著者
野村 陵 川本 英樹 吉田 秀則 米田 武史 青木 茂
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会論文集 (ISSN:13465260)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.72-77, 2005 (Released:2005-10-31)
参考文献数
10

高解像度圧縮性CFD解析コードを用いて超音速風洞流路流れの可視化を行った.CFD解析結果の可視化は,流れ方向の気体の密度勾配分布に基づいた仮想的なシュリーレン光学画像処理手法を用いて行った.ここでは,以前に考案した超音速風洞流路流れの特性を利用した最適化手法によるノズル形状の最適化結果を例として,最適化前後のCFD解析結果を可視化し,風洞測定部の気流の変化を確認した.可視化によって,風洞流路内の一様流れ中に発生する微小な圧力波を良く捉えることができ,最適化による風洞測定部の圧力波のわずかな変化を確認することができた.このような可視化手法が微小な圧力波を評価する上で有効な手法であることが判明した.
著者
島村 真介 須賀 一博 江澤 良孝 青木 繁
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.1043-1048, 2008-10-15 (Released:2008-10-18)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

The impact characteristics of a cue in billiards are investigated for the case where a ball is hit on the right or the left part to give a spin. The efficient computational method developed in the previous paper is extended for this investigation. The extended method is verified with an experiment using a high speed camera, i,e., the ball trajectory calculated with the extended method is shown to agree well with that measured using a high speed camera. It is shown from a numerical simulation that the impact force, the ball velocity, the spinning velocity and the deviation of the ball trajectory from the hitting direction increase with increase in the Young's modulus and density of a shaft. Because the proposed analytical method can predict quantitatively these impact characteristics of a cue, it is useful for designing an easy-to-use cue.
著者
瀬古 俊一 青木 良輔 井原 雅行 小林 透
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2013-GN-86, no.15, pp.1-8, 2013-01-09

本研究では, Web 上の欲しい情報を簡易かつ容易に取得可能なユーザインタフェース, InfoSkin を提案する.手軽な情報取得を実現するために実世界でのウィンドウショッピングの行動メタファに着目した.本研究では,そのメタファに基づいて情報の取捨選択を容易に行えるユーザインタフェースを設計・実装し,検証実験を行った.その結果,提案方式が既存のユーザインタフェースと比較して情報に対する興味・認識を向上させる効果があるとともに,ユーザビリティに優れていることを示した.
著者
佐藤 佑 石河 利寛 青木 純一郎 清水 達雄 前嶋 孝
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.165-176, 1977-12-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
35
被引用文献数
2

思春期前期, 思春期, 青年期, 壮年期の男女126名に, 体重あたり負荷が等しい3種類のbicycle ergometer運動を行なわせ, その時の心拍数, 血圧, 呼吸数の変化から運動に対する循環機能の年齢別, 性別反応の特徴を検討し次の結果を得た。1) 心拍数は中等度以上の運動では指数関数的に増加した。また運動強度と心拍数は直線関係にあった。年齢的特徴として, 男子の運動時心拍数は加齢とともに減少する安静時心拍数に比例して, 若年で高く青年・壮年で低くなったが, 強い運動時における壮年の心拍数は一段と高くなった。女子の安静時心拍数は, 男子と同様に年齢とともに減少したが, 同一運動による心拍数は, 男子に比較して大きく増加した。2) 心拍数の立ち上がりは若年で早く, 壮年で遅延する傾向にあった。これは運動終末心拍数を140拍/分に統一した時のtime courseである推定心拍数曲線からも明瞭に認められた。3) 収縮期血圧や脈圧は, いずれの年齢層においても運動強度とともに増加した。とくに壮年男子の運動時の血圧反応は, 若年に比較して大きかった。すなわち安静時の収縮期血圧, 脈圧は加齢とともに増加したが, 運動による反応も若年は小さく, 年齢とともに大きくなり, 壮年は最も大きかった。脈圧の増大は弛緩期血圧の低下より収縮期血圧の増加にもとつくものであった。女子も同様にいずれの年齢層でも運動強度とともに収縮期血圧, 脈圧は増加したが, とくに男子と異なり壮年の増加は小さく, また最強度の運動時血圧はあまり増加しなかった。4) 呼吸数は運動により急激に増加し, 運動後も速やかに安静値に戻った。またいずれの年層においても運動強度の増加とともに呼吸数は増加した。安静時呼吸数は, 男女ともに若年から壮年にかけて加齢とともに減少しているが, 運動による呼吸数の増加も若年で多く, 壮年で少なかった。運動時呼吸数の性差について, 女子は軽運動で男子の中等度運動に相当する増加を示し, 最強度の運動時呼吸数は一段と増加した。5) 心拍数, 血圧, 呼吸数の3指標間で, とくに若年において心拍数と血圧の間に高い相関が認められ, 運動時の循環機能における心拍数の重要性が強く認識された。
著者
青木 亮三
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.3, no.9, pp.711-716, 1961-09-30 (Released:2009-03-26)
参考文献数
5

大気中塵埃放射能の濃度を東京国分寺で1959年4月から1961年6月まで測定した結果, 60年および61年の春季増大(約4~5倍)を検出した。圏界面上放射能蓄積量の拡散降下による減少半減期は300~400日程度と得られた。 γ線スぺクトル測定解析によって, 1959年3月採集の試料から144Ce-144Pr, 106Ru-106Rh, 137Cs-137mBaを, 1960年2月~7月採集の試料から144Ce-144Pr, 106Ru-106Rh, 95Nb, 103Ruを検出した。スぺクトル解析に用いたシンチレータピーク効率にはウェル型NaIのcascade-sum効果を考慮した。
著者
後藤 任孝 青木 功
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.41-44, 2009

日本製紙石巻工場は,平成19年に最新鋭の高速オンマシンコーターであるN6マシンを建設,同年11月に営業運転を開始した。また当工場ではこれに先立ち,N6マシンへDIPを供給するパルプ設備として,日産400トンの高白色新聞DIP設備(HDIP―2)を稼動させた。HDIP―2は近年の古紙品質低下にも対応出来るよう,異物やインキ除去に関わる最新の技術を導入したが,特にインキ剥離工程に関しては,今後古紙への混入率増加が予想されるUVインキやトナー印刷物にも対処すべく,相川鉄工株式会社と共同でニーディング力に優れた4軸タイプの新型ニーダー(商品名:UVブレーカー)を開発,HDIP―2の粗選工程に設置した。<BR>UVブレーカーは,従来型ニーダーの代表機器である2軸型ニーダーとの比較においてダート除去率に優れ,特に粗大ダート区分において効果が大きかった。また4軸のそれぞれのローターについて,回転数の違いによるダート除去効果についても実機で確認し,最適な回転数を見極めた。<BR>本報では,新型ニーダーであるUVブレーカーの開発経緯と石巻工場の実機操業によって確認したダート除去効果について報告する。
著者
青木 孝浩 康 勝好 川口 裕之 久保田 泰央 大山 亮 森 麻希子 荒川 ゆうき 磯部 清孝 野々山 恵章 花田 良二
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.440-443, 2015

ゲムツズマブオゾガマイシン(マイロターグ<sup>®</sup>,以下GO)は,本邦において2005年にCD33陽性の再発・難治性急性骨髄性白血病(以下AML)に対して保険承認された.しかし,成人AMLに対しては用法・用量が定まっている一方で,小児AMLに対する用法・用量は定まっていない.我々はこれまでに寛解導入療法後に非寛解であった小児難治性AML4症例に対し,分割GO単剤療法(9 mg/m<sup>2</sup> 3分割投与)を行い,4例中2例でGO投与後に完全寛解となった.分割GO単剤療法中にGrade 2のinfusion reactionを2例で認め,肝中心静脈閉塞症(以下VOD)は認めなかった.Grade 3の感染症を全例で認めたが,他に重篤な非血液毒性は認めなかった.分割GO単剤療法後は全例で同種造血幹細胞移植(以下HSCT)を行い,3例が再発した.治療関連死亡はなかったが,HSCT後に2例でVODを発症した.有害事象を軽減しうる分割GO単剤療法であっても感染症やその後のHSCT時におけるVODには十分な注意が必要である.
著者
冨浦 洋一 青木 さやか 柴田 雅博 行野 顕正
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1_25-1_46, 2009 (Released:2011-09-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本論文では,ベイズ識別と仮説検定に基づいて,英文書の作成者の母語話者/非母語話者の判別を高精度で行う手法を提案する.品詞 n-gram モデルを言語モデルとし,判別対象の文書の品詞列の生起確率を,母語話者言語モデルにより求めた場合と非母語話者言語モデルにより求めた場合とで比較し,判別を行う.n を大きくすると,母語話者/非母語話者固有の特徴をより良く扱うことが可能となり,判別精度の向上が期待できる反面,ゼロ頻度問題およびスパースネスの問題が顕在化し,品詞 n-gram モデルのパラメタの最尤推定値を信頼することはできくなる.そこで,提案手法では,仮説検定に基づいた方法で両言語モデルにおける生起確率の比を推定する.実験の結果,従来手法を上回る 92.5% の精度で判別できることを確認している.
著者
平野 智章 寺嶋 智巳 中村 智博 境 優 青木 文聡 名波 明菜
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.24-39, 2009-01-05 (Released:2009-01-29)
参考文献数
44
被引用文献数
10 9

森林植生の樹種と流域の水流発生機構との関連性を明らかにするために,針葉樹林流域(1.29 ha)と広葉樹林流域(1.28 ha)において水文観測を行った.ヒノキ林プロットでは地表流の流出応答が大きく,個々の降雨ピークに応答して地表流の流出ピークが現れたが,広葉樹林プロットでは地表流の流出応答は非常に小さかった.各プロットともに土壌の最終浸透能(6.4と26.8 mm / 5min)よりも低いと考えられる降雨強度(4.0 mm / 5 min 未満)において地表流が発生したことから,その流出形態はヒノキ林プロットでは根系流(ヒノキ人工林の根系層を流れる選択的な表層流)であり,広葉樹林プロットでは落葉層をわずかに流れるリターフローであると推察された.総降水量100 mm以上の降雨イベント(P ≧ 100 mm)では,各流域の流出応答および‘Non-reacted water’の寄与量が顕著に大きくなり,大規模台風イベント(P:117.4 mm)では流出ピークの40~50 %は‘Non-reacted water’によって構成されていた.また,降雨イベントの規模によって各流域の‘Non-reacted water’の主要な構成成分は異なる可能性があり,大規模台風イベント時の針葉樹林流域では浅い側方流と根系流,広葉樹林流域では主に浅い側方流が‘Non-reacted water’として短期流出および流出ピークに大きく寄与していると推察された.
著者
大和田 勇人 青木 伸 西山 裕之
出版者
東京理科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

リガンドデータベースを活用した機械学習によるたんぱく質と化合物の結合予測を行った。インシリコ創薬は薬として有望な化合物(リガンド)をコンピュータで選別する手法であるが、ここでは化合物の化学的性質をからSupport Vector Machine(SVM)による機械学習に加えて、化合物の構造を学習するInductive Logic Programming(ILP)を組み合わせ、予測精度の向上を図った。次に、がん放射線治療の副作用低減のためにp53標的放射線防護剤を候補化合物を予測することをターゲットにした。その成果はジャーナルや国際会議で発表した。
著者
岡田 一馬 中田 衛樹 山崎 裕司 山下 望 青木 早紀 山崎 倫 大森 貴允 冨岡 真光
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 = Journal of Kochi Rehabilitation Institute (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.17-22, 2017-03-31

高次脳機能障害を合併した高齢の重症片麻痺患者のベッドへの移乗動作練習に応用行動分析学的技法を取り入れた. ベースライン期(第93病日から106病日)には,総課題提示法による移乗動作練習を実施した.移乗動作手順の忘れや立ち上がり,ベッドへのピボッドターンに介助を要し,移乗動作能力得点は停滞していた.介入では,車椅子のブレーキ操作,フットレスト操作についてベットサイドに文字教示を行った.立ち上がり,ピボットターンの練習では,段階的な難易度設定を実施した.介入開始後,動作能力得点は上昇しはじめ, 16セッション目で満点の45点に到達した.発症から3か月以上を経過した本症例がわずか16日間の介入によって監視下の移乗動作が自立したことから,今回の介入は移乗動作能力を向上させるうえで有効に機能したものと考えられた.
著者
青木 芳夫
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.19, pp.p59-77, 1991-03

1989年11月20日、第44回国連総会は、無投票、全会一致で「子供の権利に関する条約」(略称、子供の権利条約)を採択した。1959年の国連「子供の権利宣言」が、ここに権利条約へと発展を遂げたのである。そして、1990年8月末までに、31ヵ国が批准したことにより、権利条約は9月2日に発効した。さらに105ヵ国が、「署名」によって将来批准する意思のあることを示している。日本は、ニューヨークの国連本部における「子供のための世界サミット」の開幕を直前に控えた9月22日、ようやく署名した。本稿では、これを機会に、筆者が専門としているラテンアメリカ地域、とくにペルーの子供について若干検討することにしたい。なお、筆者は、妻アンヘリカ・パロミーノとともに、1986年以来、「児童画の国際交流をすすめる画塾協会」(The Private Art School Society to Encourage Intemational Exchange of Children's Art 略称、The PASS )の交流事業を支援する機会を得た。そして、この交流相手のひとつとして、筆者自身が1985年に受講したケチュア語の集中講座を主催しているカトリック教会系の「解放の神学」の実践機関であるアンデス司牧研究所(Instituto de Pastoral Andina )を通じて紹介されたのが、やはりカトリック教会系の「子供を支援する会」(Asociacion Ayuda a la Ninez )であり、同機関が支援するストリート・チルドレン」のグループ「フチュイ・ルナ」(Huch' uy Runa )であった。この交流における筆者の体験等を通じて、ペルー・クスコの子供について、また日本のわれわれとの関わりについて、最近流行の用語を使うならば「国際化」はどうあるべきかについて、考えることにする。