著者
細木 真紀 西川 啓介 前田 直樹 細木 秀彦 松香 芳三
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.261-265, 2018-12-20 (Released:2019-02-04)
参考文献数
6

患者は68歳の女性であり,初診約10年前に自律神経失調症の診断を受けた。同時期より頸部の違和感のために週2回程度,カイロプラクティックで施術を受けていた。4~5年前から嚙みにくさを自覚し,右側で嚙めなくなったため,2013年に開業歯科医で下顎右側臼歯部に暫間被覆冠が装着された。経過観察されていたが,右側臼歯部の離開が進むため,2015年に徳島大学病院に紹介された。臨床所見としては,左側顎関節雑音を認め,開口制限や頭頸部の圧痛は認めなかった。パノラマエックス線写真では,両側下顎頭の吸収と下顎枝の短縮を認め,CT画像では両側下顎頭と下顎窩の著しい形態異常を認めた。かかりつけ内科の検査ではリウマトイド因子は陰性で,本院整形外科においても軽度頸椎症の診断であった。両側変形性顎関節症と診断し,スタビライゼーション型スプリントを装着し,経過観察後,歯冠修復を行った。本症例ではスプリントを用いた咬合接触の安定化と段階的な補綴治療が咬合状態の改善に効果的であった。
著者
山田 貴久 福並 正剛 大森 正晴 熊谷 和明 辻村 英一郎 阿部 泰士 西川 永洋 伯耆 徳武
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.26, no.Supplement6, pp.104-107, 1994-12-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
7

洞不全症候群(SSS)における心房筋の電気生理学的異常を体表面加算平均心電図(SAE)により検出しうるか否かを検討した.対象はSSS群37例と正常洞結節機能を有し発作性心房細動(Paf)の既往のないControl群67例である.SAEのフィルターは40~300Hzとし,P波同期法にて200心拍加算平均し記録した.その空間マグニチュード波形においてフィルター化P波の初期部10,20,30msec間の平均電位(EP10,EP20,EP30),その終末部10,20,30msec間の平均電位(LP10,LP20,LP30)を計測した.EP10,EP20,EP30はともにSSS群でControl群に比し有意に低値を示した.LP10,LP20,LP30はPafを伴うSSS群では有意に低値を示したが,Pafを伴わないSSS群とControl群間には有意差を認めなかった.SSSにおけるSAEの特徴は心房波初期部分の電位が低値を示すことであり,この心房波初期電位によりSSSを検出しうることが示唆された.
著者
上條 吉人 増田 卓 堤 邦彦 西川 隆 相馬 一亥 大和田 隆
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.7, pp.297-305, 1997-07-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
27

常用量のベンゾジアゼピン系薬剤によって,血中濃度が中毒域となった68歳から72歳の高齢者の3症例を経験した。各症例のベンゾジアゼピン系薬剤の体内薬物動態を分析し,高齢者の薬物動態の特徴と投薬上の問題点について検討した。症例1と症例3は食物誤飲による窒息で搬送され,症例2はうっ血性心不全の治療中に意識障害を生じて入院となった。ベンゾジアゼピン系薬剤として,症例1はロフラゼプ酸エチル(Lof) 2mg錠を1日1回とエチゾラム0.5mg錠を発症前に1回のみ服用,症例2はLof 2mg錠を1日1回,症例3はLof 1mg錠を1日3回服用していた。3症例のベンゾジアゼピン系薬剤の血中濃度は,ガスクロマトグラフィおよびベンゾジアゼピンレセプターアッセイを用いて経時的に測定した。来院時のLofの血中濃度は,症例1は256ng/ml,症例2は363ng/ml,症例3は425ng/ml,血清ベンゾジアゼピン受容体結合活性はジアゼパム当量で,症例1は1,800ng/ml,症例2は1,400ng/ml,症例3は2,200ng/mlであり,いずれも血中濃度は中毒域であった。Lofの消失半減期(T1/2)は,症例1は124時間,症例2は212時間,症例3は121時間であり,症例2においてT1/2の著明な延長を認めた。3症例はいずれも高齢者で,青壮年と比較して肝腎機能の低下から薬物クリアランス(CL)が低下し,症例2では心不全のためCLがより低下していたことが考えられる。さらに,脂肪組織の減量による分布容積(Vd)の減少も加わって,ベンゾジアゼピン系薬剤の血中濃度が上昇したものと思われた。また,多剤の服用は遊離型ベンゾジアゼピン系薬剤の濃度を上昇させるため,中毒症状が出現しやすかったものと考えられる。以上から,高齢者へのベンゾジアゼピン系薬剤の投与に際し,肝腎機能,血清蛋白濃度,体重変動,併用薬剤に注意して,ベンゾジアゼピン中毒を未然に防ぐ必要がある。
著者
倉地 茜 矢野 亨治 西川 佐紀子 岡島 亜衣 船橋 美和 日比 陽子 河野 紀子 宮川 泰宏 永井 拓 山村 恵子 山田 清文
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.161-168, 2017-03-10 (Released:2018-03-10)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

Warfarin is a useful and effective oral anticoagulant. The management of the prothrombin time-international normalized ratio (PT-INR) is important for ensuring appropriate warfarin-based anticoagulation therapy. Here, we developed an anticoagulation management support (ACMS) system involving self-monitoring of the PT-INR and an Internet-based reporting system for outpatients. In the ACMS system, outpatients monitor their own PT-INR values using a CoaguChek® XS rapid measuring device and report the data to medical staff via a website. Then, the medical staff reply to the patients with information about their next dosage of warfarin based on the reported PT-INR data. We employed protocol-based pharmacotherapy management (PBPM), which was conducted by pharmacists, linked to the ACMS system to treat outpatients who received combination therapy involving warfarin and drugs that can have drug-drug interactions with warfarin, such as rifampicin, miconazole, 5-FU, and S-1. In the present study, we investigated the safety and efficacy of PBPM in 6 patients. There were no major discrepancies between the PT-INR values measured by self-monitoring and those obtained at hospital, and the patients did not make any errors when inputting their data via the website. By applying PBPM, anticoagulation therapy with warfarin was found to be safe and effective, and the time in therapeutic range was 82.1 ± 7.3% (mean ± SD). No major adverse events, such as bleeding or embolisms, occurred in any patient during the observation period. These results suggest that PBPM linked to the ACMS has beneficial effects on warfarin-based anticoagulation therapy in outpatients.
著者
道端 あい 毛利 輝高 内藤 直弘 西川 直樹 宮坂 広夫 高岡 弘光
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
巻号頁・発行日
pp.203, 2008 (Released:2008-11-10)

【背景】洗濯後の衣類の香りや臭いに対する消費者意識は高く、近年、衣類の消臭、部屋干し臭抑制、高残香性等の機能を付与した洗剤が発売されている。また、洗濯後に残る気になる臭いとして、皮脂臭・加齢臭をあげる女性が多いことから、Web調査にて、特に“夫の洗濯物の臭い”に対する意識と洗濯行動の実態把握を行った。 【方法】洗濯主体者であり、かつ夫が同居している既婚女性を対象にWeb調査を行った(有効回答数1032人)。 【結果・考察】本調査により、既婚女性の82%が夫の洗濯物の臭いを不快に感じ、26%の人が分け洗いを行っている結果が得られた。年齢や結婚年数を項目とするクロス集計分析を行ったが、特に顕著な差はみられなかった。一方、結婚生活への満足度や二人での外出頻度等の夫婦間コミュニケーションに関連した項目と、夫の洗濯物の臭いに対する感じ方との間には高い相関性がみられた。また、家事参画度にも臭いの感じ方に対し同様な傾向が認められた。 そこで、夫婦間コミュニケーションレベルに関する25項目の質問を因子分析し、精神的充足や愛情表現実行等の4つの因子を抽出した。これらの因子を元に対象者をクラスター分析し、コミュニケーションレベルで夫婦の形態を5階層に分類した。その結果、「結婚生活ネガティブ」層では61%が夫の洗濯物の臭いを不快と感じているのに対し、「夫婦円満」層ではわずか6%であった。実際の行為としての分け洗いの実施率についても同様であった。これらのことから、夫婦間のコミュニケーションと夫の洗濯物の臭いに対する感じ方や洗濯行動とには密接な関係があると推定された。
著者
西川 泰次
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.544-575, 1962 (Released:2007-06-29)
参考文献数
35
被引用文献数
4

A decreased volume of voice and a marked narrowing of the vocal register by recurrent nerve paralysis as well as a loss of vocal cord tension and a phonetic disturbance in high-pitch voice by superior laryngeal nerve paralysis were noted in our experimental and clinical observations in the larynx of dogs and human subjects, In most of these cases, the unilateral vocal cord was found to be fixed in paramedian position, but the bilateral vocal cords became fixed in cadaver's position when the bilateral laryngeal nerve paralysis supervened or the external laryngeal muscles were removed. This fact is considered to be indicative that the external laryngeal muscles and the compensatory working of the contralateral laryngeal nerve have a great influence upon the voice and the status of vocal cord.Phonetical investigations in the waste of air, the volume of voice, the vocal register and the tone of voice in a variety of vocal cord diseases enabled the author to assume the status of vocal cord and its mode of vibration corresponding to a certain kind of voice.Sonographical examination of the voice of vowel“A”revealed that phonetic disturbance in the component resonance ranging from fundamental to 1000cps and in the neighborhood of 4000cps was the decisive factor in the cause of a hoarse voice and the abnormal voice which was chiefly encountered on vocal register change.
著者
森 強士 西川 泰 高田 曜子 樫内 賀子 石原 伸浩
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.197-203, 2001-08-10
参考文献数
24
被引用文献数
5 3

ブラジルで民間療法として用いられているインスリーナは, 糖尿病や高血圧症に効果があるといわれている。そこでインスリーナの抗糖尿病作用を評価するための試験を行った。<i>in vitro</i> の試験として, マルターゼ, α-アミラーゼおよびα-グルコシダーゼ活性の阻害能を調べ, <i>in vivo</i> の試験として, 自然発症糖尿病マウスに対する連続摂取での作用と正常ラットおよびストレプトゾトシン (STZ) 誘発糖尿病ラットに対する血糖値上昇への影響を調べた。その結果, インスリーナはマルターゼおよびα-グルコシダーゼに阻害活性を示した。また, 4週間連続摂取後の自然発症糖尿病マウスの随時血糖値を有意 (<i>p</i><0.001) に低下させた。正常ラットおよびSTZラットの糖負荷後の血糖値への影響は, 正常ラットショ糖負荷後30分値で有意 (<i>p</i><0.01) に血糖上昇を抑制し, STZラットショ糖負荷後60分値で有意 (<i>p</i><0.05) に抑制した。これらの結果から, インスリーナ葉は糖尿病の予防に有効であることが予想された。

1 0 0 0 OA 救世軍

著者
西川光次郎 著
出版者
日月社
巻号頁・発行日
1914