著者
園田 孝夫
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.505-506, 1989-04-20
被引用文献数
40

EndourologyとESWLが尿路結石症の治療に導入されて以来,本邦の結石治療の内容は大きく変わった.EndourologyとESWLが普及するにつれて,今後の質的発展の為には種々ある治療法の成績・合併症,数種類に及ぶESWLの成績・合併症の比較検討,さらには組みあわせの問題などを可及的に客観的に評価することが必要になって来ている.その為に,日本泌尿器科学会理事会から委嘱を受けて,ESWL検討委員会が1987年12月10日に作られた.ほぼ1年かかったが,以下の様な「Endourology,ESWLによる結石治療の評価基準」を作成した.日本泌尿器科学会の会員の皆様がこの評価基準に則って治療成績を発表されますよう提案いたします.
著者
伊勢田 徳宏 横山 雅好 金山 博臣 大本 安一 香川 征
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.514-519, 2000-05-20
参考文献数
19

(目的)腎細胞癌におけるinterferon receptorの発現の有無,発現量,発現部位ならびにその意義は検討されておらず,同様に細胞核内からの伝達により産生されている酵素や蛋白等なども検討されていない。今回,抗体を用いたELISA法による細胞膜外部分の可溶性interferon-α/β receptor(s-IFN-receptor)の測定系が確立されたので腎細胞癌患者血清を用い臨床的意義を検討した。(対象・方法)1990年から1995年までに愛媛大学医学部泌尿器科を受診した腎細胞癌患者27例の血清中s-IFN-receptor値の測定を行った。採決は治療前空腹時とし,血清分離した後測定するまで-80度で凍結保存した。また徳島大学医学部で測定した健常者22例の血清中s-IFN-receptor値と比較した。(結果)腎細胞癌患者では健常者に比し,血清s-IFN-receptor値は有意に高値であった。(p<0.003)。High risk群のs-IFN-receptor値は高かった。生存率について,今回の腎細胞癌患者のs-IFN-receptor平均値の2.7±1.7ng/ml以上と未満で検討したところ,高値群では4年の累積生存率は53.3%,低値群では78.7%であった(Logrank検定,p=0.4289)。High risk群とlow risk群の4年生存率では有意さはあったが(Logrank検定,p=0.0342),high risk群およびlow lisk群においてs-INF-receptor値と生存率に相関がなかった。s-IFN receptor値は,一般的に腎細胞癌の予後因子と言われているCRP,赤沈とは相関していなかった(Spearman Rho値,0.33,0.31)。(結論)今回,s-IFN-receptor値と予後との関連を明らかにすることはできなかったが,腎細胞癌治療前において,一般的に予後因子とされるCRP,赤沈とは相関しておらず,今後,これらとは独立した因子である可能性を含め,さらに症例数を増やして検討する必要があると考えられる。
著者
北島 清彰 斎藤 忠則 清滝 修二 佐藤 安男 森田 博人 岡田 清己 岸本 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.87-96, 1987
被引用文献数
1

1984年12月より1年間に,膀胱摘出後の尿路変向術としてKock回腸膀胱を作製,現在までに17症例に対して行った.患者の年齢は35歳から78歳,男性11例,女性6例,全例悪性腫瘍であり,手術はKock,Skinnerらの方法に順じて行った.Kock回腸膀胱造設術に要する時間は4〜5時間で出血量は100ml以内であった.早期合併症は3例,うち2例は尿貯留槽よりの尿漏出があり再手術,他の1例は薬剤性肝障害で死亡した.術後経過は最長14ヵ月まで見ることができたが,中期合併症(1年以内)として,尿輸出脚に形成したnipple valveに起因するものが最も多く,17例中11例,うちわけは失禁2例,カテーテル挿入困難8例,逆流3例,うち3例に再手術を行った.カテーテル挿入困難は術後2〜4ヵ月の間に急に発生することが多く,原因としては腸重積の滑脱と輸入脚の一部が嚢状に拡張したものであった.尿貯留槽の容量は300ml位が多く,3〜4時間間隔で導尿を行っている.Kock回腸膀胱は手術時間,nipple valveの形成の難しさなど問題点はあるが,電解質のバランスは保たれ,腎機能も異常なく,体外集尿器を必要とせず,現在評価できる14例中12例が快適な生活を送っており,Kock回腸膀胱はすぐれた尿路変向術である.
著者
井上 啓史 辛島 尚 鎌田 雅行 執印 太郎 倉林 睦 大朏 祐治
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.719-729, 2006-07-20
被引用文献数
10 4

(目的)5-アミノレブリン酸(5-ALA)膀胱内注入による蛍光膀胱鏡を用いた膀胱癌に対する光力学的診断の有用性および副作用の検討.(対象と方法)膀胱癌18例(男性15例女性3例,年齢中央値71(44〜84歳),初発症例8例,再発症例10例)を対象とした.検査前に5-ALA溶液を膀胱内注入し,白色光源および蛍光光源を用いて観察し,膀胱生検を行った.本法の有用性は蛍光励起の程度とその部位の病理組織像との対応で評価した.またROC曲線下面積(AUC)を算出し,通常の白色光源下膀胱鏡診断法と比較検討した.(結果)全129生検検体(隆起病変部45検体,非隆起部84検体)中,76検体(内,上皮内癌19検体)が悪性,21検体が異形成と病理学的に診断された.全検体における本法の的中精度は77.0%で,感度89.5%,特異度58.5%であった.AUCはいずれの場合も本法が通常の白色光源下診断法を上回り,特に全症例(p=0.010),非隆起病変(p=0.007),再発症例(p=0.002)において有意な差を認めた.5-ALAの膀胱内貯留時間(中央値80(30〜150)分)は診断精度には影響しなかった.副作用は軽度の膀胱刺激症状のみで,全身的な副作用は認めなかった.(結語)本法は有用かつ安全であり,今後,膀胱癌に対する標準的検出法の一つとなりうると考えた.
著者
日向 泰樹 中村 成伸 石野 外志勝 川上 一雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.591-594, 2011-05-20

患者は66歳,男性.糖尿病にてインスリン療法中であった.2009年10月24日右腹部腫瘤,右腰部痛を主訴に当院受診,腹部造影CTにて右腎下極に122×90×87mm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,疼痛管理,加療目的にて入院となった.腫瘤は腸腰筋,上行結腸,十二指腸など広範囲に癒着,浸潤が疑われた.CTでの嚢胞内のdensityの上昇,炎症反応高値,発熱を認め,嚢胞性腎細胞癌の感染が考えられたが,広範囲に浸潤していると考えたため,切除不能と判断し,嚢胞の穿刺ドレナージを施行,抗菌薬治療を開始した.穿刺液の培養でE.coliが検出された.抗菌薬治療後,解熱し,炎症反応は低下した.11月9日腹部CTで嚢胞性病変は84×49×47mm大にまで縮小,嚢胞部分はほぼ消失し,充実性部分のみが残存した.同日撮影した腹部造影MRIでは,充実性の腫瘍性病変を認め,腸腰筋浸潤を認めたが,上行結腸とは接しているものの境界を認め,明らかな浸潤は認めなかった.以上より切除可能と判断し,11月18日根治的右腎摘除術を施行した.腎背側は腸腰筋と,腹側は上行結腸と強固に癒着しており,上行結腸の一部を合併切除した.病理組織学的所見ではMichaelis-Gutmann小体(M-G小体)が観察され,マラコプラキアと診断された.術後経過は良好にて12月1日退院となった.その後再発を認めず,外来にて経過観察中である.
著者
小林 博仁 熊谷 仁平 大野 俊一 酒井 真人 平野 美和 手島 伸一 井上 滋彦 河村 毅
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.462-465, 2005-03-20
参考文献数
14

症例は81歳男性.1999年1月14日に排尿困難を主訴に当科受診.経直腸的超音波検査上, 前立腺に接して長径4cmの多房性嚢胞を認めたが, 本人精査希望せず放置していた.2002年8月頃より排尿困難が悪化, 尿閉となり精査目的に9月10日入院となる.RUG, DIPで膀胱, 前立腺部尿道の左側への圧排を認め, CTでは骨盤内に径12×7cmの多房性嚢胞を認めた.その他に骨盤MRI, リンパ管シンチ, 精管造影, 注腸造影等施行するも, 骨盤内嚢胞の由来は確定できなかった.PSA 3.7ng/ml, CEA 1.2ng/mlと正常であったが, CA19-9は111.4U/mlと高値であった.排尿状態改善のため10月1日骨盤内嚢胞摘除術施行.病理組織診断は前立腺嚢胞性腺腫であった.術後排尿状態は良好となり, 現在外来経過観察中である.
著者
持田 蔵 鷺山 和幸 関 成人 内藤 誠二
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.71-74, 2004-01-20
被引用文献数
4

症例は63歳男性,排尿困難を主訴に近医受診,前立腺肥大症の診断にて内服治療を受けていたが,症状軽快せず手術目的に当科紹介となった.前立腺容積は経直腸前立腺エコーにて220mlであった.2002年9月26日に経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術を施行した.手術時間は211分であり,核出重量は156gであった.自己血を含め輸血は行っておらず,低Na血症も認められなかった.術後3日目に尿道カテーテル抜去,術後5日目に退院となった.術後3ヵ月目の最大尿流量率は58ml/秒(術前7m1/秒),IPSSは1(術前19),QOL indexは1(術前6)であった.本邦において,前立腺容量が200mlを超える前立腺肥大症に対する内視鏡手術の報告は認められない.経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術は巨大な前立腺肥大症に対して安全に施行できる手術法である.
著者
石浦 嘉之
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.1221-1230, 1996-11-20
参考文献数
34
被引用文献数
6 16

(目的)脳血管障害後の膀胱機能障害に関する実験的研究はこれまでに報告がなく,その病態は不明な点が多い,そこで,脳梗塞モデルを作成し検討した。(方法,結果)S-D種雄性ラットの左側内頸動脈より中大脳動脈起始部へ4-0ナイロン糸を留置して左側中大脳動脈領域の脳梗塞を作成し,覚醒,拘束下にて膀胱内圧測定を行った。塞栓より14,21,28日後の脳梗塞群の膀胱容量は非梗塞群の半分以下であった。膀胱容量は梗塞巣の面積と負の相関を示した。脳梗塞群ではoxybutynin, nifedipineの投与にて膀胱容量の有意な増大を認めたが,非梗塞群では有意な増大はみられなかった。atropineの投与により,両群ともに膀胱容量の増大,残尿量の増大,最大膀胱収縮圧の減少がみられたが両群間の有意差はなかった。利尿筋切片を作成し,in vitrcでatropineとα,β-methylene ATP前処置後の経壁電気刺激による収縮反応を測定した。その結果,脳梗塞群と偽手術群との間では神経収縮におけるムスカリン作動性成分とプリン作動性成分の構成比に相違はみられなかった。(結論)カノレシウム拮抗剤の投与により,脳梗塞ラットに有意の膀胱容量の増大が認められたのは,末梢の神経筋系に変化が生じたためでなく,中枢での薬剤感受性が変化したためと考えられた。また,これまでoxybutyninは末梢作用が主と考えられていたが,脳梗塞では中枢作用も存在すると考えられた。このモデルは,ヒト脳血管障害による排尿障害の病態や治療法の解明に有用であると考えられた。
著者
早川 正道 増田 毅 比嘉 功 小山 雄三 秦野 直 小田 正美 大澤 炯
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.28-34, 1989-01-20
被引用文献数
1

我々は3例の進行性腎癌患者に対して,2つの異なったtypeのLAK細胞の分割動注とrIL-2の全身投与を併用した養子免疫療法を行ったので,その効果について報告する.リンパ球分離を週1回行い,ついでPercollを用いた密度勾配遠心法でリンパ球を2つのサブタイプに分け,おのおのをrIL-2と共に培養してLAK細胞を誘導した.転移巣の栄養血管を介してLAK細胞を週2回動注した.3例中1例において,上臀動脈を介してLAK細胞を3ヵ月間動注することにより腸骨転移巣が明らかに消失した.また腰動脈へのLAK細胞動注により,腸腰筋と傍大動脈リンパ節転移の消失および腰椎転移巣の縮小が得られた1例を経験した.他の1例では,脳転移に対して内頚動脈よりLAK細胞を動注したが,脳浮腫が増悪し中止となった.LAK細胞の動注療法は,転移性腎癌の治療に有用であり,今後とも期待される方法と考えられた.
著者
鈴鴨 よしみ 寛 善行 賀本 敏行 荒井 陽一 小川 修 福原 俊一
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.659-668, 2002-09-20
参考文献数
11
被引用文献数
7 6

(目的)前立腺癌疾患特異的QOLを測定する尺度「UCLA Prostate Cancer Index(UCLA PCI)」を翻訳し,オリジナルと等価概念を現す日本語版を作成すること(対象と方法)多段階のプロセスを経てオリジナル版の翻訳を行った.さらに,前立腺癌患者6名を対象にパイロットテストを実施し,翻訳上の問題点や実施上の問題点を抽出して改訂し,原作者の了承を得た.(結果)項目分析の結果,無回答者がいた4項目,一つのカテゴリーに片寄る1項目が抽出された.無回答であった項目はその後の質的解析により回答選択肢に問題が見つかり,改訂され解決された.回答に偏りのある項目は,対象が症状の安定した群であったためと考えられた.他の項目は性機能を含め,十分な回答率が得られた.所用回答時間は5.5分と負担のないものであった.(結論)理解しやすく負担のない,且つオリジナル版の持つ概念と等価であると認められたUCLAPCI日本語版version1.2が完成した.また,尺度開発におけるパイロットテストの有用性が示された.
著者
田原 秀男 今西 正昭 石井 徳味 西岡 伯 松浦 健 秋山 隆弘 栗田 孝
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.854-857, 1998-10-20
参考文献数
7

生体腎移植後の機能廃絶腎周囲に発生した粘液型脂肪肉腫の1例を経験したので報告する.患者は19歳男性.1988年6月15日母親をドナーとして生体腎移植を施行した.腎移植3年後慢性拒絶反応が徐々に増悪し,1991年6月に透析導入となった.1992年1月腹部腫瘤に気付き受診した.CTにて移植腎周囲に巨大な低吸収像を示す腫瘤を認めた.移植腎を一塊として摘出した.腫瘤は病理組織学的に粘液型脂肪肉腫と診断された.腫瘍細胞はHLA-DRB1 DNA typingによって,レシピエント細胞由来のものであることが証明された.手術後再発もなく外来にて経過観察していたが1993年脳内出血にて死亡した.
著者
鈴木 和雄 青木 雅信 水野 卓爾 石川 晃 影山 慎二 宇佐美 隆利 麦谷 荘一 牛山 知己 藤田 公生
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.87, no.5, pp.809-814, 1996-05-20
参考文献数
22
被引用文献数
8 2

(目的)腹膜外到達法による腹腔鏡下副腎摘除術について手技的問題を中心に検討した。(対象・方法)1994年7月より1995年3月までに副腎腫瘍9例(男4例,女5例,30歳から79歳,平均56歳)に対して本手術を施行した。術前診断は原発性アルドステロン症2例,18-ハイドロキシコルチコステロン産生腫瘍1例,プレクッシング症候群5例,内分泌非活性腫瘍1例であった。手術は全身麻酔下,側臥位にて施行した。皮膚小切開よりバルーンにて後腹膜腔を剥離後炭酸ガス送気を行った。トロカールは計4本留置した。腎上極を露出後,腎周囲脂肪組織を上内側に向かい剥離した。副腎全周を剥離後副腎静脈にクリップをかけ切断した。(結果)9例全例に腫瘍摘出に成功した。平均手術時間,平均出血量はそれぞれ53ml,168分であった。術中合併症は見られなかった。術後後腹膜血腫が1例に見られたが5日間の安静にて軽快した。(結論)腹膜外到達法の有用性は開放性手術において既に確立されている。腹膜外到達法腹腔鏡下副腎摘除術は,術野が狭く,手技がやや難しいといった問題点はあるものの,安全かつ低侵襲であり,褐色細胞腫を除いた片側性の小さな副腎腫瘍に対して有用な手術法と考えられた。
著者
木村 哲
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.455-475, 1965 (Released:2010-07-23)
参考文献数
104
被引用文献数
3

Many aspects of the host-parasite relationship of Trichomonas vaginalis still remain either unanswered, or poorly understood. The following studies, involving clinical evaluation, cultivation on artifical media, and animal inoculation procedures, were designed to provide a fundamental knowledge of the complexities of the relationship of T. vaginalis. with both human and animal hosts.A selected group of 946 patients who visited the Urological Clinic of the Keio University Hospital with Symptoms of urinary infection such as unpleasant feeling, itching, pain and discharge were examined for T. vaginalis. A total of 1067 specimens were obtained from these patients, and cultured on a variety of artifical media. T. vaginalis so isolated were inoculated into a large series of surgieally altered, hormon-trerted, male albino rats.1) On the 946 patients, 67 were infected with T. vaginalis. Of the patients suffering from a prostatic discharge 9 percent were found to be infected. Other symptoms and materials which were related to a positive diagnosis are listed with their respective precentages. Urethral discharge 8.9 percent; semen, 5.3 percent; urin, 4.6 percent and smegma 2.4 percent.2) The symptoms which complained all 67 infected were not only particular as urinary infections but in 16 cases were complained nothing. The problems of symptomlos infection of T. vaginalis in male urinary tract will become more important on treatment in comming future.3) Specimens from the 67 infected patients, in contrast to those from the non-infected patients, were all relatively acidic, ranging from PH 5.6 to 7.84) Of the 67 patients with T. vaginalis, 57 patients (70 percent) were positive for various other microorganisms such as Escherichia coli, Staphylococcus albus, and Pseudomonas. However, no paticular relationship between these organisms and T. vaginalis was noted.5) Among the 67 infected cases, 62 (91 percent) gave a history involving sexual intercourse, with some 47 cases (76 percent) having wives who had complained of trichomoniasis previously, In a group of married women suffering from “honeymoon cystitis”, 17 percent were found infected, as compared to a series of unmarried women with an infection rate of only 3.6 percent. From these data, it appears evident that trichomoniasis is a venereal disease, with the majar source of infection being sexual partners.6) T. vaginalis was inoculated into the urethra and forskin of human males. The parasite was found to survive for 3 days in the urethra and 7 days under the foreskin, but without any signs of multiplication.7) Various concentrations of saline extracts of human prostate and smegma were added to a standard culture medium of cystein-bouillon-serum, and their effects on the growth of T. vaginalis studied. It was noted that the trichomonad did not grow better in the extractenriched media than in the control medium, and that in media composed of prostate or smegma extract alone, the organism failed to grow at all.8) T. vaginalis serially maintained in cystein-bouillon-serum medium without a ccompanying bacteria were inoculated into muscle urethra, bladder, and seminal vesicle, of normal male albino rats; castrated male rats; and castrated, androgen-treated male rats.A) In muscle, T. vaginalis did not multiply, and disappeared in several days.B) In the bladder, of 4 cases, out of 14 control or castrated, and or androgen-treated rats could lived for 10 days long, but did not multiply any more.C) In the seminal vesicle of either normal or castrated rats, the inoculated T. vaginalis persisted for only 5 to 6 days. In the castrated, androgen-treated group of rats however, the parasite was able to multiply and survive for more than 2 weeks.9) The fact that T. vaginalis was able to live and multiply only in the seminal vesicle of the androgen-treated male castrated is believed dur to one of the metabolic effects of the androgens in males
著者
斉藤 博
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.432-441, 2005-03-20
被引用文献数
2

(目的)ヒポクラテス(紀元前460年頃)は古代ギリシア, コスの有名な医師で, 彼の業績は, 後世『ヒポクラテス全集』に記載されている.私は『ヒポクラテス全集』での排尿障害を検討した.(方法)『ヒポクラテス全集』での排尿障害をラーブ, 大槻, 今版で採集し, コス学派とクニドス学派とで排尿障害を比較した.(結果)排尿障害が67カ所(文, または, 節) : 排尿困難50, 尿閉15, 尿失尿2, または, 3(排尿困難との合併が1)記載されていた.術語としてストラングリエ(滴状尿)は20カ所中コス学派12(60%), クニドス学派5(25%), ドゥスリエ(排尿困難)は30カ所中コス学派13(43%), クニドス学派17(53%)であったが, 有意ではなかった(X^2検定で, p>0.05).激しい疼痛を伴う排尿困難, 尿閉はコス学派の記載で認められた.ストラングリエは慢性化するが, 合併症がなければ死ぬことはない.2種類の尿失禁があり, 多量の尿失禁と, 滴状尿失禁で, 前者は神経因性膀胱, 後者は溢流性尿失禁と考えられる.尿道カテーテル法, 利尿剤が, すでに, 『ヒポクラテス全集』に記載されていた.瀉血法, 鎮痛剤が排尿困難の治療に用いられていた.(結論)排尿障害は4種類認められる.すなわち, 排尿困難, または, ディスリア, 滴状排尿困難症, または, ストラングリ, 尿閉と尿失禁である.重症の排尿障害はコス学派の記載に多く認められる.