著者
小和田 暁子 浜田 有希江 青木 眞里子 郡山 洋一郎 坂野 晶司 寺西 新 黒岩 京子 森 亨
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.434-439, 2007 (Released:2014-07-03)
参考文献数
10

目的 QuantiFERON® TB 検査(以下,QFT 検査)は,ツベルクリン反応検査とは違って,過去の BCG 接種の影響を受けずに結核感染を診断できる新しい検査方法である。この QFT 検査を,2005年 6 月より足立保健所衛生試験所に直営導入し,保健所結核接触者健診における行政検査として実施している。本報告は,その後2006年 3 月までの実施状況を分析し,検討するものである。方法 QFT 検査対象者は,2005年 6 月から2006年 3 月にかけて,肺結核症患者と接触して接触者健診の対象者となった足立保健所管内に住む区民のうち,QFT 検査を受けることについて同意した者67人である。QFT 検査実施時期は,接触者が感染源である肺結核患者との最終接触後 2 か月以降である。すべての QFT 検査は足立保健所衛生試験所細菌検査部門で実施した。また,ツベルクリン反応検査もできる限り同時に実施した。結果 QFT 検査を実施できた接触者総数は67人であった。QFT 検査結果は,陽性が 9 人,判定保留が 5 人,陰性が53人であった。このうち,QFT 検査と同時にツベルクリン反応検査を実施できた接触者は48人,そのうち発赤長径が30 mm 以上の者は22人であった。ツベルクリン反応で発赤長径が30 mm 以上の者で QFT 検査が陽性となった者は 4 人,発赤長径が30 mm 未満であった26人の中で QFT 検査が陽性となった者は 5 人であった。QFT 検査が陽性となった 9 人については化学予防を指示した。このように QFT 検査の導入によって,従来のツベルクリン反応検査に比してより精度の高い潜在結核感染の診断が可能になった。結論 足立保健所では,既存の設備・検査技術を生かして衛生試験所細菌検査部門に QFT 検査を直営導入した。このことにより,QFT 検査の持つ「採血後12時間以内でできるだけすみやかに培養を開始する」という検査制限事項を容易に克服できた。さらに接触者健診の成果としてより精度の高い化学予防対象者の選別が可能になり,保健所の対人保健サービス部門と検査部門の密な連携による保健所機能強化につながった。
著者
青木 栄一
出版者
THE TOHOKU GEOGRAPHICAL ASSOCIATION
雑誌
東北地理 (ISSN:03872777)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.143-149, 1969
被引用文献数
1

In the transportation network of Edo period (1603-1868), coastal shipping played the major role, and roads functioned as its feeders. Many port-towns were prosperous as the place of transshipment in those days. The spread of railway transportation in the later half of the nineteenth century, entirely deprived the port-towns of their economic basis, and compelled them to reshape their economy by means of contact with trunk railway network. Tomo and Shimotsui, on the Inland Sea had been famous as port-towns of economic importance. Each of the two towns consturcted a narrow gauge railway (2 feet 6 inches) in 1910's with its own fund, collecting the petty deposits of the inhabitants, and the railways were operated by the financial aid of the central government. The leaders of the investments were farm-land owners (in case of Tomo) or shipowners (in case of Shimotsui). In both cases, they switched their businesses from brokers of fertilizer (dried herring carried from Hokkaido), who were the richest class in harbour-towns in Edo period. They also regarded their railways as an important contribution to the development of transportation Honshu and Shikoku.
著者
青木 淳一
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学環境科学研究センター紀要 (ISSN:0286584X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.141-145, 1998

A soil zoological investigation was done under the Legacy Project of USA and 82 species of oribatid mites were collected from forest soils in the US Marine Corps located northeastern part of Okinawa Island. They contain one species new to Japan, Arborichthonius styosetosus Norton, and 28 species new to Okinawa Prefecture.
著者
折間 桂子 青木 智子 津久井 亜紀夫
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.178-184, 2008-09-30
被引用文献数
1 1

コンビニエンスストア (CVS) の弁当・おにぎり類の利用実態についてインターネットによるアンケート調査を実施し, 次のような結果が得られた。<BR>  CVS弁当・おにぎり類1人あたりの購入回数は「週に1~2回程度」が多く, 女性の方が男性より多く, 特に30~39歳が頻繁に利用していた。<BR>  弁当・おにぎり類の選択重視点について栄養成分の関心度別によるコレスポンデンス分析の結果では, 栄養成分関心度が高い人は, 「添加物」や「栄養バランス」「季節物」を, 中位の人は「量」や「味」を, 低い人は「価格」をあげる傾向にあった。<BR>  弁当・おにぎり類を買うとき, 消費者の約70%が食品表示ラベルを確認しており, 約85%は信頼していた。<BR>  食品表示ラベル記載の「ナトリウム」と「食塩相当量」の相違については, 約80%が「知らなかった」と答えていた。また, 食塩摂取量について「基準があることは知っていたが, 基準が10g未満であることは知らなかった」が最も多く, 「基準があることも, 基準が10g未満であることも知らなかった」人を合わせると, 全体の70%は10g未満という数値を把握していなかった。<BR>  記載されている食品表示以外で必要だと思う項目は「製造日時」が最も多く, 特に40~49歳で高かった。栄養成分の関心度別によるコレスポンデンス分析では, 栄養成分関心度が高い人は栄養成分項目の追加を, 低い人は食材の生産地や原産国表示に関する項目をあげていた。<BR>  この研究は千代田区の補助金の一部で行った。
著者
青木 直史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IMQ, イメージ・メディア・クオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.485, pp.57-60, 2015-02-24

リアリティのある仮想世界を作り出すには,その前提として,人間がどのようなものにリアリティを感じるのか理解することが重要である.本稿では,食をキーワードとして取り上げ,食からリアリティの本質について考察したい.
著者
岡本 好雄 中橋 喜悦 千野 峰子 松田 和樹 久保田 友晶 岡田 真一 守屋 友美 及川 美幸 李 舞香 木下 明美 青木 正弘 高源 ゆみ 中林 恭子 今野 マユミ 槍澤 大樹 入部 雄司 小倉 浩美 菅野 仁 藤井 寿一
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.470-475, 2013 (Released:2013-07-19)
参考文献数
6
被引用文献数
1 3

腹水濾過濃縮再静注法(CART:Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)とは,腹水症(又は胸水症)患者の腹水(又は胸水)を採取し,濾過濃縮後に再静注する治療法で,我が国で開発されて以来,保険診療の中で30年以上広く実施されている. 当院におけるCARTは各診療科が必要時に臨床工学技士に処理を委託していたが,院内統一の依頼・供給手順や製剤が存在せず,医療安全の面で問題があった.複数患者のCART実施時における患者取り違いのリスクを回避するために,輸血・細胞プロセシング部で申し込みから腹水・胸水処理,供給に至るまでを一括管理することとなった.具体的には,既存の輸血システムを流用し,電子カルテからの申込みと製剤固有バーコードの発行,バーコードによる製剤と患者の照合作業までの安全な供給体制システムを構築した. 次に輸血用血液製剤同様の製剤の安全性に関する基準を作成するために,濃縮前後,および一定条件下での保存後の腹水の性状やエンドトキシン検査に関して検討を行った.濃縮後のアルブミン量は26.5±2.7gであり,回収率は66.8%であった.処理前のアルブミン量に関わらず一定の回収率が得られた.また処理前腹水の4℃一晩保存,あるいは-30℃14日保存においてもエンドトキシンは検出されなかった.今後,冷蔵保存後の処理あるいは冷凍保存分割投与によってCARTを必要とする多くの患者へ適応可能になると考えられる.
著者
青木 千帆子 小高 公聡 丸山 信人
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.315-321, 2016

<p>出版社,電子書籍ビューアー開発者,電子書籍ストア,読書障害者による一連の関係者会議を開催し,読書障害者による使用に関して課題が残されている電子書籍ビューアーに焦点を当てて議論をした。本稿はその成果報告書である。会議における議論から,ビューアーに実装や対応が求められる最も優先度の高い要素として,(1)音声読み上げ機能(TTS)の有効化,(2)TTSによる購入,(3)TTSによる書棚操作,(4)表示されている順にTTSで読む,(5)TTSで文字ごとに読む,(6)TTSによる読む位置の指定,の6項目を示した。また,電子書籍のアクセシビリティを総体的に実現するための提案として,1)アクセシビリティに関する方針を設けること,2)アクセシビリティに関する対応状況を示すこと,そして,3)アクセシビリティについて考える担当の人を設けること,を挙げた。</p>
著者
青木 耕治 Yagami Yoshiaki
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.1773-1780, 1982-10-01
被引用文献数
8

原因不明習慣性流産(習流)に対する疾患感受性遺伝子の関与の有無と,習流夫婦間の主要組織適合性の差異を検討する目的で,習流夫婦26組と,対照として2人以上の子供を有し流産既往のない健常夫婦45組と健康成人206名のHLA-A・B・DR座抗原(A座8種,B座21種,DR座10種)を検索し,更に習流婦人26名についてはHLA-A・B・C抗体とDR抗体をも検索した.その結果:(1)習流夫婦と健康成人のA・B・DR座抗原遺伝子頻度を比較すると,習流夫婦の妻は,A11に関して26.6%を示し,健康成人の8.6%に対し有意に高い傾向を示した.(2)習流夫婦と健常夫婦のHLA適合性を比較すると,DR座について,1つ以上共通抗原を持つ組が前者で84.6%,後者で24.4%であり,明らかな有意差をみた.又,DR座について,夫が陽性で妻が陰性というMajor不適合の全くない組は,前者で26.9%,後者で2.2%あり,有意差をみた.逆のMinor不適合については,有意差はなかつた.(3)抗体の検索では習流婦人1名にA・B・C抗体を認め,DR抗体は全例の習流婦人に陰性であつた.以上の結果から,免疫遺伝学的見地より,A11を持つ妻は流産になりやすい可能性があり,移植免疫学的見地より,夫婦間のDR座抗原適合性が免疫学的妊娠維持機構に破綻をもたらす可能性があるという事が示唆された.
著者
遊馬 邦之 貴田 寿美子 岳藤 一宏 新沼 浩太郎 青木 貴弘 坪野 公夫 中島 啓幾 大師堂 経明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J98-A, no.3, pp.296-308, 2015-03-01

空間FFT電波干渉計は,光学レンズと同様な原理をもつフーリエ結像型の電波アンテナである.格子点上に並んだアンテナアレーとその出力を処理する空間FFTプロセッサが一体となって電波干渉計として機能する.今回開発した空間FFT電波干渉計は,電波天体を高速で連続的に撮像することが可能である.空間FFTによる高速撮像の原理を実証するために,1次元及び2次元のアンテナアレーをもつ幾つかの電波干渉計が作られた.その中でも,栃木県にある早稲田大学那須パルサー観測所に設置された直径20 mの電波望遠鏡8素子からなるアンテナアレーは最大規模の干渉計であり,角度分解能0.1°の性能を有している.このアンテナアレーと,そこに組み込まれたFFTプロセッサによって,50 nsごとの連続撮像が可能な電波望遠鏡が実現した.このような原理に基づく電波望遠鏡の建設は世界で初めてであり,これにより空間FFT電波干渉計の原理動作と有効性が確認された.現在ではこれらの電波干渉計を用いてトランジェント天体やパルサーの探査観測が行われている.
著者
青木 音次郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電氣學會雜誌 (ISSN:00202878)
巻号頁・発行日
vol.51, no.513, pp.216-224, 1931-04-10 (Released:2008-11-20)
参考文献数
2

本文は電車線の斷線,摩耗及び罅裂の状態を檢討し併せて各種材質の耐久力及び壽命に就き論述す。