著者
伊藤 美穂 成田 亮子 赤石 記子 色川 木綿子 宇和川 小百合 大久保 洋子 香西 みどり 加藤 和子 佐藤 幸子 白尾 美佳
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」に基づき、昭和40年頃に食べられていた東京都における家庭料理について聞き書き調査を実施した。今回は、主菜について、23区、都下、島しょの特徴を明らかにすることを目的とした。<br>【方法】東京都に40年以上居住している70歳以上の都民を対象に、昭和40年頃に食べられていた家庭料理について聞き書き調査を実施した。主な調査時期は平成24、25年であるが、随時追加調査を行った。東京都を23区の東部、西部、南部、北部と都下、島しょの6地域に分け、当時食されていた主菜について肉、魚、卵、豆・豆製品、その他に分類して考察した。<br>【結果】肉料理は、23区で多く出現し、中でもすき焼き、とんかつ、ロールキャベツ、餃子などが挙げられた。その他、ステーキやメンチカツ、カレー、ハンバーグなどの洋風料理がみられた。魚料理は、23区では鮭の塩焼き、あじの干物、身欠きにしんの他、種々の魚介を刺身や焼き魚、煮魚、ムニエルにして食していた。都下では、多摩川や浅川などが近いため、川魚のやまめやあゆの料理がみられた。島しょでは、くさやが食されており、伝統的な魚料理の伝承がみられた。その他にもあおむろ、とびうお、ぶだいなど他地域ではみられない魚を使った料理が挙げられた。卵料理は、卵焼き、目玉焼きなどが挙げられ、23区ではオムレツもみられた。納豆や豆腐が23区の日常食に多くみられた。その他の料理として、天ぷらが多くの地域でみられた。23区の東部と北部と比較して、西部と南部に洋風料理が多くみられた。これらの地域では高度経済成長期の中で、食生活が変化していく様子が推察できる。一方、都下や島しょでは、地域の食材に根差した伝統的な食生活がみえた。
著者
香西 みどり 島田 淳子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.360-364, 1985-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
14 10

ジャガイモ煮熟時の最適加熱時間を予測する方法を開発することを目的とした。(1) 軟化の官能評価に良く対応するテクスチュロメーターの硬さを軟化のパラメーターとした。軟化率xは以下のように表わした。y0:硬さの初期値;ye:硬さの平衡値;y:硬さの測定値(2) 軟化は1次の速度式に従い,速度定数kは次式によって示された。k=7.49×1019exp(-1.74×104/T) [min-1]T:絶対温度(°K)(3) 試料の中心から表面までの距離の0.55倍の位置を全体の代表点とし,その位置で軟化率が0.9となる時間を最適加熱時間としたところ,官能評価と良く一致した。更に,0.2~5cm立方のジャガイモ試料を仮定し最適加熱時間と大きさの相関を調べると次式が得られた。Θ=0.98LL2+0.67L+6.15Θ:最適加熱時間(min);L:立方体の1辺の長さ(cm)である。この式で求めたθはL=1~4.6cmの範囲で官能評価と良く一致した。
著者
福留 奈美 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.152, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】調理操作を表す用語・表現の中でも切り方を表す用語・表現は多種多様に存在し、調理初心者は食材や料理によって異なる幅・太さ・長さなどサイズの範囲がわかりにくい。本研究では野菜類・いも類・きのこ類の切り方に着目し、①切り方の用語・表現の食材別用法の整理、②解説書や料理書に見られるサイズ表現の調査、③用語・表現と実際のサイズを照合するための評価法の検討、を目的として調査実験を行った。【方法】1999年以降に出版された切り方の解説書17冊に出現する切り方の用語・表現を食材別に調べた。また2009年度高校家庭科教科書20冊に出現する切り方の用語・表現をサイズに関する修飾表現も含めて抜き出し、用法を整理した。さらに、せん切りなどの線状、みじん切りなどの角状に切る切り方が解説書や料理書においてどのようなサイズ表現がなされているかを調べた。また1~5mm角のニンジンを模した合成樹脂のフードモデルを作成し、調理指導者を対象として用語・表現との対応評価実験を行った。【結果】解説書に登場した切り方の用語・表現は200種以上あり、輪切り、せん切りなどの一般的な切り方、特定の食材との対応が強い飾り切り、フランス料理の切り方のカタカナ表記などが含まれた。家庭科教科書のレシピ表現では、長さや太さの数値的表現、形容詞・副詞による修飾語の有無など様々であった。線状・角状の切り方についてはサイズに幅があり、食材によっても違うため、切り方の解説書や料理書では厳密に特定できていないことがわかった。また切り方の用語・表現と実際のサイズを照合させる方法として様々な切り方のフードモデルをサンプルとして使用することは有効であることが示された。
著者
小口 悦子 山越 美歩 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.691-700, 2011-11-15 (Released:2013-09-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The relationship is clarified between the form of choux pastry when baking, and the expansion and cavity formation in choux pastry prepared at different preheating temperatures.The preheating temperature was varied from a level at which the dough did not gelatinize to a higher level. Experimental results show that the expansion and cavity formation in choux pastry depended on its form for baking despite its degree of gelatinization or viscosity. Choux pastry samples free on a baking sheet and preheated up to 98℃ could expand with a single cavity during subsequent baking at more than80℃, but could not expand when preheated up to 70℃. Although choux pastry samples placed in a baking cup and preheated up to 70℃ could expand during subsequent baking. DSC measurements showed that the dough had not sufficiently gelatinized when preheated to this temperature. Despite adequate viscosity when preheating the dough up to 98℃, expansion and cavity formation were insufficient with some sizes of baking cup. The preheating temperature was not critical for good expansion and cavity formation to be obtained with the ratio (height/diameter) of dough more than 0.14.
著者
香西 みどり
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.506-510, 2011-10-15 (Released:2011-11-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

As heating proceeds during the cooking of rice, starch granules within the rice grains absorb water, swell, and then gelatinize. To determine the optimal cooking conditions for various kinds of rice, it is desirable to be able to detect differences in the water absorption of rice grains during cooking. NMR imaging was used to follow changes in the content and distribution of water during the cooking of Nipponbare (Japonica), Khao Dawk Mali (Indica) and High Amylose (Indica) rice. Samples were cooked for various cooking times in closed-glass vials, quenched to stop the cooking process, and then investigated using two-dimensional multi-echo 1H imaging at room temperature. Images obtained from the first-echo revealed changes in the water distribution of the rice grains. T2 images calculated using the echoes were converted into quantitatively reliable contour maps of the water concentrations using an empirical T2 vs. water content calibration determined from a series of water/rice starch mixtures. Japonica rice samples with different milled ratios were also investigated to observe the effect of rice grain husks on water absorption. The degree of gelatinization of rice during cooking was measured by the β-amylase·pullulanase method (BAP) and Fourier-transform infrared spectroscopy (FT-IR/ATR). An FT-IR peak seen at around 1 000 cm-1 increased with increasing cooking time. There was a high correlation in the degree of gelatinization between the FT-IR method and the BAP method.
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 冨永 典子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.154-162, 2006

A questionnaire survey was conducted to identify the regional variety of Japanese New Year's dishes and how they are prepared.<br>Questionnaires were sent out to students of universities and colleges throughout Japan in December 2001 and 2608 questionnaires were collected in January 2002.<br>Japanese soba was eaten by 74.8% of Japanese on New Year's eve, while Okinawa soba was eaten by 58.8% in Okinawa. Osechi dishes were eaten by 79.6% during the New Year period, most being homemade although some were bought from shops. Kuromame was most commonly eaten, followed by boiled fish paste, cooked herring roe, cooked sweet-potato paste, cooked vegetables, cooked sardines, fried eggs, rolled kombu and vinegared dishes. The cooked vegetables and vinegared dishes were mostly homemade, while fried eggs and boiled fish paste were mostly purchased from shops. The popularity of Japanese New Year's dishes varied according to the region although it has decreased compared to that of 23 years ago.
著者
飯島 久美子 小西 史子 綾部 園子 村上 知子 香西 みどり 冨永 典子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.179, 2005

<b>目的</b> 年越しから正月、七草、鏡開きと、新年を祝うための行事は日々の生活の節目として古来日本各地で大切に行なわれてきた。それに伴う行事食もハレの料理として受け継がれている。しかし近年、生活様式の変化による調理の外部化、簡素化の進行は、伝統的な食習慣に少なからぬ影響を与えていると考えられる。そこで現在の年越し・正月(年末年始)の食習慣の実態を調査し、地域性との関連から行事食の変化の有無を知ることを目的とした。<br><b>方法</b>調査は自記式調査票により行ない、日本全国の大学・短期大学の学生を調査対象とした。2001年12月に調査票を配付、2002年1月に回収し、2608名から有効回答を得た。<br><b>結果</b>年越し(大晦日)に決まって食べるものは日本そばが最も多く、全国での喫食率は74.8%であった。沖縄では沖縄そばが58.8%と多く、日本そばは31.4%で、沖縄そばを年越し料理としていることがわかった。正月に食べるおせち料理の喫食率は全国平均で72.7%であり、手作りのおせち料理と市販品を合わせて利用している家庭が非常に多かった。そのうち市販のおせち料理セットは一割近くが利用していた。おせち料理の中で、最も喫食率が高いのは「黒豆」で、続いて「かまぼこ」、「数の子」、「きんとん」、「煮物」、「田作り」、「伊達巻」、「昆布巻き」、「なます」の順であった。「煮物」「なます」は手作りされることが多く、「伊達巻き」「かまぼこ」は既製品の割合が多かった。また、地域別に喫食率を比較すると「きんとん」は関東・東海で、「田作り」は東海・甲信・近畿で、「伊達巻き」は関東・甲信で特に喫食率が高かった。
著者
田中 佐知 早瀬 明子 花坂 照彦 粟津原 元子 畑江 敬子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.92, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 オーブンレンジでは,コンベクションオーブンによる緩慢加熱,電子レンジによる急速加熱,さらにそれらの組み合わせ加熱がある。前報でこれらの中で急速加熱を長くした組合せ加熱が旨み成分をより保持することが明らかになった。本研究ではこれらの3つの方法で加熱した鶏肉の食味評価を行い,鶏肉のおいしい加熱法について検討した。 【方法】 試料である鶏もも肉(170×120×20mm,250g)をオーブンレンジ内の焼き網上に載せ,緩慢加熱(オーブン210℃加熱),急速加熱(レンジ500W加熱),組合せ加熱(急速加熱→緩慢加熱)の3つの加熱方法により,それぞれ常温(20℃)から試料中心温度が90℃になるまで加熱した。そして,それぞれの試料において,重量保持率,面積保持率,水分量,破断強度,多汁性を測定し,物性の違いを測定した。さらに,一般パネル72名を対象に順位法による官能検査を行い,物性と嗜好性の関係を評価した。 【結果】 重量保持率と面積保持率は,急速加熱>組合せ加熱>緩慢加熱の順となり,水分保持量は,緩慢加熱に対して組合せ加熱と急速加熱が1.1倍であった。破断強度は,緩慢加熱>組合せ加熱>急速加熱の順であり,肉の硬さは,急速加熱に比べて組合せ加熱が1.6倍,緩慢加熱が4.2倍であった。多汁性は,緩慢加熱で最も低く,組合せ加熱で最も高い傾向であった。官能評価では,急速加熱が他の2つの加熱調理法に比べ1%有意で好まれない結果が得られ,その理由は「パサパサしている」が多かった。以上の結果から,組合せ加熱では,うまみ成分が保持されて味が濃く,ジューシーで水分が保持されている特性を持ち,3つの加熱調理法の中で鶏肉を最もおいしく調理できることを確認した。
著者
森田 亜紀 早川 文代 香西 みどり
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.13-23, 2020-01-15 (Released:2020-01-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1

パルミジャーノ・レッジャーノを添加したチーズブレッドの風味に寄与する成分について,アミノ酸,脂肪酸,有機酸からなる32成分モデルチーズを用いた評価を実施した.チーズブレッドの風味に対して,オミッションテストにより,アミノ酸,脂肪酸の寄与が大きいこと,さらに,アディッションテストにより,グルタミン酸ナトリウム,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン,プロリン,酪酸が風味に影響していることが確認できた.これら8成分を添加することによりパルミジャーノ・レッジャーノを添加したパンの風味に関する官能特性を再現できた.アディッションテストの結果を主成分分析で解析したところ,第1主成分は「チーズの濃厚感」,第2主成分は「パンらしい香ばしさ」,第3主成分は「発酵香」と解釈でき,これらの風味特性のバランスでチーズブレッドの風味が形成されていることが確認できた.グルタミン酸ナトリウムはうま味だけでなく,チーズブレッドの風味形成に大きな役割を果たしていた.揮発性成分の分析結果より,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニンを添加することにより,イーストの発酵により生成するアルデヒド類やアルコール類,メイラード反応で生成するアルデヒド類が増加しており,これら成分がチーズブレッドの風味を形成していると考えられた.本研究により,チーズブレッドの風味に寄与する8成分をパン生地に添加することで,チーズブレッドの風味を再現でき,その製パン性はチーズブレッドよりも良好であったことから,良好な品質のチーズ風味ブレッドを作成する手段を提案できた.
著者
栗田 敬 熊谷 一郎 市原 美恵 小川 歩実 熊谷 美智世 永田 裕作 香西 みどり
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

Karinto is one of the typical traditional sweets, which is classified as a puffed confectionery. When we examine the cross section of karinto we can recognize amazing resemblance to the texture of vesiculated pyroclastic materials. This gives us an idea that the formation mechanism of karinto seems collateral to that of pumice and scoria in volcanic process and it would help deep understanding of magmatic vesiculation process. This is the starting point of our research on karinto.Here we report experimental investigation on the formation of karinto,cooking process. Particularly we focus on the sound generation during the cooking to characterize vesiculation process. The basic material of the starting dough is flour,baking soda,sugar and water. Baking soda and water determine volatility of the sample. Heating induces vaporization of water and thermal decomposition of baking soda, which result in volume-expansion and create a peculiar vesiculated texture. To see the control of this we tested following 4 sets of the composition;Sample A:flour 50g,baking soda 2g,sugar 10g,water 25gSample B:flour 50g,baking soda 0g,sugar 0g,water 25gSample C:flour 50g,baking soda 2g,sugar 0g,water 25gSample E:flour 50g,baking soda 0g,sugar 0g,water 30gSample A is based on the standard recipe of karinto. Sample C and E seem interesting to see the effect of volatile components.In the cooking experiment we put the dough of 50mm in length x 10mm in width x 6mm in thickness into hot oil at 180-170C. Soon after start of deep frying familiar cooking sound becomes audible. We recorded this and took movie by high speed camera to inspect size and location of bubbles which emanate from the dough. Common to all the composition the sound changes systematically; in the first several minutes continuous sound with flat spectrum to 25KHz emanates while after this high frequency component gradually decreases and prominent peaks in the spectrum appear in several hundreds Hz, which sound as "chant d'Oiseau". Associated with this transition size of bubbles which appear on the surface of dough changes from broad distribution to homogeneous. Also the vesiculation points become localized. All these observations are consistently interpreted that after 4-5minutes steady paths of the gas emission from the inside have been set up. The talented experienced patissier could discriminate the difference of the sound to inspect maturity.Only in the case of Sample E destructive explosions were observed at about 2 minutes from the start. During heating two competing processes are working inside the dough:solidification which proceeds from the outside and gas formation. Both are driven by higher temperature. When the solidification advances ahead hard shell is formed to impede escape of gas, which results in accumulation of high vapour pressure inside. This is the cause of the explosion. The standard recipe smartly avoids this route by arranging combination of the ingredients but in our experiments we seek the condition for explosion.In the presentation we report progressive evolution of the spectrum of cooking sound with textural evolution in relation with magmatic process.
著者
佐藤 瑶子 入山 明日香 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.165-172, 2018 (Released:2018-06-22)
参考文献数
14

湿式加熱における品質制御の視点から,蒸し加熱及びゆで加熱の軟化の速度定数を測定し,試料内部の温度及び硬さの変化を予測し,官能評価を行った。軟化の速度定数は,85℃付近ではゆで加熱が,100℃付近では蒸し加熱の方が大きかった。しかし,蒸し加熱とゆで加熱の硬さの平均値から求めた軟化速度を用いて加熱時間を予測し,実際に試料を加熱して官能評価を行ったところ,加熱法によって硬さの評価に有意な差は認められなかった。よって,硬さの測定結果より,蒸し加熱とゆで加熱では温度域によって軟化速度にわずかな差はあるものの,加熱時間を同じとしても,ほぼ同程度の硬さに仕上がることを官能評価の結果から確認した。
著者
笠松 千夏 米田 千恵 村上 知子 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.217, 2005

<b>目的</b> カキは生食の他,牡蠣そば,カキフライ,土手鍋など様々な調理方法で食されている。近年,天然のカキが減少し,養殖カキの消費量が増加する中,養殖カキの一般成分の季節変動および加熱による物性変化を明らかにすることを目的とした。<br><b>方法</b> 北海道厚岸産養殖マガキを殻付きのまま入手し,一般成分(水分・タンパク質・脂質・灰分・炭水化物),グリコーゲン量を測定した。加熱試料は,広島県産養殖マガキを剥き身で購入し,ポリプロピレン袋に脱気密封し,沸騰水中で2,10,30分間加熱後室温に冷却した。物性は,テクスチャーアナライザTA-XT plus(SMS製)にφ5mmシリンダー,カッターの刃,ニードルの3種のプランジャーを装着し,それぞれ圧縮強度,剪断力,貫通による破断強度を求め官能評価と対応させた。<br><b>結果</b> マガキ試料の一般成分の季節変化は,夏季の産卵直後に水分の割合が増加し,その後炭水化物量が徐々に増加した。呈味に関与する成分であるグリコーゲンは産卵期前後で最小となり,秋から初冬にかけて最大となった。加熱によりカキ表面の膜は凝固変性し硬化するのに対し,カキ体幹部は生が最も剪断力が強く,加熱2分でゲル化しやわらかくなった。加熱10分以降は収縮し脱水により硬くなった。最も身がふっくらしエキスの流出が少なかったのは,加熱2分以下(試料の中心が70℃まで)の状態であった。
著者
脇田 美佳 前田 文子 濱田 陽子 高橋 恭子 瀬尾 弘子 福留 奈美 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.17, 2004

[目的] 天丼、うな丼など丼物は古くから日本人になじみがある。また、近年多忙なサラリーマンや、手軽でおいしいものを求める若者のライフスタイルにマッチするためか、丼物のファーストフード店がブームである。本研究では丼物の種類や食材の種類、食べ方についての実態を知り、丼物が食生活の中で果たしている役割と新たな可能性を探るとともに、丼物と若者の食との関わりについて考察することを目的とした。<br>[方法] 全国の大学、短大等の学生及び職員に、1年間に家庭で食べた丼物・味付け飯についてアンケートを行った。調査期間は2003年10月から11月、1371名から回答を得た。<br>[結果] 家庭でよく食べられる丼物は親子丼、牛丼、カツ丼、天丼であり、これらについての地域差はほとんどなかった。また、親子丼、他人丼、そぼろ丼は手作りが多いのに対し、うな丼、牛丼、天丼、ビビンバなどは、調理済み食品あるいは半調理品の利用が多かった。ひとつの丼に材料として用いられる野菜は0から2種類、肉・魚・卵については1から2種類が多かった。丼物を家庭で食べるとき、22%の人は丼のみを食べ、丼に1品を添えて食べる人は44%で、添えられる品は汁物が多く、2品を添える人は26%で、汁物に加えて漬物・野菜・海草料理を食べる例が多かった。丼物を好きな人は82%、家庭で食べる頻度は月1から2回以上が66%であった。食べる理由は、好きだから、調理や後片づけが簡単という理由が多く、栄養的なバランスをとりやすいからという理由は少なかった。丼物は汁物や野菜料理等と組み合わせて食べることで栄養のバランスもとれ、また、手軽に楽しめることから、食事が偏りがちな若者の食生活改善にも有効である。
著者
伊藤 純子 香西 みどり 貝沼 やす子 畑江 敬子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.531-538, 2004-10-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

炊飯時に7種類の調味料(食塩,醤油,清酒,食酢,上白糖,カレー粉,トマトペースト)を添加し,米飯の炊飯特性に及ぼす影響について検討した.1) 吸水率は全ての調味料において浸漬後30分間の増加が著しく,調味料の添加により,吸水が阻害される傾向が見られ,特に食塩,醤油,トマトペーストで顕著であった.2倍濃度の調味液に浸漬させた場合,ほぼ全ての調味料において,浸漬初期の段階で濃度に依存して吸水が阻害される傾向があった.食酢浸漬の場合,120分後の吸水率は2倍濃度の方が大きく,長時間の酢酸浸漬に伴って米粒表層のタンパク質が溶出し,水が米の組織内に取り込まれやすい状態になったのではないかと考えられた.2) 加熱吸水率は60°C以上での増加が著しいが,調味料の添加により,吸水が阻害される傾向が見られ,食塩,醤油,トマトペーストで顕著であった.特に食塩は濃度に依存して吸水が妨げられ,逆に食酢は吸水が促進された.また,全ての調味料において加熱直前に添加した方が吸水が阻害されない傾向が見られた.3) 炊飯中の温度履歴は食塩,醤油,清酒,食酢,上白糖を添加した場合,無添加とほぼ同様であったが,カレー粉,トマトペーストを添加した場合,炊飯中の温度上昇が一定でなく,釜内の温度分布も不均一であった.特にトマトペーストは温度の立ち上がりが非常に遅かった.4) 米飯の水分含量は20°C・1h放置後において,清酒と食酢を除くいずれにおいても無添加より有意に少なく,5°C・24h低温保存後では,無添加に比べ食塩,上白糖,カレー粉で有意に少なかった.トマトペーストでは20°C・1h放置よりも5°C・24h放置後の方が有意に水分含量が高く,澱粉の老化に伴う結合水から自由水への変化が大きかったことが考えられた.5) 米飯の硬さは,20°C・1h後では食酢を除く全ての調味料で無添加より有意に大きく,5°C・24h後では上白糖,カレー粉,トマトペーストで無添加より有意に大きかった.米飯の粘りは,食酢において20°C・1h後および5°C・24h後ともに無添加より有意に大きかった.米飯の付着性は,食酢で20°C・1h後,5°C・24h後ともにいずれの調味料よりも有意に大きく,一方上白糖,カレー粉,トマトペーストは5°C・24h後において無添加より有意に小さかった.以上の結果を調味料ごとにまとめると,食塩,醤油は吸水を阻害し,水分の少ない硬い飯になった.清酒は吸水を阻害し,水分量に有意差はないものの,硬い飯になった.食酢は吸水を阻害するものの,水分量,硬さに有意差はなく,粘り,付着性の高い飯になった.上白糖,カレー粉,トマトペーストは吸水を阻害し,水分の少ない硬い飯となり,5°C・24h低温保存後の飯は無添加より硬くて付着性の小さい飯となった.このように本研究では添加する調味料の種類によって炊飯特性が様々に異なり,米飯の仕上がりに影響することが分かった.
著者
土肥 沙有里 飯島 久美子 香西 みどり
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.165, 2012 (Released:2013-09-18)

目的 真空調理法は食品を調味液と一緒にフィルムに入れ、減圧状態で包装してから加熱する調理方法であり、煮崩れしにくく、味がしみこみやすいと一般的にいわれているが、基礎的な研究に関する報告は少ない。そこで本研究では、減圧処理が食品に及ぼす影響を明らかにするために、種々の検討を行った。方法 試料としてダイコンを用いた。真空包装機による真空包装試料、真空デシケーターによる減圧処理試料(0~0.8 atm)を調製し、対照を大気圧試料として、真空包装後に加熱した試料の硬さ、生試料中央部の切片における生細胞率、密度測定による空隙率、生および加熱試料における調味液(食塩水、しょうゆ溶液)浸漬後の食塩濃度の測定を行った。結果 真空包装し20℃で2または4時間放置後に沸騰水加熱をした試料でわずかな硬化傾向が見られた。各減圧処理および処理後1~5日間の4℃保存による生細胞率の明瞭な変化は確認されなかった。減圧処理による試料の空隙率の明瞭な低下は見られなかった。加熱後に食塩水中で0 atmの減圧処理した試料では、浸漬10分で外側において対照よりやや高い食塩濃度を示したが、適度な濃度となる30分以上では差がみられなかった。試料と同量のしょうゆ溶液と共に真空包装した試料および10倍量の同液中に浸漬した対照試料を95℃で加熱すると、少ない調味液量の真空包装試料は調味液が十分な対照試料より低い塩分濃度を示した。以上より、減圧処理による細胞膜の損傷はわずかであり、調味液中の食塩拡散の明らかな促進は認められなかった。真空調理法は成分の溶出と煮崩れが防止できるため、少量の濃い調味液で加熱することで、より効果的に利用できることが示された。
著者
遠藤 瑶子 渥美 恵理 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.422-428, 2012 (Released:2013-12-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

ダイコン,ニンジン,ジャガイモの1~3cm角を20℃,0.8~2.0% NaCl水溶液に浸漬した時の試料内部の食塩濃度分布の経時変化をプログラム計算により算出した。プログラムは三次元熱伝導および拡散解析に基づく差分法を用い,Visual Basic(Microsoft)により作成した。水から加熱し余熱を利用して適度な硬さとしたものを試料とした。計算により試料全体の平均濃度が0.6~0.9%になる時間を求め,実際に試料を調製し,塩味の濃さについて-2から+2の5段階評点法で官能評価を行った。官能評価の結果,0.8~1.5% NaCl水溶液浸漬時の試料全体の平均濃度が0.7%であれば,野菜の種類やサイズによらず適度な食塩濃度であった。2.0% NaCl水溶液では試料断面の食塩濃度分布から表面付近が濃すぎて適度な状態が得られなかった。加熱時の調味時間はそれぞれジャガイモ>ニンジン>ダイコンの順に長かった。
著者
金城 みなみ 佐藤 瑶子 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成26年度(一社)日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.74, 2014 (Released:2014-10-02)

【目的】煮物調理のおいしさを決定する上で味付けの状態は重要な要因であり、品質一定の調理品を得るには調味料成分の拡散過程の予測が必要である。本研究では調味の中でも甘味と塩味に着目し、両者の変化を同時にシミュレーションすることで実際の加熱調理における両者の関係を把握することとし、予測に必要なショ糖の拡散係数の測定も行った。 【方法】20、50、70℃の0.15 M(5.13%)ショ糖溶液に浸漬した2cm角ダイコンのショ糖濃度の経時変化をフェノール硫酸法により測定した値を用い、三次元拡散方程式に基づくプログラム計算より各温度における拡散係数を求めた。試料を1mm3の体積要素の集合体とみなし、試料中の各体積要素のショ糖濃度を得られた拡散係数を用いて予測し、全ての体積要素の平均値を試料全体平均ショ糖濃度の予測値とした。2cm角ダイコンを0.15Mショ糖水溶液で室温から99.5℃で1時間加熱後のショ糖濃度の予測値と実測値を比較した。ショ糖及び食塩1)の拡散係数を用い、20種以上の料理書等のレシピを参考にし、実際の調理におけるダイコン中のショ糖及び食塩の拡散過程を予測した。 【結果】ダイコン中のショ糖の拡散係数は、20℃:0.38×10-5 cm2/s、50℃:0.73×10-5 cm2/s、70℃:1.48×10-5 cm2/sであり、それらの温度依存性をアレニウスの式で表した。温度変化を伴う調理におけるショ糖濃度の経時変化の予測値と実測値は概ね一致した。料理書等の煮物調理における調理過程をシミュレーションした結果、調味液中のショ糖濃度が4~6%、食塩濃度が1~5%の時、ダイコン中の食塩濃度は0.6±0.1%とほぼ適度であり、この時のショ糖濃度は2~4%であった。 1)遠藤ら,日調科誌,46,8-14(2013)
著者
長尾 慶子 喜多 記子 天野 里香 森田 真由美 香西 みどり 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.491-496, 2005-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
10

Keiko Nagao Noriko Kita Rika Amano Mayumi Morita Midori Kasai Keiko Hatae“Covered food cooking” is a parcel cooking method in which meat or fish is usually covered with Japanese paper or salt. We evaluated wheat flour dough, pie dough, mashed potato, misogama (miso and flour) and shiogama (salt and egg white) for food parcel wrapping in this study. The thermal diffusivity (α) of each sample was calculated from measurements of the thermal conductivity (λ), heat capacity (c) and density (ρ). The internal temperature along one axis was measured during heating, and the heat retardation time was calculated. The various materials used for covered food cooking were then studied for their properties.Shiogama had the highest thermal conductivity, being followed by mashed potato, wheat flour dough, misogama and pie dough in that order. The retardation time τ(χ), an index of heating rate, tended to follow the order of thermal conductivity for the covering materials. A high correlation was seen between 1/τ(χ) and thermal diffusivity(α).The retardation time in cooling made shiogama easy to heat and easy to cool, so it could not retain the heating effect. Misogama, wheat flour dough and pie dough retained the heating effect much better than shiogama.
著者
吉田 里緒 佐藤 瑶子 飯島 久美子 辻 ひろみ 香西 みどり
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.53, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】スチームコンベクションオーブン(以下、スチコン)は、大量調理施設等で広く利用され、ゆでる、蒸す等の調理も可能である。加熱時には温度、時間、蒸気量の設定が必要であるが、これらを考慮した根菜類の加熱時間の設定に関する報告は見られない。そこで本研究では、スチコンでジャガイモを蒸し又はゆで加熱する際の中心温度及び硬さの予測から試料が適度な硬さになるまでの最適加熱時間を算出し、実験により検証した。【方法】スチコン(tanico,TSC-10GB)を用いて、設定温度100℃、設定蒸気量100%で試料を加熱した。試料は2cm角ジャガイモとし、加熱中の庫内温度、水温、試料中心温度を測定した。蒸し加熱は穴あきホテルパンを使用し、ゆで加熱はホテルパンに水と試料を合計3kg(重量比1:1)入れた。蒸し加熱では庫内温度、ゆで加熱では水温に基づき、試料中心温度及び硬さの変化をプログラム計算により予測し、適度な硬さになるまでの最適加熱時間を算出した。実際に試料を加熱し、硬さの測定(テクスチャーアナライザー)及び官能評価(5段階評点法)を行った。【結果】スチコンでの蒸し及びゆで加熱中の試料中心温度の実測値は予測値と概ね一致した。2cm角ジャガイモの最適加熱時間は、蒸し加熱で10.2分だった。ゆで加熱は16.2分であり、その内訳は水温上昇11.4分、沸騰継続4.8分だった。実際に加熱した試料は官能評価によりいずれも適度な硬さと評価された。ゆで加熱では、ホテルパンの枚数が多くなるほど水温上昇が緩慢になり、水温が99℃になるまでの時間はホテルパンの枚数と直線関係が認められた。そのため、最適加熱時間もホテルパンの枚数が増えるほど長くなり、ホテルパンを10枚使用したときは1枚使用したときよりも加熱時間を9.2分延長する必要があった。