著者
田島 陽介 武者 信行 矢島 和人 木戸 知紀 坪野 俊広 酒井 靖夫 長谷川 功
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.509-513, 2008 (Released:2008-09-05)
参考文献数
12

はじめに:鼠径へルニアの治療の原則は手術であるが,妊娠中に発症した鼠径ヘルニアの治療方針は確立していない.対象および方法:1996年から2006年の間に当科で行われた1,032例の鼠径ヘルニア手術症例のうち,妊娠中に発症した鼠径ヘルニア手術症例14例(1.4%)を対象とし,臨床的特徴,手術法,および治療成績について後ろ向きに検討した.結果:全14例が有症状で10例に鼠径部の膨隆,4例に疼痛を認めた.鼠径ヘルニア発症の時期は中央値が妊娠19.5週であった.12例が妊娠中,1例が帝王切開時,1例が出産後8日目に鼠径ヘルニア根治術を施行された.手術法は8例がMarcy法,6例がLichtenstein法であった.全例で妊娠・出産に関する合併症,鼠径へルニアの再発を認めていない.結論:妊娠中でも鼠径ヘルニア修復術は安全かつ十分に手術を行うことが可能であり,有症状例に対しては手術を考慮すべきである.
著者
櫻井 美代子 大越 ひろ 増田 真祐美 大迫 早苗 河野 一世 津田 淑江 酒井 裕子 清 絢 小川 暁子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】 食文化視点より次世代に伝え継ぎたい日本の家庭料理を掘り起こすことを目的とする。<br /><br />【方法】 神奈川県内の主だった14地域である横浜市中区・横浜市泉区・川崎市多摩区・鎌倉市・三浦市・大和市・相模原市(旧津久井)・伊勢原市・秦野市・小田原市・大磯町・山北町・真鶴町・清川村の地域を中心に調査を行った。それらの地域の年配者に昭和年35年前後から昭和45年前後の食生活について聞き取り調査を行った。それらの料理内容をまとめ,文献による補足調査を行い,検討を行った。<br /><br />【結果・考察】<br />神奈川県は、立地により海・山の産物を利用した料理が多くみられた。水田を多く所有する地域ばかりでなく,水田や畑作からの裏作として,小麦・蕎麦・豆類が作られている地域も多く存在する。<br />その中で今回は,間食(おやつ)に注目し報告を行うこととする。神奈川県全域で小麦粉製品の所謂,粉物が多く登場する。行事(祭り等)での頻度が多い酒まんじゅうやまんじゅう類の他,小正月,どんど焼き等でのまゆ玉飾りがあげられる。月見の十五夜や十三夜に供えるだんごの他,日常では、春先のよもぎだんごや草の花だんご,へらへらだんごなどのだんご類のいろいろな種類がうかがえる。そのだんご類の材料としては,米粉,小麦粉,さつまいも粉などが使われている。行事等で供えられただんごは,きなこやあん,砂糖醤油などをつけて食されていた。また,日常のおやつとしては,蒸しパンや庭木として育てられた果物類なども間食としてあげられる。
著者
酒井 真理
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.167-173, 2002 (Released:2006-07-01)
参考文献数
14
被引用文献数
6
著者
酒井 利信
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.9-20, 2003-03-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
57

This study attempts to clarify the concepts of the sword in Shintou Sect doctrine by examining the book, named “Heiho jikansho” written by Mr. Sekihei Otsuki.The important part to note regarding this book is firstly the enormity and quality of core techniques that were described in writing and consigned to posterity, even though secrecy was prerequisite in the world of modern swordplay.Secondly, I viewpoints on sword concepts in terms of swordsmanship have been summarized in this book. Furthermore, this book not only explains sword techniques, but also our country's attitude towards swords, that have been established since ancient times, are narrated as a whole, not partially. Thirdly, the content of magical acts involving swordsmanship is recorded, which represents the uniqueness of this historical document. The largest discovery in concluding this research is that the artistry of magical acts has been maintained and conveyed in modern swordsmanship.As for the content of Shintou Sect artistry of the magical acts, the following was revealed:1) In the Shintou Sect, the magical act for exorcism was performed using a sword (s). The sword used for the artistry was considered to be the same as that of “Futsuno-Mitamano Tsurugi.” When an exorcism was performed with this sword, the relationship with a god named Takemikazuchi was an important element, which has been shown in our ancient mythology.2) This magical act of exorcism was performed in two directions, namely against an enemy one was actually confronting and against an enemy within oneself.3) The magical act of exorcism using a sword (s) consisted of two elements, which involved both physical movement and linguistic action.
著者
村上 博哉 神谷 修平 柘植 政宏 葛谷 真美 森田 健太郎 酒井 忠雄 手嶋 紀雄
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.387-392, 2016

鉄鋼に含まれるリンは,冷間脆性を起こす原因物質となることから低含有量であることが望まれている.その一方で,切削性や耐候性の向上を目的として添加されることもある.そのため,リンの含有量は厳密な管理が必要不可欠である.しかし熟練者の一斉退職に伴い,化学分析の技術継承が危ぶまれており,視覚情報を取り入れた効率的な継承支援策の確立が喫緊の課題となっている.標準的な定量法として「JIS G 1214鉄及び鋼─りん定量方法」があるが,初心者がこの定量操作を行うと,過塩素酸白煙(蒸気)によるリンの酸化処理の開始の見きわめが早まる傾向が見られた.これはリンのオルトリン酸イオンへの酸化が不十分という好ましくない状況を招く.そこで本研究では技能伝承の一助として,適切な状態から過塩素酸白煙処理が行われるように,この操作を可視化した.また,鉄鋼試料分解後のモリブドリン酸青吸光光度法をスキルフリーなフローインジェクション分析(FIA)法によって自動化した.本法により2種類の認証標準物質中のリン濃度を定量した結果,両物質の定量値共に保証値と良く一致した.
著者
前尾 直子 中塚 和夫 酒井 義生 山之内 夘一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.131-133, 1991-02-15

水晶体嚢のtrue exfoliationの1例を経験したので報告した。症例は78歳男性で両眼の前房中に薄い透明なセロファン様の膜を認めた。この膜は水晶体前嚢と連続性があり眼球運動に際して可動性を有していた。Pseudo-exfoliativematerialとは明らかに異なる様相を呈しており,隅角所見は両眼とも正常で緑内障の合併もなかった。職歴から強い熱への暴露が原因と考えられた。
著者
小松 義典 足立 伸樹 辻 浩彰 酒井 悠介
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

全国に4万店を超えるコンビニエンスストアが分布し, 多くの店舗が店内に設置されたトイレを24時間開放している。こうしたトイレの公共的利用が進んでいる現状に対して, トイレの施設計画や日常の維持管理計画は個々の店舗に委ねられている。本研究では, これらの計画を支援することを目的として利用実態の調査を行った。調査の結果, 一日の利用人数, 一時間の最大利用人数, 来店者の属性とトイレ利用率の関係等を明らかにした。
著者
石井 宏一 久保 隆太郎 柴田 斉宜 酒井 孝司 石原 修
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.12, no.24, pp.213-218, 2006-12-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
14

Authors have so far experimented to indoor air flowing in into a wall. As a result, it has reported that indoor air flows in into a wall even from openings with a slight wall socket. In this report, filling-up thermal insulation wall model using inorganic fiber insulating materials packed in polyethylene bag which has spread most in the warm area was used. The wall socket assumed to be openings was installed on the interior wall, and the experiment was conducted using house wrapping sheet and plywood for structures as wall composition material. As a result, the dew condensation situation in a wall was confirmed. In addition, by making a hole in plywood for structures, vapor resistance of a wall was reduced and the method of construction which decreases the quantity of dew condensation in a wall was examined. Furthermore, even if indoor wet air flows in into a wall, a measure method of construction with the effect which controls generating of dew condensation is proposed. Morevoer, comparison examination of the conventional method of construction and the new measure method of construction is carried out.
著者
上田 哲行 架谷 成美 西屋 馨 宮川 泰平 嶋田 敬介 福富 宏和 水田 陽斗 酒井 亮輝
出版者
石川県立大学
雑誌
石川県立大学研究紀要 = Bulletin of Ishikawa Prefectural University (ISSN:24347167)
巻号頁・発行日
no.2, pp.1-10, 2019-03

絶滅危惧種イカリモンハンミョウは、日本では九州と本州だけに分布する。本州では能登半島の1カ所の海岸にのみ生息する。能登半島では一時絶滅したと考えられていたが、1994 年に現生息地の海岸で再発見された。2012 年から2018 年に行った成虫調査では、再発見当初1800 頭近い個体数が記録されていた海岸北部で最初の3年間はほとんど発見されない状態が続き、その後、緩やかに増え始め2018 年に急増したことが確認された。海岸南部と中央部では、最初の2年間は発見当初とほぼ同じ個体数が維持されており、2014 年から急速に増えたことが確認された。このように能登半島の個体群は、ここ数年は増加傾向にあるが、2010 年前後の著しい個体数低下がボトルネックとなり、遺伝的多様性が低下していることが示唆されている。
著者
酒井 健
雑誌
科学研究費助成事業 研究成果報告書
巻号頁・発行日
pp.1-4, 2017-06-09

研究成果の概要 (和文) : フランス現代思想のパイオニアであるジョルジュ・バタイユのエロティシズム論を出発点にして、のちの世代の現代思想の担い手たちが展開した性の思想を検証した。三年間にわたる本研究は初年度にバタイユのエロティシズム論の解明に向かい、次年度にブランショなどのポスト・バタイユ世代の性の思想の解明に向かった。最後の三年度においては今現在活躍を続けているナンシー、キニャールといった思想家の発言に視野を広げながら、先行2世代の性の思想と合わせて、現代に有効な新たな人間論を構築した。成果は国内外の学会発表、国内外の学術誌における論文発表、さらに著作の刊行などを通して積極的におこなった。
著者
酒井 健
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.31-49, 2019-03-18

Cet article a pour but de montrer les traits distinctifs de la philosophie platonicienne, vue par les penseurs français contemporains dont Georges Bataille et Jacques Derrida. En effet, on peut considérer Bataille comme représentant typique de la première génération de la pensée post-moderne française. Cette génération s’éveillait à la pensée philosophique au lendemain de la première guerre mondiale et, par suite de ce désastre inouï tout à fait européen, mettait en question les fondements de la civilisation occidentale moderne. Tandis que Derrida, comptant parmi la seconde génération, a recours surtout aux textes de Bataille pour s’acquérir sa critique radicale du modernisme aux dépens des dogmatismes idéologiques : ceux-ci dominaient la scène philosophique après la deuxième guerre mondiale.Ainsi, Bataille et Derrida, chacun à sa manière, mettaient en cause «un Platon français». Il s’agit d’un Platon rationaliste et idéaliste que les philosophes académiques depuis le 19ème siècle ont formé comme prédécesseur de Descartes. Alors, dans cette mise en cause du «Platon français», on peut faire grand cas d’un rôle que Léon Chestov a joué dans le milieu des intellectuels français. En effet, ce philosophe russe immigré cherchait, au courant des années 1920 et 30, à les éveiller à l’autre de la raison comme à un Platon profond qui fait face à ce qui est foncièrement énigmatique. À partir de cet enseignement de Chestov, le jeune Bataille a repris un sujet important de ce philosophe grec : «fixer le soleil». Quant à Derrida, il est question de ressaisir la notion platonicienne de «Khôra» pour démontrer la «déconstruction» du platonisme, faite par Platon lui-même.En fin de compte, cet article vise à mettre en lumière l’ambition de la pensée française contemporaine à l’égard de Platon. Il s’agit de le donner pour un Janus errant qui envisage à la fois le système rationnel de sa philosophie et le dehors irrationnel de celle-ci. Tout cela se résume par cette parole de Bataille : «Il (Platon) tente d’établir autant qu’il peut un édifice rationnel, et qu’il y a pourtant quelque chose au-delà...»
著者
酒井 優介 藤ノ木 太郎 安藤 雅洋 湯川 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.4M3J904, 2019

<p>これまで日本語の文書から明示的な感情を検出することは 自然言語処理の分野で精力的に研究されてきた.しかし日本人は感情の表出を抑制する傾向にあり,怒りを表現する際にはそれが特に顕著である.そのため,日本語の文書から怒りを検出するには明示的な怒りだけではなく感情が抑制された暗示的表 現による怒りも含めた検出が求められる.そこで,暗示的表現 による怒りの自動検出技術の確立を目指し,本稿では暗示的表 現による怒りが含まれる文書の特徴に基きディープニューラルネットを用いて怒り文書を検出する手法を提案し評価した.結果,3つの提案方式のうち1つが,従来方式より10ポイント程度良い正解率が得られた.しかし全く検出されない怒りがあったことから暗示的怒り検出手法が確立できたとは言い難い.感情の出現順序や頻度に着目した検出手法では精度が0.18と低い性能となった.各文の感情分類として正解を付与し,文書全体の怒りを判別する部分のみを評価したところ精度は0.49となったことから,暗示的怒りの検出のために,文書中に現れる感情の順序,頻度も活用すべきであることが示唆された.</p>