著者
大谷 竜 塚本 斉 佐藤 努 木口 努 重松 紀生 板場 智史 北川 有一 松本 則夫 高橋 誠 小泉 尚嗣
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1-2, pp.57-74, 2010-01-26 (Released:2013-07-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

産業技術総合研究所(以下,産総研と呼ぶ)は, 2006年度より四国・紀伊半島~愛知県にかけて地下水等観測点やGPS観測局の新設を行っており,これを機に従来の産総研のGPS観測局と統合したGPS連続観測システム(以下,GPSシステムと呼ぶ)の全面的な更新を行った.本報告ではその概要,及び本GPSシステムを用いて得られる結果について紹介する.まず,全局についてTrimble製の同一型の受信機とアンテナに統一した.また,解析ソフトウエアはBerneseソフトウエアに切り替えた.これらの結果,従来の産総研のGPSシステムの結果に比べ,新解析で推定されたGPS局の変位の再現性の向上が見られた.また,産総研のGPS観測局だけではなく,周囲にある,国土地理院のGPS連続観測網(GEONET)の観測局も一緒に解析を行い,日々の座標値を推定するようにした.この解析方法の導入により,産総研GPS観測局周辺の歪をGPSから求めることができるようになった.更に, GEONETの定常解析であるF2 解に準拠した解析を産総研の新GPSシステムでも独立に行うことにした.産総研による解析結果と,F2解で求められた同一観測局 の変位を比較した結果,両者の間に大きな差はないことが確かめられた.
著者
山村 仁 高橋 誠 仲村 光世 溝端 康光 西澤 聡 李 栄柱
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.63-66, 2011-01-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
11

麻酔導入後に用いた薬剤が原因と考えられるアナフィラキシーショックから心停止に至った症例を経験した。患者は55歳,男性で,食道癌根治術予定であった。麻酔導入後に抗菌薬とステロイドを投与した際に,アナフィラキシーショックを起こし血圧が低下した。心肺蘇生を行い約24分後に心拍が再開し,経皮的心肺補助装置(percutaneous cardiopulmonary support, PCPS),大動脈内バルーンパンピング (intra-aortic balloon pumping, IABP)などを用いた全身管理の結果,第4病日にPCPSより離脱し,第8病日に抜管でき後遺症なく救命できた。心拍再開にアドレナリンは無効であり,バゾプレッシン投与が有効であった。麻酔中の心停止であったため,心拍再開まで絶え間ない心肺蘇生を行えたこと,心拍再開後に直ちにPCPSを開始できたこと,などが後遺症なく救命できた要因と考えられた。
著者
新庄 貞昭 高橋 誠史 木村 秀敬 白井 暁彦 宮田 一乗
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.167-178, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
42

本解説では,グラフィックプロセッサ(GPU)を取り巻く環境やその利用法,開発環境の現状,およびGPUのコンピュータビジョンへの適用事例を紹介し,GPUコンピューティングの可能性を探る.GPUはプログラマブルシェーダの導入後,シェーダのバージョンアップにあわせてスペックの向上が行われてきた.またCPUと比較して制約は多いが,プログラミングを工夫することにより速度向上が可能である.GPUは幅広く利用されているが,特筆すべき適用事例としてコンピュータビジョン,物理シミュレーションがあり,汎用計算においては分散コンピューティングによるナノテクへの応用も報告されている.本解説では,GPUに加えて最近のCPUアーキテクチャの革新であるマルチコアプロセッサCPUについても触れるとともに,最新OSのひとつであるWindows Vistaでのグラフィックユーザインタフェースへの利用にも触れ,今後の応用の可能性を探る.
著者
薮 博史 鎌田 洋輔 高橋 誠史 河原塚 有希彦 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.36-46, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本論文では,変位情報を用いて制作したVRアプリケーションとして,紙相撲をテーマとした対戦型の実装例を2件提案する.はじめに,プレイヤの跳ぶ行為を入力データとし,ディスプレイ上に表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.つづいて,このシステムに対する評価実験の結果を反映させ,プレイヤが水を揺らす行為を入力データとし,水に浮かぶスクリーンに表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.両システムとも,距離を測るセンサを用いて,プレイヤが入力装置に与える動作を変位情報として取得し,システム内のインタラクション処理に利用している. この直感的かつ堅牢なインタラクションモデルを用いることで,新たな体感型VRアプリケーションを実現することができた.
著者
河原塚 有希彦 高橋 誠史 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.189-192, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

本作品“ViewFrame2”(以下VF2)では,画像処理による位置検出技術を用いた新たなコンテンツ鑑賞スタイルを提案する.VF2は,「窓越し現実感」というコンセプトに基づき,窓の代わりに設置したディスプレイ上に,ユーザの視点移動に伴い変化する景色をシミュレーションして提示するものである.VF2の実装システムではリアルタイム性が強く求められるために,グラフィックボードのピクセルシェーダ機能を用いて,ハードウェアによる画像処理の高速化を試みた.実装の結果,身体移動に伴う自然なインタラクションで,景観の奥行き知覚や3次元物体の形状認識が容易になることが体感できた.
著者
高橋 誠史 河原塚 有希彦 桑村 宏幸 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.123-127, 2003 (Released:2008-07-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

ただ歩きながら目にする風景の移り変わりを, 泳ぐという行為で置き換えてみたらどうなるのだろうか.本論文では, そのような身体運動に伴うさまざまな視覚体験を, コンピュータを用いて置換する試みを提案する.両腕に装着された反射板で参照光を反射し,その反射光を天井から吊るされたCCD カメラで観測する.次に, 観測された反射光を画像処理して腕の動きを計算し, その動きの変化にあわせて, 投影されるビデオの再生速度を制御し, 動画の中を泳いでいるような感覚を体験させる.日常的な光景を撮影した映像を泳ぎという動作を通して体験することにより, 無意識のうちに我々の行動に影響を与えている重力や, 身体そのものについて考えるきっかけを与える場を, この作品は提供する.
著者
広瀬 直人 前田 剛希 和田 浩二 高橋 誠
出版者
一般社団法人 日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.143-148, 2013 (Released:2022-03-19)
参考文献数
24

To examine the possibility of using guava fruits as an ingredient in daily-use ketchup with food functionality, we prepared purees of eight pink guavas that were obtained from different areas in Okinawa and their chemical and physical compositions by measuring the Brix, pH, and color. The eight kinds of guava purees showed little difference in their compositions, Brix, pH, and color values. In addition, the purees maintained their color values after heating at 80℃ for 5 min. The guava puree was then treated with pectinase to decrease the puree viscosity. The viscosity of the puree treated with pectinase (0.24 Pa・s) was lower than that of the untreated puree (0.6 Pa・s). The guava ketchup was prepared using the untreated guava puree. In the sensory evaluation, the guava ketchup scored low for sourness because the citric acid content was lower than that in the commercial tomato ketchups. To evaluate the antioxidant activity, guava ketchups prepared using guava purees with and without pectinase treatment (GK-P and GK, respectively) were examined for total polyphenol contents and DPPH radical-scavenging activities. The total polyphenol content and DPPH radical-scavenging activities were higher in guava ketchups than in the commercial tomato ketchups. Interestingly, GK-P showed significantly higher radical-scavenging activity than GK. These results suggest that guava fruits have the potential to be used in the manufacturing of ketchup, which could serve as an antioxidant food.
著者
大谷 雅人 岩泉 正和 佐藤 新一 宮本 尚子 矢野 慶介 平岡 宏一 那須 仁弥 高橋 誠
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

林木遺伝資源の生息域内保存を進めるにあたっては、集団内の遺伝的変異の維持機構を明らかにすることが重要である。本研究では、中間温帯林の主要な遷移後期樹種であるモミを対象として、花粉及び種子を介した遺伝的流動の様態を分析した。福島県いわき市の固定試験地(約1 ha)の7地点において2002年、2005年、2010年に採取された自然散布種子のうち約650粒の胚と雌性配偶体、および試験地内の成木327個体について、SSR12遺伝子座における遺伝子型を決定した。種子散布量には豊作年と並作年の間で約5倍の差が認められたが(125.2~652.9粒/m<sup>2</sup>)、試験地外からの遺伝子流動の割合は調査した3繁殖年次間でほぼ一定であった(種子経由:約13~15%、花粉経由:53~57%)。種子親・花粉親として寄与した試験地内の成木の個体数や多様性についても、繁殖年次による差異は認められなかった。ただし、複数年にわたって種子親・花粉親として寄与した個体は3繁殖年次の寄与個体ののべ数のそれぞれ60.3%、42.4%にすぎなかったことから、各成木個体の雄性・雌性繁殖成功は年次ごとに大きく異なることが示唆された。
著者
高橋 誠一
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian Cultural Interaction Studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.159-177, 2008-03-31

Situated at T- and L-intersections and at four-corner intersections to drive away evil spirits or energy, Ishigantou talismanic stone tablets were a part of the so-called traditional geographical outlook that was transmitted from China. In the kingdom of Ryukyu in Japan, Ishigantou were installed throughout the cities and villages, and this paper attempts to examine their distribution, etc., with the Amami Islands of Kagoshima Prefecture that was once a part of Ryukyu as the main area of focus. This tradition was brought from China to Okinawa Island, the center of the Ryukyu kingdom, and, as a result, it was then diffused throughout Ryukyu. At the same time, however, due to Ryukyu coming under the rule of the Kagoshima clan at the beginning of the 17th century, after it had spread from Okinawa’s capital city of Naha to Kagoshima, it was transmitted from Kagoshima to Edo (present day Tokyo) and throughout the whole of Japan. On the other hand, it was possible to confirm that this tradition also propagated and spread in the opposite direction, from Kagoshima to the Amami Islands. Cultural phenomena must be understood as a multi-directional and intricate thing, and I have illustrated the facts that there are many cases of culture originating from individuals or specific groups, and that its original character is changed by the process of cultural negotiation and new aspects emerge.
著者
高橋誠 吉澤寛之
雑誌
日本教育心理学会第61回総会
巻号頁・発行日
2019-08-29

文部科学省(2015)では,小規模校の児童・生徒の傾向として,集団の中で自己主張をしたり,他者を尊重する経験を積みにくく,社会性やコミュニケーション能力が身につきにくい,児童生徒の人間関係や相互の評価が固定化しやすい,などの特徴を持つ可能性が指摘されている。Sullivan(1953)によると,児童期には,他者に対して偏見をもつ傾向があり,子どもの集団の中では,頭が良い,社交的,運動神経がよい,等によって,「人気がある」,「ふつう」,「不人気」などと児童自身が判定される「社会的批判」がなされるという。これらより,小規模校では流動的な関係をもつことができる環境とは異なり,一度他者を根拠のない一方的で,主観的な見方で捉えるようになると,その関係を変化させることは難しくなると考えられる。全国的に学校の小規模化が予測されていることからも,人間関係の固定化は喫緊の課題に位置づけられる。 本研究では,人間関係が固定化される小規模校の児童における社会性の課題を明らかにするため,ある県内で調査を実施し,自治体統計を指標とした地域クラスター間で子どもの社会性の比較をする。方 法(1) 調査対象校抽出を目的とした小学校の分類 A県内の369校の小学校を,人間関係の固定化に影響すると考えられる自治体統計(人口密度・転入率・転出率)と当該小学校の学級数を指標として,潜在混合分布モデルによる分析を行った。4から7クラスターまでの分析結果を比較し,適合度やエントロピーに基づき6クラスターを採用した(AIC=-1867.870,BIC=-1660.598,SBIC=-1828.748,Entropy=.961)。Figure 1に示す特徴をもつ,6つのクラスターに分類された。対象校については,各クラスターから各市町村の平均学級数に近い学校を2校ずつ,特定の町(第1著者の勤務地域)は全小学校が抽出された。(2) 測定尺度と調査対象 「人間関係形成」はキャリア意識尺度(徳岡他,2010),「自己制御」は社会的自己制御尺度(原田他,2008),「共感性」は児童用多次元共感性尺度(長谷川他,2009),「偏見」は偏見尺度(向田,1998),「権威主義」は権威主義的態度尺度(吉川・轟,1996)を用いて測定した。抽出された小学校(19校)で2018年12月に調査を実施し,回答に不備のない児童1737名(4年男子83名,女子65名;5年男子381名,女子411名;6年男子384名,女子413名)のデータを分析した。結果と考察 分布の非正規性を考慮し,クラスターを独立変数,各尺度を従属変数とした対応のない平均順位の差の検定(クラスカル-ウォリス検定)を実施した結果,すべての変数で有意となった(χ2(5)=11.373~66.463,ps <.01)。多重比較の結果,人口密度や転入,転出が多い地域(クラスター2)は,他地域よりも人間関係形成,自己主張,感情・欲求抑制,共感的関心,権威主義が有意に高かった。流動的な環境であると,様々な人と触れ合う経験を積むことで,人間関係形成能力が高まるといえる。人口密度が高くても転入や転出が少ない地域(クラスター1)は,人間関係形成や自己主張が有意に低かった。人口密度が高くても,流動的でない環境では,人間関係形成能力が向上しにくいと言える。逆に,人口密度が少なくても,転入・転出が多い地域(クラスター3)は,視点取得が有意に高かった。流動性のある環境では,他者の視点で考える能力が高まると言える。また,人口密度や転入・転出が少ない地域(クラスター4,5)は,共感的関心が有意に低かった。固定化された人間関係で生活することで,その集団内での自分の立場が決まってしまい,他者への思いやりも困難になると考えられる。 今後は,地域クラスター間の差に影響する要因を明らかすると同時に,人間関係が固定化される小規模校の子どもの社会性を育成する実践の開発が求められる。
著者
福島 一嘉 高橋 誠 長野 裕友 小山内 州一 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.4, pp.585-590, 1988-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
7

各種N-アルキル置換アルキレンジアミンを合成し,それらを配位子とするビス(ジアミン)ニッケル錯体を用いて,D-グルコース,D-マンノースのC-2エピマー間において,それぞれのC-2エピマー化反応を行なった。その結果,N,N'-ジアルキルエチレンジアミンを配位子とした場合によくC-2エピマー化反応が起こり,平衡まで達することがわかった。さらに,置換基と,して長鎖アルキル基を導入すると,アルキル鎖長が長いほど平衡点がグルコース側に偏り,エピマー間に優位差が生じることがわかった。これは遷移中間体である含糖錯体の,糖とジアミンの結合部分の立体化学によると考えられる。また,糖のエピマー化反応において,ジアミンニッケル錯体は触媒として働き,糖の1/10程度の濃度でも活性が落ちないことがわかった。さらに,カルシウムとモノアミンを用いた系でC-2エピマー化を検討した。この場合,エピマー化と同時にエンジオール転移によると考えられるフルクトースの生成も見られた。
著者
高橋 誠一
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点
雑誌
東アジア文化交渉研究 = Journal of East Asian cultural interaction studies (ISSN:18827748)
巻号頁・発行日
no.1, pp.159-177, 2008-03

Situated at T- and L-intersections and at four-corner intersections to drive away evil spirits or energy, Ishigantou talismanic stone tablets were a part of the so-called traditional geographical outlook that was transmitted from China. In the kingdom of Ryukyu in Japan, Ishigantou were installed throughout the cities and villages, and this paper attempts to examine their distribution, etc., with the Amami Islands of Kagoshima Prefecture that was once a part of Ryukyu as the main area of focus. This tradition was brought from China to Okinawa Island, the center of the Ryukyu kingdom, and, as a result, it was then diffused throughout Ryukyu. At the same time, however, due to Ryukyu coming under the rule of the Kagoshima clan at the beginning of the 17th century, after it had spread from Okinawa's capital city of Naha to Kagoshima, it was transmitted from Kagoshima to Edo (present day Tokyo) and throughout the whole of Japan. On the other hand, it was possible to confirm that this tradition also propagated and spread in the opposite direction, from Kagoshima to the Amami Islands. Cultural phenomena must be understood as a multi-directional and intricate thing, and I have illustrated the facts that there are many cases of culture originating from individuals or specific groups, and that its original character is changed by the process of cultural negotiation and new aspects emerge.
著者
井上 清 向山 美雄 辻 啓介 田辺 伸和 樽井 庄一 阿部 士朗 高橋 誠
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.263-271, 1995
被引用文献数
9

麹菌に <i>Monascus pilosus</i> (IFO4520) を用いて調製した紅麹は, SHRに対して血圧降下作用を示している。そこで, 高血圧症者に対する効果を調べるために, 軽症ないし境界域本態性高血圧症者に対し, 紅麹入りドリンクを摂取させる3種の試験を行った。<br>(1) 入院高血圧患者12人に対し, シングルブラインド法で1日当たり紅麹0g, 9g, 18g, 27g相当のエキスが入ったドリンクを2週間摂取させた用量依存性試験, (2) 通院高血圧患者12人に (1) と同様に紅麹ドリンクを1か月間摂取させた用量依存性試験, (3) 高血圧の通院患者7人に対し9g/日の紅麹相当のエキスを6か月摂取させた長期摂取試験。<br>入院患者の2週間摂取試験では, 紅麹ドリンク3本/日 (紅麹27g相当) を摂取した場合に, 157±11/91±10mmHgから141±10/81±6mmHgへと, 収縮期圧, 拡張期圧ともに明らかな降下が観察された (<i>p</i><0.05)。また, 通院患者への1か月間の紅麹ドリンク摂取試験においては, 紅麹ドリンク3本/日の摂取で154±9/92±6mmHgから147±10/81±5mmHgと明らかな血圧降下作用が観察された。<br>7人の高血圧症を有する通院患者に対し, 6か月間紅麹ドリンクを摂取した試験では, 紅麹ドリンク1本/日 (紅麹9g相当) の摂取で164±9/99±6mmHgから154±14/88±5mmHgへとともに血圧の降下が観察された。更に, 228±42mg/dlから184±27mg/dlと血清総コレステロール値の低下も認められたが, 紅麹ドリンクを与えないで6か月観察した5人では, これらの効果はみられなかった。<br>以上の結果から, 紅麹エキスの摂取により, 高血圧症者で血圧と血清コレステロールの改善作用が判明した。
著者
渡辺 研一 高橋 誠 中川 雅弘 太田 健吾 佐藤 純 堀田 卓朗
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.255-263, 2006-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
17

2-フェノキシエタノールの麻酔剤としての効果を, 9種の主要な増養殖対象種 (ブリ, マダイ, マアジ, カンパチ, シマアジ, ヒラメ, トラフグ, メバル, クロソイ) について, 水産用医薬品であるFA100と比較, 検討した。網で掬っても魚が暴れない程度に麻酔が罹り, 麻酔後清水に移して一晩経過後に死亡個体が認められない2-フェノキシエタノール濃度は, おおむね200~1, 000μl/lであった。一方, FA100の効果的で安全な濃度はおおむね100~500μl/lであり, 2-フェノキシエタノールの場合と比較して範囲が狭かった。2-フェノキシエタノールで麻酔すると, FA100の場合より麻酔からの覚醒時間が短く, 麻酔翌日の生残状況が優れた。さらに, 2-フェノキシエタノールでは観察されなかった麻酔液表面の泡立ちがFA100で観察された。以上のことから, 2-フェノキシエタノールは増養殖における麻酔剤として優れていることが示唆された。
著者
高橋 誠一郎
出版者
慶應義塾理財学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
pp.532(78)-554(100), 1920-04

論説
著者
高橋 誠一
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.113-144, 1975
被引用文献数
1

Many works have been proposed as to the location of settlements in <i>Yayoi</i> era. But the problems about the character and origin of upland settlements have been not yet solved. There are a variety of views about its character and origin. There are as follows; (A) Hill-Fort or Camp, (B) settlement for arable farming, (C) upland settlement refuged from flood, (D) religious settlement etc.<br>In this article I examined sites of <i>Yayoi</i> settlements in Osaka prefecture and arrived at the following conclusions.<br>i) The location of sites are different from the 1st period to the 5th period in <i>Yayoi</i> era.<br>ii) The number of settlements are rapidly increased in the 3rd and the 5th period. In the former period settlements increased on upland and in the latter they increased both on upland and on lowland.<br>iii) Great disturbances happened two times in <i>Yayoi</i> era, at least in Osaka prefecture. These disturbances correspond to the great rebellions before and after Queen &lsquo;<i>Himiko</i>&rsquo; recorded in historical writings of ancient China.<br>iv) Some settlements on upland surely had the militaly function under the background of the disturbances above mentioned.<br>v) Some settlements refuged from flood were also formed in the 4th and the 5th period.<br>vi) In the 3rd and the 5th period the population growth with the advance of product and the spread of the space of life are notably recognized.
著者
柴柳 敏哉 水嶋 賢造 高橋 誠 池内 建二
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会全国大会講演概要
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.109, 2009

摩擦攪拌スポット接合法ならびに摩擦攪拌接合法により2024/7075アルミニウム合金異材接合材を作り,接合部の組織を光学顕微鏡ならびに走査電子顕微鏡法により解析した.回転数が400回転の場合にはオニオンリングの形成を伴わない接合界面組織が現れることを塑性流動との関連において議論する.