著者
長谷川 雅美
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.423-428,a3, 2003-05-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本講では, 水田で繁殖するカエル類の生活史と住み場所の特徴を紹介した後, 生息個体数を把握するための方法として, 卵塊のカウントと標識再捕獲法に基づく個体数推定について紹介する。さらに, 生息数の長期的な動態を効率よく行うためのセンサス方法として, 時間/距離当たりの遭遇個体数センサス, 鳴き声のセンサスについて解説した。現時点で最も必要な調査は, 比較的良好な水田環境に生息するカエルの種類ごとの個体数と生物量を評価することであり, それなしに, 生態系に配慮した圃場整備における保全あるいは復元の目標値を持ち得ない。
著者
花房 規男 阿部 雅紀 常喜 信彦 星野 純一 谷口 正智 菊地 勘 長谷川 毅 後藤 俊介 小川 哲也 神田 英一郎 中井 滋 長沼 俊秀 三浦 健一郎 和田 篤志 武本 佳昭
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.473-536, 2023 (Released:2023-12-28)
参考文献数
20
被引用文献数
2

日本透析医学会統計調査(JSDT Renal Data Registry:JRDR)の2022年末時点における年次調査は,4,521施設を対象に実施され,施設調査票に関しては4,464施設(98.7%),患者調査票に関しては4,276施設(94.6%)のほぼ例年通りの回答を得た.わが国の透析患者数は近年増加速度が低下していたが,2022年末の施設調査結果による透析患者数は347,474人と,この調査で初めて前年に比較して減少した.人口百万人あたりの患者数は2,781人であった.患者調査結果による平均年齢は69.87歳で,最も多い原疾患は糖尿病性腎症(39.5%),次いで慢性糸球体腎炎(24.0%),第3位は腎硬化症であった(13.4%).2022年の施設調査結果による透析導入患者数は39,683人であり,2021年から828人減少した.患者調査結果による透析導入患者の平均年齢は71.42歳であり,原疾患では糖尿病性腎症が最も多く38.7%で,昨年より1.5ポイント少なかった.第2位は腎硬化症(18.7%)で,昨年同様慢性糸球体腎炎(14.0%)を上回った.2022年の施設調査結果による年間死亡患者数は38,464人であり,前年に比較して大きく増加した.このことが全患者数の減少につながっている可能性がある.年齢調整がされていない年間粗死亡率も,過去最高の11.0%であった.主要死因は感染症(22.6%),心不全(21.0%),悪性腫瘍(7.6%)の順で,2022年は感染症が最も多かった.2012年以降,血液透析濾過(HDF)患者数は急増しており2022年末の施設調査票による患者数は191,492人で,維持透析患者全体の55.1%を占めた.腹膜透析(PD)患者数は10,531人で2017年から増加傾向にある.PD患者のうち20.3%は血液透析(HD)やHDFとの併用療法であり,この比率はほぼ一定していた.2022年末の在宅HD患者数は827人であり,2021年末から79人増加した.2022年は,新規調査として腎性貧血を行い,引き続き,新型コロナウイルス感染症,生体腎移植による腎提供の既往が調査された.2022年末の現況報告では,2018年以来行っていなかった腹膜透析の章も再開した.これらのデータはそれぞれの疾患・患者に関する基礎資料となり,その結果から,より治療効果の高い日常臨床パターンの提案が期待される.
著者
松井 奨吾 徳永 正浩 吉川 慎一 長谷川 千紘 近藤 篤史 西浦 伸子 井上 慎也 冨永 信彦 前田 哲生
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1513-1519, 2022 (Released:2022-12-08)
参考文献数
15

症例は34歳男性で,特記すべき医学的背景はなし。1回目のmRNA-1273 COVID-19ワクチン接種4日後に発熱が出現した。SARS-CoV-2 PCR検査は陰性で,抗生物質で改善を認めず。接種10日目に好中球・血小板減少および肝機能障害により紹介入院となった。フェリチンと可溶性IL-2レセプターの上昇も認めた。活動性ウイルス感染症は否定的で,CTでは感染巣はなく肝門部リンパ節腫脹と軽度の肝脾腫を認め,血液培養は陰性であった。骨髄検査で血球貪食像を認めたがリンパ腫細胞の浸潤はなし。血球貪食性リンパ組織球症と考えてmethylprednisolone(2 mg/kg)を入院当日に開始し,発熱は速やかに消失し,検査値異常も改善後に再燃を認めず。他の誘因がなく接種直後に発症したことからワクチンによる二次性血球貪食性リンパ組織球症と最終診断した。極めて稀ではあるがCOVID-19ワクチンの種類によらず報告されており,致命的となりうるため早急な診断と治療が重要と考える。
著者
長谷川 世一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.343-352, 2015-08-01 (Released:2015-08-01)
参考文献数
23

2015年現在,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは今やインターネット上における著作権に関するパブリックライセンスのグローバル・スタンダードとなった。また,クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの活用方法も日々さまざまな形で変化し続けており,日本においても独特な活用事例がいくつか見られるようになっている。世界におけるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの普及状況を報告した後,日本におけるクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの活用事例を紹介する。
著者
小瀬古 伸幸 長谷川 雅美 田中 浩二 進 あすか 木下 将太郎
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.23-32, 2020-06-30 (Released:2020-06-30)
参考文献数
30

【目的】WRAPの視点を反映した看護計画を用いた精神科訪問看護の効果を明らかにすることである.【方法】本研究では1群事前事後テストデザインを用いた.2015年1月~9月に精神科訪問看護を受けている15名を対象にWellness Recovery Action Plan(WRAP)の視点を反映させた看護計画を用いた介入を6か月間行い,介入前と6か月後で日本語版Profile of Mood States(POMS)短縮版,日本語版Rosenberg Self Esteem Scale(RSES-J),日本語版Rathus Assertiveness Schedule(RAS),Global Assessment of Function(GAF)を測定した.【結果・考察】6か月後の中央値で有意に改善したものは,POMSの「不安-緊張」「抑うつ-落ち込み」「活気」「疲労」「混乱」,RASの「目標志向・成功志向・希望」「自信をもつこと」「手助けを求めることをいとわないこと」,GAFであった.WRAPの視点を反映させた看護計画を用いた精神科訪問看護は,リカバリーを促進する有効な方法であると示唆された.
著者
長谷川, 弘
出版者
岡田屋嘉七[ほか]
巻号頁・発行日
vol.第1冊, 1844
著者
内藤 郁夫 長谷川 由美子 芝木 儀夫
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.405-422, 2015 (Released:2015-11-15)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Developments in music printing by letterpresses were studied using several historical scores, i.e., score I printed by Gardano in Venice in 1575, score II printed by Gardano in Venice in 1679, score III printed by Ch. Ballard in Paris in 1679, score IV printed by Endter in Nuremberg in 1682, score V printed by F. Heptinstall in London in 1697, and score VI printed by Breitkopf & H ä rtel in Leipzig in 1799. Score I was printed using fonts similar to those invented by Ottaviano dei Petrucci in 1525. About 100 years after score I was printed, there were many differences in the scores in different cities (score II to V). The differences were studied to develop the next font, a mosaic-type font. Finally, the characteristics and typesetting of the mosaic-type font were clarified using score VI.
著者
張 成年 山本 敏博 渡辺 一俊 藤浪 祐一郎 兼松 正衛 長谷川 夏樹 岡村 寛 水田 浩治 宮脇 大 秦 安史 櫻井 泉 生嶋 登 北田 修一 谷本 尚史 羽生 和弘 小林 豊 鳥羽 光晴
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.190-197, 2013 (Released:2013-03-22)
参考文献数
17
被引用文献数
3 2

アサリ殻模様の非対称性は優性遺伝形質である。非対称型(A)頻度は北海道と関東周辺で高く(14.5~28.1%),東北,浜名湖以西,中国で低かった(0~9.9%)。千葉県盤州では A 型頻度が低いと考えられる地域のアサリが 2007 年まで放流されてきた。盤洲の 2005 年度標本では殻長 20 mm 未満で A 型が 22%,25 mm 以上で 0% であり大型グループで放流個体が多いことが示されたが,2011 年以降の標本ではサイズによらず A 型が 17.2~20.3% 見られ,放流個体による遺伝的攪乱が限定的であることが示された。

24 0 0 0 OA 奇術徒然草

著者
長谷川智 著
出版者
長谷川智
巻号頁・発行日
1941
著者
横川 昌史 高田 みちよ 長谷川 匡弘
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History
巻号頁・発行日
no.74, pp.75-82, 2020-03-31

オオバナミズキンバイはアメリカ合衆国南東部から南米原産のアカバナ科の水生植物で,特定 外来生物に指定されている(角野 2014).2014年に大阪府でオオバナミズキンバイが見つかり,その後, 大阪府内各地の河川や水路,ため池で生育が確認されている.2019年9月までに,高槻市・摂津市・大 阪市・東大阪市・八尾市・柏原市・藤井寺市・堺市・羽曳野市・岸和田市でオオバナミズキンバイが 見つかっており,高槻市・淀川本流・恩智川・大和川およびその支流・大阪南部のため池と地域別に 生育状況を報告した.今後も大阪府内でオオバナミズキンバイが拡がる可能性があるため,モニタリ ングを継続するとともに何らかの対策が必要だと思われた.
著者
長谷川 麻衣子
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.301-307, 2017-10-25 (Released:2017-11-08)
参考文献数
27

炎症は,生体侵襲が加わった際に恒常性を維持するための,防御反応である.一方,痛みはさらなる侵襲を回避し治癒のために安静を促す,警告的な感覚である.炎症性疼痛は,炎症によって組織の侵害受容器が刺激を受けて生じる痛みであり,痛みの神経学的分類では侵害受容性疼痛に含まれる.術後早期の創部痛のほか,筋膜や筋・骨格,内臓の炎症など,しばしば原因の除去が困難な慢性炎症を背景とする病態に伴うことが多い.このように“長期化する痛み”という前提で鎮痛の着地点を模索する場合,炎症性疼痛へのアプローチは,生体防御に不可欠な炎症反応と鎮痛を両立させるという,相反する介入を繰り返すことといえる.NSAIDs,オピオイド,局所麻酔薬などの鎮痛薬は抗炎症・免疫抑制作用を有するものが多く,鎮痛目的で炎症を抑えてしまうことにより炎症・治癒過程が遷延し,逆に痛みが慢性化する可能性が示唆されている.炎症性疼痛に用いる麻酔・鎮痛薬の作用機序と,鎮痛以外の薬理作用に関する最近の知見から,痛み以外のアウトカムについて概説する.
著者
今野 晃嗣 長谷川 壽一 村山 美穂
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.19-35, 2014 (Released:2014-06-24)
参考文献数
78
被引用文献数
1 1

Individual animals show consistent differences in their behavioral tendencies. Some individuals are generally bolder, shyer, or more aggressive than others. This phenomenon is termed as animal personality or behavioral syndrome, and it has been observed in a wide range of animal species. In this article, we review the personality concepts and methodologies that has been used in two major study fields on this topic, i.e. the animal personality psychology and the behavioral syndrome research. Then, we shed light on how we can understand consistency in individual behavioral tendencies and how we can describe individual differences in animal behavior, by focusing on the differences and similarities between two study fields. Finally, we emphasize the importance of evolutionary framework for an integrated understanding of personality in non-human animals.
著者
余郷 嘉明 鄭 懐穎 長谷川 政美 杉本 智恵 田中 新立 本庄 健男 小林 伸好 太田 信隆 北村 唯一
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.19-34, 2003 (Released:2003-11-19)
参考文献数
57
被引用文献数
3 4

JC ウイルス (JCV) DNA の系統解析によりアイヌの起源を解明することを目的として, 北海道の3地域(浦河, 白老, 旭川)に住むアイヌ30名から尿を採取した。尿から検出された JCV DNA (n = 13) は5つのゲノム型 (MY-b, MY-x, MX, EU-a/Arc, EU-c) に分類された。MY-b, EU-a/Arc, EU-cは過去に近隣の人類集団から検出されたが, MY-xとMXは今回初めてアイヌから検出された。得られた知見から, (1) 東北アジアから渡来した複数の人類集団が現代アイヌを築いたこと, (2) ヨーロッパ人に近縁の東北シベリア先住民の祖先集団が現代アイヌの中核を形成したこと, (3) 縄文人を形成した集団や新規な東北アジア系集団も現代アイヌの形成に寄与したことが示唆された。