著者
坂本 義峰 児玉 雄二 青木 啓成 村上 成道
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.CbPI2255-CbPI2255, 2011

【目的】投球動作を全身の運動として捉えることは重要とされている。われわれは投球動作について運動軸を中心として考え、体幹機能の評価を主としたパフォーマンステスト(PF)を行っている。PFを用いたメディカルチェック(MC)を某長野県立高校野球部(高校野球部)に対して行ない、結果を第44回、45回日本理学療法学術大会、第7回肩の運動機能研究会において報告した。今回の目的は3年間に得られたデータよりMC毎のPF、関節可動域(ROM)と肘関節痛(肘痛)を有する選手の人数の推移から肘痛の予防と改善について考察することである。<BR>【方法】対象は平成20年に入部した高校野球部員25名のうち、外傷により長期離脱した2名を除いた23名とした。MCは 20年4月、8月、12月、21年4月、8月、12月、22年4月の計7回行ない、PFとROMを計測した。運動軸の評価のうち8種目をPFとして実施し合計12点を満点とした。ROMは肘関節屈曲、伸展、肩関節屈曲、外転90°での内外旋、屈曲90°での内旋、水平内転、股関節屈曲、伸展、内旋、外旋の11項目であり、肘関節、股関節は左右差なしを1点、肩関節は左右差10度以内を1点とし合計11点を満点とした。ここでの肘痛とは内側型、外側型等の分類はせず、投球動作において疼痛を有するものとした。MC毎のPF、ROM、肘痛を有する選手の人数の推移をそれぞれ比較検討した。検定にはWilcoxonの符号付き順位検定を用いた。有意確率は5%未満とした。<BR>【説明と同意】MCは同校の依頼で実施し、事前に指導者と選手にはMCについての説明を行ない、同意を得た。<BR>【結果】MC毎の肘痛を有する選手数はのべ20名で20年の8月から20年12月にかけて増加し、さらに21年の4月に最も多く認め、その後減少した。肘痛により長期離脱した選手は20年12月に約2週間十分に投球できなかった選手1名のみであった。<BR>PFの平均点は、20年6.5±2.7点、21年8.8±2.5点、22年10.7±1.8点と徐々に増加する傾向にあり、20年4月と20年8月、21年4月と21年8月の間に有意な増加を認めた(P<0.05)。<BR>ROMの平均点は、20年6.4±1.4点、21年6.1±2.3点、22年4.2±2.8点と緩やかに減少する傾向にあり、20年12月と21年4月では優位な増加を、21年4月と21年8月では優位な減少を認めた(P<0.05)。<BR>【考察】20年12月から21年4月にかけてROMの点数は有意に増加し、ROMの改善を示しているにも関わらず、肘痛の選手数が増加したことは、ROMの改善のみでは肘痛を予防し得ないことが推察された。また、21年4月から21年8月にかけてROMの点数は有意に低下したにも関わらず、肘痛の選手数が減少していたことは、PFの点数が有意な増加を示したことが要因ではないかと推察された。PFが高い値を維持している21年8月以降も同様に肘痛の選手数は少ない値を推移している。これらのことより、肘痛の予防においては、ROMの改善のみでは不十分であり、PFで高い点数を得られる身体機能にしていくことが重要であると推察された。同校にはMC以外にも、運動軸の改善を目的としたセルフケアやトレーニング方法をチーム全体や個別に指導しており、その結果肘痛の改善と予防に効果があったのではないかと考えている。<BR>【理学療法学研究としての意義】障害予防に対する意識が広がり専門的な知識を必要とする監督や選手が増えている中、野球の現場へストレッチや筋力強化などの知識を持った理学療法士が介入することは有用と考えられる。野球の現場に臨む際は、選手に対し短時間で良い反応を引き出すことが求められ、そのためには全身を簡便に評価する必要がある。MCに用いた評価方法は野球現場での障害の改善と予防に対して効率的な評価が行なえるとともに、点数化したことにより選手自身にも指標となりやすい基準であったのではないかと考える。現場に赴いて成長期の経時的な変化を追い、時期に応じたケアやトレーニングを調整することにより障害がなく練習を継続できる身体機能にすることは意義があると考える。<BR>
著者
羽田 裕 石山 康介 青木 教之
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.12, pp.1-6, 2013-03-06

上流工程での設計レビューと下流工程におけるテストは,ソフトウェア開発にかかわる代表的な検知活動である.筆者らは,設計レビューの品質向上のため,暗黙知だったものを,テスト観点ツリーという形式知にして設計レビューに適用した.これによって従来であれば流出したであろう欠陥を設計レビューで検出することができた.また,幾つかの開発プロジェクトで繰り返し適用することで,開発チームメンバの教育効果が認められた.Design Review in the upper process and Test in the lower process are typical detective activity about software development. To improve the quality of Design Review, we changed tacit knowledge into explicit knowledge as Test point of view tree. In this way, we detected undetectable defects before in Design Review. In addition, we used it for some projects repeatedly and confirmed the education effect on development team.
著者
青木 隆行 宮内 邦雄 西村 光彦 中村 和彦
出版者
The Japan Society for Technology of Plasticity
雑誌
塑性と加工 (ISSN:00381586)
巻号頁・発行日
vol.48, no.555, pp.308-312, 2007
被引用文献数
1

A both-sided ironing process for simultaneous ironing of the outer and inner wall surfaces of deeply drawn cans has been developed successfully. The new process produces ring grooves in the can wall by vibrating the inner die along the ironing direction. The up-and-down motion of the inner die changes the ironing condition between the inner die and the outer die to continuously form ring grooves in the wall of ironed cans. The frequency of the vibration of the both-sided ironing process is set at about 4∼6 c⁄min. The profile of ring grooves in the ironed can wall is found to be influenced by the height difference between the outer and inner dies and the amplitude of the vibration. In particular, the greater the amplitude of vibration, the greater the depth of the ring grooves. The bent part of the ring grooves formed by the both-sided ironing process using vibration is the unique point of lowest strength. An ironed can with ring grooves in the wall can be easily squashed by a relatively small force.
著者
大坂 佳保里 蓮沼 良一 チェン メイ フェイ 青木 正敏 福永 淑子 高橋 良佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.44, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】米粉は様々な調理分野において利用されているが、乾式製粉法では米粉を微粒子化するための設備が高額で、米粉の値段も高い。しかしタイ、台湾の水挽き製粉法を利用すると、安価な微粒子米粉を製造することができる。著者らは水挽きに先だって浸漬する水温(5℃、10℃、15℃、25℃)により、製造できる米粉の微粒子径を制御できることを明らかにしている(2011年発表)。本研究では、日本米の浸水温度を同様に4段階に設定し、その粒度分布を詳細に調べるとともに、これを日本で販売されている微粒径乾式製粉米粉、タイおよび台湾の米粉の粒度分布と比べることを目的とした。さらに米粉の製品に関わる米粉の損傷度合などについての特性を明らかにすることも目的とした。【方法】まず、日本米を上記4種類の水温の水に12時間に浸漬した後、水挽き法により製粉し、水分を赤外線水分計によって12%前後に調整した。次いで、4種類の浸水温度の米を水挽きした日本米粉と一般に市販されている日本の乾式微細米粉、タイ米粉と台湾の米粉との粒度分布をレーザー回折式粒度分布機と測色色差計で測定した。さらに、米粉のデンプン粒の損傷状態を調べた。【結果】5℃の米粉の粒度分布ではもっとも細かい粒径が得られ、メジアン径は18μmであった。米粉のメジアン径は水温が高いほど粗くなり、25℃の場合は64μmであった。タイの米粉は37μm、台湾米粉は18μmであった。色相については浸漬水温の差は認められなかった。デンプン粒の損傷状態によって生地の様子は異なり、低温の浸漬水温の米粉ほどコシの強い米麺ができることが明かになった。
著者
太田 里美 菅野 紀明 青木 秀俊 二瓶 和喜 前田 喜晴 田辺 達三 杉江 三郎
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.280-287, 1980

左心および右心の弁の物性的要求条件,また生体弁,心血管補填graftとしての物性を検索するため,豚の大動脈弁,肺動脈弁,心膜,イヌの硬脳膜の新鮮組織およびBioprosthesis処理組織(0.2%GA,0.65%GA,1.3%DAS,98%Ethanol+DAS処理)の引張り強度,伸び率を測定した,また従来の生体弁処理法(4% Formalin,1%Betapropiolaction,70% Ethanol)の物性との比較も行つたその結果,新鮮大動脈弁に対する強度は肺動脈弁67%,心膜84%,硬脳膜52-72%,伸び率はおのおの134%,110~103%,114~86%であった.またBioprosthesis大動脈弁は強度は増すが,伸び率が低下してpliabilityに難のあること,Bioprosthesis肺動脈弁は左心弁への応用には疑問のあること,心膜では新鮮組織の右心の弁または補填材料としての利用は物性的に肯じられるが,Bioprothesisでは瘤形成の危険も考えられること,また従来の処理大動脈弁は物性的に弁破綻の可能性が大であり,Bioprosthesisとは物性的に有意の差のあることなどの知見をえた.
著者
原 實 松田 一巳 原 恵子 三原 忠紘 八木 和一 鳥取 孝安 大沼 悌一 桑名 信匡 青木 恭規 大沢 武志
出版者
日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.33-40, 2008-06-30

39歳の男性。既往歴に1歳時の髄膜炎と、5歳、6歳時各1回の単純型熱性けいれん。10歳時に複雑部分発作(CPS)で発病した。二種類の精神障害がCPS後にみられ、一種類は18歳8カ月から7回みられた不機嫌症で、意識障害がない。他の一種類は20歳2カ月から4回みられ、CPS後に意識清明期を経て現れる意識障害・反復叫喚・自己破壊的行動・攻撃性で、意識清明時に妄想、感情障害が認められた。頭蓋内脳波/ビデオ記録で左海馬と左眼窩前頭部に独立性2発作起始域が記録され、18歳7カ月からみられた左方眼球間代/偏椅・頭部回旋は、左眼窩前頭部の発作症状であった。難治性で、22歳時に左前側頭葉切除術がおこなわれた。術後17年、抗てんかん薬断薬後9年経過し、発作再発せず精神障害もみられない。精神障害の一種は左海馬起始の発作発射拡延による左眼窩前頭部の発作後機能障害、他の一種は左海馬と左眼窩前頭部が関与する発作後精神病と考えられた。
著者
佐藤 寛子 青木 淳 浅岡 浩子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
情報化学討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.J02-J02, 2005

基盤ソフトウェアのオープンソース化は共通技術の共有化によるソフトウェア技術の発展と次世代の育成と継承のために重要である.しかし,化学ソフトウェアの市場は圧倒的に欧米製のもので占められており,かつ共通技術であっても公開されているソースコードは極めて少ないのが現状である.そこで我々は,基盤技術の一つである化学グラフィックソフトウェアのオープンソース化に向けてライブラリの構築を進めてきた.今回,本ライブラリの公開に向けて,その機能と特色について,考え方と合わせて報告する.
著者
佐藤 寛子 青木 淳 浅岡 浩子
出版者
Division of Chemical Information and Computer Sciences The Chemical Society of Japan
雑誌
Journal of Computer Aided Chemistry (ISSN:13458647)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.141-149, 2006
被引用文献数
1

基盤ソフトウェアのオープンソース化は共通技術の共有化によるソフトウェア技術の発展と次世代の育成と継承のために重要である。しかし、化学ソフトウェアの市場は圧倒的に欧米製のもので占められており、かつ共通技術であっても公開されているソースコードは極めて少ないのが現状である。そこで我々は、基盤技術の1つである化学用グラフィックスソフトウェアのオープンソース化に向けてライブラリの構築を進めてきた。2005年12月26日に、本ライブラリを「ケモじゅん」と命名し、公開を開始した。本稿では、2006年8月10日リリースしたケモじゅんの最新版050の機能と特色について,ケモじゅんプロジェクトの考え方と合わせて報告する.
著者
飯島 直樹 青木 秀馬 今村 淳一 瀧口 雅章
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.1477-1482, 2009 (Released:2010-06-18)
参考文献数
6

ピストンリングの低張力化がガソリンエンジンのピストン摩擦力とオイル消費に及ぼす影響について検討するために,浮動ライナ法とSトレース法により両者の同時測定を行った.各リングの低張力化による摩擦力とオイル消費への寄与率について解析を行い,その原因をピストンおよびリング周りの油膜観察により確認した.
著者
山下 恵理 熊谷 修 青木 清
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.2-7, 2015 (Released:2015-03-29)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

【目的】青年期において,食生活と精神的健康度の関係を示した疫学データは十分でない。本研究では,大学生の食品摂取パタンを抽出し,精神的健康度との関係を明らかにする。【方法】大学生男女計269人(男性80人,女性189人)を対象に食品群別摂取頻度調査,精神的健康度,生活習慣で構成した自記式質問紙による調査を実施した。食品摂取パタンは,食品群別摂取頻度調査を基に,因子分析を試行した。また,食品摂取パタンと精神的健康度との関係を明らかにするために重回帰分析を行った。【結果】因子分析の結果,食品摂取パタンとして「副食に植物性食品を高頻度に摂取するパタン」,「肉類,卵,油脂類,いも類を高頻度に摂取するパタン」,「主食の摂取パタン」が抽出された。重回帰分析の結果,「肉類,卵,油脂類,いも類を高頻度に摂取するパタン」とGHQの総合得点及びうつ傾向との間に有意な負の関係が認められた。【結論】大学生において,肉類,卵,油脂類,いも類を高頻度に摂取する食品摂取パタンを有する者は,うつ傾向が低いことが示された。