著者
本郷 儀人 金田 大
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.90-95, 2009
被引用文献数
6

一般にフクロウはネズミなどの小型哺乳類や小型鳥類及び両生類などを主食とし,昆虫類は稀にしか捕食しないと考えられている。しかしながら我々は,フクロウが,餌動物としてはこれまでに報告がなかったカブトムシを捕食することを発見した。さらに,フクロウのカブトムシに対する狩り行動についても観察することができた。そこで,フクロウの詳細な狩り行動についてと,夏季のある時期に非常に頻繁に捕食することを合わせて報告する。
著者
脇 実花 秋田 馨 宮本 直 笹木 栄子 原口 友里恵 松井 弘稔 金子 ひろみ
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.305-308, 2015-08-31 (Released:2015-10-06)
参考文献数
8

当院では,2012年7月よりFisher & Paykel Healthcare社より発売されたOptiflow®(ネーザルハイフロー:以下NHFとする)を導入した.NHFには様々な使用効果があるが,新しい酸素供給デバイスのためエビデンスが少ない現状がある.2013年度途中までに当院でNHFを使用した患者25名の疾患内訳,NHF使用前の酸素デバイス,NHFの使用時期,NHF使用後の転帰,NHFの使用期間,NHF使用中に経口摂取や会話が可能だったかを分析した.その結果,NHFを使用することにより,人工呼吸器装着以外の治療の選択肢が広がり,高流量酸素投与下でも会話や食事ができる機会が増えたことを認めた.
著者
金城 宏幸 花木 宏直 Kinjo Hiroyuki Hanaki Hironao
出版者
沖縄移民研究センター
雑誌
移民研究 = Immigration studies (ISSN:18810829)
巻号頁・発行日
no.15, pp.71-92, 2019-03

As a part of the comparative immigration research group at the University of the Ryukyus, this study compared Okinawan and Basque immigrants' opinions on their collective area in the Argentina. The study used questionnaires with Okinawans in 12 regions of the world in2011, Basque Argentines in 2015, Okinawan Argentines in 2016, and Basque Argentines in2017. The research revealed that both Okinawans and Basques had strong consciousness of their culture and traditions. However, although Okinawans made much of their origins, Basques made much of their practice of their language and culture. In addition, Basques had even higher levels of language ability and stronger identity than Okinawans, who had high Japanese language ability and strong Japanese identity. The following three points were considered for this reason. First, Okinawans are the majority in the Japanese Argentine population. Second, Okinawans immigrated to Argentina later than Basques and more first generation. Third, the Basque government tackled their language and diaspora policies earlier and more actively than the Okinawa prefecture. Thus, Basques, including Basques from the Navarra and the French Basque area, had greater political consciousness of their homeland, that is, the Basque autonomous region than Okinawans. Although Okinawans organized locality-based associations by hometown, Basques organized them by domicile. From now on, we need to study Okinawan and Basque networks' qualitative differences, reasons or their differences, influences on their future diaspora communities, and interchanges between their diasporas and homelands. Therefore, we plan an opinion survey for another collective area in the United States, domestic immigrants in Spain and Japan and their homelands of Okinawa and Basque areas.
著者
金井 嘉宏 入戸野 宏
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.131-141, 2015
被引用文献数
6

本研究の目的は,人間や動物の赤ちゃん,およびキャラクターやモノに対する“かわいい”感情を共感性や親和動機によって予測するモデルを構築することであった。582名の大学生に対して,多次元的共感性尺度,親和動機尺度,各対象に対する“かわいい”感情の評定尺度で構成される質問紙調査を行った。モデルに性差が見られるか検討するために多母集団同時分析を行った結果,人間や動物の赤ちゃんだけではなく,モノに対する“かわいい”感情も共感性が予測することが示された。モデルに性差はなく,共感性が高いほど,これらの対象に対しては“かわいい”感情を抱きやすいことがわかった。親和動機は人間の赤ちゃんに対する“かわいい”感情のみ予測した。一方,キャラクターに対する“かわいい”感情は共感性,親和動機のいずれによっても予測されなかった。社会的動機としての親和動機に加えて接近動機を測定し,共感性や“かわいい”感情との関係を調べる必要性が議論された。
著者
金 基孫 作花 済夫 幸塚 広光 横尾 俊信
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1162, pp.841-846, 1992-06-01
被引用文献数
5

Using oxide glasses of compositions xNa_2O・(100-x) SiO_2(x=20-50 in mol) and 40Na_2O・(60-y)SiO_2・yAl_2O_3(y=5, 10 in mol) as base glass, Na-Si-O-N and Na-Al-Si-O-N oxynitride glasses were prepared by melting powder mixture of oxide glass and Si_3N_4 or AlN, and the effects of the base oxide glass composition on the glass forming ability, the amount of incorporated nitrogen and the chemical durability of oxynitride glasses were studied. It was found in Na-Si-O-N glasses that the lower Na_2O content is favorable for the formation of nitrided glass, giving larger glass forming regions. Retained nitrogen content decreased with increasing Na_2O content in Na-Si-O-N glasses and with increasing Al_2O_3 content in Na-Al-Si-O-N glasses. Chemical durabilily of Na-Si-O-N glass in-creased with increasing of nitrogen content for any Na_2O content of the base glass. For Na-Al-Si-O-N system, however, nitrogen incorporation increased or decreased chemical durability, depending on the Al_2O_3 content and nitrogen content in the glasses or had no appreciable effect.
著者
金沢 みどり 望月 道浩
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-54, 2021

<p>子どもの読書習慣の形成と継続には,家庭,学校,公立図書館をはじめとする地域の読書活動の推進に関する積極的な取り組みが必要不可欠である.本研究では,日本の公立図書館 Web サイトの子ども読書 Web ページのコンテンツに関する現状調査を行った.調査結果から,市区町村立図書館が家庭内や市区町村域の読書活動の推進に力点を置いたコンテンツを備える傾向にあるのに対して,都道府県立図書館は都道府県域や全国的な視野からコンテンツを構築する傾向にあることが示された.さらに,子ども読書 Web ページ,児童の Web ページ,ヤングアダルト Web ページ,及び,学校支援 Web ページ間の相互リンクの現状を調査した.その結果,児童の Web ページがそれらの中で中心的な位置付けにあり,子ども読書 Web ページは児童の Web ページに最も関連性のあることが明らかになった.今後はヤングアダルト Web ページなどとの相互関係にも留意し,コンテンツを積極的に構築することが望まれる.</p>
著者
金森 万里子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2019-04-25

様々な国において農村の自殺率は都市より高いことが報告されているが、農村に着目してどのような社会環境が自殺率に関係するのか検証した研究は少ない。そこで本研究では、①大規模データの分析によって自殺に関係する社会環境要因を明らかにする:日本老年学的評価研究の調査データおよびスウェーデンの全国民データを用いて分析し、国際比較研究を行う。都市と農村の格差、地域の産業構造、ジェンダー規範等に着目する。②住民のエンパワーメントによる自殺対策の可能性を明らかにする:主に酪農女性に着目し、生き心地の良い地域づくりに向けた住民活動を支援する。住民自らが定義した地域の課題設定を生かし、それをサポートする形で関わる。
著者
金子 宜正
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.179-194, 2008-03-27 (Released:2017-06-12)

戦後のザールブリュッケン国立美術工芸学校における芸術教育に,バウハウス第二世代(バウハウスやイッテン・シューレの関係者を含む)が貢献していたことを,現地における文献・資料調査や卒業生への聞き取り調査等をもとに明らかにした。特に,オットー・シュタイナートとハネス・ノイナーによるバウハウス教育の影響や,ボリス・クライントとオスカー・ホルベックが行なった基礎課程にイッテンの芸術教育が活かされていたことが具体的にわかった。また,同校における専門的な芸術教育家養成や展覧会活動等について述べた。さらに,戦後の芸術教育や芸術活動に貢献したバウハウス第二世代の中心的な人々が1930年頃のベルリンに集まっていたことを指摘し,その重要性について論じた。
著者
金岡 克弥 川村 貞夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.22, no.6, pp.732-737, 2004-09-15 (Released:2010-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
3
著者
金丸 雅子
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.42, pp.51-61, 2018-03-15

10年ぶりに改訂された幼稚園教育要領が平成29年3月に告示され,1年間の周知期間を経て平成30年度より施行される.新幼稚園教育要領においても,幼稚園教育は環境を通して行うものであることが基本とされ,また,重視する事項等においてもこれまでの基本的な方向性は維持されている.今回の改訂で最も大きなポイントと言えるのは,新たに,幼児教育と小学校以降の教育を貫く3つの柱を基本に,「幼稚園教育において育みたい資質・能力」が示されたことである.更には,それらをベースとした「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」10項目が明記され,これらの資質・能力の背景には,世界的な教育課題でもある「非認知能力」の育成についての考え方がベースにあるとされている.本稿では,「非認知能力」の育成を重視する新幼稚園教育要領における,モンテッソーリ教育の有効性について考察を行った.その結果,モンテッソーリ教育を受けた子どもたちについてのデータ等により,わが国の現行の幼稚園教育の枠組みにおいて多くの有効な示唆を持つと思われるモンテッソーリ教育の科学的根拠と具体的方法が,新幼稚園教育要領の実現においても有効であることが示唆された.
著者
金 明華
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.187-204, 2010-07-31 (Released:2017-10-06)
参考文献数
25

In recent years, audition programs such as "Super Girl" has become popular in China. Many idols of mainland China, playing an active part in the world entertainment, are created by these programs. Idols' fans are emerging as groups and are acting enthusiastically as an organization. This paper focuses on these new changes which have occurred in the phenomenon of idols/fans in China, and clarifies the generation and features of idols/fans, taking Li Yuchun (a popular idol, the winner of audition program "Super Girl") and her fans "Yumi" as one case. This paper also adopts qualitative research. Semi-structured interviews with 30 Yumi living in Beijing were made in 2007 and 2009. Referring to fans researches of Japan and the west, this paper analyzes interviews with Yumi and draws the following conclusions. For Yumi, Li Yuchun is not a symbol that can be replaced by other idols, and she embodies Yumi's values. Yumi do not consume Li's image as "play", keeping the identity of Yumi more seriously. From what lay behind the images such as "frankness" and "cleanliness" deciphered by Yumi, the anxieties about Chinese society, which has dropped into moral crisis and trust crisis despite high economic growth, can be seen. Yumi feel an idol's kindness from Li Yuchun, while maintaining a distance from her. They have created a sense of solidarity among a wide range of generations, mediated by the image of Li Yuchun. And they also have made a multilayered space of communication through the Internet. Especially, those Yumi who know each other in real life carry out more direct and close exchanges, though it is necessary to consider further whether these exchanges have created a gap among Yumi.
著者
宮野 美幸 熊原 比路美 風間 裕子 岡澤 敬彦 金城 浩和 赤塩 恵子 清水 敏夫 外間 政信 木村 薫
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.33, 2011

当院ではかつてノロウイルスによる院内集団感染が発生した。平成23年春に、再び院内集団感染が発生してしまったが、その経過と対策を集計し、次の流行期に向けて方針を検討したので報告する。<BR><B>経過</B>:H23.3/16にS2病棟で下痢・嘔吐の患者が6人、職員3人が発生、感染元は1日で退院した患者を推定。3/23にH3で発症患者発生、S2スタッフの伝播を疑う。3/26にH4で同様の発症患者発生、H3からの転棟患者から感染を疑う。4/14にS3で集団発生。持込患者の汚物処理が不適切であり広がった可能性。これら4病棟の集団感染は最終的に患者32人、職員26人となった。<BR><B>対策</B>:病棟からの連絡で直ちに感染対策小委員会を開催し、感染制御対策を検討・実施した。具体的には、発症者のゾーンニング、隔離病室の環境整備、次亜塩素酸Naによる病棟の全面消毒、面会制限、入院制限、転棟制限などであり、病棟の全面消毒は、新たな感染者が発生しなくなるまで継続した。<BR><B>考察</B>:今季は地域の保育施設や学校で流行があり、近隣の複数の介護施設で集団感染がおき、幾人かは当院に救急搬送、入院となるケースが続いた。期間中に8人が入院しているが、入院してくる患者の隔離、入院制限、転棟制限のなかで、病室確保に苦慮した。また、本来はある程度の病棟が決められた診療科でも他の病棟に入院が振り分けられ、スタッフから病原体の伝播が起きるなど、更に感染拡大につながってしまった。いかに感染者を特定するかは重要で、今回の感染拡大では疑いの段階からゾーニングをするタイミングが遅れていた。期間中の吐物・便の処理は、常に感染性胃腸炎を念頭に処理する必要があった。多くの職員が感染したことから、個人防護具の適切な使用とともに、手指衛生の重要性を再認識した。<BR><B>方針</B>:流行前に研修会を開催する。下痢・嘔吐の患者は常にゾーニングで対応する。スタッフの手洗いと個人防護具の適切な使用を徹底する。期間中は環境消毒を徹底する。
著者
金重 利典
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.148-166, 2020 (Released:2021-08-05)
参考文献数
75

Understanding others’ facial expressions has an important role in daily emotional communication. To date, many studies, including developmental studies, have focused on emotions by using facial expressions as the stimuli. However, very few reviews have been conducted on understanding others’ facial expressions, including studies on adults, children, and infants. In this study, the ability to understand others’ facial expressions are reviewed. First, the author identified four abilities that are required for understanding others’ facial expressions. Second, studies on adults, children, and infants are reviewed with respect to each of the four abilities required for improving the understanding of others’ facial expressions. Finally, the author proposes the future direction for the study of the development of understanding others’ facial expressions.