著者
関沢 和泉
出版者
日本インスティテューショナル・リサーチ協会
雑誌
大学情報・機関調査研究集会 論文集 大学情報・機関調査研究集会 論文集 (ISSN:24363065)
巻号頁・発行日
pp.140-145, 2021 (Released:2021-12-28)

国立大学中心のイタリアでは近年日本と類似した課題意識から個々の国立大学に独立したマネジメントの権限を与えることとそのパフォーマンスの評価体制の導入が行われてきた。その中心となるのは、「大学・研究評価独立機構(ANVUR)」である。同機構は旧来別組織に割り当てられていた認証評価相当の役割と研究評価の役割が統合された組織であり、現在のイタリアの高等教育の質保証で大きな役割を担っている。本研究では同機構がどのような指標を用い組織のどのようなパフォーマンスを測定しようとしているかを明らかにする。
著者
関原 彩
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.28-38, 2015

<p>『心学早染草』の善玉悪玉の図像の先蹤を探るため、これまで総合的にとらえられてこなかった魂の図像の変遷について考察した。その結果、歌舞伎の演出と『延寿反魂談』の魂の意味が重要であるとの結論を得た。黒本青本や初期の黄表紙において、「心」の字を入れた炎を、殺された人の魂として描いていたが、これらは魂を丸に「心」で表わした歌舞伎の演出の影響である。また、『延寿反魂談』になると、霊魂という意味ではなく〈性格を伴う心理〉という意味が付け加えられる。</p>
著者
川又 優 関口 徹 中井 正一
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.16, no.8, pp.8_32-8_41, 2016 (Released:2016-07-25)
参考文献数
8

本研究では千葉県内の自然斜面及び、切土施工によって表面の軟弱な地盤を切り取った切土斜面を対象とし、それぞれの震動特性の評価を行った。斜面の法肩部と台地上の平坦な部分に地震計を設置し地震観測を行ったところ、自然斜面法肩部で地震動が大きく増幅していることが確認できた。そこで、地盤調査の結果に基づき地盤構造をモデル化し、2次元FEMを用いた動的解析による伝達関数の計算を行った。その結果、1次元解析では再現できない自然斜面法肩部での増幅特性を2次元解析で再現でき、斜面形状だけでなく台地端部表層の軟弱層が地震動を大きく増幅させることを確かめた。
著者
関野 良祐 釜野 洋二郎 石井 真理子 中崎 慶子 中俣 修 上田 泰久
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2222, 2011

【目的】側腹筋は外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋に分けられ、それらの腱膜は1つの機能単位を構成して体幹の運動に関与している。特にインナーユニットの一つである腹横筋は体幹の安定性に重要といわれている。腹横筋の収縮を促すために,Abdminal Drawing-in(腹部引き込み運動)やPelvic tilt(骨盤後傾運動)などの運動療法が実施されることが多い。しかし,これら運動療法で収縮を促すことが難しい症例に対して,仰臥位での股関節内転運動を実施すると体幹の安定性が向上した。股関節の内転運動に関する先行研究では,股関節の運動(内転・外転・外旋)が骨盤底筋の収縮を活発にするという報告(小林ら2008) がある。また解剖学的な連結として,大内転筋が坐骨結節や内閉鎖筋を介して骨盤底筋と連結される(Thomas W. Myers 2009)。骨盤底筋と腹横筋はインナーユニットを形成する筋であり,内転筋群の収縮を促通することにより骨盤底筋を介して腹横筋の活動も高まると考えられる。本研究の目的は,股関節の内外転運動と側腹筋との関連性を検討することである。<BR><BR>【方法】対象は,健常成人20名(年齢20.9±1.3歳、身長165.8±7.2cm、体重56.9±7.7kg)とした。計測機器は,側腹筋の筋厚の測定として超音波診断装置My Lab25(日立メディコ社製)を使用した。測定肢位は,上肢を体側へ伸ばし,下肢が股関節内外旋中間位(第2中足骨が床へ垂直) になる背臥位とした。運動課題は背臥位での等尺性の股関節内外転運動とした。筋力の測定はhand-held dynamometer(以下、HHD)を用い,股関節内外転運動の最大等尺性収縮時の発揮筋力を調べ,負荷量は各々20%と60%の2種類とした。測定部位は軸足側の中腋窩線上で,肋骨下縁と腸骨稜の中間点とし,安静時・20%内転・60%内転・20%外転・60%外転の5条件における腹横筋・内腹斜筋・外腹斜筋の筋厚を測定した。測定はランダムに行い,十分に休憩をはさみ5条件を各3回実施して,その平均値を求めた。統計処理は一元配置分散分析後、多重比較(Bonferroni)を用いて行った。有意水準は5%未満とした。<BR><BR>【説明と同意】本研究の内容を書面にて十分説明し,同意書に署名を得た。<BR><BR>【結果】腹横筋の筋厚は、安静時2.79±0.69mm・20%内転3.10±0.66 mm・60%内転3.48±0.83 mm・20%外転2.91±0.86mm・60%外転3.05±0.89mmであった。安静時と比較して,20%内転・60%内転では筋厚が有意に増大した(p<0.01)。また20%内転よりも60%内転で有意に増大した(p<0.05)。さらに、20%外転よりも60%内転で有意に増加した(p<0.01)。<BR>内腹斜筋の筋厚は、安静時8.59±1.66 mm ・20%内転8.90±1.65 mm・60%内転9.39±2.04 mm・20%外転8.87±1.99 mm・60%外転9.04±2.05mmであった。安静時と比較して20%内転(p<0.05)と60%内転(p<0.01)で筋厚が有意に増大した。さらに、20%外転よりも60%内転で有意に増加した(p<0.05)。<BR>外腹斜筋の筋厚は、安静6.37±1.24 mm ・20%内転6.38±1.39 mm・60%内転6.53±1.55 mm・20%外転6.25±1.39mm・60%外転6.32±1.38mmであり,有意差は認められなかった。<BR><BR><BR>【考察】腹横筋では安静時に比べ20%・60%内転時に有意な筋厚の増加がみられた。これは骨盤底筋群との筋膜を介した連結を大内転筋がもつために生じたと考えられる(Thomas W. Myers 2009)。大内転筋の収縮は閉鎖筋膜・肛門挙筋腱弓に伝わり、骨盤底筋を収縮させたと考えられる。その結果、骨盤底筋の収縮により腹腔内圧は上昇し、インナーユニットが活性化され腹横筋が収縮したと考えられる。内腹斜筋では、安静時に比べ20%・60%内転時に有意な筋厚の増加がみられた。これに対し、外腹斜筋の変化については、すべての課題動作に対して筋厚の増加がみられなかった。これは、胸腰筋膜を介し内腹斜筋には腹横筋との連結があるが、外腹斜筋では連結がなかったために変化が起こらなかったと考える。胸腰筋膜は、内腹斜筋と腹横筋の収縮を繋いだ水圧ポンプ作用があり、これが腰椎の安定性に寄与しインナーユニットの収縮を促す(Diane Lee 2001)。これらのことから、股関節内転筋運動により骨盤底筋を介した、インナーユニットである腹横筋と腰椎安定に関わる内腹斜筋の、筋膜連結による活性化が可能であることが分かった。<BR><BR>【理学療法学研究としての意義】今回の実験で、股関節内転筋収縮により腹横筋の収縮を促すことが可能であることが解った。腹横筋エクササイズは体幹のみだけでなく、股関節内転筋からの介入によりインナーユニットの活性化も可能であることを理解し、これらを併用した運動療法の有効性が示唆された。

2 0 0 0 OA 関西学院一覧

著者
関西学院大学 編
出版者
関西学院大学
巻号頁・発行日
vol.昭和10年3月, 1935
著者
関原 成妙 福留 奈美 早川 文代 品川 明
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成29年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.102, 2017 (Released:2017-08-31)

【目的】硬水では良いだしが取れないことは日本の料理界で常識とされる。うま味を含めた5つの基本味の感じ方は水の違いによってどのように変化するのか、本研究では5つの基本味の感じ方の違いを水の硬度の違いと関連づけてとらえることを目的とした。また五味識別テストを行う際の水溶液濃度を味質別に設定する必要性についても検討した。【方法】五味識別テストを市販の飲用水を用いて行うことを想定し、ボトルドウォーター3種(硬度が異なるミネラルウォーター2種と純水)を選んだ。ISO8586のパネリスト選抜基準および訓練テストの濃度を参考に予備実験を行い、甘味(ショ糖)、塩味(NaCl)、酸味(クエン酸)、苦味(無水カフェイン)、うま味(グルタミン酸ナトリウム)の水溶液の濃度を4段階に設定した。18-22歳の都内女子大学の学生24-29名を対象に2016年3-7月に3点識別試験法で官能評価を行った。水別、濃度別に有意差検定を行い、結果をもとに五味識別テストにおける水溶液濃度の設定についての検討を行った。【結果】識別できた人の割合は、うま味については硬度が高い水の方が高く、酸味については硬度が低い水の方が高い傾向が見られた。低濃度の水溶液では、うま味は純水で、酸味は硬度の高い水で有意差が出る傾向にあり、うま味と酸味の味質の感じやすさと水の硬度の違いに逆の傾向が見られた。甘味、塩味、苦味については水の硬度段階の違いによる一定の傾向は見られなかった。以上より、うま味と酸味の感じ方は特に低濃度で水の硬度の違いによる影響を受けるため、五味識別テストを行う際には、テストの目的に応じて呈味物質の濃度や水について十分に検討する必要があることが示唆された。

2 0 0 0 OA 聚分韻略 5巻

著者
虎関師錬
出版者
巻号頁・発行日
vol.[1],
著者
佐藤 姚子 関谷 敦 浅輪 和孝
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.353-357, 1995-07-01
被引用文献数
3

ヒラタケの菌床栽培において、培地中に添加した殺菌剤、チアベンダゾール(TBZ)の子実体による吸収について調査した。試験区は対照区のほか、それぞれの培地中に常用量(1区)、その10倍量(2区)そして50倍量(3区)のTBZを添加した。これらの培地でヒラタケを栽培し、2回にわたり発生した子実体を採取した。子実体試料のほか菌掻き時に採取した菌糸体および培地についても残留分析を行った。分析は農薬登録保留基準ハンドブック等に従い抽出、精製後、螢光検出器付きの高速液体クロマトグラフで定量した。その結果、TBZを添加した区で発生した子実体試料のすべてにおいてTBZが検出されたが、その検出値は常用量区においては、環境庁による野菜(きのこ類を含む)の農薬登録保留基準値を超えなかった。また、子実体での検出量は一次発生と二次発生とに大きな差はなかったが、柄部での検出量は傘部の2〜4倍量であった。一方、採取した子実体には2区では若干の、3区ではかなりの、柄部の短小化や傘部の変形等の品質低下と収量の減少が見られた。
著者
渡邉 賢三 横関 康祐 坂田 昇 坂井 悦郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.83-92, 2012 (Released:2012-03-19)
参考文献数
14

コンクリートの耐久性向上を目標として低熱ポルトランドセメントにγ-2CaO.SiO2と各種ポゾランを混入して炭酸化養生することによって空隙を小さくする手法を検討した.実験的手法によって空隙率の経時変化と化学分析に基づく組成評価を行った結果,ポゾラン物質を含有することにより,前養生終了時の空隙が増大しCO2の移動量が大きくなること,およびγ-2CaO.SiO2と炭酸の反応性が促進されることの相乗効果によって空隙が著しく減少していることを明らかにした.
著者
関 行道
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
自律神経雑誌 (ISSN:03870952)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.415-419, 1981-03-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
著者
関口 浩之
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1076-1083, 2019-10-15

欧米圏では2010年頃から流行しているWebフォント.Webフォントとは閲覧デバイス側のフォントを使用せず,Webサイトで指定した書体をクラウドサーバから受信し,そのフォントで閲覧できる仕組みである.アルファベット言語と異なり,日本語は文字数が1万字以上と膨大であり,日本語Webフォントはデータが重たくて流行らないと言われていた.それら課題を克服した経緯が分かる.情報基盤であるフォントの歴史観点からディジタルフォントを学ぶ.
著者
小関 和弘
出版者
和光大学表現学部
雑誌
表現学部紀要 = The bulletin of the Faculty of Representational Studies (ISSN:13463470)
巻号頁・発行日
no.18, pp.202-185, 2018-03-11

一八七二(明治五)年、新橋横浜間に日本初の鉄道が開通した。それからさほど時を隔てずに、江戸時代の『遊覧記』『街道記』等の伝統を承けた形で、『鉄道名所案内』『鉄道旅行案内』といった諸書(本稿では〈案内記〉と称す)が次々に刊行され、以後、さまざまに形を変えながら観光案内書の山脈を形成してきた。本稿ではそれら〈案内記〉のうち、鉄道開通直後の一八七〇年代から鉄道国有化直前の一九〇〇年頃までの書冊に記された文学関連の名所(歌枕類)・史蹟などに関する記述について検討した。観光ガイド的な〈案内記〉の記述中で伝統的文学表現─その中に最後の光芒のように漢詩への回帰も出現するのだが─と土地との関わりがどのように記述され、該地の観光地としての魅力宣揚にどのように「活用」されたか、またその「活用」法が主要幹線の整備や旅行者の量的・質的変化といった時代の推移とともにどのように変遷したかを時系列的に辿った。本稿では〈旅行案内〉、〈名所案内〉といった旅行案内書類(以下〈案内書〉)と文学──〈案内書〉に引用される詩歌を中心に検討するに過ぎないが──との関係、言い換えれば、旅行業・観光産業によって文学形象・文学的伝統が、どのように利用及び消費、消尽されてきたかの一端を確かめるために、鉄道開通直後から一九〇〇年頃までに刊行されたものを対象とする。とは言え、検討のために〈案内書〉としてここで取り上げた諸作を厳密な外延で規定することは難しく、対象の選択にはかなり不明確なところがあることを断っておきたい。また、日本全国各地の歌枕、名所・旧蹟と詩歌との関係等を偏りなく取り上げることは不可能で、筆者の関心が傾く東北地方の記述がやや多めになっていることをも断っておく。