著者
浜田 陽子 ガルシア パウラ 綾部 園子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.66-71, 2000-02-20
被引用文献数
4

ホウレンソウ,コマツナおよびカイワレダ大根を家庭用電気冷蔵庫に保存する際,置き方が品質に影響を及ぼすか検討した。4℃,95%RHの密封容器内に,横,立て,逆さ,に設置した状態で14日間保存し,重量,水分,色および総ビタミンC量と茄で加熱後の食味を測定,評価した。結果は以下の通りである。1.ホウレンソウ,コマツナの重量は保存期間の延長に伴って減少したが,置き方による有意の差は認められなかった。カイワレ大根の水分含量は僅かに増加したが,置き方による有意差はなかった。2.ホウレンソウおよびカイワレ大根の色は保存期間中ほとんど変化しなかった。コマツナは保存期間とともに黄化が進んだが,置き方による有意差はなかった。3.総ビタミンC量はいずれも保存期間の延長に伴い減少したが,置き方による有意差はなかった。4.官能検査の結果,茄でたホウレンソウ,コマツナの緑の濃さ,におい,甘味,渋味,食べたときの香り,硬さ,筋っぽさ,総合的な好ましさには置き方による有意の差はなかった。5.以上の結果より本実験では,ホウレンソウ,コマツナおよびカイワレ大根の冷蔵庫に保存する際,特に置き方がビタミンCの保持や食味に有意に影響を与えるとはいえなかった。
著者
香西 みどり
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.387-392, 2002-11-20
被引用文献数
4
著者
山本 誠子 前田 由美子 小宮山 冨美江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.275-280, 1996-11-20

官能検査(評点法)、破断特性(レオナーによる)測定、組織観察を行い、梨もどき調製法について検討し、次の結果を得た。(1)梨もどきを調製するためには生っぽい味がなくなり、しゃきしゃき感の得られる加熱範囲の設定が必要と思われる。水煮ではデンプンが充分に膨潤し、生っぽさがなくなると軟らかくなりしゃきしゃき感が得られなくなったため梨もどきを調製できなかった。(2)30%食酢液で加熱すると細胞壁の変化が少なく、かたく、破断応力が生いもに近かったことより軟化が抑えられた。以下の条件で調製したときしゃきしゃき感が得られた。(3)基準の大きさ(2.5×1.0×0.5cm^3)で7分〜10分、細いもの(2.5×0.3×0.3cm^3)で5分〜10分、太いもの(2.5×1.0×1.0cm^3)で13分加熱したとき、良好なテクスチャーが得られ、細めに切った方が加熱範囲が広いと認められた。
著者
大江 隆子 片寄 眞木子 細見 和子 森下 敏子 入江 一恵 大島 英子 川原崎 淑子 小西 春江 長谷川 禎子 樋上 純子 澤田 参子 山本 信子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.25-39, 2001-02-20
被引用文献数
2

Tastes of Japanese dishes are formed from fermented seasonings which each contain a unique flavor. Among such seasonings, mirin and shoyu have been used for Japanese cooking since the Edo period. Mirin, which provided the characteristic flavor of Edo cooking, has become one of the key ingredients in Japanese cuisine. Cooking books and articles published during the Edo period were studied to present this report on use of mirin and its development for Japanese cooking.
著者
奥田 弘枝 田坂 美央 由井 明子 川染 節江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.2-9, 2002-02-20
被引用文献数
5

食品の色彩識別と味覚の関係について若年層の傾向を把握することを目的に20歳前後の男女826名を対象にアンケート用紙に色見本を添え調査し,次のような知見を得た。食べ物の色が食欲増進に影響するという認識は,男子80.6%に対し,女子は92.4%と1割程度高く,影響しないとの回答は男子が9.3%に対し,女子は1.9%と低く,この回答率についての性差はx^2検定により有意と認められた。20歳代の男女が食欲を増進させると意識している色は,上位から赤,オレンジ,黄の3色,逆に減退させると意識している色は黒,茶,紫,青の4色が主であった。この男女の選択率を変量としたスピアマンの順位相関係数は高く有意と認められ,男女が共通した意識をもっていることが分かった。味覚と色彩との関連では,男女とも甘味からはピンクとオレンジの暖色系を,酸味からは黄色,塩味から白,苦味からは茶と無彩色,うま味からはオレンジ,赤,茶をそれぞれイメージし,これらの結果にも相関係数により男女間の一致性は高く有意と認められた。食べ物の配色については,色相の隔りが小さく色みの近いもの,あるいは,隔りの大きい色相の異なった色が選ばれていた。性別でみると男女に共通しているのはオレンジ,黄,黄緑,若干異なるのが緑,白,大差が見られるのは茶であった。料理の色の組み合わせについての関心度は,女子のほうが男子よりも高く「大変ある」の回答者は,男子6.5%に対し女子は24.3%と男子の4倍であり,この男女差はx^2検定により有意が認められた。
著者
小出 あつみ 山内 知子 山本 淳子 松本 貴志子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.48-55, 2012-02-05
被引用文献数
1

本研究では,高齢者が咀嚼しにくいと考えられる8種類の食材を試料として,切り込みにおける機器測定値,官能評価および咀嚼回数の関連から,高齢者における切り込みの有効性を検討した。切り込みによって煮にんじん以外の7試料(リンゴ,キュウ,煮ダイコン,煮コンニャク,カマボコ,イカ,タコ)は有意に軟らかくなった。咀嚼回数では切り込みによって全て試料の咀嚼回数が有意(p<0.05)に減少した。特にイカとタコの減少率が高かった。切り込みをした食材は高齢者に好まれなかったが,煮コンニャクとイカでは違和感は少なかった。したがって,イカヘの切り込みが,高齢者に違和感を与えず,食材の硬さと咀嚼回数を減少させる有効な調理操作であることが示された。
著者
谷澤 容子 中谷 圭子 畑江 敬子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.375-381, 2002-11-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
13

A survey on contemporary daily cooking in France was carried out in Strasbourg (Alsace) to better understand the current diet in France and the constituents used in daily dishes. The results were obtained from 121 French women ranging in age from the 20 s to 60 s. About 70% of the subjects ate bread at breakfast, mostly with both butter and jam. Some ate cereals, biscuits or cakes for breakfast, while coffee was drunk by most of them, and tea by some. Fruit, egg dishes, ham and dairy products were eaten by some subjects, although not very often. Beef, pork and other types of meat were eaten at lunch, almost always accompanied by cooked potatoes. Salad, fruit and dessert were frequently eaten at lunch and dinner, while soup and cheese were more often served at dinner than at lunch. Instead of beef and pork dishes, sausages and ham were usually served at dinner. The average number of dishes was three to four both lunch and dinner. In addition, the number of dishes served at lunch was more than that served at dinner.
著者
小出 あつみ 山内 知子 大羽 和子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.397-404, 2007-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は,貯蔵及び加熱調理後のアンセリン(Ans)とカルノシン(Car)の含有量およびDPPHラジカル捕捉活性の変化を,ブロイラー(B)・三河赤鶏(M)・名古屋コーチン(K)肉を用いて明らかにした。屠鳥後32時間以内の肉に含まれるAnsとCar量は鶏の種類,部位,飼育状態によって異なった。塊状の胸生肉を7日間冷凍貯蔵(-80℃)してもAnsとCar量は変化しなかったが,ミンチ状の肉を冷凍貯蔵し解凍するとAnsとCarの合計量が有意に増加した。BとK胸ミンチ肉を加熱調理した場合,Ans+Car量は真空調理と茹で加熱(茹で汁を含む)後で減少しなかったが,電子レンジ,蒸し,焼きおよび揚げ加熱後で減少した。DPPHラジカル捕捉活性は,B肉の真空調理,蒸し,茹で,揚げ加熱後では減少しなかったが,電子レンジ加熱で有意に減少し,焼き加熱で有意に増加した。K肉はB肉の変化とほぼ類似した傾向であった。
著者
三神 彩子 荒木 葉子 笹原 麻希 伊藤 貴英 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.204-208, 2012-06-05
被引用文献数
1

本研究では,家庭での使用頻度の高い野菜50種を取り上げ,家庭で通常行われている切り方およびエコ・クッキングの切り方での廃棄率を実測し,食材廃棄率の削減効果を明らかとすることを目的とした。野菜50種は旬の時期に栽培された国産のものを試料とした。通常の切り方は,家庭調理を前提とし,大学の調理実習で実施している方法とした。エコ・クッキングでは,可食部分を出来る限り生かし,ヘタや根,種を除き,丸ごと皮ごと使用することとした。これにより,45種の野菜で可食部分が増加し,平均して9.1%の廃棄率削減効果が認められた。中でも,廃棄率の削減効果が高かったものに,カブ(葉つき)33.1%,セロリー32.1%,フキ27.7%,長ネギ26.2%,ブロッコリー23.3%があげられた。ただし,いずれの野菜も料理によっては可食部全てを使うことが望ましいわけではないため,皮や固い部分はみじん切りにしたり,すりおろしたり,もしくは部位ごとに使い分け加熱操作を加える方法などの調理の工夫で上手に活用することが望ましい。
著者
大家 千恵子 武政 育恵 船木 絵美子 津田 淑江
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.209-214, 2012-06-05

大学生と高校生に対し,環境に配慮した食生活行動についての質問紙調査を行い,その結果を因子分析した。質問内容は,環境に配慮した食生活における行動を聞いた。第1因子では,生産配慮であった。第2因子は,廃棄配慮であった。第3因子は,調理配慮とした。第4因子は,輸送配慮とした。さらに,生産配慮では高校生の方が有意に高い得点を示し,調理配慮では大学生の方が有意に高い得点を示した。環境への負荷を削減するために,学生が食生活におけるCO_2排出量の削減に関心を持つことが必要である。食生活からのCO_2排出量削減の教育が必要である。
著者
綿貫 亜紀 原 安夫 新井 映子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.352-359, 2004-11-20
被引用文献数
4

水道水を弱電解処理して得られる電解生成水(酸性電解水およびアルカリ性電解水)と水道水を使用して,超微細米粉を原料とする米粉パンを調製した.官能検査および機器測定によるパンの特性評価を通して,米粉パンヘの電解生成水の利用の可能性を検討した.酸性電解水およびアルカリ性電解氷を使用すると,水道水を使用した場合よりいずれもパンの膨化性が向上して比容積が増加し,クラムは軟化した.これらの改変効果は,官能検査においても確認された.酸性電解水による膨化性の向上はタンパク質の溶解性の変化,アルカリ性電解水による膨化性の向上はでんぶんの糊化特性の変化によることが示唆された.砂糖を20%減量してパンを調製した場合にも,酸性電解水およびアルカリ性電解水による改変効果は確認された.また,酸性電解水の使用は,クラストの着色を促進した.以上の結果より,電解生成水の使用は米粉パンの特性改変に有効であり,添加する砂糖の減量も可能であることから、米粉パンの品質向上に寄与できると結論した.
著者
綿貫 亜紀 原 安夫 新井 映子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.352-359, 2004-11-20
参考文献数
25
被引用文献数
4

水道水を弱電解処理して得られる電解生成水(酸性電解水およびアルカリ性電解水)と水道水を使用して,超微細米粉を原料とする米粉パンを調製した.官能検査および機器測定によるパンの特性評価を通して,米粉パンヘの電解生成水の利用の可能性を検討した.酸性電解水およびアルカリ性電解氷を使用すると,水道水を使用した場合よりいずれもパンの膨化性が向上して比容積が増加し,クラムは軟化した.これらの改変効果は,官能検査においても確認された.酸性電解水による膨化性の向上はタンパク質の溶解性の変化,アルカリ性電解水による膨化性の向上はでんぶんの糊化特性の変化によることが示唆された.砂糖を20%減量してパンを調製した場合にも,酸性電解水およびアルカリ性電解水による改変効果は確認された.また,酸性電解水の使用は,クラストの着色を促進した.以上の結果より,電解生成水の使用は米粉パンの特性改変に有効であり,添加する砂糖の減量も可能であることから、米粉パンの品質向上に寄与できると結論した.
著者
井上 吉世 石津 日出子 伊藤 知子 大鹿 淳子 梶本 五郎 竹井 よう子 高村 仁知 中原 満子 西池 珠子 林 淑美 原 知子 深見 良子 福井 広子 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 夜久 富美子 湯川 夏子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.299-304, 2003-08-20
参考文献数
17
被引用文献数
3

A collaborative study was designed to examine the applicability of a sensory evaluation to determine the life span of frying oil. Soybean oil was heated at 170℃ in an electric fryer. Two types of food, chicken fillet and potato, were deep-fried with or without breaded batter every 15 min. Frying was continued until the flavor score of the oil had dropped to 3. A sensory evaluation of the frying oil and each fried food was then carried out. The life span of the frying oil to reach the flavor score of 3 was slightly longer with breaded batter than without using the batter coating. The color of the frying oil did not exhibit any degradation, especially when potato was fried. It was difficult to judge the degradation by the appearance of each fried food coated with breaded batter. However, the flavor score of the frying oil corresponded to the flavor score of the fried foods coated with breaded batter. The flavor and taste of the foods fried in the oil with a flavor score of 3 were not good. These results suggest that the flavor score of frying oil is useful to determine the life span of frying oil when a breaded batter coating is used.
著者
畑江 敬子 奥本 牧子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.133-140, 2012-04-05
参考文献数
9

煮物の味は冷めるときにしみ込むという言い伝えを検証するために,ジャガイモ,ダイコン,コンニャクを2cm角の立方体に成形し,1%食塩水中で食べられる軟らかさまで加熱後,0, 30, 50, 80, 95℃で90分まで保温し,30分後と90分後に外層部と内層部の食塩濃度を測定した。温度降下条件を各設定温度に試料を加熱した鍋のまま移す緩慢条件と,氷水に鍋をつけて設定温度まで下げた後保温する急速条件の2種とした。いずれの条件でも,保温温度が高いほど,食塩の内部への拡散は犬さく,このことは官能評価でも確認された。これらの結果から冷めるときに味がしみ込むということは見いだせなかった。ソレ効果についても検討したが,ソレ効果で煮物の調味料の拡散を説明することはできないことがわかった。冷めるときに味がしみ込むというのは,冷める時間に調味料が内部へ拡散することを言っているのではないかと考えられる。
著者
佐藤 久美 小川 友理江 長尾 慶子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.200-205, 2011-06-05
参考文献数
17
被引用文献数
1

豆腐の凝固剤である'にがり'を用いてプディングを調製し,その製品の色差測定により外観の評価,テクスチャー測定および動的粘弾性の測定により物性の評価,抗酸化性の評価,官能評価による嗜好性を評価し,総合的にプディングの品質を検討した。その結果,無添加に比べて,'にがり'添加により黄度か弱く,明度が高い製品となった。テクスチャー測定では付着性が低く,軟らかいプディングとなった。抗酸化性においても'にがり'添加で増強されることがわかった。動的粘弾性測定では'にがり'添加濃度0.5wt%の製品が高周波領域では他の試料に比べ貯蔵弾性率ならびに損失弾性率が周波数に大きく依存し,ゲル構造が柔らかくしなやかなプディングであると考えられた。嗜好意欲尺度法による官能検査では0.5wt%添加が最も嗜好意欲が大であり,プディングへの'にがり'添加の有用性が認められた。