著者
髙山 みさき 大西 英雄 城本 修
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.135-140, 2018

<p>fMRIを用いて仮名文字の書字における脳賦活部位および,平仮名と片仮名の書字における脳活動の差異を検討した.健常成人14名(24.4±7.0歳)が研究に参加し,提示された絵の単語名称を書く書称課題と,音声提示される単語を書き取る書き取り課題を平仮名,片仮名について実施した.左半球における結果を示す.書称課題では,平仮名は,中前頭回,中側頭回,角回,縁上回等に,片仮名は角回,縁上回等に賦活を認めた.書き取り課題では,平仮名は内側前頭回,中後頭回に,片仮名は上前頭回,上・中後頭回等に活動を認めた.本研究の結果,平仮名および片仮名の書字に関与する脳部位はおおむね共通しており,音韻経路で処理されることが示唆された.また,書称課題では,絵の名称を想起し書字を行う際に文字への変換を行うため,側頭-頭頂領域の賦活が強く認められ,書き取り課題では,聴取した単語のイメージ想起を行うことにより視覚連合野が活動すると考えられる.</p>
著者
齊藤 明 岡田 恭司 髙橋 裕介 柴田 和幸 大沢 真志郎 佐藤 大道 木元 稔 若狭 正彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1220, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】成長期野球肘の発症には投球時の肘関節外反が関与し,その制動には前腕回内・屈筋群が作用することが知られている。成長期野球肘おいては投球側の円回内筋が硬くなることが報告されており,特に野球肘の内側障害ではこれらの硬い筋による牽引ストレスもその発症に関連すると考えられている。しかしこれらの筋が硬くなる要因は明らかにされていない。そこで本研究の目的は,成長期の野球選手における前腕屈筋群の硬さと肘関節可動域や下肢の柔軟性などの身体機能および練習時間との関係を明らかにすることである。【方法】A県野球少年団に所属し,メディカルチェックに参加した小学生25名(平均年齢10.7±0.7歳)を対象に,超音波エラストグラフィ(日立アロカメディカル社製)を用いて投球側の浅指屈筋,尺側手根屈筋の硬さを測定した。測定肢位は椅子座位で肘関節屈曲30度位,前腕回外位とし,硬さの解析には各筋のひずみ量に対する音響カプラーのひずみ量の比であるStrain Ratio(SR)を用いた。SRは値が大きいほど筋が硬いことを意味する。身体機能は投球側の肘関節屈曲・伸展可動域,前腕回内・回外可動域,両側のSLR角度,股関節内旋可動域,踵殿距離を計測し,事前に野球歴と1週間の練習時間を質問紙にて聴取した。また整形外科医が超音波診断装置を用いて肘関節内外側の骨不整像をチェックした。統計学的解析にはSPSS22.0を使用し,骨不整像の有無による各筋のSRの差異を比較するため対応のないt検定を用いた。次いで各筋のSRと各身体機能,野球歴や練習時間との関係をPearsonの相関係数またはSpearmanの順位相関係数を求めて検討した。有意水準はいずれも5%とした。【結果】参加者のうち肘関節内側に骨不整像を認めた者は4名(野球肘群),認められなかった者は21名(対照群)であった。浅指屈筋のSRは2群間で有意差を認めなかった(1.01±0.29 vs. 0.93±0.23;p=0.378)が,尺側手根屈筋のSRでは野球肘群が対照群に比べ有意に高値を示した(1.58±0.43 vs. 0.90±0.28;p<0.001)。浅指屈筋のSRと各測定値との相関では,各身体機能や野球歴,練習時間のいずれも有意な相関関係は認められなかった。尺側手根屈筋のSRも同様に各身体機能や野球歴との間には有意な相関関係を認めなかったが,1週間の練習時間との間にのみ有意な正の相関を認めた(r=0.555,p<0.01)。【結論】成長期の野球選手において浅指屈筋,尺側手根屈筋の硬さは,肘・股関節可動域や野球歴とは関連がないことが明らかとなった。一方,1週間の練習時間の増大は尺側手根屈筋を硬くし,このことが成長期野球肘の発症へとつながる可能性が示唆された。
著者
髙市 晃佑 片上 敬雄 黒澤 義明 目良 和也 竹澤 寿幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin231, 2019 (Released:2019-06-01)

近年盛んである深層学習を用い音源を分離することを目的とする.ネットワークを用い通常の会話から特定の人間の声を抽出することを試みる.画像変換を行うpix2pixに注目する.そのアルゴリズムは純粋な画像変換の手続きに基づくため,追加の手続きとして音声を一度スペクトログラムに変換する必要がある.その後,人間の声を分離するためにネットワークを学習し、特に同性と異性の違いに注意して抽出を行う.この観点から、本稿では男女の声を重ねた音声を使って2つの実験を行った.SSIMとカラーマップを評価の基準に使用した.結果として,女性の声が良く抽出できていることを確認した.ところが,女性同士の発話から抽出はできなかった.今回,分離はうまくいかなかったという結論に至った.しかしながら,生成された音声は自然に再生されたと思われる.今後の課題は,こうした人間の判断を客観的に判定することである.
著者
髙坂 泰弘
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.400-405, 2018 (Released:2019-04-23)
参考文献数
42

Conjugate substitution reaction of α-(halomethyl) acrylates that proceeds in addition-elimination (SN2’) mechanism is attractive for polymer chemists, because it undergoes under ambient conditions in quantitative yields to afford α-(substituted methyl) acrylates. In this report, the conjugate substitution reaction is applied to elemental reactions in polymer chemistry, including termination of stereospecific living anionic polymerization, polycondensation, and main chain scission.
著者
髙畑 早希 TAKABATAKE Saki
出版者
名古屋大学大学院人文学研究科図書・論集委員会
雑誌
名古屋大学人文学フォーラム (ISSN:24332321)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.419-434, 2020-03-31

This paper discusses one of Miyazawa Kenji's folkloric fiction, “Futari no Yakunin,” which, despite the author’s description as folkloric, was not evaluated as a folkloric work in past studies. This paper indicates a bias in previous views of folklore, serving as the premise of the study, and in the direction of academic interest. In addition, by borrowing the concepts of “daily narrative” from the study of oral literature and “contemporary folktale” from the study of folktales, this paper intends to deconstruct the bias that has alienated “Futari no Yakunin,” and reposition the work as a folkloric tale (min-dan).
著者
髙橋 祥吾
出版者
広島大学比較論理学プロジェクト研究センター
雑誌
比較論理学研究 (ISSN:18806376)
巻号頁・発行日
no.14, pp.7-20, 2017-03-25

広島大学比較論理学プロジェクト研究センター研究成果報告書(2016年度)本稿は,文部科学省科学研究費補助金(研究活動スタート支援)「アリストテレスの問答法の理論とその発展的解釈の研究」(研究課題番号:15H06815) の研究成果の一部である.

1 0 0 0 OA 労働と言語

著者
髙橋 紀穂
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.167-175, 2014 (Released:2017-05-10)

本稿の目的は,意識のエネルギーと生産的労働によってもたらされるエネルギーを同一の地平で考えるジョルジュ・バタイユの思考を明確化することにある。議論は以下の手続きによって進められる。まず,バタイユの労働概念を,次に,彼の労働と言語との関係の思考を見る。続いて,彼が,ヘーゲル哲学の分析の中で,労働と言語的意識の両者を,エネルギー論というひとつの視点から捉えたことを示す。その後,その正当性をデリダの言語論から考える。そして,彼が思考した消費の倫理を示す。最後は,バタイユが現代のわれわれにもとめた「自覚」について考える。
著者
奥茂 洸一 髙橋 祐衣 金 太成 二川 秀史 細井 厚志 川田 宏之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.19-00029, (Released:2019-06-03)
参考文献数
23
被引用文献数
1

Carbon nanotubes (CNT) have remarkable mechanical properties and low density. Since length of the CNT is limited, CNT yarn is regarded as a reinforced fiber of carbon fiber reinforced plastics. However, the CNT yarn does not have remarkable mechanical properties such as the individual CNT. The most popular way for improving the mechanical properties of the CNT yarn is to make composites with polymer such as polyvinyl alcohol or polyimide. If some functional groups such as carboxyl groups are introduced on the surface of CNTs, interaction between the CNTs and the polymer is improved and high mechanical properties will be obtained. In this study, untwisted CNT yarns were prepared by drawing vertical aligned CNTs through a die and functionalized with mixed acid. Mixed acid introduced not only the functional groups but also defects on the surface of CNTs. For reducing the defects, the CNT yarn was graphitized at a temperature of 2800°C before the mixed acid treatment. By the graphitization treatment, crystallinity of the CNT yarn was improved and amorphous carbon was removed. As a result of XPS analysis, a graphitized CNT yarn treated with mixed acid did not contain the functional groups. On the other hand, a graphitized CNT yarn treated with hot mixed acid (90°C) contained the functional groups. Crystallinity of this yarn was 4.5 times higher than the as-received CNT yarn. In addition, as a result of single fiber tensile tests, tensile strength of this yarn was increased by 79 % and Young’s modulus was increased by 173 % compared to the as-received CNT yarn.
著者
髙柳 春希
出版者
日本湿地学会
雑誌
湿地研究 (ISSN:21854238)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.177-181, 2018 (Released:2019-04-01)
参考文献数
17

スクミリンゴガイは国内外で問題視されている外来生物の一つである.スクミリンゴガイの防除策の一つとして,卵塊の掻き落とし作業が行われるが,卵塊の分布特性を理解せずして効率的な作業は望めない.そこで本研究では滋賀県野洲市の水路を対象に,スクミリンゴガイ卵塊の分布様式を調査した.調査の結果,卵塊は集中分布を示した.さらに卵塊は水路の水深が深くなるにつれ減少し,水路の幅が広くなるほど多くなることが判明した.これらの情報はスクミリンゴガイを駆除する上で重要な手がかりになると示唆された.
著者
髙城 弘一(竹苞)
雑誌
大東書道研究 (ISSN:09183361)
巻号頁・発行日
no.26, pp.20-21, 2019-03-05

近時、江戸時代初期に描かれた、三十六歌仙の歌仙絵およびその歌仙の歌が書かれた色紙(屏風崩し)を落手した。今回、在原業平の歌仙絵のみを使用し、歌は『古今和歌集』仮名序の業平歌三首より二首を選出した。このように、この数年、古い歌仙絵にその歌仙の詠歌を書き組み合わせて、一つの作品となるような創作活動をしている。潤渇・太細の変化はもちろん、行間や行の流れの変化もつけ、余白の美を創出した。小品ながら文字数によって煩くならないようにし、奥行きが出るように工夫した。本紙寸法、各縦12.5×横11.5㎝
著者
髙橋 康汰 小林 稔
雑誌
ワークショップ2019 (GN Workshop 2019) 論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.20-25, 2019-11-07

Twitter や LINE などの SNS を日常的に利用する人が増え,SNS をきっかけとしてコミュニケーションをとる機会が増えている.SNS で食事や遊びなどに誘うメッセージを送信する際,送信者は受信者からの応答を期待するため,応答が得られないとストレスを感じてしまうことがある.そこで,我々はメッセージを送る負担を減らすこと ・送信相手を曖昧にすることの 2 点によって,利用者が感じる期待を減らすことができると考えた.本稿では,これを実現するための非言語呼びかけ方法を提案する.