著者
曽田 武史 遠藤 弘樹 矢倉 千昭 荻野 和秀 萩野 浩 辻井 洋一郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.A0809, 2004

【目的】筋硬結などの筋病変は関節可動域制限や感覚障害のみならず,障害部位の冷え,発汗異常などの自律神経機能障害も複雑に絡んでいることが多い。マイオセラピーはMyoVib(マイオセラピー研究所)の振動刺激により,これらの障害を改善する治療方法として開発,考案された治療技術である。本研究では,健康成人を対象にMyoVibの振動刺激が自律神経機能に及ぼす影響について検討した。<BR>【対象】循環器障害の既往のない健常な成人6名(男性3名,女性3名)で,平均年齢は20.2±1.9歳であった。すべての対象者に対して研究主旨と内容を説明し,同意を得た上で研究を実施した。<BR>【方法】対象者は腹臥位となり,呼吸数を15回/分に維持させ,第2胸椎から第5胸椎レベルの多裂筋に振動刺激を20分間実施した。MyoVibは振幅3mm、周波数30Hzのものを使用した。心電計はLifeCorder-8(日本光電)を用い,CM5で記録した。記録は実施前,実施中,実施直後,実施終了10分後,実施終了20分後に3分間ずつ記録した。分析方法は心電図波形をBIMUTAS II (キッセイコムテック)でサンプリング周波数200HzにてA/D変換し,3分間の心拍から定常な128拍を分析対象に平均RR間隔,標準偏差,心拍変動係数(CVRR)の算出と周波数解析を行った。スペクトル解析ではRR間隔を平均RR間隔で再サンプリングし,スプライン補間にて連続関数を得た。解析方法は高速フーリエ変換を用い,得られたスペクトルから低周波成分(LF)および高周波成分(HF)のパワースペクトルを求めた。このパワースペクトルから,LF/HFを求め,LF/HFを交感神経活動,HFを副交感神経活動の指標とした。統計処理は実施前を基準に,実施中,実施直後,実施終了10分後,実施終了20分後の平均RR間隔,CVRR,LF/HF,HFの変化をWilcoxon signed rank testで行った。<BR>【結果】実施前と比較し,平均RR間隔は,実施中および実施終了20分後に有意な減少(p<0.05)が認められた。CVRRは実施中と実施終了10分後に有意な減少(p<0.05)が認められた。LF/HFは実施直後に有意な低下(p<0.05)が認められ,その後増加する傾向がみられた。HFは実施後および実施終了10分後に有意な低下(p<0.05)が認められた。<BR>【考察】CVRRでは実施中および実施終了10分後に有意に減少していることや,実施直後にLF/HF,HFがともに有意に低下していることから,MyoVibによる振動刺激は,交感および副交感神経の双方の活動を抑制する傾向がみられた。今後は対照群を設け,実施中,実施後の自律神経活動の変化についてさらに検討していく必要がある。
著者
遠藤 邦彦
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.238-245, 1996 (Released:2006-05-24)
参考文献数
5

感覚失語19例の症状を分析した結果,以下の群に分けられた。(1) 復唱障害I型 : 復唱障害を特徴とし,聴理解は障害が軽くなる。呼称障害は急速に改善。共通病変は左横側頭回から聴放線。(2) 復唱障害 II型 : 復唱障害,聴理解の障害,呼称障害が著しい。字性錯語と新造語が出現。共通病変は左上側頭回後部。(3) 意味理解障害型 : 復唱できても聴理解ができない。語性錯語と新造語が出現。共通病変は左上側頭回前部と中側頭回。(4) 混合型もしくは重症型 : 復唱障害 II型と意味理解障害型の特徴を併せ持つ。共通病変は左上側頭回と中側頭回にまたがる。(5) 不全型 : 症状が軽く復唱障害型か意味理解障害型かはっきりしない。(6) 超皮質性感覚失語 : 復唱が他の言語機能と比較してきわめて良好。反響言語が出現。    感覚失語の言語訓練は,言語情報処理機構の損傷箇所によって異なり,(1)(2) では語音の弁別,認知,把持,(3)(6) では語義理解,(4) では語音,次に語義の認知の訓練が必要である。
著者
有田 博之 山本 真由美 遠藤 和子
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.246, pp.939-945, 2006-12-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
8

将来, 食糧事情の逼迫が生じる場合を想定した農地資源管理方式として, 耕作放棄田等の不耕作水田を必要に応じて復田できる形で維持管理するのが適切であることが明らかにされている.不耕作水田を廉価に維持管理するには, 毎年の除草・維持管理が必要だが, その方法の具体的内容については十分な検討はない.そこで, 本研究では, 不耕作水田の効果的な維持管理方式の提案を目的として休耕田の管理実態調査を行った.結果, 休耕田の管理に於いては夏期休閑耕が行われておらず除草が除草剤に依存している実態を明らかにした, また, 復田を前提とする場合には湛水管理が省力的で除草剤節減的であること, 除草剤使用を減少させるには夏期休閑耕の普及が1つの解決になることを指摘し, 普及の条件について提案した.
著者
菊地 充 村田 厚夫 行岡 哲男 葛西 猛 遠藤 重厚 松田 博青 島崎 修次
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.8, pp.386-392, 2000-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
15

洗浄回収式自己血輸血施行例において自己血輸血による血中サイトカインの影響について検討することを目的とした。15例の腹腔内出血例を,SATを行った(A)群7例と,同種輸血を行った(B)群8例の2群に分けた。術前,術後第1病日(POD 1)およびPOD 3に末梢血を採取し,IL-6, IL-8, TNF-α, IL-1raについてELISA法を用いて測定した。血中IL-6値はA群術前141.6±38.6pg/ml(平均±標準誤差),POD 1 369.1±53.2pg/mlであった(術前と比べてp<0.05)。 POD 3には121.0±7.3pg/mlと減少する傾向がみられた。B群は術前120.1±59.4pg/ml, POD 1 235.9±57.4pg/mlとA群と同様に上昇したが,その増加はA群と比べて軽度であった。B群もPOD 3は123.2±16.1pg/mlと減少する傾向がみられた。血中IL-8値は術前A群72.7±22.9pg/mlからPOD 1 237.9±13.5pg/mlに,B群は術前56.4±25.0pg/ml, POD 1 41.4±15.6pg/mlと変化はなかった。POD 1の両群間の値を比較すると,A群が有意に高値を示した(p<0.05)。血中TNF-α値はA群の術前値が13.6±2.1pg/ml, POD 1は13.7±2.8pg/mlで,B群も術前は10.9±2.5pg/ml, POD 1は17.1±4.9pg/mlとほとんど変化なく推移し,両群ともに正常範囲内での変動であった。A群の血中IL-1ra値は,術前が927.5±230.3pg/ml, POD 1は698.7±208.5pg/mlであった。B群は術前が1,239.4±361.0, POD 1に284.2±147.7と減少した。以上から,SATによりIL-8が活性化されることが示されたが,自己血輸血に伴う炎症反応などの副作用はなく,その原因は出血あるいは回収・洗浄システムによる赤血球の溶血が関与していることが推察された。
著者
吉田 康成 西 博史 福田 隆 遠藤 俊郎 橋原 孝博
出版者
The Japan Journal of Coaching Studies
雑誌
コーチング学研究 (ISSN:21851646)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-197, 2015-03-20 (Released:2019-09-02)
参考文献数
17

The purpose of this study was to investigate the read blocking techniques against quick attacks with combination attacks in volleyball. 28 occurrences of blocking motions in 4 games (Poland vs Iran, Poland vs Japan, Cuba vs Argentina, Cuba vs Serbia) from the 2011 Men’s World Cup Volleyball were analyzed by the Direct Linear Transformation Method.     The findings were as follows: (1) The number of occurrences of double blocking (Middle blocker with side blocker) was 11 (Right-side blocker 5 times, Left-side blocker 6 times). Most blocks were single blocks by the middle blocker.     The average of the highest finger-tip heights for blocking motions were right-side 2.80m, middle block 2.97m, and leftside 2.84m. (2) In 11 occurrences of when a middle blocker touched the ball, the average of the finger-tip height for the right fingertip was 2.91m (range: 2.76 to 3.04m), and the left finger-tip height was 2.85m (range: 2.70 to 2.99m). In 8 occurrences, the middle blocker took off -0.016 to -0.134 seconds before the quick spiker hit the ball. (3) When the quick spiker took off, the distance from the net to the middle blocker’s position averaged 0.90m (range: 0.38 to 1.91m). On the other hand, when the quick spiker hit the ball, the distance from the net to the middle blocker’s position averaged 0.66m (range: 0.31 to 1.34m). There was a significant difference between the distance at the time the quick spiker took off and the distance at the time the quick spiker hit the ball (p<0.01). Middle blockers took off 0.150 seconds later when their stance was usually wider than 0.6m.
著者
遠藤 徹
出版者
山口大学哲学研究会
雑誌
山口大学哲学研究 (ISSN:0919357X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.1-42, 1998

出生前検査で遺伝子に障害の素質をもつことが明らかになった胎児を親の意志によって中絶することが合法的に、或いは法の規制外で、既に行われ始めている。重大なこのことの是非を問う。 問題はこの行為が殺―人に当たらないかであるが、胎児や重度障害者の身分を「人」との関係でどうとらえるかが議論の分かれ目となる。障害胎児中絶の是非は一方で高等動物の、他方で嬰児や幼児の、殺害の是非の問題とも連関せざるを得ず、それら広範囲に及んで展開されている議論に目を通しながら、我々としての見解を確立することが求められる。障害胎児が「人」と連続性をもつ存在であることが否定し得ない以上、その中絶を殺「人」でないと主張することは不合理である―これが我々の見解である。 結局、是認論は、それが殺人ではあっても、許される殺人であるとの立場からのみ可能であろう。ではいかなる意味で許されるのか。その検討は是認がどこにどう立つことであるかを明らかにする。しかし問題を真に哲学的=倫理学的に十分に論じるためには、そもそも殺人禁止はいかなる根拠に基づく、どこから与えられる命令であるのか(―それは「生きる権利」がいかなる根拠で、誰(何)から与えられるのか、ということと不可分な問題であるが)、是認・否認の立場はそれにどのようにかかわるのか、が明らかにされなければならない。命令の与え主が少なくとも「自然」、さらに遡れば自然の創造者(神)であることが見届けられるとき、自然環境破壊とは別の、もう一つの"自然破壊"が現代人の根底で進行していることが浮かび上がると共に、いったい我々はもはやどこに立って自己の正しさを主張し得るのか、―最根源的問いへ突き返される。
著者
中埜 貴元 遠藤 涼 大野 裕幸 岩橋 純子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2019年度日本地理学会秋季学術大会
巻号頁・発行日
pp.51, 2019 (Released:2019-09-24)

河川氾濫による浸水域を夜間に把握するためのセンサの調査と河川水域を対象とした性能試験を実施した.夜間観測に有効なセンサとして超高感度カメラと熱赤外線カメラを選定し,冬季夜間に試験を実施した.その結果,超高感度カメラで水域が判別できるとともに,最適ISO感度は51200〜102400程度であること,熱赤外線カメラではある程度水域が識別できるものの,温度閾値などでの抽出は困難であることなどが分かった.
著者
鈴木 潤 菅野 直人 西山 修平 金子 仁彦 三須 建郎 竪山 真規 遠藤 俊毅 青木 正志
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.571-575, 2012 (Released:2012-08-27)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

症例は30歳男性である.受診半年前より頭部MRIで異常信号を指摘されていた.1カ月前より歩きにくさ,尿の出にくさが出現し当科受診.神経学的には両下肢の中等度の筋力低下,胸部以下の温痛覚低下,排尿困難,便秘,陰萎をみとめた.腰髄MRIでは円錐部に辺縁の造影効果をともなう浮腫性病変があり,頭部MRIでは無症候性の散在性白質病変をみとめた.末梢血ではみられなかったが脳脊髄液中には好酸球の増加が明らかであり,これはステロイドパルス後に変性像が観察された.寄生虫感染や骨髄増殖性疾患が否定的であり,特発性に好酸球が病態に関与する再発性脳脊髄炎と考えられた.急性期および寛解維持にステロイドが著効する点が特徴的であった.
著者
松重 直起 藤橋 卓也 遠藤 慶一 小林 真也
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.95-96, 2019-02-28

エクスターナルグリッドの安全性の問題を解決するセキュアプロセッシングでは、処理結果の改竄の対策として,処理の多重化がある.しかし,多数決で処理結果を採用するため,悪意のある複数のノードが共謀すると,不正な処理結果の採用を招く恐れがある.共謀は,悪意のあるノードの所有者同士の交友関係により行われる.人間の交友関係には,スモールワールド性とスケールフリー性があることが広く知られている.先行研究では,交友関係にスモールワールド性を持つ場合とスケールフリー性を持つ場合のそれぞれに対して,共謀関係による改竄の発生を定量的に評価している.本稿では,スモールワールド性とスケールフリー性の両方を兼ね備えた場合の評価結果を示す.
著者
百瀬 剛一 島崎 淳 片山 喬 遠藤 博志
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.6, no.8, pp.673-681, 1960-08

We report 3 cases of females with congenita l masculinization of the external genitalia, who were born of mothers treated with certain oral progestins during pregnancy (2 are ethynyltestosterone and the other one, 17a-ethynyl-19 nortestosterone).
著者
尾縣 貢 木越 清信 遠藤 俊典 森 健一
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.117-124, 2015

Purpose of this study was to examine the recovery process of delayed onset muscle soreness, jump performance, force to contact with the ground and lower limbs movement after intensive jump exercise (IJE), and the relationships between muscle soreness, changes of jump performance and lower limbs movement. Nine males who have experience in special jump exercise participated in this study voluntarily. For the measurement, subjective investigation of the muscle soreness, drop jump performance using a 30 cm high box [jump height, contact time and drop jump index (jump height / contact time)], ground reaction force and movements of lower limbs. This measurement was carried out before IJE (Pre), and at 4 hours (P4), 24 hours (P24) and 72 hours (P72) after IJE. Main results are as follows ; at the time of P24 when intense muscle soreness appeared, significant jump height decreases and contact time increases were shown, and the jump index decreased markedly. This decrease of performance correlated to the change of knee and ankle joint movements during the eccentric phase. At P4, for a subject who felt strong muscle soreness, the decrease of jump height and jump index were considerable. At P72, most subjects recovered to the levels of jump height and contact time to the Pre level. The findings reveal that the jump performances are related to the degree of delayed onset muscle soreness.
著者
遠藤 志乃 中谷 素之
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.170-176, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
30
被引用文献数
3 4

This study examined the relationships between motivational regulation strategies, goal achievements, and learning habits in junior high school students. A total of 288 junior high school students completed a self-administered questionnaire. We focused on the students’ representative motivational regulation styles, i.e., intrinsic vs extrinsic motivational regulation. Structural equation modeling revealed the following: (a) mastery goals promoted an intrinsic regulation strategy, which in turn, facilitated development of beneficial learning habits; (b) performance-approach goals promoted an extrinsic regulation strategy, which by contrast inhibited the development of beneficial learning habits. These results suggest that goal achievement positively affects learning behavior mediated by motivational regulation strategies. In light of these findings, we discuss the importance of intrinsic regulation strategies in promoting beneficial learning habits in junior high school students.
著者
遠藤 保子
出版者
千里文化財団
雑誌
季刊民族学 (ISSN:03890333)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.p82-89, 1984-01