著者
金子 憲治
出版者
日経BP社
雑誌
日経エコロジー (ISSN:13449001)
巻号頁・発行日
no.123, pp.102-105, 2009-09

総選挙の投票日が8月30日に決まった。2大政党間の政策論争は、短期的に影響の大きい少子化や中小企業対策に目が向きがちだ。しかし、環境政策の違いも大きく、その選択は将来のこの国のカタチを左右する。 「民主党の掲げる政策では、子供手当などの財源をどうするのか、その不確かさが指摘されるが、それより気になるのが、温暖化ガスの中期削減目標。
著者
齋藤 宏文 金子 智喜 河野 宜幸 村上 圭司 國井 喜則 友田 孝久 田中 孝治 平子 敬一 中須賀 真一 白坂 成功
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.7, pp.669-672, 2021-07-01

低高度地球観測衛星からのデータダウンリンクの高速化を目的に,シンボルレート300 Msps,64APSK変調,及び256APSK変調,左右円偏波多重方式のデータダウンリンクの軌道上実証実験を行った.64APSK変調にて2.65 Gbit/sec,256APSK変調にて3.3 Gbit/secの低高度衛星からの世界最高の通信速度が確認された.
著者
中平 伸二 金子 国雄 田中 耕作
出版者
Japan Poultry Science Association
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.47-51, 1990-01-25 (Released:2008-11-12)
参考文献数
13

鶏の長腓骨筋の死後硬直の過程を連続的に測定する方法を考案した。すなわち,筋肉ストリップ(5×25mm)を注射筒内に糸で吊し,流動パラフィンを注入して嫌気的条件にしたのち,ストレインゲージトランスジューサーに連結して筋肉の張力を測定した。この方法を用い,各種処理がその後の筋肉硬直に及ぼす影響を観察した。なお,特に述べないかぎりは,嫌気的条件で筋肉の動向を観察したものである。1) 本実験装置を用いた方法は,鶏筋肉の死後硬直過程を長時間継続して観察するのに有効であることが認められた。2) 嫌気的条件下で17°Cの温度におくと硬直は約2時間後にピークに達した。一方,好気的条件下では硬直は顕著で長時間継続した。3) 超音波処理を25°C-10分間行うと,硬直の程度は弱くなることが観察された。4) EGTA処理によってカルシウムイオンを除去すると硬直は起こらなかった。5) 下垂体除去約1日後屠殺した場合,死後硬直の程度は,正常鶏の場合とほぼ同様であったが,屠殺前麻酔処理を行うときわあて緩慢な経過で硬直の現象がみられた。6) 嫌気的条件下で筋肉を18.5時間0°Cで保存するとその後温度を17°Cに上げても硬直は起こりにくいという結果が得られた。
著者
小松 謙介 飯島 慈裕 金子 有紀 Dambaravjaa OYUNBAATAR
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.99, no.4, pp.1003-1022, 2021 (Released:2021-08-28)
参考文献数
44
被引用文献数
1

本稿では,複雑な地形の一方で気象観測網が疎であるモンゴルにおいて,Global Satellite Mapping of Precipitation (GSMaP) によって作成された夏季降水量の推定値の不確実性に注目した。まず、モンゴルの気候・水文気象評価に関連して、全球降水観測ミッション(GPM)の観測情報を含む様々な降水量モニタリングプロダクトの特性の違いを検討するため、複数の降水プロダクトで報告されているモンゴル領域内の夏季平均降水量を比較した。プロダクトの経年変動は同程度だったが、記録された降水量は各プロダクトで異なっていた。雨量計補正が施されたプロダクトでは降水量が最も少なく、衛星のみのGSMaP_MVKでは降水量が最も多くなった。続いて、2016年7月にGPM主衛星がとらえたウランバートル近郊での強雨イベント事例を用いて、降水プロダクトの詳細な比較を行った。この事例では、山間部での雨量計補正が施されたGSMaP_Gaugeと雨量計補正が施されていないGSMaP_MVK の推定値が、アルゴリズムのバージョン6と7で大きく異なった。領域気象モデル(WRF)による数値実験、GPM主衛星の観測、地上雨量計の観測との相互比較によって、GSMaP_Gaugeは、GSMaP_MVKの有する大きな誤差を効果的に緩和することが示された。GSMaP_MVK の大きな誤差の原因は、アルゴリズムのバージョン7の雨量推定にあると考えられた。しかし、GSMaP_Gauge による山岳上での降水量の推定値は、地上降水観測網が存在しない局所的な降水量データの欠落により、降水量補正が持つ潜在的な過小評価の影響を受けている可能性がある。これらの知見は,GSMaPアルゴリズムのさらなる改良に参考になるとことが期待される。
著者
能條 歩 金川 和人 星野 フサ 岩見沢団体研究グループ
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科学 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.307-323, 2008-09-25 (Released:2017-05-16)

石狩低地帯東縁の長沼地域には,追分層,馬追層,山根川層,北長沼層,茂世丑層などの新生界が分布する.本研究によって示された有孔虫化石,花粉化石,火山灰などのデータに基づきこれらの地層の層序および堆積年代,古環境に関して以下の結論を得た.(1)全ての地層はそれぞれ不整合関係にある.(2)長沼地域の火山灰層はMpfa1,Mpfa3,Aso-4,Aafa2(Toya),Aafa4および早来層中の火山灰層に対比される.(3)馬追層と山根川層はともに中期更新世の温暖期の堆積物であり,馬追層はMIS11に,山根川層はMIS9に堆積したものと考えられる.(4)北長沼層堆積期のMpfa1降灰期は,最終氷期最寒冷期並の寒冷期であった.
著者
金井 昭彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_305-I_314, 2014

19世紀フランスにおいては鉄道黎明期から,エンジニアや建築家によって駅舎配置計画類型の理論的分析が行われた.その中で標準型とされたのは,出発と到着の諸室を線路両側に配置する両側面型であった.また,フランスにおいては,旅客は荷物を預けた後は,出発直前まで待合室にいなくてはならず,ホームに立ち入ることは許されていなかった.当初からこの搭乗方式は批判が相次いだが,自由入構制度が導入されるまでには半世紀近くも要した.やがて,新方式が導入されたことによって,駅舎配置も影響を受け,待合室よりエントランスホールが機能上重要となり,徐々にL型配置が採用されるようになる.本研究では,フランスにおける駅舎配置計画の理論的分析と,実際の歴史的変遷の影響関係を明らかにする.
著者
金田 鈴江 矢加部 茂 竹尾 貞徳 前川 宗一郎 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.329-333, 1986-04-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
22
被引用文献数
1

先天性疾患のほとんどが染色体と関係をもつて発生することが最近の研究から明らかにされつつあり, 重症心身障害児に関しても, これまで原因不明とされていたもののなかに遺伝的発生要因をもつものがあることが明らかにされてきている.当院では重症心身障害児病棟に入院中の患児について染色体学的研究を行つているが, 本稿では15番染色体の部分トリソミーをもつ12才男子の症例を報告する.患児は精神発達遅滞, 言語発達遅滞, 行動異常, 難聴, 耳介下方付着, 後頭部扁平などの臨床所見を示し, 染色体検査でY染色体の短腕の過長(Yp+)が見い出された. 父親の染色体分析により, 父親の均衡型挿入転座が遺伝したことによる15番染色体の長腕の部分トリソミー(46, XY, der(Y) ins(Y;15) (P11;q11q13) pat)であることが明らかにされた. これまでに報告された15番染色体部分トリソミーについての文献と比較し, 考察した.
著者
辻 ゆき子 千里金蘭大学 生活科学部 児童教育学科
巻号頁・発行日
vol.17, pp.29-40,

本学は保育者養成校として、学生自身の心の豊かさや感性の育成を重要視して保育内容(表現)の授業の中で様々な体験学習を計画・実施している。そのような折、2019年末からの新型コロナウィルス感染症拡大の波の中で対面での様々な演習を行うことが難しくなり、今年度はリモートでの演習を実施することとなった。そこで、例年は対面で実施していた演習をリモートで行うことで、学生の気付きや学びにどのような影響があるのかを検証することとした。結果的には、課題の内容を全く同様にはできずに結果に違いは見られ、ポイントを絞った細やかな観察は難しかった部分はあったが、2020年度は各自が好きな時間に自身の身近な場所で実施したことで、時間的にも余裕があり、自身の生活圏の自然により関心をもつことができ、課題以外の事柄にも幅広く目を向け、これまでとは違った気付きや考察が多く見られる結果となった。
著者
江木 盛時 小倉 裕司 矢田部 智昭 安宅 一晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 黒田 泰弘 小谷 穣治 志馬 伸朗 谷口 巧 鶴田 良介 土井 研人 土井 松幸 中田 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升田 好樹 松嶋 麻子 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.Supplement, pp.27S0001, 2020 (Released:2021-02-25)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.67-72, 1966
被引用文献数
1

タカアミラーゼAは水溶液の状態で紫外線によって強く不活性化される.これは主としてシスチンの開裂酸化に伴う活性に必要な酵素蛋白の立体構造の破壊によるものであり,トリプトファン,チロシン,ヒスチジンなどの酸化も共役している.これらのことは光不活性化とこれに伴うアミノ酸の酸化量を定量することにより示される.光照射に伴う酸素吸収量はアミラーゼの場合と構成アミノ酸混合物とであまり差異がない.これは高分子形成およびconformation形成にあまり依存しないことを示すものである.アミノ酸の光酸化反応は励起1重項&rarr;3重項&rarr;溶媒捕捉準位の無輻動遷移によって作られる光電子による水の還元,これに溶存酸素がカップルして生じたHO<sub>2</sub>と母体ラジカルとの酸化反応と考えられる.<br> このため常磁性イオンの共存により, 3重項&larr;&rarr;1重項の遷移確率をコントロールすることにより光酸化反応をコントロ一ルできる.基質の存在は光不活性化反応を保護するが,これは光電子ないしHO<sub>2</sub>に対し基質や分解産物が受容体として働くためであろうと考えられる.
著者
金 三純
出版者
九州大学
巻号頁・発行日
1966

博士論文
著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.10-17, 1965
被引用文献数
2

タカアミラーゼAは紫外線照射または生体色素リボフラビンの光増感作用によって有効な不活性化が惹起される.前者の場合には2 hit的に,後者の場合は1 hit的に不活性化が進行する.リボフラビンによる光増感不活性化反応は色素の3重項状態と基底3重項状態の溶存酸素との複合体の解離によって生じた1重項状態の反応性に富む酸素分子種によるアミラーゼの酸化反応によるものと考えられる. N-ブロムコハク酸の熱的酸化によるアミラーゼの不活性化反応におけるトリプトファン残基の酸化と,不活性化との関連性,光不活性反応におけるトリプトファンの酸化と活性との関連及びトリプトファン残基の蛍光収率の変化から,トリプトファン残基は酵素活性に重要な関係を持つものと考えられる.<br>アミラーゼ単独系における光不活性化の作用スペクトルから,紫外線直接照射による不活性化はシスチンによって吸収される光による不活性化の相対量子収率は99.2%で,トリプトファンによって吸収される光によるものは0.8%である.シスチンは励起状態で高能率で-S-S- &rarr; -S<sup>..</sup>S-の開裂反応が起り,またトリプトファン残基は量子収率は小さいが,励起状態で電子放出によりラジカルとなり,溶媒系に放出された電子は水を還元し溶存酸素とHO<sub>2</sub>を作り,これによりトリプトファンは酸化される.これらのために不活性化が起る.チロシン残基もトリプトファン残基と同様の酸化を受けうるが,作用スペクトルからはこのための不活性の量子収率は小さいものと考えられる.
著者
金 三純
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.73-79, 1966

タカアミラーゼAはリボフラビンの光増感反応によって不活性化されるが,これはリボフラビンの3重項状態と溶存酸素との相互作用によって生起した活牲酸素によるアミノ酸残基の酸化反応に基因する. Warburg検圧計による吸収酸素量に対する不活性化および酸化アミノ酸残基の関係から,完全失活はトリプトファン,ヒスチジン,チロシン,メチオニン,シスチン残基が約70%, 45%, 20%, 4%, 17%において起る.タカアミラーゼと同じアミノ酸組成のアミノ酸水溶液では酸素吸収がアミラーゼよりはるか大であることから,高分子形成や特殊なconformation形成の効果力が光増感酸化反応の面に現われているようである.したがって酵素の変性効果やさらに酵素-基質複合体形成の効果も光増感酸化反応に変化をもたらす.リボフラビンの光増感酸化反応機構を調べるために,常磁性金属イオンの1重項&larr;&rarr;3重項禁止遷移に対する摂動効果を酸素吸収,光不活性化,リボフラビンの螢燐光の消光の相互関連のもとで研究し,光増感反応に活性なリボフラビンの状態は3重項状態と推定した.