著者
金原 憲子
出版者
近畿大学産業理工学部
雑誌
かやのもり:近畿大学産業理工学部研究報告 = Reports of Faculty of Humanity-Oriented Science and Engineering, Kinki University (ISSN:13495801)
巻号頁・発行日
no.10, pp.7-23, 2009-07-01

[目次] 1.はじめに, 2.筑豊のイメージから, 3.自己紹介, 4.旧山田市の生活保護, 5.筑豊の現状, 6.生活保護とは, 7.地区担当員(地区現業員)=ケースワーカー(CW) の仕事, 8.現在にも引き継がれる高い保護率の要因, 9.合併事務を通して見えたもの, 10.「自律」がひらく未来, 11.おわりに
著者
松本 雅道 田金 秀一郎
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.355-360, 2006-11-30
参考文献数
44

絶滅危惧植物であるキスミレの自生地における緑化に際して,配慮すべき点を検討するために,阿蘇山での生育環境の特性と日本における自生地の土壌型を調査した。キスミレは春植物の生活環をもち,春先に充分な光が得られる環境を要求するため,野焼きによる草地の管理は必要である。キスミレの生育環境は土壌が深く,ススキの生育の良い,多様な種組成の群落が成立する環境である。斜面崩壊の発生して3 年経過したすべり面にはキスミレは生育していないが,14 年経過したすべり面の一部には生育を始めており,崩壊地でキスミレが群生する草地が回復するにはさらに時間がかかると推定された。日本におけるキスミレの自生地の土壌型は,草原性の環境において生成した黒ボク土の分布域に遺存することが多い。崩壊によって失われた黒ボク土を再生することにより,ススキ草原を再生することが,緑化に際して配慮すべき点と考えられる。
著者
杉田 久志 金子 岳夫
出版者
東北森林科学会
雑誌
東北森林科学会誌 (ISSN:13421336)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.38-41, 2004

岩手県浄法寺町の稲庭岳の山頂付近にはオオシラビソが分布している。その分布状況について調査した結果,樹高2.5m,胸高直径5.2cmのものが1個体確認されたのみであった。このオオシラビソは最も近い他の山の分布域(八幡平)から22km離れており,他の集団から隔絶された微小集団の分布事例であるとみなされる。
著者
王 金林 賀川 光夫
出版者
別府大学会
雑誌
別府大学紀要 (ISSN:02864983)
巻号頁・発行日
no.30, pp.p41-52, 1989-01
著者
仁木 一郎 金子 雪子
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.128, no.4, pp.214-218, 2006 (Released:2006-10-13)
参考文献数
17
被引用文献数
2

膵B細胞からのインスリン分泌における大きな特徴のひとつとして,多様な栄養物質によるインスリン分泌の調節をあげることができる.私たちは,様々な分泌刺激による膵B細胞からのインスリン分泌が,含硫アミノ酸であるL-システインによって強力に抑えられることを見いだした(Kaneko, et al. Diabetes. 2006).L-システインが膵B細胞に与えるインスリン分泌抑制・グルコース代謝阻害・グルコースによる細胞内Ca2+オシレーション抑制などの作用は,硫化水素(H2S)ドナーであるNaHSによっても再現される.H2Sは,古くから自然界に存在する有毒ガスとして知られてきたが,最近の研究により様々な細胞においてシグナル伝達をおこなう可能性が示されており,一酸化窒素(NO)や一酸化炭素(CO)に次ぐ第3のガス性シグナル伝達分子と目されている.私たちは,L-システインが代謝されて生じたH2Sが,膵B細胞でインスリン分泌抑制以外の細胞機能をも調節しているのではないか,と考えている.L-システインなどの含硫アミノ酸の血中レベルは,糖尿病や動脈硬化など,一部の生活習慣病で異常値を示すことが臨床研究で明らかにされている.これらの結果は,生活習慣病で見られるインスリン分泌障害が,L-システインやその代謝産物であるH2Sによる可能性を示唆している.この総説では,シグナル分子としてのH2Sに関するこれまでの研究を振り返るとともに,膵B細胞におけるL-システインおよびH2Sによるインスリン分泌抑制が持つ意義について,私たちの考えるところを述べた.
著者
金子 信博 榎木 勉 大久保 慎二 伊藤 雅道
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第52回日本生態学会大会 大阪大会
巻号頁・発行日
pp.359, 2005 (Released:2005-03-17)

ヤンバルオオフトミミズによって作り出された地表面の微小生息場所に生息する小型節足動物群集,特にササラダニの群集構造を比較した.ヤンバルオオフトミミズは沖縄本島北部にのみ生息し,日本で初めて見つかった土壌穿孔表層採餌種(anecic)である.本種は地下約20cmに横走する坑道に住み,落葉を土壌表面の入口に集めた上で摂食し,土壌と混じった糞を出口に排泄する.糞塊は20cmほどの塔状になる.集められた落葉はmiddenと呼ばれている.照葉樹林は秋に一度に落葉が集中するのではなく,春と秋を中心に長い時間にわたって落葉が供給される.沖縄では気温が高いため,落葉の分解速度は高い.ミミズにとっては落葉を他の分解者に利用されないように自分の生息場所であるmiddenに集めていると考えられる.坑道やmiddenではミミズから供給される可溶性炭素や窒素が栄養源となって微生物の活性が高く,微生物バイオマスも多いと考えた. リターの堆積量は糞塊の周囲で最も多く,middenとミミズの影響のない土壌では差がなかった.ササラダニの個体数密度はリター層ではミミズの影響のない土壌できわめて少なく,middenと糞塊でほぼ同じ程度であった.一方,土壌層ではミミズの影響のない土壌で最も少なく,糞塊よりもmiddenでの密度が高かった.ササラダニの種数はミミズの影響のない土壌と糞塊で差がなかったが,middenではこれらの倍近い値を示した.これらのことからヤンバルオオフトミミズは落葉資源を移動させ,土壌と混合することによって地表面の微小生息場所の多様性を高め,ササラダニの密度と多様性を大きく高めており,生態系改変者として土壌生物群集に大きな影響を与えていた.
著者
山口 悟史 金 多仁
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-131, no.4, pp.1-6, 2020-12-10

ダムの放流計画を自動作成するための数理最適化手法「プログレッシブ動的計画法」を提案する.近年の水害の頻発を受け,従来にない放流計画が求められている.ダム放流量を急激に変化させない「放流の原則」を満たしつつ,大雨に先立ってダムの容量を空けておく「事前放流」,下流の河川流量を小さく抑えるために複数のダムからタイミングをずらして放流する「ダム群連携操作」を実現するために,提案手法は離散微分動的計画法を繰り返すことで段階的に解像度を向上させる.これにより提案手法は放流量を高い解像度(1m3/s)で探索する.N 川ダム群を対象にシミュレーション実験を行った結果,現在のダム操作規則では 3 ダムとも緊急放流に至るケースであっても,提案手法では緊急放流を避け,かつ下流河川のピーク流量を 41% 下げる解を見つけた.対象期間 1.5 日の最適化に要した時間は 191 秒であった.提案手法がダムの放流計画の自動作成に有用であると結論する.
著者
金子 正徳
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.1-20, 2007

本論文は、インドネシア共和国ランプン州に位置するプビアン人社会の婚姻儀礼の事例を中心として、新秩序体制期とそれ以後数年の間にみられた社会文化動態を分析する。今日のインドネシアでは、婚姻儀礼は二つの側面から解釈される。一つはアダット(慣習/慣習法)の側面、もう一つはクブダヤアン(文化)の側面である。アダットの側面からいえば、婚姻儀礼はそのエスニック集団のアダットに従い、正しく行われねばならない行為である。村落を活動基盤とするアダット知識人がその中心にいる。クブダヤアンの側面からいえば、婚姻儀礼は意味や象徴性という観点から解釈される対象である。都市を活動基盤としているローカルな知識人によって、各エスニック集団のアダットはインドネシア国民文化にとって必要不可欠な地方文化の一部分として解釈される。同じ対象を扱いながらも、アダットとクブダヤアンは異なる知の体系なのである。K村で行われたある婚姻儀礼は、アダット儀礼というだけではなくて、文化イベントとしても位置づけられていた。ここでは、アダット知識人とローカルな知識人が同時に行為者となるという特異な状況がみられた。この婚姻儀礼のクライマックスでは、プビアン人社会外部からやってきた来賓へ儀礼行為の意味や象徴性を説明する役割を負っていたローカルな知識人に対して、儀礼進行の主導権を奪おうとしたアダット知識人が仕掛けた小競り合いがみられた。小競り合い自体は儀礼の出資者によってすぐに収められ、以後は何事もなく進められたが、これはアダットとクブダヤアンの関係を如実に示している。アダットとクブダヤアンは単に並存しているのではなく、両方を一度に選択できない二つの選択肢として、一つの解釈装置を構成している。二つの概念の近接が生みだしたこの解釈装置を介して、現代の地方エリートは地方社会内部での上昇を図っているのである。
著者
山田 利彦 金丸 雄介 石井 孝法 福見 友子 上水 研一朗 金野 潤 柏崎 克彦
出版者
了德寺大学
雑誌
了徳寺大学研究紀要 (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.8, pp.79-87, 2014

本研究は2001年から2011年の間,講道館と全日本柔道連盟との合同プロジェクトとして行われた「柔道ルネッサンス」について,2010年のルネッサンスフォーラム参加者に対してアンケート調査を行い,その認知度や効果,必要性等を把握し,今後の柔道界が目指すべき方向性について示唆を得ることを目的とした.選手や会場使用のマナーについては改善に向かっていることが示唆される結果であったが,応援者のマナー,強化選手及び強化指導者のマナーについては,更なる改善が望まれる結果であった.柔道選手及び柔道指導者のマナーについて他競技と比べた場合,どちらでもない,あまり良くない,とする回答の合計が6割近くになり,改善の必要性がうかがえた.柔道ルネッサンスにより,柔道に対する意識は9割の者が良くなった,まあ良くなったととらえており,柔道界にとって非常に有益な活動として認識されていた.活動の継続については,100%の者が必要であると認識しており,今後,柔道ルネッサンスの復活,或いはそれに変わる活動が行われることが強く望まれる.