著者
下井 俊典
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.451-461, 2011 (Released:2011-07-21)
参考文献数
26
被引用文献数
67 26

根拠ある理学療法の確立のため,近年,理学療法評価法の信頼性を検討する報告が多くなっている.信頼性の検討方法には相対信頼性を用いるものと絶対信頼性を用いるものがある.理学療法評価法の信頼性の検討の多くは前者であるが,評価方法を臨床応用する場合,後者は前者に比べて多くの有益な情報を与えてくれる.本稿では誤差の種類について概説した後,絶対信頼性の検討方法であるBland-Altman分析及び最小可検変化量について説明する.
著者
岡山 裕美 鶴池 柾叡 大工谷 新一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.897-901, 2015 (Released:2016-01-09)
参考文献数
16

〔目的〕ダイナミックストレッチング(DS)の実施前後,実施10分後の股関節屈曲可動域と膝関節伸展筋力および筋活動の変化を比較検討することを目的とした.〔対象〕実験の趣旨説明に同意を得た健常男性23名とした.〔方法〕DS実施前後と10分後に股関節屈曲可動域と膝関節伸展のピークトルクを計測した.ピークトルクの計測と同期し,表面筋電図を計測した.〔結果〕股関節屈曲可動域と膝関節伸展のピークトルク,中間周波数はDS実施前より直後,10分後に有意に高い値を示した.〔結語〕DSは股関節屈曲可動域の拡大に関与するといえる.また,運動単位の動員数は変化しないが,発火頻度が集中するなどの質的な変化が生じることが示唆される.
著者
岩村 真樹 金内 雅夫 梶本 浩之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.265-271, 2015 (Released:2015-06-24)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2

〔目的〕骨格筋量のデータの蓄積とサルコペニア診断におけるカットオフ値の作成,加齢に伴う骨格筋量変化の検討を行なう為に,MRI法を基準に推定式が算出されたBIA法を用いて骨格筋量の測定を行った.〔対象〕18歳から84歳までの日本人男女1347名(男性622名,女性725名)とした.〔方法〕上下肢と全身骨格筋量,さらに骨格筋量指数(以下SMI)を測定し,性別・年齢別に検討した.〔結果〕全ての部位において男性と比較して女性の骨格筋量減少率が低く算出された.骨格筋量のカットオフ値は男性4.0kg/m2,女性2.9kg/m2となった.〔結語〕加齢に伴う骨格筋量の減少は男女ともに認められたが,男性により大きく生じていた.また,BIA法においては測定機器により値が異なることが示唆された.
著者
松野 悟之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.129-141, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
6

本稿は,改訂された脳卒中治療ガイドライン2021について,リハビリテーション領域に関連する内容を中心に紹介し,新たな治療や既存治療のエビデンスレベルの向上などを理解することで,医療従事者が脳卒中患者に対する適切な評価および治療の選択の一助となることを目的とした.今回の改訂では,脳卒中治療ガイドライン2015と比べて,リハビリテーション領域の治療において,反復性経頭蓋磁気刺激や経頭蓋直流電気刺激を用いた治療の推奨が増加した.既存の治療においても,その有効性を検証する研究が実施され,エビデンスレベルが向上したものもある.一方で,今回の改訂で削除された内容もみられる.ガイドラインを踏まえた指針や判断基準を土台にして,臨床現場における個々の患者に対する柔軟な対応の両面が重要だと考える.
著者
谷澤 真 増田 陽子 飛永 敬志 宮崎 千枝子 齊藤 孝道 村田 健児 大関 覚
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.785-788, 2014 (Released:2014-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

〔目的〕筋活動量の観点から効果的な腓骨筋トレーニング方法を明らかにすること.〔対象〕健常成人女性44名88足とした.〔方法〕表面筋電図を用いて,セラバンドを用いた外返し抵抗運動(対照群),calf raise(calf raise群),立位による外反位での母趾球荷重運動(外反位母趾球荷重群)時の長腓骨筋の筋活動を計測し,これらの群間で比較した.〔結果〕長腓骨筋の筋活動量は外反位母趾球荷重群,calf raise群,対照群の順に高値を示し,すべての群間に有意差が認められた.〔結語〕立位による外反位での母趾球荷重運動はセラバンドを用いた外返し抵抗運動よりも効果的な腓骨筋トレーニング方法である.
著者
巻 直樹 松田 ひとみ 岡本 紀子 高尾 敏文 荒木 章裕 Von Fingerhut Georg 王 暁辰 丁 剣洋 佐藤 幸夫
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.455-459, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕地域在住高齢者において,睡眠の質と嚥下呼吸機能との関連について検討した.〔対象と方法〕65歳以上の地域在住高齢者を対象とし,インターネットアンケート調査を実施.対象数は400名であった.質問項目は,摂食・嚥下障害スクリーニング法(DRACE),ピッツバーグ睡眠質問票日本語版(PSQIJ)とした.〔結果〕回答を得た400名に対し,睡眠障害群と非睡眠障害群に分け比較,睡眠の質に関連する変数として,DRACE得点が見出された.〔結語〕高齢者において,睡眠の質と嚥下機能との関連性が示され,また睡眠の質と嚥下機能との関連における重要性が示唆された.
著者
末廣 忠延 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.309-313, 2012 (Released:2012-08-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕コルセット使用の有無が腰部安定化運動中の体幹筋活動に及ぼす影響を検討した.〔対象〕健常成人男性10名(平均年齢21.3±0.5歳)とした.〔方法〕ダーメンコルセットを装着した条件としなかった条件でブリッジ,バードドッグ,下肢伸展拳上時の体幹筋活動を測定した.〔結果〕コルセットを装着した条件において,ブリッジとバードドッグ[右上肢・左下肢拳上]で右の内腹斜筋の活動が,また右下肢伸展拳上で右の内腹斜筋と腹直筋の活動が有意に低値を示した.〔結語〕コルセットを装着したブリッジ,バードドッグ,下肢伸展挙上の腰部安定化運動では内腹斜筋の活動が低下するため,より頻回に腰部安定化運動を行い,ローカル筋群の賦活を促していく必要があると考えられた.
著者
濵地 望 岡 真一郎 森田 正治 廣岡 良隆
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.227-232, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
37

〔目的〕男子大学生における血管内皮機能に影響を及ぼす因子を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は健常な男子大学生34名とした.血管内皮機能(flow-mediated dilation:FMD)と身体組成,血圧(SBP,DBP),強度別身体活動量(LPA,MPA,VPA,%MVPA)との関係を調査した.〔結果〕FMDの平均値は8.1 ± 2.2%であった.FMDはVPA,%MVPAと有意な正の相関(r=0.432,0.383),FMD正常群ではDBPと有意な負の相関(r=-0.445)を示した.また,FMD正常群は低下群に比べ,VPAが有意に高かった.〔結語〕男子大学生の血管内皮機能には,高強度の身体活動時間および拡張期血圧が影響することが示唆された.
著者
鎌田 哲彰 岡田 恭司 若狭 正彦 斉藤 明 木元 稔
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.811-814, 2016 (Released:2016-12-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1

〔目的〕短時間の静的ストレッチング(以下,SS)が大腿直筋の柔軟性と筋力に及ぼす効果について検討すること.〔対象と方法〕運動習慣が週2日以内の健常若年者30名の右下肢を対象とした.伸張時間を2,4,6,8,10,30秒でSSを行い,それぞれの前後で,踵殿距離,大腿直筋のエラストグラフィによる歪み比と等尺性膝伸展筋力を算出した.〔結果〕踵殿距離は2秒~30秒すべてのSS後に,大腿直筋の歪み比は8秒以上のSS後に有意な低下が見られた.筋力は8秒間まではSS後の変化がなく,10秒以上で有意な低下が見られた.〔結語〕8秒間のSSでは,大腿直筋の筋力が維持され,柔軟性が向上するのに対し,10秒以降では柔軟性が向上し,筋力は低下することが示唆された.
著者
石坂 正大 大好 崇史 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.139-143, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
22
被引用文献数
6 3

健常人を対象に内側縦アーチの構成要素とされる長母趾屈筋と後脛骨筋の筋力強化として足趾圧迫練習を6週間施行した。内側縦アーチの指標として,アーチ高率を求めると同時に静的立位バランスを課題前,2週間後,4週間後,課題後の計4回測定した。足趾圧迫練習は,足趾を地面に押し付ける等尺性収縮を、「ややきつい~きつい」と感じる程度の運動負荷量で両側100回ずつとした。各測定値の結果から,一元配置分散分析に主効果を認めた(p<0.05)。足趾圧迫練習によって足趾圧迫力の増加と,舟状骨高の増加が確認できた。足趾圧迫練習を行うことにより足趾屈筋群や後脛骨筋,足底筋膜の筋活動が増大し,舟状骨を頭側に引き上げた可能性がある。
著者
奥田 裕 荻野 禎子 小澤 佑介 原田 慎一 江連 亜弥 内山 靖
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.357-362, 2006-11-20
参考文献数
22
被引用文献数
4 12

臨床的体幹機能検査(FACT: Functional Assessment for Control of Trunk)を開発し,信頼性を明らかにすることを目的とした。FACTは体幹にかかわるパフォーマンスの可否を判定するもので,10項目20点満点で構成されている。脳卒中者23例を対象として,理学療法士5名でペアを作り,別々にFACTを実施した。検者間信頼性について,合計点では級内相関係数(2,1),項目毎の合致率は%と &kappa;係数を用いて検討した。内的整合性はクロンバックの &alpha;係数を用いた。合計点は検者間で高い信頼性を認めた(ICC(2,1)=0.96)。項目毎では87~100%の一致率が示され, &kappa;係数は0.62~1で臨床導入が可能な信頼性を有することが示された。また,クロンバックの &alpha;は0.81であった。FACTは体幹機能をパフォーマンスによる得点尺度で捉えることができ,治療指向的な検査法の一つとして臨床,研究両分野での適用が期待される。<br>
著者
松井 康 今井 智子 永井 智 小林 直行 渡邊 昌宏 近藤 宏 宮川 俊平
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.389-393, 2016 (Released:2016-07-06)
参考文献数
28
被引用文献数
1

〔目的〕運動前のタウリン摂取が,運動によって生じる筋疲労に与える影響を明らかにすることとした.〔対象〕大学男子サッカー選手10名とした.〔方法〕無作為化二重盲検クロスオーバー試験にて,タウリン水,プラセボ水の2種類を摂取し,75%VO2maxでのエルゴメータによる運動と,最大努力での等速性膝伸展運動を100回行った.測定項目は,血液成分,膝伸展運動中のピークトルク,および大腿直筋の平均周波数(MPF)とした.〔結果〕タウリン水摂取群は血中MB濃度の上昇と,MPFの低下が抑制される傾向を示した.〔結語〕タウリン水摂取が運動によって生じる筋損傷を抑制する可能性があることが示唆される.
著者
直井 俊祐 勝平 純司 丸山 仁司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.539-542, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
15

〔目的〕リュックサックの有無および重量の違いが立位姿勢に及ぼす影響を運動学・運動力学的に明らかにすることとした.〔対象〕健常若年群16名と健常高齢群8名とした.〔方法〕三次元動作解析装置と床反力計を用いて立位姿勢の計測を行い,リュックサック重量の増減に対する変化を群間ごとに比較した.〔結果〕リュックサックの重量増加に伴い,骨盤前傾角度と腰部屈曲モーメントが両群とも有意に増加した.股関節屈曲モーメントは若年群で有意に増加し,高齢群で有意でないものの増加傾向を示した.〔結語〕リュックサックの重量増加により腰背部の負担が軽減される現象は若年者と高齢者で共にみられた.
著者
森上 亜城洋 西田 裕介 三谷 美歩 中村 昌樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1027-1031, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
28

〔目的〕排泄行為と下腿最大周径,身体組成および栄養状態の間の関係性ならびに影響度から排泄行為能力に与える要因を把握することとした.〔対象〕後期高齢入院患者66名.〔方法〕排泄行為(バーサルインデックス)と,下腿長を100%とする腓骨頭下端から26%の部位での下腿最大周径,身体組成(予測身長,体重,BMI,筋肉量),および医科健診での栄養状態(血清アルブミン)との間の関係性を,相関および回帰分析により調べた.〔結果〕排泄行為は下腿最大周径と身体組成と栄養状態との間に有意な相関関係を示した.重回帰モデルにおいて排泄行為に影響する要因として下腿最大周径とAlbが選択された.〔結語〕下腿最大周径とAlbにより排泄行為能力を予測できる.

5 0 0 0 OA 足趾の機能

著者
加辺 憲人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.41-48, 2003 (Released:2003-05-01)
参考文献数
29
被引用文献数
16 5

足は,身体の中で唯一地面に接して身体を支え,また身体の動きを誘導している。足趾・足底機能は,見逃してはならない評価項目の一つであり,高齢者の転倒予防としてのみならず,障害予防としても着目していく必要がある。
著者
寺尾 瞳 近藤 景子 園田 楽人 鶴崎 俊哉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.459-464, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

〔目的〕乳幼児のハイハイ動作をレパートリー数の変化に着目し日齢やハイハイ実施期間(ハイハイ歴)との関係を検証した.〔対象〕子育て支援センターを利用する神経学的・整形外科学的問題のない乳幼児8名(月齢:5~18ヵ月).〔方法〕複数の床条件でのハイハイ動作をビデオ録画し,頭部と体幹,四肢の状態,重心の移動,推進力の点から研究者3名が動作分析を行い,合議により判定しカウントされるレパートリー数の変化を横断的に分析した.〔結果〕ハイハイ歴に伴いレパートリー数は一端増加しその後減少した.〔結語〕乳幼児のハイハイにおける運動学習は,無作為的な運動から合理的な運動へと進行しその過程を繰り返しながら発達していくことが示唆される.
著者
米元 佑太 京極 真
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.483-487, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

〔目的〕呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)において信念対立が生じた慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者への介入に信念対立解明アプローチ(DAB)を導入した事例を報告し,その意義と課題を検討すること.〔対象〕COPD増悪による廃用症候群と診断された79歳男性であった.〔方法〕呼吸リハによって身体機能は改善したものの,身体活動量には変化が見受けられなかった.離床を促すことで信念対立が生じたためDABを導入した.〔結果〕DAB導入翌日から,対象者は自ら時間を決め離床を行うようになり,その習慣は退院まで続いた.〔結語〕呼吸リハへDABを導入することが有用である可能性がある.
著者
堀本 ゆかり 山田 洋一 山下 淳一 丸山 仁司
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.303-310, 2022 (Released:2022-06-20)
参考文献数
16

〔目的〕本研究では,管理業務に携わる理学療法士のコンピテンシー要素を明らかにし,理学療法士のための臨床管理能力尺度の信頼性と妥当性を検証することを目的とした.〔対象と方法〕対象は,臨床業務に従事し,管理業務に携わる理学療法士200名とした.方法は自由参加によるWebアンケートで,基本属性および「看護管理能力を発揮するために必要なスキルと行動特性」68項目を用いた.〔結果〕管理業務に携わる理学療法士のコンピテンシー要素は,「組織開発力」,「管理者としての人柄」,「批判的視点」,「部門管理力」,「専門職観」,「状況対応力」が抽出され,信頼性と妥当性が確認できた.〔結語〕本研究では,理学療法士の管理業務に必要なコンピテンシー要素を臨床管理能力尺度として示し,信頼性と妥当性を検証した.
著者
夏迫 歩美 鶴崎 俊哉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.351-354, 2017 (Released:2017-06-23)
参考文献数
7

〔目的〕後方視的にハイハイ実施状況を調査し,幼児の立位姿勢との関係を明らかにすることとした.〔対象と方法〕保育園に通う3歳から6歳の幼児で,特に整形外科学的・神経学的な疾患を指摘されていない38名を対象に,ハイハイの有無,ハイハイ開始やつかまり立ち開始の月齢などについて質問紙調査を保護者に対して実施した.また幼児の自然な立位姿勢をビデオ撮影し,骨盤傾斜角度と股関節の内外旋を評価した.〔結果〕ハイハイ実施状況によって骨盤傾斜角度に差異はなかったが,ハイハイしなかった児やつかまり立ちが先行していた児には股関節内旋位の立位姿勢を示す児が多かった.〔結語〕ハイハイは股関節肢位に影響している可能性がある.
著者
澳 昂佑 木村 大輔 松木 明好 井上 純爾 服部 暁穂 中野 英樹 川原 勲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.355-360, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
21
被引用文献数
2 1

〔目的〕立位姿勢制御時の感覚統合の異常が改善したことにより,歩行能力が改善した症例を経験したので報告する.〔対象〕対象は脳梗塞発症後1ヵ月経過した70歳代女性とした.本症例は,明らかな麻痺がないにもかかわらず,麻痺側立脚期が短縮し,転倒の危険性を有していた.〔方法〕立位時の各感覚貢献度を算出すると,本症例は感覚情報の重みづけに異常を有していることが明らかとなった.通常の理学療法に加え,セラピストはディジョックボード上で麻痺側片脚立位姿勢をとらせ,足底からの感覚入力を促すトレーニングを行った.介入期間は1ヵ月とした.〔結果〕立位時感覚貢献度指数,歩行左右対称性,10m歩行速度に改善が認められた.〔結語〕今回の再重みづけトレーニングが本症例の立位時の感覚統合に効果があった可能性が示唆された.