著者
金 信弘 増渕 達也
出版者
日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.440-444, 2009-06

米国フェルミ国立加速器研究所の陽子反陽子衝突型加速器テバトロンを用いて行われている大型国際共同実験CDFとD0でのヒッグス粒子探索の結果と今後の展望について報告する.The CDF and Dzero experiments at Tevatron protonantiproton collider at Fermi National Accelerator Laboratory in Batavia, Illinois, USA, have recently set the upper limit of the Higgs particle mass to 185GeV/c^2 by measuring the top quark mass and the W boson mass precisely. They have also excluded the existence of the Higgs particle with a mass of 170GeV/c^2 at 95% confidence level through direct search for the Higgs particle. The Tevatron experiment will have two or three times more data of which analyses will make the allowed Higgs mass region narrower and may result in finding evidence for Higgs particle production.
著者
吉田 翔 金井 秀明
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2014-GN-91, no.52, pp.1-8, 2014-03-06

本研究は,食事中のそしゃく癖の改善を目的としたそしゃく状況通知手法に関する研究である.共食の場において周囲に悪影響を及ぼす 「クチャラー」 を対象とし,聴覚遅延フィードバックを用いたそしゃく状態の通知を行った.被験者のそしゃく音を遅延させて再生することで,自分のそしゃく行為が周囲からどのように認識されているかを通知する.構築システムでは通知だけでなく,被験者の顎の動きを検出することで,そしゃく状態を測定することが可能である.このシステムを用いた実験により,遅延時間を大きくした場合,被験者は自らのそしゃく状態を認知でき,そしゃく行為を控えようとする傾向が確認できた.
著者
金庭 久美子
出版者
埼玉大学大学院文化科学研究科
雑誌
日本アジア研究 : 埼玉大学大学院文化科学研究科博士後期課程紀要 (ISSN:13490028)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-31, 2011-03

本研究では、ニュース聴解の指導のために必要な「言語知識」と「認知能力」について明らかにした。まず、「言語知識」では1.談話構造、2.文・表現、3.語彙の三つの観点から分析を行った。ニュースの1.談話構造では、先行研究で言及されている談話構造を比較し、基本的な談話構造が「リード文+背景+詳細+展望・付加」であることを示した。さらに談話構造の違いが理解に影響を与えるかどうかテストを行った結果、超級クラスも上級クラスも平均値に差はないものの、いずれも標準偏差の値が大きく相関の仕方が両クラスで異なった。よって談話構造の差が原因であるというよりも個人差が問題であることを指摘した。2.文・表現では、『日本語能力試験出題基準』(2002)(以下『日能試』)の機能語のリストとニュース文に用いられる表現を比較した。ニュース文の複合助詞のいくつかは『日能試』のリストと一致したが、それ以外は一致するものが少ないことから、文・表現が聴解の難しさの原因であるとは考えにくい。その他、ニュースの談話構造と表現の関係、連語表現についても見た。3.語彙では、ニュース語彙の難易度を見た。ニュース語彙のうち約4分の1が『日能試』にない語でニュースの理解には級外に相当する語の指導が必要であることが分かった。級外語の意味分野を『分類語彙表』(2004)と対照した結果、特に【16 時間】【17 時間】【24 成員】【15 作用】の分野の語の指導が必要であることがわかった。さらに語彙力と理解の関係を見たところ、学部1年生の留学生では両テストの間に中程度の相関があった。テストの得点の類似者をタイプ別にまとめた結果、語彙力が高くても理解できないタイプがおり、語彙は重要であるが聴解の難しさの原因は語彙だけではないことがわかった。次に、「認知能力」では「事前情報」の影響と「予測能力」について見た。「事前情報」を利用させるため学習者に継続的な学習リソースの利用を促した結果、言語知識を多く持たない学習者の聴解に変化が見られた。また、「予測能力」と語彙力や理解との関係では、語彙力も予測能力も理解に影響を与えているが、予測能力より語彙力の方が影響が大きいことがわかった。テストの得点の類似者をタイプ別にまとめた結果、語彙力や理解が同等であっても予測能力に差が見られた。特に予測するタイプは、十分な語彙力を持っていることがわかった。これら一連の研究の結果から、日本語教育への応用について述べた。
著者
金 早雪
出版者
信州大学経済学部
雑誌
信州大学経済学論集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.123-162, 2012-03-27

韓国は,1948年の建国後,数年も経たないうちに勃発した朝鮮戦争のために,社会と生活の大規模な破壊に直面した。このために,韓国の社会・生活行政は,その出発点において,行政機構も十分に整わない中で,戦争がもたらした破壊に対応していかざるをえなかった。しかし,こうした朝鮮戦争直後の社会・生活行政の実態について伝える資料は,現在までのところ,ごくわずかなものしか確認されておらず,また,それらの資料の発掘・検証の作業もほとんど行われてこなかった。この研究は,1950年6月の朝鮮戦争勃発から,53年7月の休戦協定成立後の数年間の時期における社会・生活行政の実態的な資料の確認とその検証を試みるものである。
著者
金田 重郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.1-9, 2009-11-24
参考文献数
20
被引用文献数
1

本稿では,MASP アソシエーションが提唱する 「概念データモデリング (CDM)」 を,C.S. パース (Charles Sanders Peirce) を創始者とするプラグラマティズム哲学の視点から分析し,CDM をブラグマティズム実践として再定義する.具体的には,1) CDM が採用している 「オブジェクト指向」 は,プラグマティズムの 「実在物」 の思想を背景に持つと考えるのが自然であり,2) オブジェクト指向を導入しつつ,動的モデルを通じて,データ状態が変化するオブジェクトに焦点を絞る CDM のアプローチは,中村善太郎の 「要 (かなめ) の 『もの』 『こと』」 を自動的に組み込んでいる.但し,パースの論文は 1870 年代に発表されたものである.その後も,クワイン,ローティなどの現代プラグマティズム哲学者によって研究は発展している.これらの理論的進展を CDM に準用することにより,CDM のあるべき姿を明確化できる.This paper analyzes theoretically the Conceptual Data Modeling (CDM) approach, proposed by the MASP association in Japan, from the philosophical view points of C.S.Peirce's Pragmatism. The analysis shows that CDM itself is equal to the investigation process of Peirce's Pragmatism. Also, the necessity of the object-oriented approach is described based on the "Real Thing" concept of Peirce's pragmatism. The object-oriented approach is an essential part of CDM to reveal a "To Be" model in the application domain. However, the major papers of the Peirce's pragmatism were published in 1878 and are not new. The some modern pragmatism philosophers, such as W. V. Quine, and R. Rorty, have already improved the Peirce's theory. Thus, this paper also shows that their theoretical improvements set up new aspects of the CDM approach.
著者
岩淵 紀介 蛭田 直幸 清水 金忠 八重島 智子 岩附 慧二 保井 久子
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.129-133, 2009 (Released:2014-03-15)
参考文献数
13

Bifidobacterium longum BB536の鼻腔内投与によるマウスの気道の粘膜免疫とインフルエンザウイルス感染に対する影響を調べた。マウスにリン酸緩衝生理食塩水(コントロール群)または BB536加熱死菌体(BB536投与群)を 3 日間鼻腔内に投与した後に,インフルエンザウイルス(PR8 株)を鼻腔内に接種した。3 日後にリン酸緩衝生理食塩水で下気道に押し流し,累積発症率および生存率を14日間観察した。BB536投与群では,累積発症率と生存率の有意な改善が認められた。また,3 日間のリン酸緩衝生理食塩水または BB536菌体の鼻腔内投与の後に,肺縦隔リンパ節と鼻関連リンパ組織から細胞を調製した。調製した細胞をコンカナバリン A 存在下で 3 日間培養し,培養上清中のサイトカインを測定した。BB536投与群で肺縦隔リンパ節からの IL-12p40産生と鼻関連リンパ組織からの IFN-γ 産生が増加した。これらの結果から,BB536の鼻腔内投与は肺縦隔リンパ節や鼻関連リンパ組織の細胞性免疫を賦活し,インフルエンザ感染を防御したと考えられた。
著者
山口 剛史 中込 一之 宇田川 清司 高久 洋太郎 佐藤 長人 杣 知行 萩原 弘一 金澤 實 永田 眞
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.657-664, 2009-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
19

【背景】局所麻酔薬に対する副反応は,しばしば,局所麻酔薬アレルギーと診断されているが,これらのほとんどは非アレルギー性の機序によることが明らかとなっている.【方法】局所麻酔薬に対する副作用の既往があり,歯科治療を予定している20名に対し,リドカインなどの局所麻酔薬に対する,皮膚テスト(プリックテスト,皮内テスト)及び漸増皮下注射で行うチャレンジ・テストにより,局所麻酔薬アレルギーの有無について評価した.【結果】17名(85%)で,リドカインに対する即時型アレルギー反応が陰性であった.これらの症例では,同薬による局所麻酔が可能となった.一方,3名(15%)ではリドカインに対して陽性反応を示した(プリックテストで1名,皮下注射で2名).【結語】局所麻酔薬アレルギーが疑われた患者における,局所麻酔薬に対する即時型反応の頻度は少ないが稀ではないと考えられる.従って,局所麻酔薬アレルギーを確認する診断アプローチは,臨床的に重要であり,今後はより多くの集団を対象に検討する必要があると思われる.
著者
金城 厚
出版者
法政大学
雑誌
沖縄文化研究
巻号頁・発行日
vol.13, pp.241-289, 1987-02-25
著者
金 天海
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
2008

制度:新 ; 文部省報告番号:甲2581号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2008/3/15 ; 早大学位記番号:新4740
著者
横田 耕介 上原 崇敬 澤田 克彦 伊加 聖 今村 伸太朗 木宮 隆 鈴木 道子 平岡 芳信 金庭 正樹 大島 達樹 伏島 一平
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.593-599, 2011 (Released:2011-09-08)
参考文献数
11
被引用文献数
2

遠洋まぐろ延縄で漁獲されたメバチの産地市場における販売価格に及ぼす潜在要因(魚艙保冷温度・保冷期間,生物・製品情報)の影響を検討した。魚艙保冷温度を一般的な−50℃ 以下と−40~−45℃ の 2 つの温度帯に設定した延縄船で漁獲されたメバチの漁獲時の情報及び販売結果等を用いて,モデル解析を行った。魚艙保冷温度の違いと保冷期間による販売価格への影響は認められず,市場は,異なる保冷温度のメバチを同等に評価したといえる。一方,脂の乗り具合,漁獲時の生死,製品重量,雌雄と販売価格の関連がモデルで示された。
著者
金子 仁美 川上 大輔 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MUS-85, no.7, pp.1-8, 2010-05-20

我々は,楽曲の和声解析の記述仕様 (“KS notation”) を策定し,機能和声解析を行ってデータを作成し,その統計解析を行った.和声推定は自動採譜や楽曲検索など多数の目的に有用で,その和声進行の確率モデルの作成と統計学習のために有用である.また,音楽学的な見地からは,和声学の規則や傾向などが計量的に検証でき,時代や作曲者や楽曲スタイルを和声学的に解明する基礎となろう.機能和声記述のために,和音,転回,借用和音,省略,変位,転調,付加音などの記述を可能とし,さらに楽譜なしで演奏が可能なように音価も表現した.また,人間とコンピュータ双方の可読性の両立させコンパクトに表現できるようにした.データ作成には,RWC 音楽データベース所収のクラシック曲 50 曲について,人手により機能和声解析してデータを作成した.そのデータを統計解析し,音楽的な知見から説明を試み,機能和声モデルが従来のモデルより工学的和声モデルとして優位であることを示す.
著者
金田 淳子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

今年度は、マンガ同人誌の男性向けジャンル、女性向けジャンルのそれぞれについて、(1)同人誌のなかで何が描かれているか、(2)担い手はどのようなアイデンティティを持っているか、について調査・研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。まず(1)では、性的な物語に焦点を絞って分析した。男性向けジャンルにおいてはキャラクター(主に女性キャラクター)が性的対象として描かれるものが多かった。他方で、女性向けジャンルにおいては、キャラクター(主に男性キャラクター)を性的対象として描き出す側面もあるが、同時に2人のキャラクターの性的な「関係」を描き出すという側面が強く、このような物語内容は「やおい」と呼ばれる男性どうしの性愛を描く同人誌において、関係を表す専門用語が案出されるなど、特に発達していた。このように、本研究では性的な物語の形式におけるジェンダー差が明らかになった。また(2)では、同人活動を行う者は男女ともに「おたく」というアイデンティティを持っており、「おたく」集団内でのより高い地位の獲得を求めて同人活動を行っている。「おたく」集団においては固有の文化資本が形成されており、それは「(同人活動への)愛」「(同人誌制作の)技術」「(同人誌市場における)人気」「(マンガについての)知識」などである。このうち、「知識」を文化資本とする傾向は男性のみに見られた。ただし「おたく」はアンビバレントなカテゴリーであり、「おたく」集団内での地位がそれほど高くない多くの当事者においては、男女とも、自らが「おたく」であることを自己卑下し、隠す行動や、隠す行動を規範化する言説が見られた。このように本研究においては、マスメディアで「おたく」が肯定的にとりあげられるようになった現在でも、多くの当事者にとって、「おたく」が否定的なアイデンティティとして生きられている側面が明らかになった。
著者
金子 弘幸 大佛 俊泰
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.82, no.742, pp.1051-1059, 2017 (Released:2017-12-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The trajectory analysis of pedestrians using the tracking system of laser scanners is an effective approach for understanding the usage of facility spaces. Carefully looking at the pedestrian trajectories observed in an outpatient reception area of a hospital, we can find some specific patterns of patient behavior. For instance, some patients come in the area from the main entrance, line up at the return visit reception machines, and leave to the consulting room area slowly. Also, some coming from the main entrance, pass through the return visit reception machines, and leave the consulting room area quickly. These examples indicate that behavior patterns and attribute information of facility users can be estimated from their trajectory features such as directionality, staying place and walking speed. However, it requires a heavy load to manually extract the features from pedestrian trajectories and classify them into some adequate patterns. Hence, it is highly desirable to achieve this task automatically. In this paper, we proposed a method of pedestrian trajectory classification using the Restricted Boltzmann machine, by which we can automatically find the inherent features of pedestrian trajectories. This method was applied to an outpatient waiting area of a hospital. Comparing manual and automatic classification, we demonstrated the usefulness and sufficient performance of our proposed method in extracting the feature of directionality, staying place and walking speed. The details are as follows: (1) Modeling of pedestrian trajectory The trajectory data were divided into three-layers composed of 1 m square grids, which were consisting of “Front layer”, “Back layer” expressing the directionality, and “Staying layer” expressing staying places. The restricted Boltzmann machine had input units and binary hidden neurons, by which the feature of the trajectory data were generated after sufficient learning. In setting the number of hidden neurons, the 100 × 8 model, which had 100 neurons in the first hidden layer and 8 neurons in the second hidden layer, was applied by comparing the information entropy of the hidden layer. (2) Model validation In the 100 × 8 model, the degree of coincidence between the results by manual classification and automatic classification was examined. The entropy ratio, which is an index for checking the degree of agreement, was 0.6% in the entropy ratio by manual classification, and 10.6% by automatic classification. The results showed that the manual classification and the automatic classification was in good agreement. In addition, the trajectory distribution diagrams were configured for each machine classification, and the feature pattern diagrams were made by 2nd hidden neurons, which automatically found inherent features. These diagrams demonstrated the effectiveness of our proposed method.
著者
金子 丈則
出版者
日本加除出版
雑誌
法務通信 (ISSN:09121366)
巻号頁・発行日
no.674, pp.15-22, 2007-09
著者
金 英貴 金 智鉉
出版者
京都大学
雑誌
京都大学生涯教育学・図書館情報学研究 (ISSN:13471562)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.103-125, 2006-03-31

本研究は日本の大学図書館で行っているアウトソーシングの現状および実態を調査し、大学の独立法人化によって波及される大学図書館の変化を把握することで、その対策を提案することが目的である。大学独立法人化の核心は競争原理で、教育・研究を通した大学間の競争を誘導し、国家財政の危機と学生数の減少に対して、競争原理に基づく効率的経営を行うということである。これにより、大学の裁量権は拡大される代わりに政府支援は縮小されるので、アウトソーシングによる経費の節減を追及するだろうし、これは人員の削減につながる可能性が非常に高い。したがって、このような環境の変化に対処するために、アウトソーシングの状況を分析し、大学が要求する教育・研究機能の強化と効率的経営に関して、図書館が考慮すべき事柄と方向性を提示した。
著者
松亭金水 作
巻号頁・発行日
vol.四編上, 1836