著者
西川 開
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.123-126, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
16

本発表ではデジタルアーカイブの制度分析の方法論として「知識コモンズ(Knowledge Commons)」研究と呼ばれる領域で系統化されている方法を用いることを提案する。知識コモンズ研究は、自然資源の管理制度に関する研究領域である「コモンズ」研究から派生した領域であり、「知識」(文化情報資源に相当する概念)のガバナンス・メカニズムを実証的・帰納的な方法で明らかにすることを目的としている。発表内容として、まず「制度」という概念の複合性を指摘し、デジタルアーカイブと(知識)コモンズ研究の関係を示し、知識コモンズ研究の前身であるコモンズ研究と照応しつつ知識コモンズ研究の概要および同方法の詳細を明らかにする。最後にデジタルアーカイブ研究における同方法論の意義を考察する。
著者
西川 みどり
雑誌
史論
巻号頁・発行日
vol.10, pp.719-736, 1962
著者
矢野 栄二 西川 翔子 山根 雅史
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.41, pp.1-10, 2008

現在、世界各国で施設栽培の野菜・花きの害虫防除に多くの天敵昆虫類が利用されている。ショクガタマバエAphidoletes aphidimyza(Rondani)も、施設栽培のアブラムシ類に対する有望な生物的防除資材として世界各地で利用されており、その効果が認められている。わが国においても1995年以降、外来系統のショクガタマバエを含む16種の天敵昆虫が農薬登録され、害虫防除資材として実用化している。アブラムシ類の防除資材としてはコレマンアブラバチAphidius colemani Viereckなど外来天敵昆虫の利用が先行していたが、近年、わが国においても国内系統のショクガタマバエを利用したアブラムシ類防除の機運が高まっている。国内系統は外来系統に比べ、より環境リスクが少なくわが国の気候に適応していると考えられる。ヨーロッパ系統のショクガタマバエの生態特性については、発育、増殖能力、捕食能力、休眠、餌探索行動、配偶行動など多岐にわたる研究が行われている。また大量増殖方法、貯蔵法、温室内の放飼による効果判定試験など害虫防除への利用についても多くの報告がある。わが国の系統について、まだほとんど生態的特性は解明されていないが、本種が北半球に広く分布する種である事を考慮すれば、ヨーロッパの系統とは同種ではあるがかなり異なる特性を保持していると予想される。それにともない利用技術も異なるものになる可能性がある。そこで本種国内系統の実用化に向けて、その基礎となる知見として、ヨーロッパ系統に関する生態特性と利用技術に関する研究成果を中心に、これまでの知見をとりまとめて総説として報告したい。
著者
東 泰弘 松原 麻子 西川 拡志 西川 智子 高畑 進一
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.194-203, 2017-04-15

要旨:国外で標準化されているADL-focused Occupation-based Neurobehavioral Evaluation(以下,A-ONE)の本邦での信頼性と妥当性を検討した.A-ONEは,5領域22項目のADL観察を通して神経行動学的障害を同定する評価法である.信頼性は,4名の対象者のビデオ映像を用い評価者3名で評価者間および評価者内信頼性を検討し中等度以上の一致率を認め,妥当性は,22名の対象者にA-ONEとADL評価および各種高次脳機能検査を実施し両者間に中等度以上の相関を認めた.しかし評価しなかった項目や日本人の生活習慣に合致せず検討できなかった項目があった.今後の課題は,日本版A-ONEを作成し,すべての項目で対象者数を増やし信頼性と妥当性を検討することである.
著者
西川 嘉広 水谷 英夫 小出 哲朗 石川 久高 今井 裕一 大村 崇 山田 典一 大久保 節也 市川 毅彦 伊藤 正明
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.732-735, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
8

症例は60代,男性。初回来院時,診察中に心房細動から心室細動となりアミオダロン塩酸塩注を投与された。その後,心室細動はコントロールされ無事退院した。その際,予防的にアミオダロン塩酸塩錠が継続処方された。1カ月後,心房細動にて救急受診し,初回入院時に潜在性WPW症候群の可能性が疑われ,心室細動への移行が懸念されたことからアミオダロン塩酸塩注が静脈内に投与された。その10分後,アナフィラキシーショックを呈した。加療にて回復後,アレルゲンの検索が行われた。アミオダロン製剤には錠剤と注射剤がある。すでにアミオダロン塩酸塩錠を内服していたことから注射製剤の添加剤に着目し,皮膚反応試験を実施した結果,アレルゲンはベンジルアルコールと判明した。本添加剤は多岐にわたり含有されているため,新規投薬時には医療用医薬品だけでなく一般用医薬品にも含有されていないことを確認するなど細心の注意を払う必要があると考えられた。
著者
西川 明美 吉田 浩子
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.72-78, 2017 (Released:2017-09-15)
参考文献数
16

本研究の目的は,産後1カ月の母親の母乳育児不安とそれに関連する諸要因を心身健康科学の視点から分析し,母乳育児不安の低減につながる知見を得ることであり,産後1カ月の母親196人を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した(回収率100%有効回答183人有効回答率93.4%).有効回答者183人を分析したところ,57.9%(106人)に「母乳育児不安」が見られ,関連要因として,出産経験,仕事復帰予定,出産準備教室参加経験,退院時・1カ月時の栄養方法,睡眠の状況,育児に対する楽しさの実感の有無が挙げられた.さらに,母乳不足ぎみ,乳頭・乳房痛,赤ちゃんの飲み方,乳頭保護器の使用が不安の直接要因であった.これらのことから,育児経験のない初産婦が出産直後から退院時までの短期間で新生児に対する育児技術を習得することは困難な可能性が示唆された.
著者
本田 俊介 立花 孝 西川 仁史 峯 貴文 長井 大治 船曳 久由美 小林 佐智 野村 星一 中村 真理
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1025, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】 肩関節は人体最大の可動域を持つ多軸性関節であり、その動きを3次元的に捉えることは難しい。そして結帯動作について、指椎間距離という指標はあるが、その実測値は不明瞭であり、結帯動作として記述した報告が少ない。そこで今回下垂位から最大結帯位に至るまでの連続的動作の実測値を導き出し、肩甲骨の動き及び上腕骨の内旋や伸展の関連度合いを理解する事を目的として、Motion Captureを用いた3次元的動作分析を行った。【対象と方法】 健常成人男性10名(平均年齢27歳,平均身長171cm)の右肩関節を対象とした。体表指標点として、体幹に4点(第7頚椎,第7胸椎,胸骨頚切痕,剣状突起)、肩甲骨に5点(烏口突起,肩鎖関節,肩峰角,棘三角,下角)、上腕骨に3点(三角筋粗面,内・外上顆)と内・外側茎状突起に2点の計14点の反射マーカを貼付した。撮影は立位にてまず下垂位を撮影し、以降結帯動作をとってもらい、被検者の母指先端が尾骨、第5腰椎、第12胸椎、第7胸椎の位置に達した所で撮影した。その際皮膚上のマーカと実際の骨上とはずれが生じているため、各々の撮影場面でマーカを定位置に張り直した。なお、体幹側屈の代償を抑えるために反対側も同様の動きを行ってもらった。使用システムはQualisys社製ProReflex ,MCU-500で7台のCCDカメラを使用。サンプリングレートは60Hzである。そしてQToolsを用いてデータ解析を行った。【結果】 まず肩甲骨の動きについて、前傾は下方回旋と比べて序盤動きが大きいものの、最終的には16.9°で、下方回旋とほぼ同じ数値を示した。上腕骨の動きについて、まず内旋は0°から41.4°と初期に大きな動きを行う特徴を示し、最終的に47°で、肩甲骨の動きに対して1対2.8という比率を示した。伸展は下垂位-3.1°から最終的に26.7°まで変化した。外転は、最後の第12胸椎から第7胸椎の相では変化が少ないという特徴を示した。【考察】 肩甲上腕関節の運動について、まず内旋に着目すると母指先端が尾骨から第7胸椎に到達するまでに6.6°しか内旋しておらず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている事がわかった。次に外転と伸展について、この2つの運動は、臼蓋に接触した小結節を徐々に前方から下縁に向かって移動させている事に貢献しているものと思われる。また、第12胸椎から第7胸椎の相で内旋と外転は殆ど変化が無い事から、肩甲上腕関節運動の限界が示唆され、第12胸椎以降は肩甲骨運動によって行われていると思われる。肩甲骨の前傾と下方回旋については、臼蓋の関節面を前下方へ向けるためのもので、小結節の移動を行いやすくさせると同時に、見かけ上の上腕骨の内旋及び伸展を補強していると考える。
著者
福島 東浩 澁谷 有香 小林 秀嗣 西川 正子 庄司 和広
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-8, 2019-01-15 (Released:2019-02-14)

セボフルラン(SEV)よりもデスフルラン(DES)の方が早く覚醒するといわれるが,実臨床では吸入麻酔の種類より麻酔科医の熟練度の方が影響を与えている可能性がある.本研究の多変量解析の結果,抜管までの時間はDES使用より(HR 1.17,[95%信頼区間 1.01-1.34],p=0.04),麻酔科医の熟練度の方が強く関連していた(研修医+指導医;参照,卒後6-9年;HR 1.59,[1.24-2.05,p<0.001],卒後10年;HR 1.53,[1.20-1.97,p=0.001]).抜管までの時間はDES使用で若干の短縮が認められたが,麻酔科医の熟練度の影響の方が大きいことが示唆された.
著者
門田 康正 正岡 昭 西川 栄郎 前田 昌純 中原 数也 大嶋 仙哉 谷 靖彦 清家 洋二 中岡 和哉 谷岡 恒雄 篭谷 勝巳
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.59-70, 1979-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
30

I期からIV期までの原発性肺癌患者32例を対象に健康人新鮮白血球の輸注を実施した.本法単独では腫瘍縮少効果は認められなかったが, アジュバント治療として術後や放射線治療後の再発, 転移の防止, 腫瘍縮少状態維持の効果は期待できる.また本法による生存期間の延長, 全身状態 (Status Index) の改善が認められ, この効果はIII, IV期の姑息手術例, 手術不能例の末期患者にもみられた.副作用として血清肝炎がみられたほか, 重篤なものはみられなかった.
著者
赤澤 直紀 原田 和宏 大川 直美 岡 泰星 中谷 聖史 山中 理恵子 西川 勝矢 田村 公之 北裏 真己 松井 有史
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.71-78, 2013-04-20 (Released:2018-04-12)
参考文献数
27

【目的】健常成人男性のHip Flexion Angle(HFA)値にハムストリングスのマッサージ部位の違いが及ぼす効果を検証することである。【方法】健常成人男性32名(32肢)へのマッサージ部位について無作為に筋腱移行部群(11名),筋腹群(11名)およびコントロール(対側下肢筋腹)群(10名)に割りつけ,3分間のマッサージ介入を同一の圧迫圧で行った。アウトカムは盲検化された評価者によって測定された介入前,介入直後,3分後,6分後,9分後,15分後のHFA値とした。【結果】マッサージ介入直後,3分後,6分後の筋腱移行部群のHFA値はコントロール群より有意に高値を示した。【結論】ハムストリングス筋腱移行部へのマッサージはHFA値を拡大させる可能性を示唆した。
著者
大八木 敏弘 西川 順子 大沢 正秀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.708-717, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

線維筋痛症と診断された患者に対して,四診により証を明確にして鍼治療のみを行い,胸背部の疼痛,発熱,不眠症状の軽減とQOLの改善をもたらすことができた。症例は35歳女性。仕事上の精神的,肉体的ストレスが持続した後,胸背部の疼痛及び発熱が発症し入院するが,精密検査では異常はみられず経過観察となった。次第に痛みが激しくなり,大学病院で線維筋痛症と診断されたが,東洋医学的治療を希望し当院を受診した。肝鬱気滞,気滞血瘀,気鬱傷陰と弁証し神道穴及び照海穴の少数配穴による鍼治療を行った。痛みは37診以降には3割程度になり,発熱も消失し,91診時には痛みは気にならない程度になった。Fibromyalgia Impact Questionnaireは初診時の78から17カ月後の82診時には23に改善され,線維筋痛症に対して鍼治療のみで著効を得ることができた。