著者
安藤 正遵 千崎 一義 上野 香代子 大川 茂樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.308, pp.19-24, 2009-11-19

本稿では,歯科における咬み合わせ治療により発声が改善されることを,実際の治療事例および治療前後の音声分析の結果により示す。一般にはあまり知られていないが,咬み合わせ治療を施すことにより,肩こりなどの不定愁訴などが改善されることや,発声が明瞭になる(たとえば滑舌がよくなる)ことが歯学界では知られている。本研究では,まず,模擬患者1名の通常の咬み合わせ時および異物を下顎臼歯に配置したときの舌運動をfMRI画像として記録した。次に,実際に発声改善を望んだ複数名の患者に対して治療を施し,術前・術後の音声を録音した。患者2名の治療事例の詳細を紹介すると共に,音声の変化に関する時間的・周波数的分析の結果を示す。
著者
谷治 隆史 関口 一樹 向井 信彦 小杉 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.431, pp.29-34, 2005-11-17
被引用文献数
1

パソコンの高性能化, ハードディスクレコーダの普及, および, 通信回線の高速化などにより, 映像を効果的かつ効率的に要約・検索を行う技術の必要性が高まっている.我々は, 長時間の試合に対して重要なシーンの割合が限られている野球中継映像を対象とし, 映像解析により索引の自動付加, および, ユーザの嗜好を反映したダイジェスト映像の自動生成を行ってきた.本稿では, 放送局の判別方法, 詳細打席結果の推定方法, さらに, シーン重要度の算出方法について述べる.シーン重要度を用いることにより, ユーザが時間指定を行うだけでダイジェスト映像を作成することを可能とした.
著者
和田 真一 越田 圭治 園田 健人 峯岸 寛人 菊地 光男 久保田 洋彰 澤 孝一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.144, pp.37-42, 2008-07-11
被引用文献数
7

電気接点に実用的振動を与えうるハンマリング加振機構を開発し,微小振動が接触抵抗に与える影響を考察できる可能性を検討した.外部入力として,単位ステップ関数を導入し,本加振機構の数学的モデル化を実施しPCによるシミュレーションを行なった.このモデルを用いて変位・加速度・力学的エネルギーなどの基本的な力学量に関する考察を行なった.有限要素法(ジオメトリ要素法)により,加振動作をシミュレータとの比較により,基板を固定している固定端近傍の挙動や変位・加速度の絶対値において差異はみられたものの,波形の概形においてよい一致をみた.
著者
馬場 良二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.148, pp.11-16, 2004-06-18

熊本方言は語のアクセントの型に意味を弁別する機能がなく,無アクセント方言だといわれている.しかし,音声言語であれば発話の切れ目を示す機能はあるはずで,引用を示す助詞「-て」を含む節において,韻律がどのように現れるかを調査した.イントネーション単位がテ節と一致しているとき,基本的には「て」の直前で音調の下降が見られること,テ節がより大きなイントネーション単位の一部となるとき,その下降は見られなくなること,プロミネンスがおかれた場合,おかれた要素の音調にピークが現われ,他の要素の音調は低くおさえられることなどがわかった.
著者
星野 哲 松本 弘之 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.311, pp.53-60, 2001-09-10
参考文献数
15
被引用文献数
2

我々は, 指紋照合システムの供給者ならびに利用者に対してセキュリティーの再考を促すことを目的に, ゼラチン製の人工指, いわゆる"グミ製人工指"が市販されている11機種の指紋照合装置に高い割合で受け入れられることを示してきた.これらの一連の実験において, 我々は元となる生体の指を直に押し当てて作製した型を用いてきた.本稿では, 生体の指を直に押し当てることなく, ガラスなどに残った指紋から採取した指紋画像を元に型を作製できるか否かについて検討する.まず, 指紋画像を利用した型の作製方法を説明する.さらに, その型から作製したグミ製人工指も市販の指紋照合装置に受け入れられたことを報告する.
著者
生井 みづき 瓜生 大輔 徳久 悟 柏樹 良 稲見 昌彦 奥出 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.281, pp.41-46, 2009-11-05
被引用文献数
3

"panavi"は、適切な温度調節と動作の誘導により、ユーザの料理スキルの習得を支援するシステムである。本システムは、センサ・アクチュエータ・無線通信機能を内蔵するフライパンと、オリジナルフォーマットのレシピ、ナビゲーションディスプレイを有するコンピュータの3つから構成されている。本システムは他の調理道具と同様に家庭のキッチンで使用可能であるため、毎日の食事作りの際に繰り返して使用することで、プロの料理人が身体能力として身につけている能力を、素人が獲得することの支援が可能である。本論文では、panaviのシステムの仕組みと、ユーザが経験するインタラクションについて述べる。
著者
根来 美貴 曽我 真人 瀧 寛和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.39, pp.53-58, 2011-05-07

近年,マンガの描き方を記した書籍には『視線誘導』という技術が記載されている.『視線誘導』とは「ページのコマの絵を追っていく読者の視線の自然な流れを作る」技術である.この視線の流れを作者がコントロールすることで,マンガ内の時間感覚やリズムなどを希望した通りに読み進めてもらえる.しかしこれは著者の経験に基づいて記述されているものであり,実験により証明されたものではない.そこで本研究では書籍および参考資料に記載されている視線誘導の例からマンガを作成し,視線分析装置を用いた分析を行った.また印象の変化が発生するとされるものにはアンケートを実施した.そこから視線誘導の有用性を明らかにすることを目的とした.
著者
沖林 洋平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.659, pp.31-35, 2004-02-13
参考文献数
37

本稿では,まず認知心理学領域における批判的思考研究を概観する。近年の研究において,批判的思考に関する定義の統一はなされていない。さらに,批判的思考の領域固有性について注目した研究はほとんどなされていない。本稿では,文章理解過程における批判的思考の役割について検討する。特に,読み手の文章内容に対する期有知識量と批判的思考を適用した読解能力との関係に注目する。最後に,文章読解を課題に設定した批判的思考力の測定に関する実験デザインを提案する。
著者
塚本 昌義 今田 栄治 星野 豊 岡田 昇 新垣 雅進 水野 晃一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.177, pp.39-44, 2010-08-19
参考文献数
3

ケーブル外被にクマゼミ耐性を付与した光ドロップケーブルを開発することを目的として,異なる外被材料で被覆した複数種の光ドロップケーブルに対してクマゼミ産卵実験を実施した結果,引張強度・デュロメータD硬度・引張弾性率が大きい材料ほど,クマゼミが産卵管を突き刺しても損傷しにくいことが明らかになった.この結果に基づいて,新たに通常(傾斜燃焼特性)タイプ,高難燃(垂直燃焼特性)タイプのクマゼミ対策樹脂を設計し,それぞれの樹脂を用いた1心・2心,4心・8心光ドロップケーブルを開発した.本稿では,クマゼミ産卵実験,クマゼミ耐性樹脂とその高難燃化技術,その材料を用いた光ドロップケーブルについて報告する.
著者
遠藤 由紀子 松本 弘之 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.48, pp.17-24, 2001-05-11
参考文献数
17
被引用文献数
3

我々は, バイオメトリック認証技術の一つである指紋照合技術の安全性を評価する中で, ゼラチンにより作製したグミ製人工指が高い割合で指紋照合装置に受け人れられることを発見した. この事実は指紋照合装置の安全性に再考を迫るものであった. 一方, この認証方法が様々な環境で多くの人に安定して適用できることが求められているという観点で考えると, グミ製人工指は指紋照合装置に受け入れられにくい乾燥指をもつ人などへの救済手段となる可能性がある. 本稿では, グミ製人工指と乾燥した生体指について受入率の比較を行い, 両者の違いに関して人力された指紋画像のコントラストや柔らかさなどの観点からの議論を試みる.
著者
全 炳河 徳田 恵一 益子 貴史 小林 隆夫 北村 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.323, pp.53-58, 2001-09-21
参考文献数
12

多空間上の確率分布に基づくHMM(multi-space probability distribution HMM:MSD-HMM)により, ピッチパターンをモデル化し, 学習したMSD-HMMからピッチパターンを出力する手法を提案し, 音声合成に適応した.しかしこれまでは, 有声/無声境界における動的特徴量を考慮せずにピッチをモデル化していたため, ピッチパターンを生成した際, 無声区間を挟んだ2つの有声区間の間でピッチパターンが不連続に変化する場合があった.本論文では有声/無声境界の動的特徴量を考慮してMSD-HMMによりピッチパターンをモデル化し, より自然性の高いピッチパターンを生成する手法について述べる.
著者
崔 雄 西浦 敬信 矢野 桂司 八村 広三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.381, pp.365-370, 2011-01-13

本研究では,バーチャル・へリテージ研究の一環として,京都祇園祭りの山鉾巡行の様子をバーチャルに再現することを試みた.ここでは,京都の街路モデルには「バーチャル京都」の成果を利用し,その上に,4基の山と鉾を配置し,さらに,この中の一つの鉾(船鉾)の曳方,音頭取り,車方などの巡行関係者の人物モデルとそのアニメーションを付与した.また,巡行当日,世界中から集まる観客に関しても,それぞれアニメーションをつけたものとして,街路上に配置した.音響についても,実際の囃子や観客の話声などの音場を記録し,これを3D映像に付与している.これらは,リアルタイム・インタラクティブなコンテンツとして再現し,20人の被験者による評価実験も行い,良好な結果を得た.現状では,実際の山鉾巡行の規模には遠く及ばないが,今後さらに多くの山と鉾,また観客や巡行関係者の数を増やし,また,解説等のリンクを付与していくことを考えている.また,鉾の上の囃子舞台の上に乗って,巡行時の揺れや振動を仮想体験できるようなシステムを構築することも計画している.
著者
古賀 一男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.479, pp.47-50, 2005-12-15
参考文献数
15

歌舞伎は日本の伝統的な総合芸術である.古来より歌舞伎は, その様式化された「所作」, 「舞台装置」, 「筋書」等によって, 至って判りやすく共感を得やすい芸術としての地位を築きあげてきた.歌舞伎の所作の中には「睨み」と呼ばれる特別な眼球位置を舞台の上で見ることができるが, この非対称的な眼球運動が「美」の一般的基準とどのようなかかわりをもつのかという点について, 幾つかの異なった芸術, 工芸, 建築などのデザインと比較することで共通する「美」の基準を提唱する試みについて報告する.
著者
近藤 勲 河崎 雅人 山本 尚武 西野 麻由子 河原 美智子 前川 朋子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.397, pp.39-44, 2001-10-19
参考文献数
10

視覚並びに聴覚サブリミナル効果の有無について検証するために, 3年前から情動の変化を皮膚電気活動(EDA:Electrodermal Activity)並びに精神性発汗(Emotional Sweating)に変換して測定し, その結果をもとに検討している.本稿では, そのうち視覚サブリミナル知覚の検証を中心に述べる.標本には, 映像情報として中性刺激と見なせる構成のビデオ映像約9分に性的興奮を惹起させると期待される画像・文字を1/30秒間並びに1〜2秒間ランダムに11の挿入カット(文字2種, 画像9種)をランダムに2回づつ計22カ所に挿入し視聴させた.被験者は男子学生22名である.この結果, カットを挿入した映像を視聴した場合には, 皮膚電気活動並びに発汗量の変化については, 情動に有意な変化が見られたが, 無挿入の映像を視聴した場合には, 明確な変化は見られなかった.したがって, 映像情報については, 視覚サブリミナル知覚の存在を否定できないという結果を得た.
著者
田中 健太 金澤 秀知 新井 哲平 栄永 道子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.488, pp.59-64, 2005-12-17
参考文献数
7
被引用文献数
3

学習者それぞれの学習意欲に合ったe-Learning教材で学習することの効果を検討した。学習意欲検査の結果によって2グループに分けられた被験者群を、さらにその意欲のタイプと合う教材で学習する群と合わない教材で学習する群に割り当てて学習させ、成績や学習を放棄(ドロップアウト)する割合を比較した。その結果、テストの得点やドロップアウト数において、自分に合った教材で学習した群が、そうでない群に比べてよい結果を収めた。そのことから、e-Learning学習においても、ひとりひとりの個性を重視した柔軟な教材を用いることの有効性が示唆された。
著者
奥 晋吾 菊池 眞之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.461, pp.19-21, 2011-02-28
参考文献数
6

2次元パターンの視覚認知において,輪郭の凹凸特徴のうち凸のほうが凹に比べ重視されていることが示されている.本研究では両眼立体視が行われる際に3次元的な凹凸特徴がどのように知覚されるかを,ランダムドットステレオグラムにより表現される凹凸のある面を刺激に用いた心理物理実験により調べた.各試行において凹凸刺激のうちの1か所の尖り具合に変化を与え,被験者はその変化を検出する課題を行う.凹/凸特徴の変化の検出率を比較したところ,凸特徴の検出率のほうが相対的に高いという結果になった.この結果は2次元のみならず両眼立体視でもヒトは凸特徴を重視した知覚を行うことを示唆する.
著者
舘野 純子 佐野 洋 相澤 弘 中村 隆宏 森田 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.437, pp.7-12, 2005-11-18

小学館コーパスネットワーク((株)ネットアドバンス/(株)小学館)は東京外国語大学と共同で, 文法項目別に用例検索ができる教材としての英文用例サイトを開発した。BNC (British National Corpus)の中から1320文型に対応する用例(80万例文)をユーザーが検索できるように工夫している。本用例サイトは小学館コーパスネットワーク(SCN)から提供され, BNC Onlineの契約者には無料で提供されている。本稿では, 用例サイトの構築過程の詳細と, 今後の用例サイトの拡張について説明する。
著者
田中 観自 陳 娜 坂井 信之 渡邊 克巳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.128, pp.7-10, 2013-07-13

本研究では、食器の材質・質感における感覚間統合が味覚に及ぼす影響を検討した。実験では、3種類の水が刺激として用いられ、木、ガラス、紙、プラスチックの4種類のコップにそれぞれ注がれた。実験参加者は、各コップに入った水を飲んだ後に味覚の評定が求められた。その結果、木のコップで水を飲んだ場合、他の食器に比べて美味しいと感じることが示唆され、また触覚モダリティを想起させる形容詞を用いた味覚評価の質問をしたときに、その評価が食器間で異なることが示された。同様に、ハムを刺激とした実験を行ったところ、材質・質感による味覚の評価の違いは見られなかった。これは、参加者がフォークを用いてハムを口に運んで食していたため、直接的に食器の材質・質感を経験しなかったことが理由として考えられる。本研究の結果をまとめると、視覚的だけではなく触覚的に食器の材質・質感を直接経験することで、味覚との感覚間統合がなされ、味覚評価が変容することが示唆された。