著者
髙野 美穂 坂入 洋右 中澤 史
出版者
法政大学スポーツ研究センター
雑誌
法政大学スポーツ研究センター紀要 = 法政大学スポーツ研究センター紀要 (ISSN:21879168)
巻号頁・発行日
no.36, pp.15-19, 2018-03-31

本研究はスポーツの緊張場面における重心動揺と心理状態の関係について検討することを目的とした。大学生サッカー選手30名を対象として,快適な緊張と不快な緊張の喚起を含めた3 つの条件を設定し,それぞれの心理状態と重心動揺の関係について分析を行った。その結果,ペナルティーキック時の不快度が高い緊張場面において,不安が大きい選手ほど重心位置が後方にあるという相関関係がみられた。さらに,不快度が高い緊張場面では,快適な緊張場面よりも肩周辺の筋が緊張していることが明らかになった。また,特性的な不安が大きい選手の重心動揺は狭い範囲を細かく動き,重心位置は後方・左寄りであるという特徴が明らかになった。
著者
恒枝 宏史 前田 貴大 髙田 慎治郎 大塚 小由希 今 寛太 和田 努 笹岡 利安
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第93回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.2-O-050, 2020 (Released:2020-03-18)

Non-alcoholic steatohepatitis (NASH) is a severe form of fatty liver disease induced by obesity. So far, no therapeutic drug is available against NASH, because the pathogenic mechanism remains unclear. Since hypothalamic orexin system is a main regulator of energy homeostasis, we investigated the role of orexin against NASH under obese conditions, using orexin knockout (ORX-KO) mice fed high fat diet (HFD). ORX-KO mice showed severer obesity and glucose intolerance on HFD, compared to wild-type controls. Also, remarkable NASH-like phenotypes were observed in the liver of ORX-KO mice, such as the accumulation of triglyceride and the increase in the levels of biomarkers for endoplasmic reticulum (ER) stress (phosphorylation of eIF2α, etc.), chronic inflammation (Tnfα mRNA, etc.), and hepatic fibrosis (Tgfβ mRNA, etc.). When the HFD-fed ORX-KO mice were treated with orexin A (i.c.v.), the hepatic ER stress and chronic inflammation were improved, whereas body weight was not altered. These results indicate that the central action of orexin is required to prevent the development of NASH by reducing ER stress and chronic inflammation in the liver under the obese condition. Hypothalamic orexin system may be a crucial therapeutic target to promote the brain-liver network functions for preventing the progression of NASH.
著者
髙清水 康博
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.10, pp.805-817, 2017-10-15 (Released:2018-01-25)
参考文献数
76
被引用文献数
1 3

北海道太平洋側の古津波堆積物研究の現状と課題を,北方四島と北海道太平洋側の断層モデルに焦点を当てて示した.過去7000年間における国後島と色丹島の津波堆積物の層数は色丹島の方が多いことは,色丹島の方が海溝に近いため,規模の小さな津波でも地層中に記録されたためである.一方,国後島には規模の大きな津波のみが到達するため,巨大津波の履歴がよく記録されている.北海道の太平洋側の津波堆積物の分布を説明するために設定された複数の断層モデルの復元からは,北海道西部太平洋岸の波源として東北北部沖断層モデルの重要性が指摘された.北海道胆振海岸と青森県東通の津波堆積物履歴をあわせて考えると,少なくとも過去2500~2800年前以降に北海道西部太平洋岸に来襲した津波堆積物は1層のみであるということが見えてきた.
著者
馬場 洋徳 相澤 直孝 土屋 昭夫 髙橋 姿
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.179-183, 2014-06-10 (Released:2014-08-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

口腔底に発生する嚢胞性疾患として, ガマ腫や嚢胞性リンパ管腫のほかに表皮嚢腫・皮様嚢腫があげられる. 表皮嚢腫は MRI 画像にて T1 強調画像で低信号, T2 強調画像で高信号の内部均一の像を示すことが一般的である. 今回われわれは, 特徴的な画像, 病理所見を呈した口腔底皮様嚢腫の症例を経験した. 症例は35歳男性, 緩徐に増大する左顎下部病変を認めた. MRIT2 強調で低信号の無数の粒状結節が混在した, sack of marbles の所見を認めた. この所見は表皮嚢腫, 皮様嚢腫に特徴的であり, 他疾患との鑑別で重要な所見となる.
著者
髙橋 良哉 大寺 恵子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.3, pp.379-382, 2020-03-01 (Released:2020-03-01)
参考文献数
30
被引用文献数
3

Age-related decreases of various physiological functions have significant influence on activities of daily living (ADL) and QOL in elderly populations. Mechanisms of aging are currently the focus of many researchers in a wide range of studies. Researchers are trying to find novel ways to attenuate or delay aging in humans as well as to develop interventions for age-associated diseases. In this review, we briefly discuss the need for a multidisciplinary approach in aging research.
著者
後藤 正利 二神 泰基 梶原 康博 髙下 秀春
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.219-227, 2014 (Released:2018-03-12)
参考文献数
23
被引用文献数
1 4

白麹菌は,九州地方において本格焼酎製造に古から広く利用されてきた有用糸状菌=「国菌」である。しかし,白麹菌醸造特性についての分子生物学的な知見はとほとんどない。本稿では,白麹菌について最新の分子生物学的なツールを用いたゲノム解析,高頻度相同性組換え宿主の育種,マイコトキシン非生産性の要因,クエン酸高生産要因遺伝子の探索,糖質加水分解酵素の機能同定などの研究成果について解説していただいた。「白麹菌らしさ」の秘密が明らかとされつつある。
著者
日髙 昇平
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.504-508, 2019-12-01 (Released:2020-03-01)
参考文献数
9

In their paper of this issue, N. Tsuchiya and H. Saigo have proposed a new approach to understand some aspect of consciousness on the basis of category theoretic notions. In my commentary on it, I will raise a few questions on a central assumption of their arguments, which their theory implicitly requires. That is, first of all, the level and the content of consciousness would be respectively represented by a category. Taking this argument, and extending their instantiation of a category of conscious content, it leads a poorly structured category such as something equivalent to a discrete category. With this, and other critiques raised in this commentary, their category theoretic formulation of consciousness would need a major revision on their presumptions to be any useful model of consciousness.
著者
倉田 義之 髙松 純樹
出版者
医学書院
雑誌
medicina (ISSN:00257699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.874-877, 2003-05-10

ポイント ・特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と血友病で,止血対応は全く異なる. ・ITPの出血で出血斑が散在する程度では,治療を開始しない.鼻出血や口腔内血腫など粘膜出血出現時には,治療を開始する. ・止血は局所の圧迫が基本.下血など重篤な出血時には,血小板輸血,ガンマグロブリン大量療法も必要. ・血友病での出血時は,欠乏している因子の補充が原則.出血の部位により必要血中レベルは異なる. ・凝固因子に対する抗体が生じているインヒビター症例は,速やかに血友病専門医への紹介が必要.
著者
髙松 里江
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.73-85, 2012-10-31 (Released:2015-05-13)
参考文献数
26
著者
髙野(竹中) 宏平 中尾 勝洋 尾関 雅章 堀田 昌伸 浜田 崇 須賀 丈 大橋 春香 平田 晶子 石郷岡 康史 松井 哲哉
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.33(2019年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.49-54, 2019-11-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
14

Velocity of Climate Change (VoCC)とは,気候変動影響評価指標の一つで,生育や産業に適した気候条件を得るために生物や人間活動が移動しなければならない速度を示す。本研究では,基準地域メッシュ(約1 km2)の日本陸域37 万7981 メッシュを対象に,1981?2010 年(現在気候値)と2076?2100 年(将来予測値)の年平均気温を用い,6 気候モデル×3 排出シナリオ×3 つの閾値=54 通りのVoCC を計算した結果,VoCC は36.8?308.6 m/year と推定された。更に,APLAT(環境省の気候変動適応情報プラットフォーム)への実装を想定し,VoCC に加えて位置情報を出力することで,自治体等の様々な主体が地域気候変動適応に利活用する方法を考案した。
著者
髙島 明
雑誌
千葉商大紀要
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.127-140, 2016-03
著者
治田 匡平 市田 裕之 石樋 康浩 宇髙 歩 日笠 真一 尾崎 淳子 大槻 真央 矢倉 裕輝 吉野 宗宏 古西 満 杉山 幸正
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.44-53, 2019-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
18

Pharmacists' interventions are considered to be important at the time of starting anti-HIV therapy or changing treatment in outpatient care for HIV infection. We conducted a questionnaire survey to clarify patients' assessments of pharmacists' interventions in outpatient care for HIV infection. The survey was conducted at seven AIDS treatment center hospitals in the Kinki region, and the analysis was performed on 112 patients receiving the initial treatment and 79 patients experiencing treatment change. Pharmacists' interventions were found to be helpful by 97.3% of the initial treatment patients and 96.2% of the treatment change patients; the former often found it helpful in understanding the “necessity of receiving drugs” and “failure in taking drugs and acquisition of resistance”, while the latter often found it helpful in understanding the “difference of the new drug from the previous one” and “side effects”. Pharmacists' interventions relieved anxiety in 89.3% of the initial treatment patients and 89.9% of the treatment change patients, and produced good overall effects such as “relieving anxiety as regards receiving drugs”, “facilitating communication with doctors”, and “reducing questions for doctors”. The survey results showed that pharmacists' interventions at the time of starting anti-HIV therapy or changing treatment met patients' needs and contributed to improving the quality of medical care, such as reducing patient anxiety and the burden on doctors.
著者
内藤 裕二 髙木 智久 鈴木 重德 福家 暢夫
出版者
公益財団法人 腸内細菌学会
雑誌
腸内細菌学雑誌 (ISSN:13430882)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.1-11, 2020 (Released:2020-01-31)
参考文献数
45

京都の伝統的な漬物である「すぐき」から分離された乳酸産生菌Lactobacillus brevis KB290が,ビタミンA併用投与によりマウス腸炎モデルの腸炎発症進展を抑制することを明らかにしてきた.この腸炎抑制効果には,大腸粘膜において炎症抑制的に作用するCD11c+マクロファージと炎症促進的に作用するCD103−樹状細胞の比率を増加させることが関与していた.さらに,Lactobacillus brevis KB290とβ-カロテン併用療法による下痢症状に対する有効性を検証するために,下痢型過敏性腸症候群様症状の日本人を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験を実施したところ,排便頻度が低下し,腹部症状による労働生産性の低下を改善した.また,糞便細菌叢の解析でBifidobacterium属が有意に増加し,Clostridium属が有意に減少することが示された.
著者
草間 太郎 相田 潤 東 大介 佐藤 弥生子 小野寺 保 杉山 賢明 坪谷 透 髙橋 達也 小坂 健
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.26-32, 2020-01-15 (Released:2020-02-04)
参考文献数
20

目的 東日本大震災は2011年3月に発生したが,2018年11月現在においても宮城県内では約1,100人の被災者が仮設住宅に入居している。家を失い仮設住宅へ移住することは健康状態を悪化させる可能性があることが報告されている。しかし,仮設住宅入居者の健康状態を長期間にわたって調査した研究はほとんどない。さらに,災害公営住宅入居者まで対象にした研究は我々の知る限り存在しない。本研究の目的は災害公営住宅も含めた応急仮設住宅入居者の震災後からの健康状態の経年推移を明らかにすることである。方法 本研究は宮城県内のプレハブ仮設住宅・民間賃貸借上住宅・災害公営住宅に入居している20歳以上の男女を対象とした繰り返し横断研究である。調査期間は2011年度から2017年度までの7年間である。従属変数として主観的健康感を用い,独立変数として調査年度および入居している住居の種類を用いた。また,共変量として性・年齢を用いた。多変量ロジスティック回帰分析を用いて調整オッズ比(aOR)および95%信頼区間(95%CIs)を算出した。結果 本研究の対象者は延べ179,255人であった。平均年齢は災害公営住宅で一番高く,2017年度で63.0歳であった。主観的健康感の悪い人の割合は民間賃貸借上住宅入居者では経年的に減少していたが,プレハブ仮設住宅入居者においては減少していなかった。また,災害公営住宅入居者はプレハブ仮設住宅・民間賃貸借上住宅入居者に比べて,主観的健康感の悪い人の割合が大きかった。多変量解析の結果,調査年度が新しいほど有意に主観的健康感が良くなっていた(P for trend <0.001)。また,民間賃貸借上住宅入居者とプレハブ仮設住宅入居者の間に有意差は見られなかったが,民間賃貸借上住宅入居者に比べて災害公営住宅入居者では有意に主観的健康感が悪い者が多かった(aOR, 1.20;95%CI, 1.15-1.27)。結論 入居者の健康状態は経年的に改善傾向にあった。しかし,とくに災害公営住宅では健康状態の悪い者の割合が高く,今後も入居者の健康状態をフォローアップし,適切な介入をしていく必要があると考えられる。
著者
髙田 朝 金髙 弘恭 布目 祥子 加藤 裕光 菊池 雅彦
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.242-250, 2017 (Released:2017-07-23)
参考文献数
45

目的:液槽光重合方式の3Dプリンターを利用した新しいロストワックス鋳造法の臨床的有用性を評価することを目的とし,鋳造体の寸法変化率および表面粗さを測定し,従来法との比較検討を行った.方法:原型サンプルは3Dプリンターを利用して2種の3Dプリンター用レジンで製作した.また,インレーワックスとパターン用レジンでも同形状の原型サンプルを製作した.鋳型の製作条件は,埋没材と加熱条件を組み合わせて6条件とした.鋳造体の寸法変化率は,円柱の直径を鋳造前後に測定して評価した.鋳造体の表面粗さは,鋳造体表面を表面粗さ計およびSEMを使用して定性的,定量的に評価した.結果:鋳造体の寸法変化率および表面粗さともに,3Dプリンターを利用した新しいロストワックス鋳造法による製作物は従来法のものと比較し,条件により大きな値をとることもあったものの,一定の条件下においては,同等の優れた値を示すことが確認された.結論:液槽光重合方式の3Dプリンターを利用した新しいロストワックス鋳造法は,適切な条件選択により,寸法変化率と表面粗さともに従来法とほぼ同等とすることが可能であり,臨床上有用であることが示唆された.