著者
石川 本雄 藤野 貴康
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中国大同炭を燃料とする空気燃焼弱電離プラズマのエンタルピー、導電率、電子移動度などの熱力学的諸量の熱平衡計算を行い、1次元解析により高性能MHD発電機の設計を行った。ついで、ファラデー形MHD発電機の安定性解析を行い、設計したMHD発電機は安定であることを確かめた。さらに、CO2回収方式MHD発電機内衝撃波と境界層の相互作用の解明に関して、側壁電極を持つダイアゴナル形MHD発電機内の圧縮波と境界層の相互作用を明らかにした。
著者
岩崎 奈緒子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究の特色は、寛政期の対外政策を、当該期を世界観の変容というダイナミズムの中に位置づけた点にある。具体的には以下のことが解明できた。(1)蝦夷地政策に積極的であった田沼期と蝦夷地幕領期との間に位置する寛政改革期は、蝦夷地政策を展開させる重要な一段階であった。(2)対ラクスマン外交は、むしろ、日本の伝統的な対外関係のあり方に即して策定された(3)定信はロシアに対する深い知識を背景に、礼節を持った法治国家、すなわち、文明の国として、ロシアに対し日本を対置した(4) 「鎖国」の観念がナショナリスティックな色彩を帯びつつ、日本の国是として定着する契機は、日露紛争という近世日本が初めて遭遇した深刻な対外的危機にあった。
著者
高橋 憲二
出版者
島根県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、過疎地域において、人口減少及び地理的条件不利により、従来型の社会サービスや社会福祉サービスの提供を困難にする中で、高齢期の在宅生活継続の社会的条件を探ることを目的に実施した。そのために、この4年間、島根県江津市桜江町内9集落、津袖野町4集落、大田市温泉津町6集落、浜田市金城町2集落の全世帯調査を実施した。主な知見は以下の通りである。1.島根県下においては2004年度の限界集落数は416集落になっている。今回の調査では21集落を調査した。これは、県下全集落数(3,586集落)の0.58%に相当する。2.限界集落の政策要望は次の3点に集約される。まず、僻地で生活できるだけの年金の保障をおこなうこと。そして、介護保険料や利用料の利用者負担の負担減をおこなうこと。さらに、交通費の負担軽減措置をおこなうことである。3.集落は住民にとって基本的で最小の生活圏である。従って、生活を維持する上で最低限の社会的サービスが堤供されることが必要である。それは、交通手段の確保や、生活環境基盤の整備、食料品・生活必需品の調達、及び郵便・金融サービス、そして介護サービスの提供が求められている。4.市町村合併によって周迦集落の生活支援施設が撤退している。生活必需品を購入できるシステムを再構築するとともに、行政だけではなく、地域住民や民間事業者など多様な担い手との連携・協衝を加えた社会サービス提供手法の検討が求められている。5.高齢化と集落衰退の進行の中で住民の危機意識は高まっている。一部では地域の互助活動や行政と住民活動とのコラボレーション、コミュニティ・ビジネスなども活発に行われている。しかし、こうした動きを広げていくためには、行政によるこれまで以上の財政的、人的なサポートが必要となっている。
著者
高橋 淑子
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

平成14年度は主に、ヤマトヒメミミズの再生過程でなにがおこっているのかという基本的な知見を得ることに集中した。得られた結果を以下に示す。1.再生過程におけるからだの前後極性を知るために、5種類のHox遺伝子のcDNA断片を得た。2.より効率よくシグナルを得るためのin situ hybridization法を探索した。3.人工的にミミズを切断した直後、どの細胞種が再生過程の中心的な役割を担うかについて、増殖細胞のマーカーであるPCNAを用いて、切断後経時的にその発現を観察した。結果、ネオブラスト周辺の数細胞が最初に増殖を開始することがわかった。これに引き続き、表皮が増殖能を獲得することも観察された。4.再生過程に特異的に発現する遺伝子群を探ることを目的に、ESTプロジェクトを開始した。平成15年度は、前年度の観察から得た再生過程でみられるイベントの知見をもとに、分節と再生に関与する遺伝子を同定することに注目した。今年度の活動と得られた結果を以下にまとめる。1.前年度から進行しているESTプロジェクトの結果に加えて、「再生中ミミズ」と「再生を完了しているミミズ」のサブトラクトラクションを行うことで、再生芽に特異的に発現する遺伝子の候補を34クローン得た。2.これら全ての遺伝子についてin situ hybridization法を用いて、発現パターンによるスクリーニングを行った結果、再生中期の再生芽に発現する21遺伝子を特定した。また、このうち11遺伝子は既に再生初期で発現が認められた。3.上記の結果を発現パターンでカテゴリー別に分類したところ、再生初期から表皮に強い発現をみせる遺伝子、表皮を除く再生芽に発現する遺伝子をはじめとして、さまざまな発現パターンを示す遺伝子が得られた。これらの活動から、ヤマトヒメミミズの再生過程の分子機構に関し、全く新しい知見を多く得ることができた。
著者
高橋 雅延
出版者
聖心女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.実験1強烈な感情が対人記憶に及ぼす制御効果について検討するために、ある人物の一日の行動を写した写真18枚を材料とし、情動的な刺激(死体)を提示した場合(情動群16名)の前後の記憶について、情動的な刺激を提示しない場合(中立群16名)の再認記憶と比較検討した。その結果、ネガティブな感情が対人記憶に対して順向抑制効果を与えることが明らかとなった。これは、そのような状況において、精緻な処理が行えず、記憶が悪くなったのではないかと考えられた。2.実験2ある男子大学生の一日について述べられた文章を材料とした。そして、この男子学生に抱く対人感情(ポジティブ感情、ネガティブ感情)を操作するために、その人物の友好的描写を読ませるネガティブ感情群27名を設け、1時間後に、文章の偶発自由再生を求めた。その結果、対人記憶課題では、ポジティブ感情をもった群の方が、行動の種類によっては、そのような感情の源となった行動とは一致しない敵意性行動の再生成績が高い傾向が見受けらた。このように、行動によって結果のパタンが異なることから、矛盾情報というように一つのカテゴリで行動をまとめてしまうのではなく、矛盾情報の中でも、細かく行動別に調べていくことが必要であると思われる。
著者
泉家 康宏
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

我々は運動療法の臓器保護作用を骨格筋由来ホルモンの観点から検討した。筋肥大が誘導できる遺伝子改変マウスでは腎疾患モデル後の組織障害が減弱しており、機序として腎臓でのeNOSの活性化が関与していた。骨格筋由来ホルモンを網羅的に探索し、Heme oxygenase-1 (HO-1)とThrombospondin-2 (TSP-2)をスクリーニングした。骨格筋特異的HO-1欠損マウスの解析から、HO-1は血管内皮細胞やマクロファージ由来である可能性が示唆された。TSP-2は心不全患者のバイオマーカーとなりうる可能性が示唆された。本研究成果は骨格筋を中心とした臓器連関の機序解明に寄与すると考えられた。
著者
吉田 匡秀
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

社会的敗北ストレスによって視床下部背内側核、延髄弧束核、延髄腹外側核に存在するプロラクチン放出ペプチド産生ニューロンが活性化した。プロラクチン放出ペプチド遺伝子欠損マウスは恐怖の作動閾値が低下していることを見出した。プロラクチン放出ペプチドは心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症を抑制できる可能性がある。
著者
庄司 浩一 牛尾 昭浩 松本 功 川村 恒夫 荒井 圭介 横野 喬
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

昨今のIT農業における実用的なセンサとして,穀粒の衝撃音をイヤホンで感知し,コンバイン上での収穫質量と水分,穀物乾燥機上で水分の推定を行った。コンバインの穀粒タンク内では別途用意した小型の衝突板に,乾燥機では側壁に市販のセラミックイヤホンを装着した。籾およびコムギの収穫時に出力を積算して実際の収穫質量と対応させると,単純な線形回帰でも標準誤差1 kg程度を得た。時系列の信号を周波数領域の音響スペクトルに演算しなおし,任意の2周波数バンドを選択して水分推定を行うと,標準誤差は籾で0.4%,コムギで0.8%を得た。乾燥機でも同様の手法で籾の水分推定を行ったところ,標準誤差0.1%を得た。
著者
HAYES BlakeE.
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では男女同権に関する雇用実施状況を調べるため複数国(日本他5カ国)の制度分析を行い、また高学歴女性雇用に対する影響力のメカニズム解明のため日本の資本主義の多様性(VOC)等について調査した。日本の大学雇用では他調査地より明確なパイプラインが存在することから、意識的、無意識的な性差ステレオタイプをベースとした男性規範による硬直的雇用及び昇進が促されていることが分かった。女性雇用は宗教、VOC(自由な市場経済(LMEs)対コーディネートされた市場経済(CMEs))や性差規範イデオロギー(差異性対同一性)など地域要因が様々に影響し経済・政治・社会的要素による複雑な相互関係が示されていた。
著者
印南 洋 小泉 利恵
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本の大学英語科目では、授業を履修する代わりに、外部テストのスコアに基づいて単位を認定する場合がある。本研究は英検・TOEFL・TOEICを対象に、「単位認定対象の科目内容」と「単位認定時に用いるテスト内容」がどの程度一致しているかを調べた。その結果、(1)各大学には、外部テストのスコアに基づき単位認定できる英語科目が58.5科目(中央値)あること、(2)単位認定が行われる約3分の1において、「単位認定対象の科目内容」と「単位認定時に用いるテスト内容」の間に相違がみられること、などが分かった。
著者
沖本 天太 井上 克巳
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では動的環境における多目的分散制約最適化に関する研究を行った.まず,多目的分散制約最適化アルゴリズムとして,すべてのパレート最適解が求解可能な厳密アルゴリズム,パレートフロントの部分集合を求解する非厳密アルゴリズム,パレートフロントの近似解を求解する近似アルゴリズムをそれぞれ開発した.次に,動的環境における多目的分散制約最適化問題を定式化し,この問題を解く効率的なアルゴリズムを提案した.最後に,応用研究として,チーム編成問題及びナース・スケジューリング問題に本モデルを適用した.本研究は,申請書に記載した研究計画どおりに進めることが出来,AI分野の最難関国際会議に複数の論文を輩出している.
著者
春木 孝子
出版者
神戸松蔭女子学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

中世から現代にいたるアイルランド文学史における女性表象の変遷を、それぞれの歴史的、社会的、政治的な時代背景との関連において明らかにすることが報告者の主要な研究テーマであるが、その目的は日本ではまだあまり取り上げられていない英語を媒体とする女性詩人や劇作家・小説家のみならず、アイルランド語を媒体とした女性詩人を取り上げることにあり、3年間の期間内においても出来得る範囲で積極的にゲール語(アイルランド語)で書かれた文献を研究の範囲に入れるということを大きな目標として研究を進めてきた。そのため、アイルランド語の研鑽にかなりの時間を投じ、京都アイルランド語研究会のメンバーと共に中級文法書の翻訳を完成させるという形でもその成果はあがったが、特に、現代詩人のモーイラ・ヴァッカンツイーの哀歌を読み、分析するにあたって、歴史的また伝統的な背景にまでさかのぼった視点を持つことができたということが大きな成果であった。その一方で、20世紀初頭の文芸復興期以降のアイルランド文学における女性表象の大きな変化については、リアム・オフラバティーの小説に関しての論文「存在の矛盾そして狂気」のなかでだけではまだ十分に論じることができず、さらに「男の幻想と女の現実のはざまで」という枠組みでとらえ、「リアム・オフラバティーの女性表象」というタイトルで現在、論文を執筆中である。
著者
上神 貴佳 堤 英敬
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目標は、事実上、日本の首相を決める、自民党総裁選のメカニズムを解明することにある。とりわけ2000年代に入ってから、毎回、党員投票が実施されるようになるなど、同党の総裁選には大きな変化が生じている。一方、国会議員の投票行動には変化が生じているのか否か、(生じているとすると)どのような変化なのか、地道なデータの収集を通じて、その解明を試みた。現在、詳細な分析を続行中であるが、投票行動における派閥要因の低下が予想される。無派閥議員の増加など、派閥の拘束力低下をうかがわせる傾向と軌を一にする結果が得られるはずである。
著者
垣花 シゲ 眞榮城 千夏子 太田 光紀
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

前回の研究課題(基盤(C) 2006-2008)で開発した「途上国を対象とした感染看護教育プログラム」を実践に応用して効果を見た。プログラムの内容は、感染源別院内感染調査と標準予防策の実践である。まず、院内感染調査結果の共有を目的にラオスの協力3施設でセミナーを開催した。今研究の重点教育は、滅菌物品の清潔な保管、手術創の清潔、カテーテル挿入の際の滅菌操作等であった。プログラム評価として実施した質問紙調査および感染兆候を示す患者の減少から感染看護教育プログラムの効果が示唆された。
著者
後藤 百万 舟橋 康人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

膀胱虚血再灌流モデルラット、及び下部尿路閉塞モデルラットを用い、ペンシル型CCD生体顕微鏡により膀胱虚血再灌流における膀胱壁微小循環の変化を解析した。下部尿路閉塞における膀胱蓄尿障害は、膀胱過伸展による虚血再灌流障害による膀胱血流障害に起因することを示した。また、膀胱微小循環の障害が交感神経α1遮断薬の前投与によりα1A受容体を介して抑制されることを示した。これらの結果から、下部尿路閉塞に基づく蓄尿障害の新規治療として、膀胱微小循環、特に交感神経α1A受容体をターゲットとした薬剤開発が有用であることが示唆された。
著者
川又 啓子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究課題で実施した日仏出版社へのインタビュー調査から、コンテンツ創造には「信頼」が最重要要因であることが示された。マンガはハイリスクなビジネスであるがゆえに、創造基盤としての「信頼」(タスクに対する信頼(task reliability))と編集者の誠実さ(integrity))の重要性が当事者間で強く認識されている。しかし、作家・編集者の関係が成熟するにつれて、当事者間での意識が希薄になるのは、「信頼」が制作システムに埋め込まれるためであると考えられる。
著者
三澤 美和 千葉 義彦 酒井 寛泰
出版者
星薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

アレルギー性気管支喘息時に発現する気道過敏性の発症機序を薬理分子生物学的に検討を行い、以下の成果を得た。1.抗原反復チャレンジラットから摘出した気管支は endothelin-1(ET-1)収縮反応性が増大していた。このET-1 収縮反応性亢進にはCa^<2+>感受性亢進現象が関与しており、CTI-17とミオシン軽鎖キナーゼのリン酸化(活性化)が亢進していることに起因していた。2.反復抗原チャレンジにより気管支の matrix metalloproteinase (MMP)-12 mRNAとタンパク質の発現と活性化が亢進しており、MMP-12 が気道過敏性に関与していることを明らかにした。3.抗原暴露後に気管支平滑筋において活性化される転写因子を核抽出液を用いて protein/DNA array にて網羅的に把握した。活性化された転写因子のうち、RhoA プロモーター領域の配列と結合する可能性がある転写として、USF-1、Sp1、NF-E1、STAT5、STAT6 をつきとめた。4.Interleukin-13 は転写因子 STAT6を介して気道過敏性を発現した。5.Statin 系薬物である lovastatin をin vivo で投与することによって、抗原反復チャレンジによって発現するラット気道過敏性を ex vivo において抑制することが判明した。その際 RhoAの細胞膜への移行もlovastatin が抑制することも明らかとなり、statin系薬物が気管支喘息における気道過敏性の改善に有効である可能性を示唆した。6.Glucocorticoids は抗原誘発時に気管支平滑筋においてみられる RhoAupregulation を抑制することにより、気管支喘息に有効性を示すことが示唆された。
著者
松井 利之 岩瀬 彰宏
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

FeRh金属間化合物は,室温附近で反強磁性状態から強磁性状態へと変化する物質である.我々は,この物質にイオンビームを照射し,反強磁性が安定となる温度域で,強磁性状態を安定化させることに成功している.本研究ではこの成果を利用し,物質の磁気構造を3次元的に制御することにより,従来にない磁気構造を構築し,新規なデバイス応用を検討した.その結果,マイクロイオンビーム装置を用い2次元の磁気構造描画を可能にしたこと,多様なエネルギー域のイオン照射と熱処理を併用することで層状の磁気構造を構築したこと.クラスターイオンビーム照射により,際表面層の磁気構造を選択的に変化させ得ることなどを明らかにした.
著者
和田 充夫 徳山 美津恵 菅野 佐織 長尾 雅信
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

この研究の目的は当初から地域ブランド構築のためのプランニングとマネジメントモデルを構築することであった。研究は月一回の討論と全国各地における訪問調査であった。宮崎県、愛知県、大分県、長野県、新潟県などにおける訪問調査でも多大な成果をあげた。また、我々は多くの地域に対して地域イメージモデルを作成しインターネット上でイメージ調査を行った。最終的に我々は地域ブランドモデルを開発した。このモデルの特徴は、1)ブランドの定義を元に地域ブランドコンセプトの創り方を開発し、2)ゾーニング概念を導入し、3)コミュニケーション戦略の体系を作成し、4)アクターモデルを導入、最後に5)企業と地域の新たな関係を構築した双方向的な地域ブランドモデルを提案した。これらの成果を踏まえて、我々は2009年6月に「地域ブランドマネジメント」を上梓した。
著者
吉田 司雄 林 真理 一柳 廣孝
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトは、科学言説と文学言説を中心とする他の言説群との相互関連性を問題とし、文学研究の内側に止まるのではなく、科学史・科学思想の領域の研究者と共同して情報データベースを作成し、脱領域的なレベルでの積極的な議論を行える場所をつくることを通して、文化研究の新たな地平をひらこうとするものであった。研究期間中には特に近代日本の「動物学雑誌」等の学術雑誌、啓蒙的な大衆科学雑誌、少年向け雑誌、1970年代の各種メディアにおけるオカルト(疑似科学)に関する言説等を調査し、科学言説の非専門家層への伝播とその過程での変容や屈折を分析した。また、年1回ペースで公開研究会を開催し、脱領域的な研究ネットワークを構築することを目指した。第1回(2005年2月11日)は奈良崎英穂氏、松永俊男氏、第2回(2006年2月19日)は溝口元氏、曾根博義氏、第3回(2006年12月16日)は安齊順子氏、竹内瑞穂氏、小倉めぐみ氏、井山弘幸氏、第4回(2007年12月9日)は下坂英氏、伊藤龍平氏に報告をお願いし、コメンテーターを始め多くの参加者を交えて活発な議論を戦わせた。近代日本の文学言説がいかに様々な科学言説と交差することで生成展開していったか、その全貌を明らかにすることは研究期間内にはとても叶わなかったが、従来の文学史・科学史・文化史の枠組に囚われない新たな史的叙述の可能性を確信し、これまで学問的に注目されることの乏しかった分野の資料を博捜することで多くの知見を得ることができた。