著者
土屋 哲 谷本 圭志
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_280-A_286, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
参考文献数
6

過疎地域における持続可能な社会のしくみを考える際、サービスの供給者が専業ではなく兼業によって、限られた労力で多くの機能を担い、地域を支えていくことが必要である。本研究では、地方のタクシー業者に注目し、タクシー運転手が本業の傍らに集落を巡回して何らかの生活支援サービスを行うことを想定して、本業に付随した生活支援サービスがどの程度供給可能であるのかを簡易的に分析するための方法論を時空間プリズムの概念を援用して構築する。その上で、実際のタクシーの賃走履歴データを用いた分析を通して、付随的なサービスの供給可能性を明らかにしうることを実証的に示す。
著者
谷本 洋一郎 松根 彰志 黒野 祐一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.257-263, 2009 (Released:2010-11-01)
参考文献数
15

初診時の急性進行性の視力障害より鼻性視神経炎も否定できず、緊急手術を行った Miller Fisher 症候群 (以下 MFS) の 1 例を報告した。MFS は本症例のように症状や画像所見より鼻性視神経炎を必ずしも否定できないことがある。その他、本疾患はめまい、ふらつきを主訴に耳鼻咽喉科を受診する可能性もあり、耳鼻咽喉科の日常診療において留意すべき疾患であると思われる。
著者
豊岡 利正 山崎 壮 谷本 剛 佐藤 恭子 佐藤 道夫 豊田 正武 石橋 無味雄 義平 邦利 内山 充
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.820-822, 1991-03-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
9
被引用文献数
27 42

To identify chemical contaminant(s) associated with eosinophilia-myalgia syndrome (EMS), case and control lots of tryptophan were analyzed by HPLC with both UV and FL detection. Numerous contaminant peaks appeared on the chromatograms and some of them were identified as 5-hydroxytryptophan, indol aldehyde, indol, etc. from the retention time of authentic compounds. Among these, three peaks were significantly associated with case lots. One corresponds to di-tryptophan aminal of aldehyde (peak E). Ohters are unknown contaminants, UV-5 (FL-7) and UV-28 (FL-36). The structural elucidation and toxicological implication of UV-5 (FL-7) are currently in progress.
著者
谷本 和紀 入交 重雄 関 雅之 葛城 有希子 山田 豊 木下 真孝 三島 伸介 倭 正也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.5, pp.866-873, 2016-05-10 (Released:2017-05-10)
参考文献数
4

71歳,男性.前腕および下腿の皮膚硬化を自覚し,近医を受診した.全身性強皮症を疑われて当院を紹介された.皮膚硬化を認めたが,四肢末梢の皮膚は保たれ,抗核抗体や各種自己抗体は陰性であり,全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)と合致しない点も認められた.皮膚生検を施行し,病理組織学的にはSScと矛盾しない結果であった.経過中に皮膚のgroove signを認め筋膜炎脂肪織炎症候群(fasciitis-panniculitis syndrome:FPS)を疑い,皮膚から筋まで一塊(en bloc)に生検を施行し,FPSの確定診断に至った.非典型的なSSc疑似症例では,FPSも鑑別診断に挙げる必要がある.
著者
谷本 安 高橋 清
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.12, pp.3103-3113, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

重症難治性喘息は,ステロイド薬等でも制御しがたい強い気道炎症や,不十分・不適切な治療によりリモデリングを起こして治療に反応しにくい場合,合併症による修飾で喘息症状が管理しにくい場合等,複雑な病態の重複がある.近年吸入ステロイド薬(ICS)等の改善・普及により重度の難治性喘息は著減したが,各ガイドラインの定義によっては1%から10%程度を占める.その治療は,ICSの早期導入と十分量の使用,各種合併症への対策が大切であり,近年開発された抗IgE抗体療法の併用がかかる患者への福音として期待される.
著者
谷本 明逸 杉谷 洋一 足立 俊幸 小口 英樹 岸 悠 山内 義一 伊木 真由美 山口 顕司
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.69-75, 2004-01-20 (Released:2009-04-10)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

The Department of Mechanical Engineering in Yonago National College of Technology has offered for the first time the experience-based learning opportunities of machining and manufacturing successfully to elementary school pupils with the support by our college volunteer students. It comprised two classes. One was that the teaching staff visited elementary school; the other that the elementary school pupils and their parents visited the college. The subjects included were arc welding, free forging, melting and casting of metals, those being quite effective enough to raising the pupil's interests. We will discuss about what subject should be selected and what problems still remain.
著者
谷本 芳美 渡辺 美鈴 河野 令 広田 千賀 高崎 恭輔 河野 公一
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.383-390, 2009-06-15
被引用文献数
6

<b>目的</b> 高齢期における介護予防のための口腔機能の維持・向上を目的に,地域高齢者における咀嚼能力の客観的な評価方法として色変わりチューインガム(以下,色変わりガムとする)が有用であるか検討する。<br/><b>方法</b> 2007年 4 月~5 月に T 市に在住する65歳以上の高齢者210人(男性69人,女性141人)を対象に色変わりガムを用いた咀嚼能力と残存歯数および咬合力の測定を行い,同時に自記式質問紙調査を用いて咀嚼能力の主観的評価を行った。調査実施前に,5 人の高齢者について色変わりガムの測定方法の精度を検討した。測定は「普段の食事をするようにガムをかんでください」と指示し,2 分間咀嚼させた後,色彩色差計を用いて色変わりガムの「赤み」を示す咀嚼能力 a∗値(以下,a∗値とする)を測定した。質問紙項目は①食物が普通にかめるか②かたい食物がかめるか③まぐろのさしみ,かまぼこ,らっきょう,ビフテキ,ピーナッツの咀嚼の可・不可について調べた。解析は a∗値と残存歯数,咬合力および質問紙調査との関連について行った。<br/><b>結果</b> 対象者 5 人の a∗値の変動係数は2.15~3.75%で,測定方法は高い精度を示した。地域高齢者の色変わりガムの平均 a∗値は男性26.0,女性22.8であった。年齢別では,男性は全ての年齢群で有意な差を認めず,加齢に伴う変化は示さなかった。女性は80歳までは年齢による差を示さなかったが,80歳以上に有意な低下を示した。性別では,どの年齢群においても有意な差を認めなかった。男女とも a∗値は残存歯数および咬合力と正の相関関係を認めた。質問紙調査では,全ての項目で咀嚼可群の方が有意に a∗値が高かった。また,残存歯数が20歯未満の者に限っても咀嚼難易度の低い「まぐろのさしみ」と「ビフテキ」を除く全ての項目において咀嚼可群が有意に a∗値が高く,色変わりガムと主観的な質問紙調査との関連を認めた。<br/><b>結論</b> 色変わりガムの測定方法は簡便で,測定精度が高いことが認められた。また,色変わりガムは残存歯数や咬合力および主観的咀嚼能力評価と関連することを認めたことから,地域高齢者の健康づくりにおける咀嚼能力の客観的評価方法として有用であると考える。
著者
谷本 千恵
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.5_61-5_70, 2007

本研究の目的は保健師の当事者グループに対する認識と関わりの実態を明らかにし,セルフヘルプ・グループとしての機能を発揮するための支援方法の基礎資料を得ることである。A県内の保健師348名全員を調査対象者とし自己記入式調査票を郵送した。149名を有効回答とし分析対象とした(有効回答率42.8%)。保健師はサポートグループを立ち上げセルフヘルプ・グループを目指して支援していた。サポートグループとセルフヘルプ・グループに共通の援助機能を認識していたがセルフヘルプ・グループ独自の援助機能についての認識は低いことが示唆された。当事者グループへの支援は当事者の主体性を重視しつつも場合によっては専門職のリーダーシップやサポートが必要と考えていた。9割が当事者グループへの関与は自身にプラスになると認識していた。当事者グループの発達段階に応じた支援方法を検討していくためにも当事者グループの呼称統一の必要性が示唆された。
著者
谷本 桂
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.21-31, 2006-05
被引用文献数
1

入院患者からの暴力の被害に対する支援のあり方を検討するために、実際に暴力の被害を受けた14名の精神科看護師を対象として、主観的体験の時間的変化を面接調査し、質的に分析した。分析の結果として被害を受けた直後では、人格の否定・安全への脅威・患者との信頼関係の破綻といった否定的感情が生じ、対象者の心の傷となっていた。周囲の人々の無関心な対応や気遣いのない対応は否定的感情を、迅速な介入には肯定的感情を抱いていた。対処では安全確保や患者との関係修復を目指していた。それに対して時間を経過した後では、暴力エピソードの意味づけを行ない、心の傷を癒していたと考えられた。他に、否定的感情の処理も行っていたが、処理しきれずに持ち続けることもあった。また、被害者の周囲の人々の対応の良し悪しが心の傷の回復に影響を与えていることも明らかになった。
著者
長谷川 豊 菊山 功嗣 谷本 正信 Gerard J. W. van Bussel
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.63, no.608, pp.1297-1304, 1997-04-25
被引用文献数
6

We describe a method of calculating yawed inflow effects on horizontal axis wind turbine rotors. Yawed inflow brings about asymmetric induced velocity distributions on the rotor plane due to an inclined vortex wake construction. For the calculation of yawed inflow phenomena, an inviscid aerodynamic model based on pressure distributions is adopted. Under the assumptions of an incompressible inviscid irrotational flow, the pressure perturbation satisfies the Laplace equation and acts as an acceleration potential function. The rotor blades are represented by spanwise and chordwise pressure distributions composed of analytical first-order asymptotic solutions to the Laplace equation. Integration of the accelerations determines the velocities in the rotor plane. With these velocities the aerodynamic loads can be calculated. An advantage of this model is that evaluation of the relatively complicated unstationary effects from the vorticity in the wake is not necessary in the calculation procedure.
著者
船迫 真人 上江洲 朝洋 岡本 幸春 阪上 良行 谷本 幸三 大田 喜一郎 大畑 雅洋 藤田 拓男
出版者
The Japan Geriatrics Society
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.347-354, 1978
被引用文献数
2

最近遊離基と老化に関する問題が注目を集め, 遊離基の作用の結果生じる過酸化脂質 (以下Pxと略す) と組織及び細胞の老化に関する報告も増加の傾向にある. 私共は入院患者398名及び集団検診被検者75名の空腹時血清を使用して血清Pxを測定し, 加齢及び各脂質分画との関係を検討した. 又集団検診被検者については血清PxをTBA反応比色法 (以下比色法と略す) 及びTBA反応蛍光法 (以下蛍光法と略す) で測定し, 両法の比較も若干行った. まず入院患者を対象に血清Pxを比色法により測定するとm±SD=13.08±2.45nmole/ml, これを平均年齢のほぼ同じ集団検診被検者ではm±SD=11.3±1.98nmole/mlで何らかの疾患を有する入院患者の方が高値を示した. 又症例数の増加と共に正規分布に近い分布状態を示した.<br>血清Px値と年齢の関係は70歳までは加齢と共に血清Px値は増加の傾向を示し, 70歳より高齢で逆に低下の傾向を示した. 特に70歳以下の集団検診被検者に於ける蛍光法によるPx値と年齢の間では有意の正の相関がみられた. 入院患患では胃癌・心筋硬塞・心不全・気管支喘息等種々の疾患に於いて比色法によるPx値が高値を示し, ことに比較的重症な症例では高頻度であつた.<br>次に各脂質分画とPx値の関係について検討すると入院患者ではNEFA・βリポ蛋白・βリポ蛋白分画とPx値は有意正の相関を示した. 又集団検診被検者に於ては蛍光法によるPx値はβリポ蛋白と正の相関を認めた.<br>血中 Vitamin E (以下VEと略す) とPx値との間には有意の相関を認めなかったが, このことは血清中ににはVE以外にも抗酸化作用を有する物質が存在することを示唆した.<br>血清での比色法によるPx値と蛍光法よにるPx値の間に有意の相関を認めず, 比色法によるPx値の方が約10倍の値を示したが, 比色法ではシアル酸等Px以外の物質を非特異的に測定している可能性が多い.
著者
谷本 誠剛
雑誌
関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
巻号頁・発行日
vol.102, pp.195-210,

第二次大戦後のイギリス児童文学は「現代児童文学」の始まりの時期とされる。この時期のファンタジーに特徴的なのは、現実主義的なリアリズムの要素の強さである。そのことはこの時代をリードしたルーシー・ボストンの『まぼろしの子どもたち』に典型的に示される。タイムファンタジーとしての作品は、過去の人物が現世において感知される不思議を描いているが、同時にそれが主人公たちの心中のヴィジョンにすぎないのではないかということを終始問題にしている。さらに作品の文体も、児童文学的な語り口を持ちながらも、小説的リアリズムになっているといえる。そもそもタイムファンタジーと云うジャンル自身、歴史というリアリズムと、異なる時代が交流するというファンタジーの手法が重なり合ったものである。リアリズムの要素のきわめて強いこの期の作品が大人読者を獲得したのも当然であり、その作風は魔法の不思議などを当然の前提とする物語的なそれまでの児童文学とはっきり異なるものであった。現代のファンタジー文学のありようを認識するためにも、現代児童文学の出発の時期を振り返っておきたいと思う。