著者
上間 陽子 仲嶺 政光 望月 道浩 芳澤 拓也 辻 雄二 長谷川 裕 打越 正行
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

沖縄の貧困を解明するために、本助成をうけることで次の3つの調査を行うことになった。まずひとつは沖縄の風俗業界で働く若者のインタビュー調査を実施した。この調査では、彼らの生育環境、友人関係、結婚、就職、文化などについて調べた。次に全国学力・学習状況調査の沖縄の結果の分析(2013年、2014年)を行った。最後に沖縄の教員が、貧困世帯の子どもをどのように捉えて、関わりを作ったのかについて、各年代ごとにどういった傾向があるのかについて分析した。
著者
形井 秀一 大田 美香 辻内 敬子 大塚 素子 伊田屋 幸子
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.2-13, 2015 (Released:2015-08-06)
参考文献数
6

お灸が、 現代の日本の鍼灸治療においてどのような役割を担えるのか、 その可能性を探るために、 灸の基礎的・臨床的効果や現代における灸の有り方を検討した。 大田美香氏は、 バイオインフォマティクスにより灸の実験対象を絞り込むことが可能である事を紹介し、 バイオインフォマティクス解析から灸の“熱”をキーワードとした研究結果を報告し、 今後、 灸の作用予測研究の発展の可能性を示した。 辻内氏は、 1980年代から、 開業鍼灸師の立場で灸の魅力を伝えるお灸の普及活動を始め、 産科領域の臨床研究に取り組み、 同領域に於ける灸の効果について、 多くの成果を明らかにしてきたことを述べた。 また、 大塚素子氏は、 灸が 「治療文化」 として愛媛で継承されてきたことの意味を明らかにし、 また、 愛媛県立中央病院漢方内科鍼灸治療室での鍼灸臨床や、 周産期母子センターでのセルフ灸指導の実践等を紹介し、 時系列分析を踏まえて、 灸が人生の途上で重要な役割を担った例を紹介した。 そして、 米国在住の伊田屋幸子氏は、 2008年にMoxafricaが、 アフリカにおいて始めた結核に対する直接灸の実践とその成果を報告し、 その成果を踏まえて、 今後、 鍼灸がさらに大きく発展する可能性があることを強調した。
著者
大久保 直美 辻 俊明
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.344-353, 2013 (Released:2013-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
12 34

チューリップの花の香りの質は,カンキツ様の香り,ハチミツ様の香り,青臭い香りなど,バラエティに富んでいる.そこで,チューリップの香りの質の多様性を化学的に明らかにするために,香りに特徴のある 51 品種のチューリップの香りを採取し,GC-MS を用いて解析した.チューリップの主要香気成分は,5 つのモノテルペノイド(ユーカリプトール,リナロール,d-リモネン,トランス-β-オシメン,α-ピネン),4 つのセスキテルペン(カリオフィレン,α-ファルネセン,ゲラニルアセトン,β-イオノン),6 つの芳香族化合物(アセトフェノン,ベンズアルデヒド,ベンジルアルコール,3,5-ジメトキシトルエン,サリチル酸メチル,2-フェニルエタノール),5 つの脂肪酸誘導体(デカナール,2-ヘキサナール,シス-3-ヘキサノール,シス-3-酢酸ヘキセニル,オクタナール)であった.主要香気成分の割合と生花の官能評価から,チューリップの香りは,アニス,シトラス,フルーティ,グリーン,ハーバル,ハーバル・ハニー,ロージィ,スパイシー,ウッディの 9 種類に分類された.
著者
辻 道夫 久米 雅 芳田 哲也
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.127-139, 2015-01-10 (Released:2015-01-29)
参考文献数
27

湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature, WBGT)28℃以上の輻射環境下において,四肢部露出の有無が運動時の温熱ストレスに与える影響を明らかにすることを目的として 7 名の被験者を対象に実験を実施した.輻射環境はスポットライト 2 基を用いて WBGT 28.3±0.1℃を設定し,着衣は長袖・長ズボン(L 条件)と袖なし・半ズボン(S 条件)の 2 条件で最大酸素摂取量の 20% と 50% 負荷の自転車漕ぎ運動を 20 分間,5 分間の休息を挟んで 3 回実施した.その結果,20% 時および 50% 時における食道温,平均皮膚温(Tsk),平均体温,衣服内温度・湿度,総発汗量,および運動後半の温冷感と主観的運動強度は着衣条件による顕著な差異は認められなかった.しかし,L 条件における Tsk の安静時からの上昇度(ΔTsk)や上腕,前腕,下腿の皮膚温は S 条件に比べて両運動時共に有意に低く,さらに 20% 時の心拍数は,L 条件が S 条件よりも有意に低くかった.したがって,WBGT 28℃以上の輻射環境下における中程度運動時の温熱ストレスは四肢部露出の有無による顕著な差異は認められないが,軽運動時には四肢を衣服で覆うことにより皮膚温や心拍数の上昇を抑制し,温熱ストレスを軽減できる可能性が示された.
著者
辻森 樹 マルテンス ウヴェ
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.III-IV, 2006-02-15 (Released:2013-03-23)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
辻 加代子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.28-41, 2002-10-31 (Released:2017-04-29)
被引用文献数
1

本稿は,京都市方言・高年層女性話者による談話資料および江戸時代後期上方洒落本(京都板)を資料として,各時代の敬語の運用実態および運用構造を談話分析の手法により解明し,中年層女性の実態と比較検討しつつ変容過程を明らかにすることを試みた.当該方言では日常のくだけた場面において素材待遇語の使用が第三者待遇に偏るとされる近畿中央部方言の敬語運用上の特質を顕著に示すと同時に,関西各地で隆盛が指摘されているハルが専一的に使用されており,尊敬語機能から三人称指標ともいえる機能への変質が認められる.高年層話者においては上記の特徴を強く帯びているもののハルの用法に尊敬語の特質をいくらか残し,江戸時代後期資料にみられる敬語運用には「第三者待遇に偏る素材待遇語の使用」は認められないが待遇の別により異なる敬語形式が用いられていることを具体的に明示した.洒落本資料のうち,天保7年刊行の『興斗の月』にハルの前駆的な形態とされるヤハルのもっとも早い用例が現れ,第三者待遇で使用されていることも明らかにした.
著者
辻 和成 辻 勢都
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本調査では、グローバル経営を進める製造会社の英語事情について総合的な分析を行った。1,000名以上の従業員を雇用する企業を幅広い業種から選び、オンラインでのアンケート調査を実施した。その結果、ものづくり系企業での英語使用と英語教育の現状を明らかにし、産業界のニーズに適合するため、英語教育での企業と大学の接合の必要性を示すことができた。本調査の特徴の一つは、日本経済の中核を担う製造業に着目し、主たる部門をディスコース・コミュニティとみなしニーズ分析を行った点である。幅広い業種から機能分担がより鮮明である大手の企業を調査対象として選択し、ニーズ分析と研究成果の有用性と汎用性を確保することに努めた。
著者
辻 洋志 臼田 寛 高橋 由香 河野 公一 玉置 淳子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.63-71, 2016-03-20 (Released:2016-06-07)
参考文献数
40

目的:現在,日本では少子化に伴う労働力不足を補うために外国人を採用する企業が増加している.米国では移民労働者の労働衛生に関する研究が進んでいるが,日本においてはほとんど報告がない.本調査は,米国における移民労働者の労働衛生の現状と課題,および取り組みを明らかにすることを目的とする.方法:米国誌に掲載された移民労働者の労働衛生に関する先行研究論文をレビューし,米国での移民労働者に対する労働衛生の現状と課題,および取り組み事例の調査を行った.結果:米国では移民労働者の労働衛生は主に健康格差という側面で研究されていた.先行研究レビューにより,健康格差に影響を及ぼすもしくは可能性のある因子は7つに分類された.カッコ内は各因子に対するキーワードを示す.1.職業選択(有害業務,業務上負傷,休業,ブルーカラー,低出生体重児)2.教育(学歴,ヘルスリテラシー,衛生教育),3.文化(配慮,コミュニティー人材),4.環境(劣悪環境,地域差,環境変化)5.アクセス(言語,統計,労災補償,医療保険,受診自粛),6.感染症(結核,エイズ,フォローアップ),7.差別(人種,暴行,ハラスメント).また,共通した課題として移民労働者のデータ不足が指摘された.取り組みの事例調査では企業や地域団体が複数の因子に対して組み合わせて対応することが行われていることがわかった.考察:米国では移民労働者の労働衛生研究が多く行われている.しかし,調査対象である移民労働者のデータが不足していることが課題となっている.先行研究レビューの結果,多くの論文が健康格差を取り上げていた.健康格差に影響を及ぼすもしくは可能性のある因子は7つに分類する事ができ,各因子のキーワードに関連した取り組みが求められていると推察された.取り組みの事例調査では企業や地域団体が複数の因子に対して組み合わせて対応することが行われており,社内外の労働衛生従事者は,7つの因子すべてに着目した柔軟な対応が求められている.日本でも健康格差の原因となりうる因子に関するデータの蓄積および研究の推進と共に,企業や地域の取り組みが喫緊の課題である.
著者
辻 哲也 園田 茂 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.301-309, 1996-05-18
参考文献数
13
被引用文献数
26 51

機能的自立度評価法(FIM)を用いて, 脳血管障害患者190例の入院・退院時のADL評価を行った.項目別自立度により運動, 認知項目の難易度パターンを調べ, Rasch分析により運動, 認知項目の合計点別に各項目の点数分布を分析した.運動項目では, 難易度パターンは入院・退院時とも同様であり, 損傷病巣側, 年齢による差もなかった.認知項目では損傷病巣側により差がみられた.痴呆は難易度パターンに影響を与えていた.また, Rasch分析により, 運動項目は合計点別に50点未満の介助群から80点台後半の応用歩行自立群までの5つのグループに分けられた.一方, 認知項目では症例の一元性に問題があり, Rasch分析以外の解析手法を検討すべきであると思われた.
著者
宇野 宏司 高田 知紀 辻本 剛三 柿木 哲哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_1603-I_1608, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
3

古くから熊野信仰やお伊勢参りで知られる紀伊半島には多くの神社が鎮座している.太平洋に面する本半島沿岸は,2012年に公表された内閣府による南海トラフ巨大地震の被害想定(第二次報告)で甚大な被害が出ると予想されており,限られた平野部に拓かれた集落における避難場所の確保が重要な課題のひとつになっている.本研究では,本半島沿岸1km圏内に鎮座する神社の空間配置の諸情報(緯度経度・標高)と内閣府による津波被害の想定結果を用いて,将来の南海トラフ地震時における神社の津波被災リスクについて検証した.その結果,境内が直接被災するのは2割程度に留まるが,こうした神社の多くは浸水深が1mを超え,避難場所には適さないことがわかった.祭神別では,伊勢神宮の主祭神である天照大神とその周辺の神々で津波被災リスクは低くなっていることが明らかにされた.
著者
菊地 真実 辻内 琢也
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.10-22, 2016-06-10 (Released:2016-07-06)
参考文献数
22

A questionnaire-based survey was administered to determine how community pharmacists recognize the necessity for and frequency of touching their patients during care giving. The questionnaire was sent to 400 community pharmacies that practiced home care, and 147 valid responses were analyzed. The survey suggested that acts recognized by pharmacists to require touching were measuring vital signs and helping patients take oral medications. It was thought that pharmacists needed to help patients in taking oral medications and also needed to determine issues related to oral intake. The survey also indicated that the frequencies of measuring vital signs and applying plasters to patients were high. Measuring vital signs was considered routine work, and applying plasters to patients was considered occasional work. Many respondents stated the need for practical study sessions on measuring vital signs. The frequency of measuring vital signs has increased because pharmacists have increasingly recognized this need. Additionally, females tended to touch their patients more frequently than males. However, there was no relationship between the frequency of examining bedsores and applying ointments on them and gender because it was thought that knowledge and experience were more important. The recognition of necessity for touching their patients was high but the frequency was comparatively low, and there was a discrepancy between the recognition of necessity and frequency. It was suggested that practical study sessions on when patients should be touched should be a high priority.