著者
竹内 康雄 青木 章 平塚 浩一 Chanthoeun Chui 一ノ瀬 顕子 上窪 彩乃 和泉 雄一
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
pp.jslsm-38_0035, (Released:2017-12-12)
参考文献数
59
被引用文献数
2 2

従来,歯科治療における感染歯質や歯根表面のプラーク除去は,主に機械的な手段により行なわれてきたが,近年,半導体レーザーやLED光に色素を組み合わせた抗菌的光線力学治療(a-PDT)の応用について研究が進められている.本稿では口腔の二大疾患であるう蝕と歯周病におけるa-PDTの応用について,基礎的・臨床的研究に基づき概説するとともに,特に歯周治療への応用を目指した我々の研究を紹介する.
著者
竹内 康雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.219-225, 2016-12-31 (Released:2017-02-10)
参考文献数
25

インプラント治療が補綴処置として広く一般的に行われるようになったが,インプラント周囲炎・周囲粘膜炎もまたインプラント埋入後の合併症として日常的に認められるものとなった.現段階でインプラント周囲炎に対する治療法の多くは臨床経験にもとづくものが多く,確固たるデータに欠け,不確実さを伴うものとなっている.それゆえインプラントのメインテナンスにおいては,可逆性の病変であるインプラント周囲粘膜炎の段階でトラブルを発見し,これが進行する前に治療を行う必要がある.さらに,これら疾患の発症リスクを理解し,予防につとめることも重要である. インプラント周囲炎は歯周炎と同様,多因子性の疾患である.現在のところプラークやその沈着を可能にさせる上部構造の形態などの局所的因子は,インプラント周囲炎に対する真のリスクファクター・リスクインジケーターとして確実視されている.一方で本稿では,特に生体の感染に対する感受性に影響する全身的因子に着目して文献的考察を行った.その結果,現在,全身的リスクファクターとして挙げられている多くの疾患や遺伝形質などは,それをリスクと確定するには科学的根拠を欠いていることが明らかとなった.ただし,その中で糖尿病と喫煙についてはインプラント周囲炎との関連を示唆するデータが蓄積されつつあるといえる.
著者
竹内 康 木幡 行宏 関根 悦夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E1(舗装工学) (ISSN:21856559)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.45-53, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
22
被引用文献数
4 7

アスファルト舗装の多層弾性構造解析において,路床の弾性係数は重要な入力パラメータであり,1990年代以降には,室内実験によって輪荷重の作用を想定した路床材料のレジリエントモジュラスの測定が精力的に行われてきた.しかし,レジリエントモジュラスは応力状態に依存する非線形弾性係数であり,構造解析が複雑になるため,日本の舗装設計関連図書では設計事例が示されていないのが現状である.本研究では,既往のデータを再整理してレジリエントモジュラスの整理方法について検討するとともに,多層弾性構造解析において簡易にレジリエントモジュラスを用いる方法を提案した.
著者
佐々木 かすみ 竹内 康二 野呂 文行
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.49-59, 2008-05-31 (Released:2017-07-28)

本研究は(1)演奏スキルの形成、(2)家庭における自己練習、(3)演奏発表から構成されるピアノ指導プログラムを自閉性障害児2名に実施し、その効果を各事例に即して検討することを目的とした。(1)ピアノスキルの形成は、楽譜・鍵盤へのプロンプトの配置による「系列指導」、音楽の随伴プロンプトによる「リズム指導」を行った。その結果、系列は速やかに学習し、リズムの学習は2名で異なった獲得経過を示した。(2)家庭における自己練習は、自己記録および録音により演奏そのものが強化子となり練習が維持された。(3)演奏発表は参加児の社会的強化機会だけではなく、参加児に対する周囲の評価が高まる可能性が示唆された。自閉性障害児においてピアノ演奏が余暇として定着するためには、演奏技術の習得、家庭練習における技術の習熟、発表会での社会的強化の経験を含む包括的なピアノ演奏指導の有効性が検証された。
著者
竹内 康雄 坂本 光央 小柳 達郎
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

インプラント周囲炎は歯周炎と類似した臨床症状を呈するが、本研究の結果、その原因となる細菌叢の構成は2つの疾患で異なることが明らかになった。歯周病に関連が深いとされる歯周病原細菌の検出率は、インプラント周囲炎部位では必ずしも高くなく、一方でDialister spp.、Eubacterium spp.、Peptostreptococcusspp.は高い割合で検出された。インプラント周囲炎を治療する上での細菌学的な治療のターゲットは歯周病のそれとは違う可能性がある。
著者
伊藤 崇博 橋本 公夫 川北 かおり 小菊 愛 秦 さおり 奥杉 ひとみ 近田 恵里 佐原 裕美子 竹内 康人 片山 和明
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.75-82, 2013

子宮内に胎児と奇胎が併存する場合,多くは部分胞状奇胎であるが,正常胎児と胞状奇胎が併存する胎児共存奇胎の可能性もある.胎児共存奇胎であれば児の生存も期待できるが,生児を得ることができるのは半数以下とされる.今回われわれは,生児を得られた胎児共存奇胎の1例を経験したので報告する.症例は30歳,排卵誘発周期に妊娠成立した.経腟超音波検査にて正常絨毛と奇胎を別々に認め,初診時(妊娠9週)の血中hCG値は349,619 mIU/mlと高値であった.羊水染色体検査は46XXの正常核型であり,血中hCG値も妊娠13週以降は低下傾向にあった.早期より切迫流早産徴候を認め,陣痛抑制困難のため妊娠33週での帝王切開分娩となったが,児の予後は良好であった.奇胎娩出後,免疫組織化学的検査により正常胎児と全胞状奇胎との共存であることが確認された.血中hCG値は順調に低下しており,術後34週を経過したが続発性疾患の発症は認めていない.〔産婦の進歩65(1):75-82,2013(平成25年2月)〕
著者
鎌田 貢壽 内田 満美子 竹内 康雄 高橋 映子 三宅 嘉雄 佐藤 直之 児玉 哲郎 山口 建
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.165-170, 1995-02-28 (Released:2010-03-16)
参考文献数
15

肺小細胞癌患者の優れた腫瘍マーカーであるガストリン放出ペプチド前駆体 (proGRP) 濃度測定系を開発し, 各種疾患および腎機能障害時の血中動態について検討した.対象は, 健常人, 肺小細胞癌患者, 慢性糸球体腎炎患者, 糖尿病患者, 慢性関節リウマチ患者, 全身性エリテマトージス患者, 腎機能障害患者, 非透析期および透析期腎不全患者とした. サンドイッチELISA法で血清中のproGRP濃度を測定した.腎機能が正常である慢性糸球体腎炎患者 (n=14), 糖尿病患者 (n=16), 慢性関節リウマチ患者 (n=9), 全身性エリテマトージス患者 (n=12) の血清proGRP濃度は, 健常人基準値46pg/ml以下にとどまった.肺小細胞癌患者の血清proGRP濃度は, 16名中14名 (87.6%) で46pg/mlを越え, 16名中10名 (62.5%) で250pg/mlを越えた. 腎機能障害患者では, 血清クレアチニン値が1.6mg/dlを越えると, 血清proGRP値が異常値を示し, 血清proGRP値 (Y: pg/ml) と血清クレアチニン値 (X: mg/dl) との間には, Y=23.5+13.6X (R=0.82, p<0.001, n=22) の正の相関を認めた. 血清proGRP値と血清尿素窒素値との間にも同様の相関 (R=0.76, p<0.001, n=22) を認めた. 末期腎不全患者の血清proGRP値の最高値は, 228pg/mlであり, 血液透析中の経時的低下を認めなかった.血清proGRP濃度の測定は, 肺小細胞癌患者の診断に有用であるが, 46-250pg/mlの血清proGRP異常値を示す患者では, 腎機能を考慮して評価する必要がある.
著者
竹内康浩著
出版者
山川出版社
巻号頁・発行日
2010
著者
上島 通浩 柴田 英治 酒井 潔 大野 浩之 石原 伸哉 山田 哲也 竹内 康浩 那須 民江
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.1021-1031, 2005 (Released:2014-08-06)
参考文献数
36

目的 2-エチル-1-ヘキサノール(以下,2E1H)は,我が国で室内空気汚染物質として注目されることがほとんどなかった揮発性有機化学物質(以下,VOC)である。本研究では,2E1H による著しい室内空気汚染がみられた大学建物において,濃度の推移,発生源,学生の自覚症状を調査した。方法 1998年に竣工した A ビルの VOC 濃度を2001年 3 月から2002年 9 月にかけて測定した。対照建物として,築後30年以上経過したBビルの VOC 濃度を2002年 9 月に調査した。空気中カルボニル化合物13種類はパッシブサンプラー捕集・高速液体クロマトグラフ法で,その他の VOC41 種類は活性炭管捕集・ガスクロマトグラフ-質量分析(GC-MS)法で測定した。2002年 8 月に床からの VOC 放散量を二重管式チャンバー法で,空気中フタル酸エステル濃度をろ過捕集・GC-MS 法で測定した。講義室内での自覚症状は,2002年 7 月に A ビル315名および B ビル275名の学生を対象として無記名質問票を用いて調査した。結果 2E1H だけで総揮発性有機化学物質濃度の暫定目標値(400 μg/m3)を超える場合があった A ビルの 2E1H 濃度は冬季に低く,夏季に高い傾向があったが,経年的な低下傾向はみられなかった。フタル酸エステル濃度には 2E1H 濃度との関連はなかった。2E1H 濃度は部屋によって大きく異なり,床からの 2E1H 放散量の多少に対応していた。床からの放散量が多かった部屋では床材がコンクリート下地に接していたが,放散量が少なかった部屋では接していなかった。講義室内での自覚症状に関して,2E1H 濃度が低かった B ビル在室学生に対する A ビル在室学生のオッズ比の有意な上昇は認められなかったが,鼻・のど・下気道の症状を有する学生は A ビルのみにみられた。結論 2E1H 発生の機序として,床材の裏打ち材中などの 2-エチル-1-ヘキシル基を持つ化合物とコンクリートとの接触による加水分解反応が推定された。両ビル間で学生の自覚症状に有意差はなかったが,標本が小さく検出力が十分でなかった可能性もあった。2E1H 発生源対策とともに,高感受性者に注目した量反応関係の調査が必要である。