の溶液成長過程における以下の研究成果を述べる.(1)半導体結晶の溶液成長過程における固液界面の形態変化に及ぼす基板結晶の面方位の影響を調べるために近赤外顕微鏡を使ったその場観察実験が実施された.その結果,対流を抑制することでGaP/GaP成長界面のステップカイネティクス係数の面方位依存性が得られ,結晶成長時におけるマクロステップの挙動が評価された.また,GaAs_xP_<1-x>/GaPヘテロLPE 成長初期の固液界面の表面形態変化が基板表面の面方位依存性の視点から議論された.(2)静磁場THM 法によりTe 溶液から育成したCdZnTe 結晶の成長界面が急冷法によって調べられた.その結果,浮力対流を抑制することで速い引き下げ速度でも良質なCdZnTe 成長結晶を得られることを示した.