著者
大塚 攻 宮川 千裕 平野 勝士 近藤 裕介
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.48-60, 2018-08-31 (Released:2018-08-31)
参考文献数
89

Ecto- and meso-parasitic copepod basibionts harbor a wide variety of epibionts. The basibionts belong to the families Caligidae, Pandaridae, Trebiidae, Pennellidae, Sphyriidae, Bomolochidae, Ergasilidae, and Lernaeidae. Epibionts consist of bacteria, suctorian and peritrich ciliates, hydrozoan polyps, udonellid monogeneans, stalked barnacles, and algae. Udonellids and hydrozoan polyps seem to correspond to hyperparasitism, while attachment of some algae is regarded as accidental phoresy. These fish parasites provide unique substrates for epibionts, due to (1) no molting in the adults, (2) provision of relatively long-live and stable attachment sites, and (3) protection from fish immune responses, in addition to advantages of high mobility and dispersal of primary host fish.
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
大塚 攻 長谷川 和範 木村 妙子 三宅 裕志 近藤 裕介 飯田 健 Honorio Pagliwan Ephrime Metillo
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1-4, pp.93-98, 2017-11-27 (Released:2018-01-11)
参考文献数
39

ウロコガイ科二枚貝ベッコウマメアゲマキScintilla philippinensis Deshayes, 1856の生体がフィリピン・パラワン島で採集されたが,外套膜とその膜上の突起,足を用いてウミウシ類及びカニ類に擬態と考えられる行動が観察された。ウミウシ類型の場合,外套膜を変形させて形態を似せる。カニ類型の場合には形態的類似性だけでなく足も用いて行動も真似る。ウロコガイ上科は他の動物に共生することで知られるが,擬態に関する知見は少ないので,今後のより詳細な研究が待たれる。
著者
久保田 壮一 荒川 紀子 和田 光俊 近藤 裕治 小久保 浩 山崎 匠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.69-76, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
9
被引用文献数
5 5

JSTが運営する電子ジャーナルサイトJ-STAGEのリンク機能を担うJSTリンクセンターが関係する新機能を2つ紹介する。1つはJ-STAGE上の論文本文を検索エンジンGoogleやGoogle Scholarで検索できるようにクロールさせる機能,もう1つは論文間の被引用関係表示を行う機能である。これまでJ-STAGE記事内同士の被引用関係は実現されていたが,2005年5月からCrossRefのForward Linking機能を利用して,J-STAGE外の記事からの引用関係を取得し,これを被引用リンクとして表示することができるようになった。
著者
中村 かおり 近藤 裕子 向井 留実子
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.10-11, 2018 (Released:2019-02-06)
参考文献数
15
被引用文献数
1

In academic writing, citation instruction is necessary, but there has not been sufficient study on teaching it effectively. Especially in the case of indirect quotations, the tendency to summarize or explain the original text can be seen and there has been very little discussion on how to adapt a summary to an indirect quotation. On the other hand, summarization has long been carried out and researched as a part of reading and writing instruction and that knowledge has accumulated. This paper will examine whether or not the summarization taught in reading/writing is relevant for the purpose of indirect quotation instruction.
著者
近藤 裕昭 有沢 雄三 鵜野 伊津志 尾形 和彦 木村 富士男 斉藤 朝夫 鈴木 基雄 高橋 俊二 中西 幹郎 中埜 幸宏 水野 建樹 安楽岡 顕 吉門 洋 劉 発華 若松 伸司
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.751-760, 1994-11-30
参考文献数
18
被引用文献数
9

気象研究所,東北大学,国立環境研究所,資源環境技術総合研究所でそれぞれ運用されている局地循環モデルの相互比較実験を,昼間の二次元の海風を対象として行った.地表面の熱的な境界条件を地表面温度で与え,午前6時をスタートとする正弦関数とした.各モデルの固有の接地境界層のモデル化から顕熱輸送量を決定するCASE1と,顕熱輸送量をC_hUΔθで統一的に与えるCASE2の二種類の計算を行ったところ,海風の発達についてCASE1では一致した結果にはならなかったのに対し,CASE2では海風循環の大きさと強さ,地上風速,海風発達後の海風前線の位置について一致した結果が得られた.これより,昼間の海風の発達には地表面からの顕熱輸送量が重要で,これが適切に与えられれば計算された海風の主要な特徴については各モデルで一致することがわかった.
著者
近藤 裕幸
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.111, 2004

【石橋の経歴】石橋五郎(1876‐1946)は千葉県出身で、東京帝国大学文科大学史学科を1901年7月に卒業後、1904年神戸高等商業学校に赴任し、商業地理等を教えた。1907年京都帝国大学文科大学に史学科が創設されるに際し,史学地理学第二講座(後の地理学講座)が開設され、小川琢治(1870_-_1941)のもとで、人文地理学を講じた。1921年に小川が他学部へ転出した後は,石橋が講座を担当し、時代変遷史的に地理を見る立場を鮮明にし,当初はラッツエル、後には「地人相関論」の立場にたって講義を行った。1927年からは多くの著作に携わり、『日本地理風俗大系』、中学校教科書を著し、地理学の成果普及に努めた。<br>【地理学の方法論の導入】石橋が活躍し始めた1910_から_20年代の中学校地理教育の現状は、啓蒙的に知識(地名物産地理)を下達するものが多かった。例えば石橋よりも先に活躍した山崎直方の教科書では、地人相関的な記述はなかなかみられず、地名が羅列的に並べられたものが多かった。そうした教科書ではなく、石橋は地理学の方法論をとりいれた教科書を執筆した。(石橋は教科書を1924_から_1943年にかけて約20冊著している。)<br>石橋の地理学方法論とは法則定立と地人相関論にあった。しかし石橋はこの両者を全て地理教育に取り入れずに、教育に役立つと思われる地人相関論のみを教育へとりいれた。それは、石橋が地理学と地理教育を別のものとして捉えていたからである。<br>【地人相関論導入過渡期としての位置付け】しかし、石橋が著した教科書の初期のものは、地名羅列的な記述のものだった。地人相関的記述をともなった教科書を書き始めたのは1931年以後であった。そうした記述がなされるようになった背景に、1931年の「中学校令施行規則改正」がある。このときに教育制度上ではじめて地人相関論を教えることの法的裏づけがなされたのであるが、石橋は地名の羅列的記述から、地人相関的記述へとうつりかわる動きを積極的に当局に働きかけた節があり、過渡期にあった人物といえる。<br>【教育全般(教育課程)における地理教育のいちづけ】一方で、石橋は教育全般(教育課程)における地理教育のいちづけを明確にしようとした。教育の目的を、「個人が一般的幸福のために自然的社会的環境にいかい適応すべきかを学ぶこと」と考えていたので、地理科は人間が環境にいかに適応すべきかを学ぶものだから、教育全般のなかで役立つものとした。<br>【地理教育の目的】教育全般の中での地理教育の役割を、石橋は著書『地理教育論』の中で体系的に論じた。生活に即した知識(職業に役立つ知識)、教養としての地理知識、祖国意識の強化、人類愛観念養成、国土美鑑賞のための情操の陶冶などを挙げている。要約すれば「情緒的な側面の陶冶」と「実用と教養の知識獲得」が地理教育の目的といえよう。実際に教科書をみても、二つの見解が生かされた記述となっている。<br> 同時代に地理教育を論じたものとして、田中啓爾の『地理教育に関する論文集』、佐藤保太郎(1933)の「小学校及び中等学校の地理教育」(『岩波講座教育科学16』)等があるが、いずれも教育大系全体を踏まえた地理教育を論ずることが少なく、局所的な論述で、体系的に論じるには至っていない。<br>【地理教育史における石橋の重要性】これまでのことから、地理教育史上、2つの点で、石橋は重要な存在と考えられる。第1は、地理の知識を上から下へと教授していた時代で、羅列的記述を避け、地理学の手法をとりいれた。そうしながらも、地理学と地理教育を混同しなかった点である。第2に、教育全般(教育課程)における地理教育の位置付けを論じ、目的を明確に論じたことである。すなわち、地理学と地理教育を分離した上で、次に教育全体の中で地理教育が果たしうることを目的論として体系的に打ち出したのである。石橋は「教育全般?地理教育?地理学」の構造を浮き彫りにした事実から、今後地理教育史においてさらに検討を加えられるべき人物であると考えられる。<br>
著者
高根 雄也 近藤 裕昭 日下 博幸 片木 仁 永淵 修 中澤 暦 兼保 直樹 宮上 佳弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

本研究では、地表面からの非断熱加熱を伴うハイブリッドタイプのフェーンが、風下末端地域の高温の発生に寄与しているという仮説を、3つの異なる手法・視点:独自観測・数値シミュレーションによる感度実験・過去データの統計解析から検証した。このタイプのフェーンは、1)典型的なドライフェーン(断熱加熱)と、2)地表面からの加熱(非断熱加熱)の複合効果によって生じる。フェーンを伴うメソスケールの西寄りの風に沿った地上気象要素の現地観測により、1)の典型的なフェーンの発生が確認できた。このフェーン発生地の風下側の平地における2)地表面からの非断熱加熱の効果に関しては、風下の地点ほど温位が高くなるという結果が得られた。そして、その風下と風上の温位差がフェッチの代表的土地利用・被覆からの顕熱供給(地表面からの非断熱加熱)で概ね説明可能であることが、簡易混合層モデルによるシンプルな計算にから確認できた。この非断熱加熱の存在を他の手法でより詳しく調査するため、WRFモデルによる風上地域の土壌水分量の感度実験、および過去6年分の土壌水分量と地上気温、地上風の統計解析で確認した。その結果、風上側の地表面から非断熱加熱を受けた西寄りの風の侵入に伴い、風下の多治見が昇温していることが両手法によっても確認された。この地表面加熱を伴うハイブリッドタイプのフェーンが、この風の終着点である多治見の高温に寄与していると考えられる。
著者
中村 かおり 向井 留実子 近藤 裕子
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.26-27, 2019 (Released:2019-07-02)
参考文献数
7

As part of a Japanese language academic writing class for international graduate students, a trial activity to enhance the understanding of the use of references in specialized fields was used. The students considered the placement and purpose of citations and how they were introduced in papers in their own fields of study and responded to questions about what they found. Their responses showed that, through this activity, they gained not only a better understanding of the use of references, but their understanding of the content of the paper deepened and they were better able to evaluate the paper. It appears that this activity can be effective with a class of students from different fields.
著者
久保田 壮一 荒川 紀子 和田 光俊 近藤 裕治 小久保 浩 山崎 匠
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.69-76, 2006
被引用文献数
2 5

JSTが運営する電子ジャーナルサイトJ-STAGEのリンク機能を担うJSTリンクセンターが関係する新機能を2つ紹介する。1つはJ-STAGE上の論文本文を検索エンジンGoogleやGoogle Scholarで検索できるようにクロールさせる機能,もう1つは論文間の被引用関係表示を行う機能である。これまでJ-STAGE記事内同士の被引用関係は実現されていたが,2005年5月からCrossRefのForward Linking機能を利用して,J-STAGE外の記事からの引用関係を取得し,これを被引用リンクとして表示することができるようになった。<br>
著者
近藤 裕幸
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.403-426, 2007-06-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
105
被引用文献数
1 2 1

本研究の目的は, 1910~1930年代にかけて日本の中等教育の地理科教科書にみられた教育観の変遷を, 主として小川琢治著の教科書を通して概観することにある. 結果として, 小川著の教科書は, 文章のみで知識を伝えるものから, 直観教材 (挿図表等) を増やし連携させることで地理科の教授内容を生徒に理解させることを意図するものへと変化していった. 一方, 小川と同じ京都帝国大学に所属していた石橋五郎は, 教科書執筆において, 人文と自然との相関重視の地理教育を主張するだけでなく, 著書『地理教育論』において地理教育全体の体系化を目指す方向性を指向した. 本研究によって, ほぼ同時期に活躍し交流があった両者が, 地理教育において果たした役割に相違があったことと, 戦前中等教育における地理教育の多様性の実態を検証した.
著者
高根 雄也 近藤 裕昭 日下 博幸 片木 仁 永淵 修 中澤 暦 兼保 直樹 宮上 佳弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2016年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100126, 2016 (Released:2016-11-09)

本研究では、地表面からの非断熱加熱を伴うハイブリッドタイプのフェーンが、風下末端地域の高温の発生に寄与しているという仮説を、3つの異なる手法・視点:独自観測・数値シミュレーションによる感度実験・過去データの統計解析から検証した。このタイプのフェーンは、1)典型的なドライフェーン(断熱加熱)と、2)地表面からの加熱(非断熱加熱)の複合効果によって生じる。フェーンを伴うメソスケールの西寄りの風に沿った地上気象要素の現地観測により、1)の典型的なフェーンの発生が確認できた。このフェーン発生地の風下側の平地における2)地表面からの非断熱加熱の効果に関しては、風下の地点ほど温位が高くなるという結果が得られた。そして、その風下と風上の温位差がフェッチの代表的土地利用・被覆からの顕熱供給(地表面からの非断熱加熱)で概ね説明可能であることが、簡易混合層モデルによるシンプルな計算にから確認できた。この非断熱加熱の存在を他の手法でより詳しく調査するため、WRFモデルによる風上地域の土壌水分量の感度実験、および過去6年分の土壌水分量と地上気温、地上風の統計解析で確認した。その結果、風上側の地表面から非断熱加熱を受けた西寄りの風の侵入に伴い、風下の多治見が昇温していることが両手法によっても確認された。この地表面加熱を伴うハイブリッドタイプのフェーンが、この風の終着点である多治見の高温に寄与していると考えられる。