著者
野地 雅人 稲垣 浩 遠藤 聡 常松 尚志
出版者
日本脊髄外科学会
雑誌
脊髄外科 (ISSN:09146024)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.80-86, 2017 (Released:2017-07-08)
参考文献数
25
被引用文献数
1

Cervical angina is a pathological condition characterized by angina-like paroxysmal precordial pain caused by a lesion in the proximity of the cervical spine without cardiovascular abnormality. The symptom cannot be alleviated even with nitroglycerin administration. Although various reports have suggested possible causes, no report has identified the definite etiology of the disease. We report a rare case with frequent chest pain attacks, which completely disappeared after anterior cervical decompression and fusion and cervical calcified disc herniation. In addition, we compared the present case with previously reported cases.  The patient was a 78-year-old woman who complained of pain in the left chest and back area. Her symptoms worsened in August 2007. She was then hospitalized after undergoing medical examination in the emergency department, with the following results: ST segment depression (+), horizontal down-sloping V4-V6 on electrocardiography, and troponin (−). On the basis of these results, she was diagnosed as having unstable angina. Later, we conducted a cardiac catheter test and found 99-100% stenosis for #6 and 99% stenosis for #13 periphery. Percutaneous coronary intervention (PCI) for #6 was performed with a favorable collateral circulation. The patient did not have any symptoms during treadmill exercise and was discharged from the hospital. Although she repeatedly visited the emergency department every 2 or 3 months because of the pain in her left chest and back area, ischemia findings at the time of electrocardiography and blood test results were always negative. In March 2012, the symptom persisted even with PCI for #13. In June 2014, an acetylcholine prorocation test was conducted for suspected vasospastic angina, but the result was negative. As the patient occasionally had numbness and pain in both upper extremities, which worsened, she underwent a medical examination in our clinic in February 2015. Midline calcified hernia at C3/C4 and spur at C4/C5 were found on magnetic resonance imaging and computed tomographic myelography. Anterior decompression and fusion (C3/C4 and C4/C5) were conducted with a cylindrical cage in June 2015, and the postsurgical pain in the chest and back area completely resolved. A philological study showed that the affected segment often indicated symptoms associated with radiculopathy at the C6 or C7 myotome areas, but our case was considered a spinal segment disorder or sympathetic involvement.
著者
遠藤 守人
雑誌
八戸大学紀要
巻号頁・発行日
no.32, pp.13-18, 2006-03
著者
梅本 勝博 遠藤 温
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.97, no.10, pp.707-710, 2002-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
5

企業活動において, 俊敏な意思決定と迅速な行動は, 企業の発展や生き残りにかかわる重要な要件であり, 種々の情報や知識を踏まえて的確に行う必要がある。そのためには普段から知識の収集・分析・意思決定などを柔軟かつ機動的に行えるように組織力を引き上げておく必要があり, そのような知的機動力の視点から見たナレッジ・マネジメントの概念が明瞭に解説されている。
著者
遠藤 由香
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.733-740, 2010
参考文献数
27

目的:思春期過敏性腸症候群(IBS)の疫学的特徴を明らかにする.方法および対象:中学3年生にアンケート調査を施行した.質問紙にはRIIMQ,SIBSQ,GSES,SF-36v2を用い,さらに睡眠やストレスなど生活に関する質問を付加した.結果:男子106名(12.7%),女子145名(16.3%)がIBSと診断された.全員IBSの治療歴はなく,有症状率に地域差はなかった.IBSの腹部症状に大きな男女差はなく,ストレスによる症状増悪は女子に多かった(p<0.05).IBS群は対照群に比して,睡眠障害,ストレスやトラウマ(各p<0.01)をより多く訴えた.IBS群では,女子のほうが男子よりストレス,トラウマを多く訴えた(各p<0.05).IBS群は対照群よりGSESとSF-36v2の全下位尺度で得点が低かった(各p<0.01).結論:思春期IBSでは性差の面で成人とは異なる傾向が認められた.
著者
遠藤 信介
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.406-414, 2002-12-15 (Released:2017-01-31)
被引用文献数
1

航空機は,運航中に遭遇するさまざまな事態の下でも安全に飛行できるよう,システムごとに,故障解析,信頼性解析を行い,一定の安全目標が達成されていることを確認することが要求されているが,設計時に想定された安全性,信頼性を長期問維持するには,適切な検査,修復,交換などの整備を行う必要がある.本稿は,航空輸送の安全性について過去の実績とほかの社会’活動との比較を紹介し,設計における安全の目標の設定方法,設計・製造時に想定された安全性,信頼性を維持するための整備方式 などについて概説する.
著者
小野寺 誠 小泉 範高 藤野 靖久 菊池 哲 井上 義博 酒井 明夫 遠藤 重厚
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.307-312, 2014

症例は30代の女性。東北新幹線乗車中に下腹部痛が出現し救急要請となった。救急隊が病院選定を行う際に自分は医師であると話し前医へ搬送となったが,診察をめぐってトラブルとなったため当院紹介となった。救急隊からの連絡で身分証明書の提示を拒否していたこと,インターネット検索をした結果,氏名と所属が一致しないことを確認したために薬物依存の可能性を考え,前医に医師会への報告を依頼するとともに当院精神科医師による診察を依頼した。当院搬入時,下腹部の激痛を訴えており,一刻も早い鎮痛剤の投与を希望していた。患者によると,子宮頸管狭窄症の診断で海外の病院や都内大学病院で大腿静脈よりペンタゾシンとジアゼパムを静脈内投与していたと主張していた。精神科医師による傾聴後,痛み止めは施行できない旨を伝えていた最中に荷物より所持品が落下した。某大学病院や某研究機関研究員など多数のIDカードを所持しており名前も偽名であった。その直後に突然激高し,看護師の腹部を蹴り,当院から逃走した。30分後,当院より約10km離れた地点で救急要請した。搬送となった病院でセルシン<sup>® </sup>とソセゴン<sup>® </sup>を筋注したが10分程で再度除痛するよう訴えた。直後に岩手県医師会から「不審患者に関する情報」がFAXで届き,警察への通報を考慮していたところ突然逃走した。医師会を通じて調査したところ,前日には宮城県,翌日には秋田県の医療機関を同内容で受診していることが判明した。本症例を通して,救急医療機関においては,問題行動のある精神科救急患者を受け入れた際の対応マニュアルを,あらかじめ整備しておくことが望ましいと思われた。
著者
村上 敬宜 遠藤 正浩
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.35, no.395, pp.911-917, 1986-08-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
67
被引用文献数
28 63

The dependence of ΔKth on crack size and material properties under stress ratio R=-1 was studied on various materials and microstructures. The values of ΔKth for all the materials investigated were standardized with one geometrical and one material parameter.The geometrical parameter, √area, is the square root of the area which is occupied by projecting defects or cracks onto the plane normal to the maximum tensile stress. The relationship between ΔKth and √area is expressed as follows:ΔKth∝(√area)1/3 (a)The most relevant material parameter to standardize the data was the Vickers hardness, and the following relationship was obtained:ΔKth∝(HV+C) (b)The constant C in Eq. (b) reflects the difference of nonpropagation behavior of small cracks in soft and hard metals.By combining Eqs. (a) and (b), the following equations were derived for predicting ΔKth and the fatigue limit σω of cracked members.ΔKth=3.3×10-3(HV+120)(√area)1/3 (c)σω=1.43(HV+120)/(√area)1/6 (d)where the units are ΔKth: MPa·m1/2, σω: MPa, √area: μm and HV: (kgf/mm2). Equations (c) and (d) are applicable to a crack having √area approximately less than 1000μm.
著者
島谷 康司 沖 貞明 大塚 彰 関矢 寛史 金井 秀作 長谷川 正哉 田坂 厚志 前岡 美帆 遠藤 竜治 星本 諭 小野 武也
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.B1154, 2008

【目的】理学療法臨床場面においてジャングルジムなどの遊具をくぐる時に身体をぶつけることが観察されるが,軽度発達障害児が健常児と比較してどの部位をどのくらい多くぶつけるのかについて実証した報告は見当たらない.そこで今回,軽度発達障害児は健常児と比較して遊具などに身体がぶつかることがあるのかどうかを量的・質的に検証することを目的にくぐり動作を用いて実証実験を行った.<BR>【対象】 対象は健常幼児9名(男児3名,女児6名),軽度発達障害と診断されている幼児9名(男児6名,女児3名)であった.年齢は健常児・軽度発達障害児ともに6歳前半が2名,5歳後半が7名であった.なお,本研究は本大学の倫理委員会の承認を得た後,研究協力施設と被験児の保護者に研究内容を説明し,同意を得たうえで実施した.<BR>【方法】実験環境の設定は 7種類の遊具と高さの異なる6つのバーを設置した.また,遊具とバーの距離は約1mになるように一定に配置した.6種類のバーは各被験児の頭頂・肩峰・胸骨剣状突起・上前腸骨棘・膝蓋骨上縁に設定した.実験はスタート位置から7種類の遊具と6種類のバーを往復させ,「教示をしない(以下,教示なし条件)」,「ぶつからないようにバーをくぐること(以下,ぶつからない条件)」,「ぶつからないようにバーをくぐり,ゴールに速く帰ってくること(以下,ぶつからない+速く条件)」の3条件を各1試行実施した.検証は3台のビデオカメラを用いてくぐり動作を記録し,身体の一部が接触したバーの種類(6種)とその接触回数,接触した身体部位を抽出した.バーに接触した身体部位分けは頭部・肩甲帯・腰部・臀部・下肢の5箇所とした.なお,1種類のバーのくぐり動作で身体部位が2箇所以上接触した場合はその総数を記録した.<BR>統計学的処理については,各条件の比較は一元配置分散分析およびSceheffeの多重比較,軽度発達障害児と健常児間の比較はt-検定(Welchの検定)を用いた.なお,有意水準は5%とした.<BR>【結果】各条件ごとに接触回数を軽度発達障害児と健常児で比較すると,教示なし条件については有意差が認められた(p<0.05).また,身体が接触したバーの高さを比較すると,膝高の間には有意差が認められた(p<0.05).<BR>【考察】くぐり動作において教示しなければ軽度発達障害児は健常児と比較してバーに接触する回数が有意に多いということが実証され,普段遊具で遊ぶ時には健常児に比べて身体をぶつけることが多いという臨床上の観察と一致した.軽度発達障害児が接触するバーの高さは膝高が多く,身体部位は教示がない条件下では下肢,ぶつからないようにしかも速くという条件下では腰部・臀部をぶつけることが多かった.これらの原因として注意機能,知覚や運動能力,自己身体像の問題が考えられたため,今後検証していく予定としている.
著者
澤田 崇子 舘 郁代 遠藤 金次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.747-752, 1993-09-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16

シイタケの加熱調理過程における5'-Nt蓄積におよぼすpHやシ翼糖および食塩添加の影響について検討した.その結果は次のように要約できる.(1) 加熱調理時の5'-Nt蓄積量はシイタケのpHによって異なり, pH6.5前後のとき, 5'-Nt量は最大となった.(2) ショ糖および食塩存在下で水もどし後, 加熱調理を行ったシイタケの5'-Nt蓄積量は無添加の場合に比べ少なかった.(3) ショ糖および食塩の濃度の異なる諸条件で干しシイタケを加熱調理した場合, 加熱終了後の総吸水量および昇温過程における50-80℃の温度域での脱水量と5'-Nt蓄積量との間に密接な関係が認められた.
著者
鈴木 亮子 遠藤 智子 中山 俊秀 横森 大輔 土屋 智行 柴崎 礼士郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-07-18

「言語の定型性」という、従来の言語研究では殆ど顧みられてこなかった側面が、実際の言語使用では広汎に見られることが近年指摘されてきている。定型性の理解に向けて、実際の人々の言語使用を記録したデータをもとに観察・分析・記述を蓄積しつつ、言語の定型性を中軸に据えた文法理論の構築を試みることが、私たちのもつ言語知識の全体像の理解に不可欠であると考え、本研究では日中英3言語の会話をはじめとするデータの分析に取り組んでいる。定型性の分析に向けての情報収集を行った初年度に続き、2018年度はデータと向き合い個々のメンバーの専門性を生かした研究活動を進めることができた(業績参照)。2018年5月に年間活動予定を定め二通りのデータセッションを行った。まず同じ動画データ(大学生の会話)を見ながらメンバーそれぞれの定型性と言語使用に関する気付きを共有し合った後、個々のメンバーが日・中・英語のデータから短いセグメントを持ち寄り議論をした。定型性を分析する上でポイントになるリサーチクエスチョンのリストを作成した。これらが研究をまとめる際の糸口になる。9月には国際学会(Referentiality Workshop)などに複数のメンバーが研究発表を行い海外の学者との研究交流を深めた。2018年12月に海外研究協力者のHongyin Tao氏(UCLA)と大野剛氏(U of Alberta)を招聘し東京外国語大学で国際ワークショップを開催し、言語の定型性を中心に据えた理論化を見据えた発表を聞くことができた。2019年3月6日から7日にかけて九州大学で行った第3回目の会合ではこれまでの研究会合を振り返り今後の方向性を議論した。相互行為分析からは少し離れた立場の方々を招いて言語の定型性に関する議論を深める案などが出された。2020年3月には定型性研究の先鞭をつけたAlison Wray氏をイギリスから招いて国際ワークショップを開催する方向で動き出している。