著者
赤池 紀生 賀数 康弘 鍋倉 淳一 ANDRESEN Michaelc 李 禎そぶ ANDRESSE M.C 野田 百美
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

延髄孤束核(NTS)において,染色された上行性大動脈弓由来降圧神経(ADN)は孤束を介してmedial NTSの樹状突起と細胞体に投射していた.ADNからの入力を受ける細胞は,ADNから単シナプス性入力を受けない細胞よりもカイニン酸応答が約2倍に増強していた.また,ADNからの神経伝達物質はグルタミン酸であり,後シナプスNTS細胞におけるグルタミン酸受容体はnon-NMDA受容体であった.また,後根神経節などの感覚器受容細胞にはVR-1(バニロイド配糖体)受容体が高密度に発現しているが,ADN神経終末にもVR-1受容体が存在しグルタミン酸放出が増強することが明らかとなった.しかしVR-1受容体のアゴニストのカブサイシン頻回投与ではむしろグルタミン酸放出量が減少したことから,後シナプスNTSニューロン上のnon-NMDA受容体が脱感作するか,もしくはグルタミン酸放出が枯渇する可能性が考えられた.さらに,VR-1受容体が高密度に発現している部位にはATP受容体の一つであるP2X3受容体が共存していることが1997年にCaterinaらによってNature誌に報告されており,medial NTSより得たシナプスブートン標本においても,P2X1,3,2/3受容体アゴニストのαβ-met ATPならびにカプサイシンともに,後シナプス細胞に影響することなくグルタミン酸の放出のみを増強した.以上の結果から,VR-1受容体とP2X受容体はグルタミン酸作動性興奮性神経終末部に共存してグルタミン酸の放出を促進し,その結果NTSニューロンの興奮を惹起して降圧効果を示すことが初めて明らかとなった.
著者
上野 和之 神山 新一 MASSART R. BACRI J.ーC. 小池 和雄 中塚 勝人 神山 新一 上野 和之
出版者
東北大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

平成9年4月から平成11年3月までの2年の研究期間中に2回の日仏共同研究セミナーを開催し、研究成果の発表と討議を通して共同研究の進展が図られた。2年間の共同研究の成果をまとめれば、以下のようになる。1. 高機能磁性流体の開発とその物性超微粒子の表面改質や各種ベース液への安定分散の成功により、磁性流体の高機能化が進み、知能流体としての特性の解明が進められた。特に、超微粒子の磁化特性や超微粒子を含む磁性流体の光学特性(Soret effect)の解明が、測定法の開発も含めて進められた。また、液体金属を母液とする磁性流体の開発も進められた。2. 管内流動特性の解明高機能磁性流体を用いて、管内振動流や気液二相流の流動特性に及ぼす磁場の影響が詳細に解明された。特に、非一様磁場下での磁性流体の加熱沸騰を伴う気液二相流の熱・流動特性の解明が進められた。3. 応用研究磁性流体の応用研究としては、ダンパ、アクチュエータ、ヒートパイプ、エネルギー変換システムの開発に関する基礎研究が進められた。
著者
LEE H.C. KYUNG C.M
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.192-195, 1997-01-25

A network with input and output buffer is proposed. It consists of several switching stages composed of 3×3 basic switching elements which are connected with perfect shuffle and horizontal connections. The proposed network reduces the required number of stages, and increases the fault tolerance due to its highly regular connection scheme. Its performance was evaluated with computer simulation under bursty traffic environment. For a 128×128 switch with 11 switching stages, a packet loss ratio of 10^lt-6gt was obtained when the input load is 0.8 and the burstiness is 10.
著者
ザイダン L. B. P. デイトリッチ S. M. C. フェリッペ G. M.
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.569-574, 1980-12-10

パラグアイから最近導入されたアマハステビアにおける日長の影響について研究した. それらは日長時間に対する反応によって,A) 8,10および12時間の日長で開花,B) 10および12時間の日長だけで開花,C) 8,10,12および14時間の日長で開花,の3グループに分けることができた. 開花中の植物の葉と花序の抽出物からステビオサイドが結晶化できることが示され,茎の抽出物中にも検出されたが,根には認められなかった.
著者
Chan Johnny C.L. Wang Yongguang Xu Jianjun
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.367-380, 2000-08-25
被引用文献数
2

南シナ海(SCS)夏季モンスーン(SCSSM)の様々な観点を研究する目的でSCSモンスーン実験が1998年5-6月に実施された。本論文ではSCSSMオンセットと関連した力学的・熱力学的特徴について予備的な結果を示す。研究目的は850-hPa東西風の東風から西風へのシフトとSCS上の日降水量の突然の増加に基づいて定義されたオンセットを引き起こしたメカニズムを決定づけることである。これらの基準に基づき1998年のSCSSMのオンセットは5月25日であった。高い相対湿度と同様に夏季の南北温度傾度、子午面循環は5月上旬にSCS上で既に確立していた。一方、海面気圧の南北傾度および東西風循環の反転はオンセット直前に起こった。オンセット前日、850hPaと500hPa間の飽和相当温位の鉛直傾度はSCS全域で最大に達しており、下層大気がとても不安定であったことを意味している。ベンガル湾の熱帯低気圧は明らかにSCS地域への水蒸気輸送に対する導管の役割を果たしていた。加えて、北西太平洋の亜熱帯高気圧は東方へ後退し、105°-125°E間のequatorial buffer zoneと関連して赤道越え気流が105°E付近で卓越した。これらの結果として下層西風が形成された。上述のプロセス全てがSCSSMオンセットの必要条件になった。チベット高原北東部で生成された前線性低気圧がSCS地域に南進すると、そこで上昇流が強化され多量の降水を促した。まさにこれがSCS全域でモンスーンオンセットが生じた時であった。
著者
Shin J.-H. Sohn H.-J. Choi K.-S. Kwon B.-J. Choi C.-U. Kim J.-H. Hwang E.-K. Park J.-H. Kim J.-Y. Choi S.-H. Kim O.-K.
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.1-7, 2003-01-25
被引用文献数
1 15

韓国は1934年以来口蹄疫の発生はなかったが,2000年3月から4月にかけて15箇所でOタイプの口蹄疫発生が生じた.同時期に台湾,中国,日本,ロシア,モンゴルでも,牛または豚にOタイプの口蹄疫発生が報告された.南北朝鮮境界非武装地帯から約5kmに位置する農場において口蹄疫擬似患畜が検出され,緊急調査を行った.病原ウイルスは,3D polymerase 領域,IRES領域,1D/2B領域を対象としたRT-PCR,抗原検出および型別検出用ELISAにより,口蹄疫ウイルスOタイプであることを同定した.発病牛の水疱を材料として1D/2B領域の塩基配列を調べた結果,台湾で分離された口蹄疫OタイプKinmen株と98%の類似性が認められた.原因ウイルスは若齢マウス経代後,黒ヤギ胎児肺細胞接種により分離された.
著者
Miau J. J. Chen C. H. Tsao J. C. Liu J. H.
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
Jets, wakes and separated flows : proceedings of International Conference on Jets, Wakes and Separated Flows, ICJWSF
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.797-801, 2005-10-05

This paper reports on the results of using thermal-sensitive liquid crystal to study the unsteady, three-dimensional characteristics of flow reattachment on a rectangular block. The aspect ratio of the block, i. e., streamwise length versus height, was 2. A liquid crystal film sensitive to a temperature range of 40℃-50℃ was applied on the top surface of the block. The experiment was made with the block heated to 49.5℃, subjected to a uniform flow at room temperature in a low-speed wind tunnel. The liquid crystal images obtained by a CCD camera were expressed in terms of the hue level distributions for quantitative analysis. At Re=5.37×10^4, the video images show that the reattachment length x_R was varying between 1 to 1.5h, where h denotes the height of the block. Comparing the video images obtained at every 1/15 seconds, roughly 20 x_R/U_0, revealed the low-frequency unsteadiness of flow reattachment. Moreover, the finger-type image patterns noted immediately downstream of flow reattachment appeared unsteady in time and random in space. The spanwise extents of these structures were estimated to be 0.5-0.8h or 0.3-0.5x_R, which were suspected to be associated with the vortical structures developed in the separated shear layer.
著者
谷岡 哲也 Locsin Rozzano C. 多田 敏子 大森 美津子 大坂 京子
出版者
香川大学
雑誌
香川大学看護学雑誌 (ISSN:13498673)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-6, 2008-03

看護の焦点は,ケアリングを通して人間と環境との全体性を育むことである.看護は学問の一分野であり,かつ実践を伴う専門的職業である.すべての看護は,看護師と看護を受ける人との間に存在する生き生きとした経験を共有し,ケアリングを通してお互いの人間性を高める中に存在する.ケアリングとしての看護は,看護を理解しそれを実践する際の比較的新しい考え方である.ケアリングとしての看護を理解する原則には,人間を全体として捉えるという考え方,看護が必要な状況において看護が発生するという考え方,知識を深めることや実践的専門職としての看護の概念が含まれている.本稿では看護実践におけるケアリングとしての技術的能力について論じた.
著者
菅原 明喜 草間 薫 西村 敏 西山 實 茂呂 周 工藤 逸郎 高木 章三 CHOW Laurence C.
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.691-698, 1993-11-25
被引用文献数
7

Calcium Phosphate Cement(CPC)は, 生体内環境下で短時間のうちに硬化しHydroxyapatite(HPp)に転化することから, 極めて良好な生体親和性を示すことが知られている.このような特性から, CPCは根管充〓, 象牙質知覚過敏症, 歯の再石灰化, 齲蝕抵抗性の向上等様々な分野に応用が可能であり, 臨床にも応用されるようになってきている.本実験はCPCの骨補〓への応用の可能性について動物実験を行い, 特に組織反応と骨伝導性の観点から検討を行った.成犬の下顎骨に形成したポケットにCPCとApaceram(HPp系顆粒)を〓入した際の病理組織変化は以下に示すとおりである.術後2週間では, CPCとApaceramともに隣接組織の炎症の反応は見られなかった.また, 両者とも密な線維性結合組織でポケット上部が覆われていた.術後2ヵ月では, CPCを〓入したポケットは完全に骨膜と骨組織によって覆われており, HApとなっているCPCの〓入物自体が, 部分的に新生骨によって置き換わっている像が認められた.Apaceramのポケットは, 密な線維性結合組織で覆われているものの, 顆粒が〓入時と同じように固定しているものは見られず, 特にポケットが浅い症例では顆粒が移動してしまい結合組織のみが残存しているものも見られた.術後6ヵ月においては, CPCのポケットは骨膜と厚い皮質骨によって完全に覆われ, CPC自体がほとんど骨によって置き換えられているのが認められた.Apaceramにおいては, ポケットが骨膜と骨組織によって被覆されてはいるが, その状態は完全ではなく顆粒の移動により骨組織の見られない所もあった.2ヵ月の所見と同様に, 深いポケットにおいてもApaceramの顆粒の消失および移動が見られ, 新生した組織によってポケット内に十分に固定されているようには見えなかった.以上のことより, CPCは臨床的に種々のタイプの骨補〓に十分に応用し得るものであると判断された.
著者
山之内 和彦 三保田 憲人 熊谷 誠司 ウィズメイヤー A.C ウッズ R.C
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波
巻号頁・発行日
vol.93, no.246, pp.7-13, 1993-09-22

HACT(Heterojunction Acoustic Charge Transport)デバイスは、基板材料としてGaAs-AlGaAsのヘテロ接合基板を用い、その量子井戸に封じ込めた電荷をSAWのポテンシャルの波によって転送する音響電荷転送デバイスである。我々は、SAWの励振源として内部反射型一方向性IDTを使用し、また基板構造に不純物散乱による移動度の低下を防ぐ層を新たに設けて、より効率的な電荷転送を行うHACTデバイスを提案した。そして実際に遅延線構造のHACTデバイスを設計し作成した結果、電荷の転送が認められ、NDS(Non Destructive Sense)から約1.2μsの遅延信号が観測された。
著者
Tao W.-K. Lang S. Simpson J. Olson W.S. Johnson D. Ferrier B. Kummerow C. Adler R.
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.333-355, 2000-08-25
被引用文献数
4

TOGA COARE集中観測中の3つの対流活動の活発な期間(1992年12月10-17日、1992年12月19-27日、1993年2月9-13日)の潜熱加熱鉛直分布をGoddard Cumulus Ensemble (GCE) Modelの2次元バージョンを用いて調査するとともに、Goddard Convective and Stratiform Heating (CSH)アルゴリズムを用いて推定した。CHSアルゴリズムに入力した降雨に関するデータソースはSSM/I、観測船レーダ、GCEモデルである。6時間ごとのゾンデデータを用いて診断的に求めた潜熱加熱鉛直分布を検証データとして用いた。GCEモデルを用いて計算した降雨強度及び潜熱加熱鉛直分布はゾンデ観測から見積もられた値と良い一致を示した。典型的な対流性及び層状性加熱構造(形態)はGCEモデルで良く再現されていた。レーダで観測した降雨強度は12月の両期間についてはGCEモデルやSSM/Iから見積もった値よりも小さくなった。SSM/Iから求めた降雨強度は12月19-27日と2月9-13日についてはGCEモデルより大きな値となったが、12月10-17日についてはGCEモデルと良い一致を示した。GCEモデルで見積もった層状性降水の割合は12月19-27日が50%、12月11-17日が42%、2月9-13日が56%であった。これらの結果は大規模場の解析と矛盾しない値であった。精度の良い潜熱加熱のリトリーバルのためには層状性降水の割合の正確な見積もりが必要である。層状性降水の割合が高く(低く)なると最大加熱率がより高(低)高度に出現する。GCEモデルは三つの期間について常にレーダよりも層状性降水の割合を10-20%高く計算した。SSM/Iから求めた層状性降水の割合は12月19-27日が38%、12月11-17日が48%、2月9-13日が41%であった。GCEモデルまたはレーダから見積もった降水強度と層状性降水の割合を用いてCHSアルゴリズムで推定した潜熱加熱の鉛直分布の時間変化は、三つの期間について診断的に計算した結果と良い一致を示した。しかし、レーダから見積もられた降雨強度や層状性降水の割合が小さめであったために、診断的に計算された結果と比べると潜熱加熱量を減少評価し、最大潜熱加熱高度を低く目に推定した。SSM/Iの降雨に関する情報は時間解像度が低いために、ここの対流活動を推定することはできない。しかし本研究は対流活動に関するSSM/Iによる良い降雨強度のリトリーバルは良い潜熱加熱のリトリーバルにつながることを示唆した。感度実験の結果は、SSM/Iから求めた12月19-27日の時間平均した層状性降水の割合は過少評価されるとを示した。しかし、12月10-17日については、SSM/Iから求めた時間平均した層状性降水の割合はゾンデ観測から得られた結果とそれほど矛盾しない値であった。観測結果にバイアスがなければ、長期間の加熱量を求めるリトリーバルはより精度の高いものとなると思われる。CHSのlook-up tableから適切な潜熱加熱鉛直分布を選択することが重要である。この問題を取り扱った感度実験も実施した。
著者
Miao X.S. Chong T.C. Shi L.P. TAN P.K. LI J.M. LIM K.G. QIANG W. MENG H.
出版者
社団法人応用物理学会
雑誌
Japanese journal of applied physics. Pt. 1, Regular papers & short notes (ISSN:00214922)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.1679-1682, 2002-03-30
被引用文献数
1

The mechanism of the initialization-free phase-change optical disk was discussed. The computer simulation about the optical and thermal properties of the initialization-free disk was carried out. The results showed that Sb_2Te_3 film was a suitable additional layer of initialization-free phase-change optical disk for Ge_2Sb_<2+x>Te_5 phase-change media.
著者
WANG Y. H. YARN K. F. CHANG C. Y.
出版者
社団法人応用物理学会
雑誌
Japanese journal of applied physics. Pt. 2, Letters (ISSN:00214922)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.L243-L246, 1990-02-20
被引用文献数
1

We demonstrate a new GaAs regenerative switching device with a double triangular barrier (DTB) structure, i. e., p^+-i-δ(n^+)-i-δ(p^+)-i-n^+, prepared by molecular beam epitaxy (MBE). Using the concept of sequential collapse of the internal barriers, two distinctive switching regions are established. First, a negative resistance region (S-type) is observed, followed by a positive resistance region (inverted N-shape) in between the switching behavior with the increase of applied bias. This device may have applicability for tristate logic circuits.