著者
廣瀬 智陽子 池谷 直樹 萩島 理 谷本 潤
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.87, no.791, pp.19-28, 2022-01-30 (Released:2022-01-01)
参考文献数
24

The velocity field in a naturally ventilated building within urban-like arrays was explored by means of large-eddy simulations. The reduced-scale building models were utilized to examine the impact of the geometric conditions in surrounding buildings and cross-ventilating windows on flow statistics as well as instantaneous velocity fields in a sheltered building. The obtained results indicated how the incoming flow was propagated in the target building. Although simplified conditions were employed, the present findings of the features of cross-ventilation are valuable to consider the effect of outdoor turbulent flow to indoor wind environment.
著者
谷本 忠明 佐藤 明子 林田 真志 川合 紀宗
出版者
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター
雑誌
広島大学大学院教育学研究科附属特別支援教育実践センター研究紀要 = The bulletin of the Center for Special Needs Education Research and Practice, Graduate School of Education, Hiroshima University (ISSN:18835406)
巻号頁・発行日
no.15, pp.33-41, 2017-03

平成25(2013)年度より,特別支援学校(聴覚障害)高等部に現行学習指導要領が学年進行で施行された。その際,それまでの教科内容が大きく変わったのが外国語(以下,英語科)であった。他方で,近年のグローバル化を踏まえて,中央教育審議会は,平成34年度からの新たな教育課程の施行に向けて,「審議のまとめ」(2016)の中で,高等学校英語科の新たな科目案を示した。しかし,聴覚障害教育においては,「聞く」,「話す」ことに困難のある生徒に対する英語科指導の教育的手立てについて,これまでも課題が指摘されてきている。他方で,「読む」,「書く」ことについても,基礎となる日本語習得の手立てを考慮しながら進めていく必要があることや,生徒の状態の多様化を踏まえた指導方法の工夫などの対応も求められている。本稿では,現行学習指導要領が施行された初年度において全国の特別支援学校(聴覚障害)高等部において開設された英語科に関して行った調査の概要を報告するととに,そこから得られた結果を踏まえて,次期学習指導要領に向けて何が求められるのかについて検討した。本稿は,平成26年度広島大学大学院教育学研究科博士課程前期特別支援教育学専攻の課題研究報告書の内容の一部に基づき作成されたものである。
著者
谷本 翔平 氏原 岳人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1253-1259, 2019

<p>本報告では、スポーツ観戦者に対するMM(Mobility Management)として、Jリーグのファジアーノ岡山の試合観戦者を対象として、自家用車から徒歩や自転車、公共交通などに行動変容させるための複合的な施策を提案し、実施した。その結果、2017年(初年度)は自家用車来場者かつMMに関する本プロジェクトを認知している試合観戦者のうちの10%(全自家用車来場者の7%)が自家用車以外の手段に転換した。転換者の属性は、30代~40代が多く、サポーター歴が長いこと、単独での観戦者である傾向があった。また、手段転換のきっかけとしては「ワンショットTFP」が最も多く挙げられていた。その一方で、二年目には、プロジェクト認知度と手段転換者割合ともに減少しており、継続的な効果につなげるための課題も見えた。</p>
著者
谷本 敏夫 網島 貞男 石川 浩
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.28, no.304, pp.40-46, 1979-01-15
被引用文献数
2

Fatigue tests have been conducted to investigate the fatigue properties of various types of laminated composites and some statistically meaningful inference was drawn from these results. The materials used in the experiment were 4 different kinds of FRP laminates, satin woven FRP, plain woven FRP, roving woven FRP and SMC laminated FRP. Sufficient approach based on the Weibull distribution was applied to the test data to evaluate the dispersion in the fatigue life of the materials. The dependences of fatigue life and its dispersion on the applied stress level, specimen size and fiber content in the specimen were discussed. The test results showed a wider experimental scatter particularly at the life range of 10^5 to 10^6 cycles than that observed on conventional metallic material. Thus it is emphasized that a larger reduction of design life is necessary for FRP to assure the same level of confidence and reliability as other materials.
著者
谷本 雅之
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.88-114,164, 1998

The movement to establish modern enterprises in Meiji Japan was found in rural as well as urban areas. This was made financially possible through the willingness of men of property based in rural areas to invest their capital in such risky ventures. The purpose of this paper is to point out that the motivation behind these activities was linked to the existence of "local society". First, about 250 major stockholders in Niigata prefecture were classified into four groups according to the nature of their stockholdings in 1901. This demonstrated that a significant number of men of property had invested their money in the high risk stocks of local enterprises. Next, case studies were made of two local entrepreneur families, the HAMAGUCHI and the SEKIGUCHI. Both families invested the capital accumulated through their family business of soy sauce brewing in new enterprises and businesses in their local area in the 1890s. In parallel with these business activities, they vigorously participated in local social and political activities. These case studies showed us that their investment activities were closely related to their social and political activities. As these activities were so interlocked in the local areas, we conclude that the existence of "local society", which recent historical studies show to have emerged in the latter half of the nineteenth century, encouraged men of property to invest in local enterprises. "Local society as the spur to enterprise investment" is our contribution to the main theme of this symposium.
著者
谷本 圭志 土屋 哲 長曽我部 まどか
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.513-520, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1

日常生活を支えるための生活サービスには様々な種類があり,公共交通,買い物など多岐に及ぶ.今後は人口減少や高齢化の進行に伴い,小規模な自治体では生活サービスの消費者のみならず供給する人材の減少に直面することが予想される.そのためこれらの自治体では,サービス施設の集約や複合化など,生活サービスを維持するための政策立案が必要となる.その際,どれだけの人口規模ならびに地域特性のもとで存続可能性が危うくなるかを事前に把握できれば,生活サービスを維持するために,政策立案の適切な時期を検討する上で有用である.そこで本研究では,地方の小規模自治体における生活サービスの存続可能性をいくつかの観点から評価する.具体的には,サービスを供給する事業所数を一般化線形モデルにより推計するとともに,その推計結果に基づいて,存続可能性に影響を及ぼす要因,業種ごとの特性,消滅と存続の境界にある人口規模を実証的に検討する.
著者
坂井 恭治 西口 充久 谷本 尚穂 寺坂 薫 菅谷 廣司 東 徹 杉生 憲志
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.8, pp.537-540, 2001-08-20 (Released:2017-06-02)
参考文献数
24
被引用文献数
1

症例は60歳, 女性で, 末梢性前大脳動脈瘤破裂による左急性硬膜下血腫で発症した.来院時, 昏睡状態, 瞳孔は両側とも散大し対光反射は消失, 除脳硬直肢位を示した.緊急に開頭し, 硬膜下血腫を除去, 外減圧術を行った.その後, 意識レベルは徐々に改善したが, 左片麻痺が明らかになった.MRI T2強調画像で小脳テントの延長線上の右大脳脚に病変を認めた.これはKernohan's notch周囲のmyelin destructionをとらえていると思われた.
著者
青木 邦夫 青木 朗 谷本 徳一 有田 昇
出版者
The Textile Machinery Society of Japan
雑誌
繊維機械學會誌 (ISSN:18838715)
巻号頁・発行日
vol.10, no.7, pp.546-551, 1957

研究目的ノンリント含有量多き原綿処理を対象とし, 連続したカーディングアクションにより, 開綿除塵能力を効果的に増大し, 混打綿工程の短縮と次工程の負荷を軽減し品質を向上せしめる機構を得ようとした.研究結果連続したカーディングアクションにより高度の開綿を行うためにスパイクシリンダ (またはソーティースワイヤシリンダ) を使用し, 開綿むらを防止するために特殊形状のペダルおよびガーネットローラを用いた.また, シリンダ下方の空気を安定せしめてノンリントの分離除去を良くし, かつ, スパイクにかかる綿房の針先よりの分離を確実にするため, シリンダ, ケージ間においてシリンダの切線方向にケージファンの吸気を入れ, 上記目的に適切な機講を得た.
著者
谷本 由紀子 谷本 義高 Yukiko Tanimoto Yoshitaka Tanimoto
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.113, pp.285-303, 2021-03

本稿は、2019年 3 月に行ったイタリア・ヴェネツィアにおける現地調査と取材をもとに、オーバーツーリズムの現状と対応、政策について考察を加え、訪日外国人旅行者の急増により同問題が顕在化しつつある日本と京都における示唆を得ることを目的とする。本稿(2)は、本研究論集112号に掲載した本稿(1)の後編である。まず、ヴェネツィア市のオーバーツーリズム問題への具体的対応を考察するとともに、近年新たに導入が決定された入島税等について検討を行う。また、SAVEグループ社によるヴェネツィア 2 空港の一体運営と、近接する 2 空港をさらに加えた 4 空港の機能別一体運営に言及した上で、更なる乗降客数増を目指す同社の新構想について検討する。次に、本調査の結果得られたオーバーツーリズム問題への示唆を明らかにした上で、訪日外国人旅行者のさらなる増加を目指す日本と、外国人観光客が急増し続けている京都において既に顕在化している同問題について考察を行う。
著者
谷本 由紀子 谷本 義高 Yukiko Tanimoto Yoshitaka Tanimoto
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.233-252, 2020-09

本稿は、2019年 3 月に行ったヴェネツィアにおける現地調査と取材をもとに、オーバーツーリズムの現状と対応、政策について考察を加え、訪日外国人旅行者の急増により同問題が顕在化しつつある日本と京都における示唆を得ることを目的とする。112号における本稿の主要なテーマは次の 2 点である。まず、オーバーツーリズムとは、近年になって用いられはじめた呼称であり論者により理解が錯綜していることから、先行研究の検討にもとづき当該呼称の由来と概念について私見の展開を試みることである。次に、京都市とヴェネツィア本島・歴史的地区それぞれの観光に関する現状を俯瞰した上で、ヴェネツィア本島における年間観光客数と日帰り観光客数について統計資料を用いて分析を行い、オーバーツーリズム問題の実態とヴェネツィア市の具体的対応を考察する。特に、日帰り観光客とクルーズ船乗降客に関わるヴェネツィア特有の問題を詳述する。
著者
谷本 由紀子 谷本 義高 Yukiko Tanimoto Yoshitaka Tanimoto
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of inquiry and research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
no.112, pp.233-252, 2020-09

本稿は、2019年 3 月に行ったヴェネツィアにおける現地調査と取材をもとに、オーバーツーリズムの現状と対応、政策について考察を加え、訪日外国人旅行者の急増により同問題が顕在化しつつある日本と京都における示唆を得ることを目的とする。112号における本稿の主要なテーマは次の 2 点である。まず、オーバーツーリズムとは、近年になって用いられはじめた呼称であり論者により理解が錯綜していることから、先行研究の検討にもとづき当該呼称の由来と概念について私見の展開を試みることである。次に、京都市とヴェネツィア本島・歴史的地区それぞれの観光に関する現状を俯瞰した上で、ヴェネツィア本島における年間観光客数と日帰り観光客数について統計資料を用いて分析を行い、オーバーツーリズム問題の実態とヴェネツィア市の具体的対応を考察する。特に、日帰り観光客とクルーズ船乗降客に関わるヴェネツィア特有の問題を詳述する。
著者
谷本 丈夫 豊田 武司 渡辺 富夫 飯田 滋生 苅住 昇 千葉 春美
出版者
森林総合研究所
雑誌
森林総合研究所研究報告 (ISSN:09164405)
巻号頁・発行日
no.369, pp.1-61, 1995-03

本研究は,熱帯・亜熱帯地域における造林技術,小笠原諸島の固有種と景観の保護,保全技術の確立に必要な基礎的情報を得ることを目的に,1971年に小笠原諸島父島に設定された林業試験場(現森林総合研究所)小笠原試験地において植生区分及び遷移,群落構造などについて固定試験地を中心に調査・解析を行った。父島における立地環境からみた自然植生は,海岸植生,山地風衝型植生など五つの型に分けられ,これらに加え導入種であるリュウキュウマツ,ギンネム林などの人為植生を併せて10型の植生型が認められた。小笠原試験地の植生は山地緩斜地型が多く,山地風衝型植生は少ない。防風林に取りまかれた畑地跡には,乾燥する尾根を中心に天然更新したリュウキュウマツ林が多く,人為的要素の強い群落が特徴的であった。マツノザイセンチュウ病によるマツ枯れは,これらの景観を一変させ,ウラジロエノキなどの陽樹,ヒメツバキ,キバンジロウなど母樹の多い樹種の侵入,タマシダなどの林床植生を繁茂させ,新たな種の侵入を阻害していた。マツ類は畑地放棄跡など新たに侵入定着できる立地環境が少なく,小規模な崩壊地などで生育するものと思われた。同じく導入種であるギンネムは,一度植栽されると容易には遷移が進行せず,林分が維持され分布の拡大は少なかったが,アカギは適潤地の林冠疎開地に容易に侵入していた。一方,母樹から遠い畑地の放棄地には,いまだにつる植物や草本に覆われているなど,遷移の進行に及ぼす母樹の位置,種子の散布力,結実量などの役割が評価できる資料が得られた。小笠原の自然植生は,戦中,戦後と急速な入為的影響を受け,特殊な立地環境とあいまって植物社会の成立過程が複雑であり,その維持と復元には積極的な更新補助手段を加えることが必要であることが示唆され,小笠原試験地の継続調査で得られる成果はその基礎的情報として重要な役割を果たす。
著者
山下 信行 宮城 友豪 下田 慎治 堀 史子 谷本 博徳 一木 康則 山元 英崇 野村 秀幸
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.487-495, 2016-09-20 (Released:2016-09-30)
参考文献数
33

症例は60歳代男性.200X年に限局皮膚硬化型全身性強皮症(SSc)と診断された.無投薬で経過観察を受けていたが,初診から6年後に肝障害が増悪し入院となった.血液検査では肝胆道系酵素の上昇と抗ミトコンドリア抗体陽性を認めた.抗核抗体・抗セントロメア抗体はSSc診断時から陽性であった.また免疫グロブリン値(IgG,IgM)はいずれも基準内であり,画像検査では横隔膜下の肝臓に脱落壊死を認めた.肝生検の結果もあわせて自己免疫性肝炎と原発性胆汁性胆管炎のオーバーラップ症候群と診断し,副腎皮質ホルモンとウルソデオキシコール酸を投与した.肝胆道系酵素は速やかに改善し,IgG,IgM値も治療前の半値以下に低下した.肝臓の脱落壊死部分は萎縮し,肝の変形が残った.SScにオーバーラップ症候群が合併した症例は,これまでに数例の報告しかなく,貴重な症例と考える.