著者
鈴木 啓生 大浦 一雅 山原 可奈子 金 正門 田口 啓太 高橋 海 高橋 健太 岩岡 和博 前田 哲也
出版者
岩手医学会
雑誌
岩手医学雑誌 (ISSN:00213284)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.191-204, 2020 (Released:2021-01-31)
参考文献数
50

パーキンソン病における骨粗鬆症は骨折のリスクのため予防が重要である.骨代謝は性別,年齢,栄養状態や活動度に影響される.パーキンソン病は運動障害が主徴であり,これらを一致させた上で比較が必要だが,同様の検討はない.本研究は慢性期脳血管障害を疾患対照とし,骨密度と骨代謝マーカーを用いて病態を検討した.両群50例を前向きに登録した.パーキンソン病は骨密度低値,酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値,血清総ホモシステイン高値,活性型ビタミンD低値であった.骨粗鬆症を有する両群間比較ではパーキンソン病は活性型ビタミンD低値であった.パーキンソン病で骨粗鬆症を有する群はない群より女性が多く,body mass index低値,臨床重症度高値,1型コラーゲン架橋N-テロペプチドと酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ高値であった.パーキンソン病の骨粗鬆症の病態には一般的リスクに加え骨吸収亢進とビタミンD関連骨形成不全,パーキンソン病自体の重症度の関与が示唆された.
著者
高橋 健 早瀬 仁則 初澤 毅
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌E(センサ・マイクロマシン部門誌) (ISSN:13418939)
巻号頁・発行日
vol.120, no.4, pp.156-161, 2000-03-20 (Released:2009-04-01)
参考文献数
8
被引用文献数
1

A fabrication process of tungsten probes for surface profile measurements has been improved. The probe contour is designed to have an optimum shape for the use of tapping stylus. An improved DC electropolishing is applied for the elimination of surface impurities and smaller stylus radius with exponential contour, which uses an electrical flushing and a surface tension control of the electrolyte. The process is experimentally confirmed to have advantages for the fabrication of the stabilized stylus contour, typically with a stylus radius of 30nm. They have smoother contours compared with those fabricated by AC electropolishing.
著者
稲葉 通将 大畠 菜央実 高橋 健一 鳥海 不二夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.2392-2402, 2016-11-15

本研究では,人狼ゲームにおけるプレイヤの発話内容を表現するタグを設計し,それらのタグを人狼BBSにおけるプレイヤの発話に付与し分析を行った.分析では,襲撃対象,および処刑対象の決定にプレイヤごとの発話の傾向がどのように影響するのか,また,ゲーム全体のコミュニケーションの傾向とゲームの勝敗の関係について調査した.分析の結果,人間側,人狼側の各プレイヤが自陣営の勝利のために効果的なコミュニケーション戦略,および特定のコミュニケーションとプレイヤの行動の関係が明らかとなった.We focus on a communication game "Werewolf". Our final objective is making a werewolf player agent. In this paper, as a first step, we analyze this game using players' utterances. We define a tag set that describes player's dialogue act and annotate utterances in the Werewolf BBS with these tags. By using these annotated utterances, we analyze the relationships between the trend of the types of the utterances and decision-making and victory or defeat. The results of the analysis clarify effective actions in werewolf in order to win.
著者
平田 佑也 稲葉 通将 高橋 健一 鳥海 不二夫 大澤 博隆 片上 大輔 篠田 孝祐
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

本研究ではコミュニケーションゲームとして知られる「人狼」をプレイできるエージェントの構築を目指している.人間同士での人狼プレイログから,プレイヤー自身がどのように振る舞うか,他プレイヤーに対してどのような判断を下すのかといった情報を取得し,任意のゲーム状況における行動の選択確率を求めた.これを用いて人狼エージェントを作成し,人間同士でのゲーム結果と似たものとなるか,シミュレーションを行った.
著者
三浦 信幸 横路 誠司 井上 香織 高橋 克巳 高橋 健司 島 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.39-44, 1999-11-25

本稿では,インターネット上に存在する雑多な形式の情報を,位置に応じて適切に提供するための情報構造化や情報フィルタリングを行う手法を検討する.このような情報を適切に提供するためには,雑多な形式の情報に対して構造化を行い,構造化された結果を利用して,位置を含めた様々な観点から情報を分類・フィルタリングする必要がある.検討した手法では,情報構造化に際してパターンマッチや特定分野の辞書を用いた形態素解析などを行う.また,情報フィルタリングに際しては,構造化された情報と構造化されなかったHTMLファイル中の名詞や固有名詞の中からtfidf値を参考に頻出する情報を抽出する.さらに,検討した手法のプロトタイプである,モーバイルインフォサーチ3実験(MIS3)について紹介する.
著者
眞田 雅人 俵積田 裕紀 佐久間 大輔 本木下 亮 高橋 健吾 松山 金寛 前田 昌隆 東郷 泰久 小倉 雅 藤井 康成 永野 聡 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.661-663, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
3

今回我々は,巨大な痛風結節を生じ,手術加療を要した症例を経験したので報告する.症例は37歳男性.20歳の時に痛風と診断された.度々痛風発作があったが放置.今回全身の関節に腫脹疼痛があり,手指の把握困難,起立歩行困難のため入院となった.四肢関節,特に両肘,両膝,左母趾には巨大な皮下腫瘤を認めた.両膝の関節液より尿酸Na結晶が検出され痛風関節炎と診断した.約2週間保存的に加療し全身痛は改善したが,左肘・手指・膝・母趾の疼痛が持続するため,痛風結節の掻爬術を行った.術後症状の改善がみられた.痛風の治療は,薬物療法が確立されており,痛風結節を生じる症例は稀である.痛風結節に対しては薬物療法が基本であるが,抵抗性の場合は手術が必要となる.本症例は,薬物療法に抵抗し,疼痛・機能障害が改善しないため手術を行った.尿酸値は徐々に改善しており,手術が尿酸代謝の改善に好影響を与えたものと考える.
著者
高橋 健二 坂井 義春
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.10-15, 1982-05-26 (Released:2009-12-17)
参考文献数
6
被引用文献数
1

ミカン園の雑草対策として除草剤を散布した場合, 園内に生息しているミミズが死滅する現象がしばしば発生し, 各地で問題になっているので, その原因を究明するとともに改善策について検討した。1) 数種の除草剤をミミズ (セグロミミズ) に直接散布した場合, パラコートでは害作用は全く認められなかったが, DCPA・NAC剤は散布後短時間でミミズを死亡させ, グリホサート, ブロマシルとターバシル・DCMU剤も同様な作用がみられた。土壌中のミミズに対して地表面から除草剤を散布すると, DCPA・NAC剤は約半数のミミズを死亡させたが, 他の除草剤ではミミズに対する害作用は全く認められなかった。2) 除草剤を散布する時に希釈水に加用する展着剤をミミズに直接散布すると, SWK, ASP-30, Yでは殺ミミズ作用は顕著に現われ, 散布後短時間のうちにミミズは死亡した。土壌中のミミズに地表面からこれらの展着剤を散布した場合には, 殺ミミズ作用は認められなかったが, ミミズが地表面に這い出す現象がみられ, その程度は展着剤の主成分の濃度に比例することが判明した。地表面に這い出したミミズは約半日ぐらいで地中に潜り, 正常な活動に戻るのが認められた。3) 以上のような諸結果から, 除草剤の散布園とその周辺で大量のミミズが斃死するといった現象は, 除草剤に加用する展着剤の刺激を受けたミミズが地表面に這い出し, 逃避の過程で日陰の少ない排水路などに集積して, 陽光下で表皮の過乾燥と脱水症状を起こして死亡することに原因があると推測される。なお, 展着剤のミミズに与える刺激は雨天時で小さく, 晴天時に大きく, とくに土壌が湿潤状態にある場合に顕著であった。4) AT-BIはミミズに対する害作用が全くみられなかった。この展着剤を除草剤に加用した場合の殺草効果は他の展着剤と同等であったので, 今後は除草剤にはこのような特性をもつ展着剤の加用が望ましいと考える。
著者
披田野 清良 大木 哲史 高橋 健太
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.2383-2391, 2013-11-15

ここ10年あまりにわたり,生体情報を秘匿して認証を行うテンプレート保護型生体認証が注目されている.しかしながら,それらの安全性に関する議論では,生体情報間の相関性により,当該情報量が減少し,保護テンプレートが漏洩した際に,生体情報の推定が容易となる可能性については必ずしも十分に言及されていない.そこで,本論文では,テンプレート保護型生体認証の一方式であるFuzzy Commitment Scheme(FCS)を用いたバイオメトリック暗号に着目し,生体情報間の相関性を考慮して保護テンプレートの安全性を評価する.FCSでは,ユーザが提示する生体情報から生成されたビット列と誤り訂正符号の符号語との排他的論理和を計算してコミットメントを作成し,これを保護テンプレートとすることにより安全性を確保している.本論文では,まず,ビット間に相関性の残る可能性が高い指紋情報に着目し,筆者らが提案する2次のRenyiエントロピーを用いた生体情報の情報量評価手法に基づき,実際に指紋ビット列のビット間には何らかの相関性があることを明らかにする.次いで,生体ビット列のビット間の相関性を利用したなりすましに関する新たな脅威としてDecodable Biometric Dictionary Attack(DBDA)を提案し,DBDAに対する安全性を理論的に考察するとともに,シミュレーション結果を交えて定量的に評価する.
著者
野津田 雄太 高橋 健一 稲葉 通将
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.83-92, 2015-12-09

1990年頃から国内で理系離れが問題視されている.しかし,理系離れの要因として明確なものは存在しない.その分析に寄与するため,文系・理系の大学生の日常生活の習慣や科目の得意・不得意などの状況を調査した.本研究では,著者が所属する大学の学生を対象にアンケート調査を実施し,データマイニング手法を用いて,科目の履修・嗜好などの傾向から文系・理系への進路選択と相関のある要因と,学生の生活習慣から文系・理系学生の日常の傾向について考察を行う.用いたデータマイニング手法は決定木,主成分分析,ベイジアンネットワークである.分析の結果,小学校・中学校からの得意・不得意科目や日常生活における学生の嗜好と学生の文理に相関があることが分かった.From around the 1990s, undergraduate students majoring in sciences have decreased, and indifference to sciences has been spread. However, specific factors of the indifference to sciences are not clear. In order to contribute to the analysis, investigation on lifestyle and subjects studied in schools by students majoring in humanities and sciences is done. This paper describes experimental results to extract features of undergraduates majoring in humanities and sciences respectively to show factors that correlate with their course, i.e., humanities or sciences. In the research, data are collected through questionnaires to undergraduates. The questionnaire includes questions such as the lifestyle, subjects studied in schools. Then the data are analyzed by using data mining methods, namely decision trees, Principal Component Analysis, and Bayesian network. The analysis shows a correlation between students in sciences and humanities and lifestyle and a correlation between those students and subjects studied in elementary and junior high schools.
著者
山口 さやか 高橋 健造
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.127, no.10, pp.2305-2311, 2017-09-20 (Released:2017-09-22)
参考文献数
14

日本ではアタマジラミ症に対する治療薬として,ピレスロイド系薬剤のフェノトリン0.4%配合の市販薬のみが認可されている.欧米ではこのピレスロイド系薬剤の無効なアタマジラミが蔓延し,沖縄県でも蔓延していることがわかった.本稿では抵抗性の機序や海外のアタマジラミ治療薬,沖縄県内の取り組みや実際的な駆除法を解説する.ノーベル賞受賞者の大野智博士が開発したイベルメクチンは,抵抗性アタマジラミにも有効であるが,日本では保険適応がなく使用出来ない.
著者
山口 さやか 高橋 健造
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.129, no.12, pp.2513-2517, 2019-11-20 (Released:2019-11-20)
参考文献数
12

アタマジラミは,市販されているピレスロイド製剤を用いて家庭内で駆虫してきたため,これまで皮膚科医が介入する機会はほとんどなかった.しかし近年,ピレスロイド製剤で駆虫できない難治性アタマジラミ症が世界中で広がり,日本でも遭遇する機会が増えている.アタマジラミの特徴,治療法,感染対策について解説するとともに,ピレスロイド抵抗性アタマジラミの耐性化機序や日本の現状と,今後期待される薬剤について紹介する.
著者
高井 彩也華 安村 涼 山口 さやか 山本 雄一 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.455-458, 2017

<p>29 歳,男性。2009 年 12 月,マラソン大会の出走直前に膨疹,悪心,嘔吐が出現し,近医にてアナフィラキシーと診断された。以後,2 カ月間で5 回,腹痛,膨疹,悪心,嘔吐,時に血圧低下などの,蕁麻疹,アナフィラキシー症状を繰り返した。4 回目と 5 回目の症状の出現前日,夕食に納豆を摂取していたため,納豆による遅発性アナフィラキシーを疑った。皮膚プリック-プリックテストでは納豆が陽性であった。納豆摂取誘発試験では摂取 6 時間後に血圧低下を伴う咽頭違和感,膨疹が出現し,納豆によるアナフィラキシーと診断した。納豆摂取を避けてから,現在まで症状はみられていない。</p>