著者
眞鍋 博明 遠藤 佐緒里 門田 奈実 赤木 洋介 馬場 三和 小林 洋二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.542-545, 2016 (Released:2016-11-04)
参考文献数
13

フェンタニルクエン酸塩経皮吸収型製剤(フェントス®テープ)が難治性慢性腰痛に対して奏効した症例を経験したので報告する.症例は44歳,女性.数年来の腰痛(NRSで9)でNSAIDsおよび物理療法などでは症状の改善が得られず当科外来を受診した.下肢症状は認めず,腰椎CT,MRIではL3/4椎間板の変性を認め,椎間板ブロックが著効したことから椎間板由来の腰痛と診断した.プレガバリン,トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェンでは十分な鎮痛効果が得られなかったため,フェントス®テープ1 mg/dayを開始した.腰痛はNRSで4と軽減し十分な鎮痛効果が得られたが,長期のオピオイド使用は仕事に支障が生じるとの理由で最終的に脊椎固定術を行いフェントス®テープから離脱した.腰痛に関してはNRSで2程度にコントロールできている.強オピオイドであるフェントス®テープは椎間板由来と思われる慢性腰痛に有用であった.他の鎮痛薬でコントロール困難な難治性腰痛に対するオプションの一つとなると考えられた.
著者
遠藤 織枝
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.1-27, 2009-03-01

戦時中の日本語の一面を、ルビによって捉えようとするものである。戦時中の家庭雑誌『家の光』は1942年8月号までは、記事全体にルビが振られていた。そのルビで「日本」に「ニホン/ニッポン」のいずれのルビがふられているのかをみると、1935年ごろまでは、すべて「ニホン」であったのが、戦局が激しさを増すと同時にほとんど「ニッポン」に替えられてしまっている。また、「知識階級(インテリ)」のように、外来語が従来語・訳語のルビとして用いられる例が多い。そこから、外来語の定着の仕方をみるものである。つまり、外来語導入の過渡期的なものに、そのような外来語と漢字語の併記がされると考えられるので、当該の語句を当時の新聞・辞書、また戦後の新聞・辞書で使用の実情を調べた。その結果、外来語として、現在の新聞では「知識階級」はほとんど使われず外来語由来の「インテリ」が優勢になっている。一方で「空港(エアポート)」のように戦前の雑誌で併記されていた語の中には外来語でなく、「空港」が圧倒的になっているものがあることがわかった。導入された外来語の中にも、従来語・訳語の方が優勢になっていった語があることを示した。
著者
大高 泉 遠藤 優介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 36 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.139-142, 2012-08-27 (Released:2018-05-16)
被引用文献数
1

ドイツにおけるPISAショック後の教育政策と科学カリキュラム改革の展開について、KMKによる教育スタンダードの策定、科学の教育スタンダードの意味内容及び評価と各州への波及状況、新たなカリキュラムとしてのChemie im Kontextの開発動向等々の面から、その一端を明らかにした。
著者
岩尾 一生 小林 道也 及川 孝司 中駄 優作 藤崎 博子 室谷 光治 伊藤 昭英 辻 昌宏 井出 肇 遠藤 泰 関川 彬 齊藤 浩司
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.112-117, 2008 (Released:2009-09-04)
参考文献数
14
被引用文献数
4 1

A questionnaire survey was conducted to investigate the use of health foods among outpatients with diabetes mellitus (DM) at the Health Sciences University of Hokkaido Hospital.Responses were obtained from 69.2% of the patients (180 out of 260).The proportions of patients who had used health foods previously or were using them at the time of the survey were 16.7 and 37.2%,respectively,indicating that more than half of the patients had experience of taking health foods and this was irrespective of sex and age.The most frequently consumed health foods were Aojiru (n=25)followed by Kurozu (n=24)and blueberry extract (n=17).Among the health foods taken,those that influence blood sugar considerably were guava leaves polyphenol (n=16),Gymnema sylvestre extract (n=1),Gymnema sylvestre tea (n=1),and Aloe Vera (n=1).One patient was taking a Chinese health food that contained glibenclamide.Many patients took health foods to keep healthy and as a nutritional supplement,and most of them had not consulted their doctors or pharmacists about the use of health foods.More than 70% of the patients targeted by this study had complications such as hypertension.Since there is a possibility of health foods aggravating DM and its complications and of interactions between them and drugs used to treat DM,doctors,pharmacists and other co-medical workers should provide patients with information on the ingredients of health foods as well the adverse effects that they could have.
著者
遠藤 広菜 壷井 基裕
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2019

<p>化石は海に生息していた貝類の死骸が堆積物中に埋没し、長い年月をかけてできたもので、環境指標としても使用される。本研究では、岐阜県瑞浪市の新第三紀中新世の海成層である瑞浪層群明世累層に含まれる二枚貝の化石貝殻・現世貝殻中の希土類元素の含有量を測定し、明世累層の希土類元素含有量と比較することで化石化過程における元素の挙動について考察した。各希土類元素濃度をCⅠコンドライトで規格化すると現世試料<化石試料<明世累層(炭酸塩鉱物)の順に値が高くなる。また、化石試料は負のEu異常を、現世試料は正のEu異常を示した。さらに、軽希土類元素/重希土類元素(La/Yb)比は化石試料が最も高く、化石試料が生きていた当時の貝殻の希土類元素濃度が現世試料の濃度と同じであったと仮定すると、化石化過程で軽希土類元素が優先的に取り込まれた可能性が考えられる。</p>
著者
横田 泰佑 遠藤 新大
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.383-388, 2017-07-01 (Released:2017-07-05)
参考文献数
49

遊離皮弁は,頭頸部癌・外傷・熱傷患者などの再建術で使用される。皮弁のモニタリングのために,術後はICUへの入室を要する。主な術後合併症は,血栓症・血腫・瘻孔・皮弁壊死であり,術後合併症の発生を認識するために,数時間おきに皮弁の評価を行う必要がある。皮弁の評価は,術後72時間行うことを推奨する報告もあるが,本邦で皮弁のモニタリング目的のみでICUに在室するのは難しいと思われる。遊離皮弁は機械的圧迫により血栓症が発生する可能性があり,安静を保つ必要がある。しかし,興奮と譫妄により安静を保てない可能性がある。現在,遊離皮弁に関する文献の多くは,後ろ向き観察研究であり,今後はランダム化比較試験が課題である。本稿では,ICU管理に必要な遊離皮弁の基本的知識について解説するとともに,問題点を考察する。
著者
冨田 哲也 岡田 貴充 松本 嘉寛 遠藤 誠 薛 宇孝 中島 康晴
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.177-180, 2019-03-25 (Released:2019-05-16)
参考文献数
15

【目的】悪性骨軟部腫瘍の不適切切除例に対する追加手術は高侵襲となり,特に上肢では追加広範切除による機能損失が大きい.当科で追加治療を施行した上肢の不適切切除例について検討した.【対象】2011~2017年に当科紹介された上肢発生骨軟部腫瘍815例のうち不適切切除例と判断された9例を対象とした.【結果】男性7例,女性2例,平均年齢69.3歳であった.全例が浅在性軟部腫瘍であり,病理診断は粘液線維肉腫6例,隆起性皮膚線維肉腫,骨外性Ewing肉腫,CIC遺伝子再構成肉腫各1例であった.初回術前にMRIを施行されたのは3例のみで,生検は全例未施行であった.初回手術時の手技上の問題点として横皮切,被膜損傷や掻爬による腫瘍播種などがあった.当院での追加手術7例のうち4例で再建を要した.【考察】上肢発生軟部腫瘍では,浅在性腫瘍であっても一期的な切除生検は適応を限定して施行することが望ましいと思われた.
著者
遠藤 有人 柴田 健雄 田中 博
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会大会講演論文集 20 (ISSN:13451510)
巻号頁・発行日
pp.71-74, 2007-08-02 (Released:2017-10-25)

Objective : Today in the United States, about one in eight women over their lifetime has affected by breast cancer. In recent years the incidence rate keep increasing and data shows that the five years survival rate is 88% and the 10 years survival rate is 80%. Recently in Japan, the incidence rate of breast cancer has been increasing. After 1995, breast cancer ranks first incidence in female cancers and receives a great deal of public attention. Up to today, various prediction models with using SEER (Surveillance Epidemiology and End Results) datasets have been constructed in past studies. However the appropriate methods for predicting the breast cancer have not established. In this paper, we present optimal models to predict the survival rate of breast cancer patients in five years. Material and Methods' This study used the 37,356 follow-up patients by 2002 that were diagnosed as breast cancer and registered in the SEER program from 1992 to 1997. We used seven common data mining algorithms (Logistic Regression model, Artificial Neural Network (Multilayer Perceptron), Naive Bayes, Bayes Net, Decision Trees with naive Bayes, Decision Trees (ID3) and Decision Trees (J48), besides a most generally used statistical method (Logistic Regression model) to develop the prediction models. We also used 10-fold cross-validation methods to assess the unbiased estimate of the five prediction models for comparison of performance of each method. Results : The accuracy was 85.8±0.2%,84.5±1.4%,83.9±0.2%,83.9±0.2%,84.2±0.2%,82.3±0.2%,85.6±0.2% for the Logistic Regression model, Artificial Neural Network(Multilayer Perceptron), Naive Bayes, Bayes Net, Decision Trees with naive Bayes, Decision Trees(ID3) and Decision Trees(J48), respectively. Conclusion : In this study, Logistic Regression model showed the highest accuracy. The Decision Trees (J48) had the highest sensitivity and the Artificial Neural Network had the highest specificity. The Decision Trees models tend to show high sensitivity. And the Bayesian models were apt to show the accuracy goes up. We found that the optimal algorithm might be different by the predicted objects and datasets.
著者
遠藤 有美 小松 賢一 福井 朗 小林 恒 中山 勝憲 中野 靖子 木村 博人
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.313-318, 1996-12-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
3 1

他臓器の悪性腫瘍が顎・口腔領域に転移することは比較的まれである。顎骨への転移性腫瘍の原発臓器は, 乳房, 肺, 副腎の順に多く, 口腔領域に初発症状を呈する転移性肝細胞癌はきわめてまれである。今回, 著者らは, 下唇の知覚麻痺を初発症状とする下顎骨への転移性肝細胞癌の一例を経験したので臨床経過ならびに文献的考察を報告する。患者は59歳, 男性で, 歯科, 麻酔科, 耳鼻科, 神経内科を経て, 当科を紹介された。X線所見で4に近接する骨に, びまん性の骨吸収像を認めた。下顎骨より採取した生検標本の病理組織学的所見で下顎骨の転移性肝細胞癌の診断を得た。肝癌が口腔領域に転移した場合の初発症状として, 腫脹, 出血が多いとされていたが, 1957年から1996年における下顎骨に転移した肝細胞癌の報告では27症例中5症例に, 三叉神経の知覚麻痺を認めた。さらに50歳代の男性に多く, 発生部位としては下顎骨体部と下顎枝に多いことが明らかとなった。
著者
遠藤 和子
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.119-123, 2015-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1
著者
長棟 輝行 中村 尚志 遠藤 勲 井上 一郎
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.462-469, 1991-05-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

廃糖蜜とほぼ同一の糖組成 (スクロース : グルコース : フルクトース=2 : 1 : 1) に調整した合成培地を用いた回分培養系および逐次流加培養系において, 酵母菌体結合のインベルターゼによるスクロース加水分解過程ならびにインベルターゼの最大分解速度の変化過程について実験的に検討した.その結果, スクロースの加水分解速度はスクロースによる基質阻害, 加水分解反応の生産物であるフルクトースによる拮抗阻害, またグルコースによる部分的な非拮抗阻害を受けることがわかった.さらに, 酵母菌体結合インベルターゼの最大加水分解速度は, 全糖濃度が高い場合には低く抑制されているが, 全糖濃度が低くなるにつれて増加することがわかった.この最大加水分解速度と全糖濃度との関係は一本の無次元特性曲線で表すことができた.これらの結果に基づいて, 酵母菌によるスクロースの加水分解過程のモデル式を構築し, これを用いてシミュレーションを行った.シミュレーション結果は, 回分培養系および逐次流加培養系におけるスクロースの加水分解実験結果と良く一致した.
著者
比嘉 充 遠藤 宣隆 垣花 百合子
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

REDシステムを構成するモノリシック発電セル用の新規イオン交換膜はポリビニルアルコール(PVA)系ブロック共重合体から作製し、これらの膜は膜抵抗、イオン選択性において市販膜より優れた基礎性能を示した。また市販イオン交換膜を使用した大型RED発電装置は模擬海水として0.5MNaCl、模擬河川水として0.02MNaClを使用した場合、最大出力17.8W、出力密度0.45 W/m2を示した。この時の海水および淡水の供給圧と溶液流量から算出したポンプ電力は2.76 Wとなり、これより、15.1 Wの実効出力が得られた。この結果よりRED発電システムとしては将来のエネルギー源として期待できる。
著者
藤盛 寿一 遠藤 俊毅 田澤 泰 中村 起也 渡辺 みか 冨永 悌二
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.495-500, 2011 (Released:2011-09-27)
参考文献数
10

脊髄出血にて発症した脊髄海綿状血管腫の2例を経験した.症例1は72歳の男性で左下肢近位筋の筋力低下,左第2~3腰髄(L)領域の感覚障害および左膝蓋腱反射の亢進を認めた.MRIにて第11胸椎(Th)レベル傍正中左側の海綿状血管腫および第9-10胸椎レベルの脊髄出血を認めた.39病日目に血管腫摘出術が施行され神経症状の回復は良好であった.症例2は65歳の女性で,上腕内側,側胸部,背部の体動時の痛みを左側優位に認めたが他覚的神経学的異常を認めなかった.MRIでは第1胸椎レベル傍正中左側の海綿状血管腫および第6頸椎(C)から第4胸椎(Th)レベルの脊髄出血を認めた.疼痛は半減したが残存した.他覚的異常に乏しいことから経過観察の上,再出血を認める場合には積極的に手術を検討する方針とした.脊髄海綿状血管腫は稀な疾患で,脊髄出血により急性発症する場合があり,個々の症例に応じた治療方針決定が重要となる.