著者
関 陽平
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1.研究背景<BR><br>天気予報などで耳にする最高気温の前日差は,暑い寒いといった相対的な感覚をわかりやすく理解する指標として広く知られている.前日差は体感温度に関係しており,寒暖差アレルギーや熱中症などの健康面への被害だけではなく,商品の売り上げ等に関連する経済的にも重要な指標である.<BR><br>どの地域,どの季節で前日差が大きいかを気候学的に理解しておくことは重要であるにも関わらず,前日差の地域性・季節性について詳細に検討した研究例は無い.よって,日本全国における気温の前日差の地域性・季節性を統計的に解析した結果を報告する.<BR><br>2.解析手法<BR><br>本研究では,前日差を前日と当日の日最高気温の差で評価する.使用するデータは全国のアメダスデータで得られる日最高気温のデータを用いる.解析期間は1986年から2015年までの30年分とする.海面水温再解析データはアメリカ海洋大気庁(NOAA)のOISST(Optimum Interpolation Sea Surface Temperature)データを使用した.<BR><br>前日差を気候学的に評価するために以下に示す手順で気温急低下指数と気温急上昇指数の二つの指数を定めた.前日差の30年分の各月毎の10パーセンタイル値を求める.その後,10パーセンタイル値以下の前日差の値を条件として標準偏差の計算を行ったものを気温急低下指数とした.同様に,90パーセンタイル値以上の前日差を条件としたものを,気温急上昇指数とする.これらの指数の値が大きいほど,気温の急変時の気温変化が大きいことを示す.<BR><br>3.結果<BR><br>気温急低下指数と気温急上昇指数の月ごとの気候値を求め,全国の地点で平均した.その結果,4月が気温の急変のピークを迎えることがわかった.11月にも第二ピークがあるが,気温急上昇指数は大きくないことが春との大きな違いである.<BR><br>次に,地域性を評価するために,各月の全国マップを作成した.シグナルが強かった地域は北海道東部,中部地方北部,三陸沿岸などが挙げられる.中でも北海道東部は突出している.それらのシグナルが強かった地域に着目すると中部地方北部では4月に,北海道東部では5月にピークを迎える.<BR><br>これらシグナルが強い地域性をもたらす原因を,地形,大気,そして海洋からの3つの視点から探った.地形的原因として,低気圧の通過に伴うフェーン現象が発生しやすい地形である.さらに低気圧の通過後には寒気移流が起こりやすいという大気的特徴を持つ地域である.<BR><br> 春の北海道東部や三陸沿岸で気温の急低下が大きくなる原因は,上記で述べた地形や大気的原因以外に,この季節の海面水温が挙げられる.オホーツク海のこの季節の海面水温は6℃程度であるのに対し,陸上の日最高気温の気候値は15℃にも達する.このように,この季節のこの地域は海陸の温度コントラストが際立って大きい.北海道周辺の海面水温と日最高気温の差は5月にピークを迎える.そのため,北風時には寒気移流による気温低下が著しい.この効果に加えて,地形と大気の原因が重なり,気温の前日差が他の地域を圧倒する地域となっていることが判明した.<BR><br>なお,この地域の海面水温が低い主因は冬季の海氷である.したがって,この地域の大きな気温前日差には,冬季の海氷が間接的に影響している.従って,これは時差を伴った大気海洋相互作用の一つともいえよう.<br>
著者
小関 宏和 村山 雄一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.888-897, 2021-07-10

Ⅰ はじめに 脳動脈瘤は,発生から増大,破裂に至るまでの経過を予測することが極めて困難な疾患であることから,その病態機序の解明には臨床像を模倣した疾患モデルが不可欠である.臨床での動脈瘤壁の病理学的・遺伝学的所見,および血管画像を用いた流体解析などから,脳動脈瘤が血流ストレス依存的な疾患であり,血管壁に炎症を伴う病変であることが示唆されてきたが1-4),それらの因果関係や,炎症に至るまでの機序については未だ不明な点も多い.この課題を解決すべく,70年ほどの間に実験的な脳動脈瘤モデルの開発が進み,それと相まって疾患に対する理解が深まり,そこから生まれてくる新たな課題に対してそれらのモデルが進化を遂げてきた,あるいは新たなモデルが生み出されてきた. 本稿では,実験的脳動脈瘤モデルの歴史を紐解きながら,それらのバリエーションや特徴について概説する.詳細な病態機序の解説については他稿に譲るが,これらの実験的脳動脈瘤モデルによって得られた最新の知見について紹介する.
著者
遠山 良 関村 照吉 関澤 憲夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.299-303, 1994-04-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
20
被引用文献数
2

冷麺製造工程におけるエタノールの残存率及び残存エタノールと冷麺の保存性との関係について検討した.(1) 冷麺は製造時約100℃の加熱糊化工程を経ているにもかかわらず,製造原料に保存料として添加したエタノールの残存率はかなり高く,乾燥工程を経た段階で86.8%であった.(2) 乾燥工程でエタノールの減少率が低い原因を確認するため,冷麺を通風と無風の条件下で乾燥して比較したところ,無風乾燥では水分の減少とともにエタノール濃度も減少した.一方,通風乾燥では水分は急激に減少したが,工タノール濃度は逆に僅かに上昇した.(3) 以上のことから,冷麺製造時の通風乾燥は,エ夕ノールの残存率を高める上で有効であることが分かった.(4) エタノール残存率と保存性の関係を調べた結果,麺に1.94%のエタノールが残存する場合, 30℃, 14日間の保存でも微生物の増殖はほとんど見られなかった.エタノール含量が低下するにつれて保存性は低下するが,エタノール含量が1.26%と低くても保存温度が15℃であれば45日間経過しても微生物は全く検出されなかった.
著者
大槻 勤 関本 俊 沖 雄一 高宮 幸一 篠原 厚 末木 啓介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

炉内に残留する放射性微粒子の挙動を推測するため、炉内に存在する放射性物質を含む様々な物質を材料として放射性微粒子が生成し成長する過程を解明することが本研究の目的である。そのため、まずは福島第一原子力発電所周辺の土壌中に存在する放射性微粒子の性状分析を行い、その元素組成等の化学的性質の調査を行った。ここでは複数の核種を含む放射性エアロゾルの成長・輸送機構の解明により炉内に残留する放射性微粒子の挙動を推測するため、土壌の観察・分析や人工放射性エアロゾルの発生実験を行った。環境中に放出された放射性微粒子の性状を調べるため、まずイメージングプレート等を用いて土壌中の微粒子探索を行った。また、核分裂生成物を含む人工放射性エアロゾルの成長・輸送の模擬実験を行った。まず、環境中に放出された放射性微粒子の性状を調べるため、イメージングプレートを用いて土壌中の微粒子探索を行い、採取されたType Bと推測される放射性微粒子に対し、SEM/EDX(Thermo Fisher Scientific社製Phenom ProX Desktop SEM)を用いた外観観察と粒子表面の元素分析を行った。粒子本体を構成する主要な元素は酸素、ケイ素、ナトリウムであり、少量のカルシウム、アルミニウム、マグネシウムなどを含むことが明らかとなった。人工放射性エアロゾルの発生実験では中性子照射したウラン試料から放出されたFPのうち、I-131,0Te-132,Ba-140(La-140)等を含んだ放射性エアロゾルが生成し、ポリカーボネート製フィルターまで輸送されて捕集されたことがわかった。この結果から、人工の放射性エアロゾルを用いて、放射性微粒子を形成する模擬実験が可能であることが示唆された。

2 0 0 0 OA 朝鮮征伐記

著者
大関定祐 [著]
出版者
国史研究会
巻号頁・発行日
vol.1, 1917
著者
鈴木 伸一 小関 俊祐 伊藤 大輔 小野 はるか 木下 奈緒子 小川 祐子 柳井 優子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.93-100, 2018-05-31 (Released:2019-04-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

本研究の目的は、英国のCBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法を明らかにすることであった。英国認知行動療法学会のLevel 2認証を得ているCBTトレーニングコースのカリキュラム責任者を対象に、CBTトレーニングにおける基本構成要素と教育方法に関する調査を実施した。その結果、英国認知行動療法学会のLevel 2の認証を受けたトレーニングコースにおいては、おおむねガイドラインに沿った包括的な教育がなされていた。特に、治療関係の構築やクライエントの個別性への対応、およびスーパービジョンの有効活用などについては、現場実習における実践的なトレーニングが重視されていることが明らかになった。最後に、本研究の結果を日本のCBTトレーニング・ガイドライン策定にどのように活用していくかについて考察された。
著者
柳澤 敦広 乾 健彦 生井 良幸 高梨 潤一 藤井 克則 水口 雅 関根 孝司 五十嵐 隆
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.161-165, 2009-11-15 (Released:2010-05-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

腸管出血性大腸菌 (enterohemorrhagic E. coli: EHEC) 感染症を契機に発症した溶血性尿毒症症候群 (hemolytic uremic syndrome: HUS) の重篤な合併症として,脳症がある。脳症の臨床像・病態生理は複雑である。今回われわれが経験したHUSに合併した脳症は,急性壊死性脳症 (acute necrotizing encephalopathy of childhood: ANE) に特徴的な画像所見を示していた。 こういった例はHUSに合併した脳症のなかでも,特に重篤な経過をたどりやすいようだ。また,サイトカインの関与も示唆された。HUSに対する既存の治療法では不十分であり,発症機序,管理・治療法に関するさらなる検討が必要と思われる。
著者
佐伯 壮一朗 柳澤 沙也子 小笠原 理恵 安田 直史 中村 安秀 関西グローバルヘルスの集い運営委員会
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.63-72, 2021 (Released:2021-07-22)
参考文献数
10

背景  新型コロナウイルス感染症(Novel Coronavirus Disease 2019, COVID-19)の影響を受け、各種イベント開催が自粛され、人が物理的に集まらないオンラインセミナーの開催の需要が高まっている。しかし、オンラインセミナーの開催経験を豊富に有するグローバルヘルス関連の学術団体はまだ少なく、ノウハウの蓄積は不十分である。そのような状況の中、公益社団法人日本WHO協会は一般市民に開かれた公開講座「関西グローバルヘルスの集い」を「COVID-19とSDGs」をテーマに2020年3月から企画し、5月より3回オンラインにて開催した。この経験に基づきオンラインセミナーを開催する際の主催者への注意点をまとめる。開催概要  関西グローバルヘルスの集いを開催するにあたりオンラインで参加者の募集、登録受付を行った。その際Google Formsを利用し、参加者の属性に対するアンケート調査を実施した。本番はオンライン会議ソフトウェアZOOMを使用し、動画サイトYouTubeにて生配信した。視聴者動向の解析はYouTube Analyticsによる自動解析を利用し、セミナー終了後、参加登録者にGoogle Formsを利用したアンケートでフィードバックを依頼した。  3回の参加者はのべ2,083名だった。大半は日本在住であったが、海外在住の参加者はのべ69名で、欧米諸国やチュニジア、ザンビアなどであった。参加者の属性は医療者のみならず大学教員や学生、会社員も参加した。満足度について、5段階評価で4以上を回答した参加者は85.7%であった。記述回答では内容への肯定的な意見の他、開催前から当日にかけての運営の不手際を指摘した意見が寄せられた。教訓  オンラインセミナーでは、講演内容のみならず運営の手際でも満足度が変化することが分かった。運営の不手際は具体的に、セミナー開催前には一部の参加者に対し配信用URLが届かない例があり、セミナー中には画面の切り替えの不手際、画面共有で投影していたスライドの動作不全が生じたこともあった。これらは運営側の取り組み次第では予防あるいは早期発見し修正する余地があり、不具合が生じた際の対応を事前に検討することが重要である。結論  オンラインセミナーを開催することで視聴者のみならず登壇者は世界中から参加可能となったのは大きな利点である。一方、綿密な準備が必要で、運営者の経験を蓄積し円滑な運営を行うことは議論活性化の最低条件である。今後、国際保健医療分野での活用のためにはオンラインセミナーの運営のみならず内容の質も問われることとなるだろう。
著者
関根 加納子 鷲見 亮 森 伸夫 吉本 博明 江口 文陽
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.3-11, 2011-01-15 (Released:2013-07-16)
参考文献数
30
被引用文献数
2

Developing new markets and uses for mushrooms are important to the mushroom growers and industry. We conducted an attitude and awareness survey among consumers towards mushrooms in order to identify their possible new uses. The initial results suggested that many consumers had high interest in using medicated cosmetics made from mushrooms. We therefore studied the effects of mushrooms on platelet aggregation and chemokine gene expression which are both indicators of the state of lifestyle diseases and rough skin. The results indicated that several species of mushroom had high inhibition effects on these indicators, and suggested that these species would have strong potential as raw materials in such medicated cosmetics products as those for whitening, and for treating skin against rough surfaces and wrinkles.
著者
豊坂 昭弘 村田 尚之 三嶋 康裕 安藤 達也 大室 儁 関 保二 金廣 裕道
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.417-423, 2009-04-01 (Released:2011-12-23)
参考文献数
28

日本で受けた男性性転換手術後に晩期合併症として超高位の直腸膣瘻を経験し局所的に閉鎖しえたので報告する.患者は33歳で,7年前に男性から女性への性転換手術を受けた.3年前から人工膣から出血,排便をみている.注腸および内視鏡検査で,直腸S状部の超高位の直腸と人工膣が大きな瘻孔を形成していた.まず人工肛門を造設し,2か月後経仙骨的経路で手術を施行し癒着に難渋したが瘻孔を閉鎖した.術後は順調に経過し,2か月後人工肛門を閉鎖した.現在術後1年3月経過し再発はなく,美容的にも満足している.術後は再発の恐れから膣は使用されていない.本例は解剖学的に通常では発生しえない直腸S状部の超高位の直腸膣瘻であり,このような超高位の直腸S状部の直腸膣瘻の報告は内外とも見られず,局所的手術で修復した報告も見られないので報告した.本例での瘻孔の原因は人工膣内へ狭窄防止用ステントの使用による圧迫壊死であった.
著者
関沢 まゆみ
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.147, pp.7-34[含 英語文要旨], 2008-12

本論文ではまず国立歴史民俗博物館『戦争体験の記録と語りに関する資料調査』(全四冊、二〇〇三・二〇〇四年)のデータから、戦没兵士に対して、生還した帰還兵士の場合と、戦没兵士の遺族の場合との両者において、それぞれどのように彼らの死が受け止められているのか、その対応についての分析を行った。両者共に「体験した人にしかわからない」という語りの閉鎖性が特徴的であった。そこで、戦争と死の記憶と語りの特徴をより広い視点から捉えなおす試みとして、日本における戦没兵士や広島の原爆被災者に関する語りを含めて、さらにフランスの、ナチスによる住民虐殺が行われた二つの町の追悼儀礼の事例調査を行い、日本とフランスとの差異についての考察を試みた。論点は以下の三点にまとめられる。第一に、戦争体験の記憶には大別して、「死者の記憶」と「事件の記憶」の二つのタイプがある。死者の記憶の場合には、戦闘員個々人に対して追悼、慰霊の儀礼が行われる。それに対して事件の記憶の場合には、一つは非戦闘員の大量死である悲惨な虐殺、もう一つは戦闘員の激戦と勝利または敗北、があるが、前者の悲惨な虐殺の場合、たとえばそれはフランスのグエヌゥの虐殺やオラドゥール・スール・グラヌの虐殺から日本のヒロシマ、ナガサキの原爆まで多様な事実があるが、その悲惨は戦争という「愚行」へと読み替えられる。そして、死者の記憶はいわば「個人化される」記憶であり、事件の記憶は「社会化される」記憶であるといえる。個人化される死者の記憶と表象は「死者」への追悼、慰霊の諸儀礼としてあらわれ、社会化される「事件」の記憶は、戦争と殺戮という「愚行」への反省と懺悔の意識化へ、また一方では戦勝の記念と顕彰の行事としてあらわれる。その個人化される記憶の場合には時間の経過とともに体験世代や関係者世代がいなくなれば、記憶の風化と喪失へと向かい、一方、社会化される事件の記憶の場合には世代交代を経ても記憶はさまざまな作用力が介在しながらも維持継承される。第二に、フランスのグエヌゥやオラドゥール・スール・グラヌの虐殺の場合には、死者への追悼とともに彼らのことを決して忘れないという「事実の記憶」を重視する儀礼的再現と追体験とが中心となっているのに対して、日本の場合は、「安らかに眠ってください」という集団的な「死者の記憶」が重視され、その冥福が祈られている。そこには、日本とフランスの自我観・霊魂観の相違が反映していると考えられる。第三に、フランスにおいても日本においても「戦争と死」の記憶の場として民俗的な伝統行事が有効に機能していることが指摘できる。フランス、グエヌゥでは、五月に行われるトロメニにおいてペングェレックという新しいスタシオンを組みこんでおり、広島と長崎の場合、八月の盆の月に原爆記念日が、そして一五日には終戦記念日が重なって、死者をまつる日となっている。This paper discusses a study of how the deaths of soldiers killed at war impacted on soldiers who survived the war and the families of those killed, which includes both soldiers killed in action and those who died from illnesses during the war. The study is based on data obtained from "Personal Experiences of War, 1931-1945: A Survey of Japanese Written and Oral Records" I-IV 2004 & 2005, published by the National Museum of Japanese History. A feature common to both returned soldiers and the families of the deceased was the exclusive nature of their narratives as represented by the comment "Only those who have experienced such death can understand." In an attempt to identify the characteristics of memories and narratives of war and death from a wider perspective, the study sought to illuminate the differences between their personal and social impacts. To this end, Japanese narratives included narratives about soldiers killed in action and victims of the atomic bomb dropped on Hiroshima, and a study was undertaken of memorial services held in two French villages, Gouesnou and Oradour-sur-Glane, where civilians were murdered by Nazi soldiers.Three themes emerged from the study. First, there are two general types of memories of war experiences, which are classified as "memories of the dead" and "memories of incidents." Memories of the dead take the form of mourning, and holding commemorative and memorial services for individual soldiers. In contrast, memories of incidents involve two aspects. One is the tragic mass slaughter of non-combatants and the second the bitter fighting and victory or defeat of combatants. Although with respect to the former aspect the circumstances surrounding the tragic killings vary from the slaughter of civilians in Gouesnou and Oradour-sur-Glane to the atomic bombs dropped on Hiroshima and Nagasaki, these tragedies reveal the "inanity" of war. Memories of the dead are memories that have a "personal" impact, while memories of incidents are memories that have an impact on "society." Memories of the dead with a personal impact are symbolized by the mourning of the "dead" and various memorial rites and services, while memories of "incidents" with a social impact take the form of reflection on the "inanity" of war and bloodshed and a feeling of confession, as well as events that commemorate and celebrate victory. Memories with a personal impact fade and are lost with the passage of time as the generations of those with personal experience and the generations of involved parties die out. Meanwhile, memories of incidents that have an impact on society are retained and continued despite the mediation of a variety of acting forces, even though there is generational change.Secondly, the two French cases comprise mainly of remembering the dead and a ceremonical reenactment and reliving that emphasizes "reaffirming the fact" so that the dead will never be forgotten.Thirdly, traditional popular rituals and events function effectively as the place of memories of "war and death" in both Japan and France. In addition to a commemoration ceremony held in Gouesnou, France on August 7, a new station called Penguérec has also been incorporated into the troménie held in May. In Japan, the dates of the anniversaries of the bombing of Hiroshima and Nagasaki and August 15 marking the end of the Pacific War all fall during the "o-bon" season, and so are days when the dead are honored. Rather than creating a momentum directed at "reaffirming the fact" of the inanity of war and the carnage caused by the atomic bombs, there is a strong momentum directed at collective commemoration that "remembers the dead" and asks for their peaceful repose. The hypothesis here is that the difference between the two is related to how each one views the self and the spirit.
著者
関口 英男
出版者
日本英学史学会
雑誌
英学史研究 (ISSN:03869490)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.28, pp.29-41, 1995 (Released:2009-09-16)
参考文献数
5

I discovered several old Japanese tombs even in the North East of England. Some were tombs of Japanese students who died accidentally without seeing their homeland again.Bysaku Fukao was one of the unfortunate. He fell from the dock at Middlesbrough and drowned at the age of 18, on 14th November 1873. He was engaged as an articled pupil with Dixon and Company, Shipbuilding firm and studied at Walworth House College, Darlington at the same time. He was buried in Darlington West Cemetry.Katsu Iwamoto was another. His tomb was found in St. John's Church Cemetry in Newcastle. His name was listed in the “List of Students” of Durham University Calendar 1877-78. He was a naval cadet when he was ordered by the Ministry of Imperial Japanese Navy to study gun manufacturing. But unfortunately he contracted tuberculosis and died four months later at the age of 20, on 21st June 1877.With these predecessors' great effort the modern industrial Japan was created.
著者
伊藤 致 深澤 浩 内藤 滋人 窪田 彰一 伊藤 幸子 平辻 知也 鶴谷 英樹 関口 誠 河口 廉 高間 典明 磯部 直樹 瀬田 享博 櫻井 繁樹 安達 仁 外山 卓二 星崎 洋 大島 茂 谷口 興一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.33, no.Supplement5, pp.68-73, 2001-12-31 (Released:2013-05-24)

【目的】陽性F波を呈する逆行性通常型心房粗動の心電図学的特徴を検索することで,回路の推測が可能か否かを検討した.【対象】陽性F波を呈する心房粗動と診断され,心臓電気生理検査を施行,起源が逆行性通常型および左房起源型心房粗動と診断された連続17症例.【方法】興奮波が三尖弁輪部を時計方向に旋回し,冠静脈洞入口部位での心房ペーシングでconcealed entrainment現象を認めた例を逆行性通常型心房粗動(R群:13例),心内電位で冠静脈洞遠位の左房から右房側へ興奮伝幡を認め,右房ペーシングでconcealed entrainment現象を認めなかった例を,左房起源型心房粗動(LA群:4例)と診断した.これら2群でのF波を比較した.【結果】1)V1のF波は,R群で陰性F波を,LA群では陽性F波を有意に認めた(R:81.8%,LA:0%,p<0.05).2)V6のF波は,R群で陽性F波を,LA群では陰性F波を有意に認めた(0.9%,LA:25%,p<0.05).3)I誘導では両群ともすべて陽性F波を認めたが,aVL誘導では関連はなかった.4)両群のF波成分を比較したところ,F波高はR群が高い傾向(R:0.22±0.06mV,LA:0.13±0.06mV,p=0.0503)にあり,F波幅はR群が有意に長かった(R:144±36mse,LA:92±24msec,p<0.05).5)肢誘導R,S波高に両群で有意差はなかった.【結語】1)陽性F波を呈する非通常型心房粗動は,V1およびV6誘導のF波を検討することで旋回が逆方向性通常型心房粗動なのか左房起源型心房粗動なのか推測できることが示唆された.2)F波成分は,左房起源型心房粗動では波形が小さく,その上降部と下降部が左右対称であったのに対し,逆方向性通常型心房粗動では,緩徐に上がり,急峻に下がるF波が特徴であると思われた.
著者
山田 恵子 壬生 彰 向後 響 井関 雅子 西上 智彦
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.1-14, 2021-04-30 (Released:2021-06-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The Pain Disability Index (PDI) is a self–reported outcome measure initially developed in English to assess disability caused by pain in seven dimensions of daily life activity, including family ⁄ home responsibilities, recreation, social activity, occupation, sexual behavior, self–care, and life–support activity. This study aimed to develop a linguistical­ly valid Japanese version of the PDI (PDI–J) according to the guidelines for the translation and cultural adaptation of patient–reported outcome measures establish­ed by the task force of the International Society for Pharmacoeconomics and Outcomes Research. A draft of the PDI–J was developed through a forward translation of the original PDI from English to Japanese, reconciliation of the translation, back–translation from Japanese to English, and harmonization. We subsequently conducted a cognitive debriefing in five patients using the PDI–J draft and reviewed it before finaliz­ing a linguistically valid PDI–J. We also considered a five–item version of the PDI (PDI–5–J), which excluded two items (sexual behavior and life–support activity) from the original version. This consideration was made for brevity and because sexual behavior is a considerably personal parameter that some patients may be reluctant to answer and life–support activity because it was considered ambiguous in Japanese. Therefore, we were able to develop a linguistically valid PDI–J and PDI–5–J through this process. Further study is warranted to confirm the psychometric validity and reliabili­ty of the two indices (PDI–J and PDI–5–J).