著者
近藤 裕昭 劉 発華
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.179-192, 1998-05-10
被引用文献数
48

1次元の都市キャノピーモデルを作成し, 都市の熱環境を調べた。メンスケール気象モデルの水平1格子程度の空間(数km四方)のビルの配置を簡略化して取り扱い, 平均ビル幅, 平均道路幅, ビルの高度分布をパラメータとして, 道路面や各高度の壁面・屋上面における平均的な熱収支を計算して顕熱量を求めた。また, 人工廃熱も高度別に与えるようにした。すべてのビル高度が33mとした場合, ビル幅と道路幅が30mの時, キャノピーの地上3mの気温はビルが無い場合に比べて午後から夜間にかけて約1K上昇した。道路幅を狭くすると昼間の気温は更に上昇するが, 夜間は気温が下がる傾向を示した。東京駅付近の人工廃熱量の日変化を与えて計算すると, ビルが存在すると地表付近の気温上昇はビルが無い場合に比べて大きく, また廃熱源が地上付近にあった場合の方が屋上に廃熱源を置いた場合に比べて温度上昇が大きいことが示された。
著者
水野 建樹 近藤 裕昭 吉門 洋
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.171-180, 1993-03-31
被引用文献数
9

関東地方では,移動性高気圧の後面から総観規模の寒冷前線が通過し去る間,内陸部下層に逆転層が形成され東京湾上に局地不連続線が生じる場合がある.初冬にはこの不連続線の形成に伴って大気汚染が悪化する.観測によれば,局地不連続線はそれまで関東平野部をおおっていた大気に比べて相対的に暖かい西よりの風が,中部山岳を北回りにあるいは南回りに関東内陸部上空に達したとき出現しており,これは関東内陸部では中部山岳部が壁となって下層によどみ域が発生する一方,関東南岸には障害物がないため西よりの風が卓越しているためと考えられる.局地不連続線は両者の気団間で出現する.このとき,館野上空 1000m程度の風向は約210〜310度にあり,館野高層データから求めたフルード数は風向によって変化するが,およそ0.3〜1.3程度であった.また局地不連続線は,それに先だって南〜西よりの風が少なくとも半日程度持続しているとき多く出現していることがわかった.
著者
近藤 裕陽 木下 光
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.475-480, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
16

本研究は、坂出人工土地の開発手法の意義と限界をその計画、事業プロセスの変遷を通して明らかにしたものである。結論は主に以下の三点である。1)坂出人工土地は公共用地を生み出す実験的な開発手法であったが、予定以上に事業が遅延し、事業途中の1969年都市再開発法が施行されたため、特殊解として位置づけられることになった。2)坂出人工土地はすべての土地の買収を前提としない画期的な開発手法であり、区分所有や立体換地による今日の再開発手法とは異なるものであった。3)坂出人工土地は構造や設備の観点において、土地と同等として捉える試みがなされたが、法的には位置づけられることがなかったため、結果的には建築床と同じ扱いになっている。
著者
近藤 裕貴 藤井 叙人 片寄 晴弘
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.122-126, 2015-09-18

アクションゲームの上達には,コントローラによる様々なボタン入力パターンを習得することが不可欠である.この入力パターンは,順序通り入力を行えば良いものだけではなく,タイミングの正確さを必要とするものが多い.しかしながら,このタイミングの習得はゲーム上級者であっても障壁となることがある.様々な分野で,タイミングを効率的に学習させる手法の検討が行われているが,アクションゲームのキャラクター操作に注目したものは少ない.本研究では,音を用いたアクションゲームプレイヤのスキル獲得支援手法について提案する.また,被験者実験を通して有効性を検証した結果,特定の条件下において高い効果を得られることがわかった.
著者
大塚 攻 平野 勝士 宮川 千裕 近藤 裕介 菅谷 恵美 中井 敏博 高田 健太郎 福島 英登 大場 裕一 三本木 至宏 浅川 学 西川 淳
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.86-100, 2019-08-25 (Released:2019-09-03)
参考文献数
94

In marine ecosystems, bacterial interactions with zooplankters are highly complex, and much attention has recently been given to these interactions. Bacteria not only play the role of food and symbionts for zooplankters, but also function as decomposers for their carcasses, exuviae and feces. Free-living bacteria are involved as major producers in microbial loops, and form the diet of nanoplanktonic flagellates, ciliates, appendicularians and thaliaceans. Epibiotic and enteric bacteria use zooplankters as refuges to avoid predation and/or as food sources. However, aggregations of epibiotic bacteria or biofilms may function as “a second skin,” sensu Wahl et al. (2012), to modulate hosts metabolism and behaviors. Because they contain rich nutrients, low pH and low oxygen, copepod guts provide a unique environment for bacteria in which anaerobes can survive. Bacterial communities on copepods vary seasonally and among species, depending on the physiology of the host. The conveyor-belt hypothesis implies that bacteria vertically, and presumably horizontally, hitchhike in different water masses in accordance with the migrations of zooplankters. Bioluminescent bacteria are likely used as biomarkers of detrital foods for some planktonic copepods belonging to the Bradfordian families and as obligate symbionts for bioluminescent ichthyoplankters. Tetrodotoxin-producing bacteria are associated with chaetognaths that may use toxins to capture prey animals. Colonial cyanobacteria provide substrata for miraciid harpacticoid copepods. Hyrdomedusae play a role as vectors of pathogenic bacteria, causing lesions in farmed fish. Modern genetic analysis is a powerful tool that will be the first step in revealing the physiological and functional interactions between bacteria and zooplankton.
著者
乾 正幸 大和田 進 近藤 裕子 蘇原 直人 乾 純和
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.57-60, 2011-06-10 (Released:2013-07-19)
参考文献数
5

大腸内視鏡検査に送気は不可欠であるが,空気による送気では残留空気による腹満感が出現することがある。そこで,今回スクリーニングを含む大腸内視鏡検査における炭酸ガス送気の有用性と経済性を評価することを目的とし臨床研究を行った。対象は2009年9月10日から2009年12月1日までに乾内科クリニックで施行された大腸内視鏡検査(軽処置を含む)101症例にアンケート調査を行った。この間,全例に炭酸ガス送気を用いた。また,大腸内視鏡検査1件あたりの炭酸ガスのランニングコストを,6.6kg一本の炭酸ガスボンベのコストを総検査数で除して算出した。症例の内訳は,男性49名,女性52名,年代の最頻値は60代であった。検査中及び検査後の腹満感については,楽であったと答えた群が大幅に上回った。空気送気による大腸内視鏡検査歴のある被験者で前回の検査と今回の炭酸ガス送気の検査の腹満感の比較でも楽であったとの回答が大幅に上回った。また検査中及び検査後の腹満感について統計学的検討を行ったが腹部手術歴の有無や大腸内視鏡検査歴の有無によらず腹満感は軽減されたことが示された。今回の検討期間内における大腸内視鏡検査1件あたりの炭酸ガス使用量は0.16kgであった。炭酸ガスボンベ一本6.6kgの単価は9,000円であり,1件あたりのランニングコストは227円であった。
著者
近藤 裕貴 岩田 学
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.577-581, 2011 (Released:2011-11-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

〔目的〕体幹筋へのアプローチとして,臨床場面でのSLRの活用方法を見出すために下肢伸展挙上(以下,SLR)保持における非挙上側下肢の条件設定によって,下肢・体幹筋活動がどのように変化するか調査した.〔対象〕健常男性21名(年齢20.6±3.7歳)を対象とした.〔方法〕課題動作は,非挙上側下肢を鉛直下方向に押すことを強調したSLR保持:「押す」,押さないことを強調したSLR保持:「押さない」,特別な条件を加えない通常のSLR保持:「通常」,の3条件とした.非挙上側下肢の肢位は股・膝関節伸展位とした.表面筋電図により,脊柱起立筋,腹直筋,内側ハムストリングス,大腿直筋,それぞれ左右両側の計8筋の筋活動を測定した.〔結果〕脊柱起立筋は「押す」,腹直筋は「押さない」において,左右両側とも他の2条件に比べて有意に%MVCが高かった.〔結語〕「押す」,「押さない」の2条件は,脊柱の運動が制限されていても様々な臨床場面で体幹筋活動を促して,体幹機能の賦活化を図ることが可能であることが示唆された.
著者
山本 聡美 山本 悠介 近藤 裕子 廣瀬 倫也 北島 治 鈴木 孝浩
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.311-314, 2015-05-15 (Released:2015-08-19)
参考文献数
5

全身麻酔下に帝王切開術が予定された脊髄性筋萎縮症患者において,ロクロニウム筋弛緩とスガマデクスによる拮抗効果を評価した.挿管量としてロクロニウム1mg/kg投与後89.5分でポストテタニックカウント(post-tetanic count:PTC)は2に達した.その時点でスガマデクス4mg/kgを投与したところ,75秒で四連反応比は対照値に回復した.本症例ではロクロニウムへの感受性は増大していたが,スガマデクスにより迅速に回復が得られた.
著者
近藤 裕陽 木下 光
出版者
日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.475-480, 2008-10-15
参考文献数
16
被引用文献数
2

本研究は、坂出人工土地の開発手法の意義と限界をその計画、事業プロセスの変遷を通して明らかにしたものである。結論は主に以下の三点である。1)坂出人工土地は公共用地を生み出す実験的な開発手法であったが、予定以上に事業が遅延し、事業途中の1969年都市再開発法が施行されたため、特殊解として位置づけられることになった。2)坂出人工土地はすべての土地の買収を前提としない画期的な開発手法であり、区分所有や立体換地による今日の再開発手法とは異なるものであった。3)坂出人工土地は構造や設備の観点において、土地と同等として捉える試みがなされたが、法的には位置づけられることがなかったため、結果的には建築床と同じ扱いになっている。
著者
長崎 栄三 国宗 進 太田 伸也 五十嵐 一博 滝井 章 近藤 裕 熊倉 啓之 長尾 篤志 吉川 成夫 久保 良宏 上田 雅也 牛場 正則 日下 勝豊 塩野 友美 島崎 晃 島田 功 榛葉 伸吾 西村 圭一 早川 健 藤森 章弘 牧野 宏 松元 新一郎 望月 美樹 森 照明 藤村 和男 半田 進 家田 晴行 松田 泉 浅沼 健一 小俣 弘子 清水 壽典 村越 新 安部 浩一 飯嶌 一博 久永 靖史 山根 浩孝 山口 啓
出版者
公益社団法人日本数学教育学会
雑誌
日本数学教育学会誌 (ISSN:0021471X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.11-21, 2008-04-01
被引用文献数
5

算数・数学教育における新たな目標として「算数・数学の力」を考えた.算数・数学の力とは,算数・数学のあらゆる活動に関わるはたらきで,大きく「算数・数学を生み出す力」,「算数・数学を使う力」,「算数・数学で表す力」,「算数・数学で考え合う力」の4つの力で構成される.初めに,我が国の算数・数学科の教育課程の史的分析,算数・数学のカリキュラムの国際比較,算数・数学教科書の研究,数学的な考え方・問題解法の史的分析,社会の算数・数学教育に関する意識の分析を行った.その上で,算数・数学教育の目的・目標に算数・数学の力を位置付けた.そこでは,算数・数学教育の目標を概念理解と能力習得とで均衡を図った.そして,算数・数学の力を,算数・数学的内容との一体化,算数的活動・数学的活動の重視などの原則の下で構造化し,その質の高まりを具体化するための算数・数学の力の水準の重要性を指摘した.