著者
西村 直子
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ヴェーダ祭式は一般に,祭主が自らの願望成就を目的とし,祭官に挙行を依頼するという形式を取る。祭官は祭式によって祭主と神々とを仲介し,祭主は祭官に報酬を払う。ヴェーダ文献には,祭官と祭主との関係を巡る議論が数多く現れる。しかし,祭主の実態については殆ど解明されておらず,王族による祭主としての祭式への参与が,元来は制限されて部分的にしか認められていなかったことも,殆ど知られていない。社会や生活の変化に伴い,「祭主」のあり方も変化する。本研究では,ヴェーダ文献における「祭主の章」の翻訳と注解を通じ,当時の祭式や思想の内実と社会の変動とを解明するための,1つの確実な資料を提示することを目指した。
著者
遠山 恭司
出版者
東京都立産業技術高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

グローバル価値連鎖において、各プロセスで組織の不断の改変・外延化、すなわち組織ルーティンの進化を行う企業は垂直統合経営へ収斂しつつあり、それらの企業成長が産業集積の持続的発展において、極めて重要な要素である
著者
藤井 勝
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

1. 日本の伝統的家族理念は、近世の家の理念に求められる。近世の家は家父長制的ではあるが、成員の対等性と和の理念によって支えられた。また公的役割を果たすべき存在として家は理念化されたが、それは永続性の希求という理念を強化した。近世の身分層ごとに家の理念は多様性でありつつも共通の特質をもった。町人層さえも家の理念を発展させたことは、近代以降の産業化・近代化にとって重要な意味をもった。さらに家の理念は、祖先信仰からも儒教倫理から適合的な思想や価値観を提供された。2. 近世の家の理念は近代に引き継がれた。「日本的」なシステムは、明治以降の近代化のなかで解体されたのではなく、むしろ継承・再編されたからである。たとえば近代の儒教はかなり硬直的・統制的となって家の変容を生み出すが、それも近代の政治経済的展開への適応的な再編であった。そして戦後の高度成長期にさえ、「日本型企業社会」のなかに再編された。現代こそ、「日本的」システムの、また家の理念の大きな変容期である。3. 以上の歴史的前提のもとに、現代社会の家族理念は存在する。第一に、現代の家族理念には、現代的な変容と伝統性の保持とが共存している。成員の情緒的感情的結合を重視する一方で、家族の継承性を求める理念は根強く存在している。都市的地域の祖先祭紀でも、夫婦家族に適合的な祭紀が広がる一方で、伝統的祭紀およびその観念を持続させる契機が孕まれている。伝統的な家族理念の解体による「現代家族」的理念の確立という直線的過程を、調査データからは展望できない。第二に、農村では過疎化要因が家族理念に影響を与えている。そのため農村は都市と比較して遅れている、あるいは伝統的な文化的・社会的特質をもつという一般的な仮説は必ずしも適用できない。親子居住をめぐる理念と実態の関係をみても、農村地域では親子同居についての家的理念があるにもかかわらず、結果としては高齢者夫婦(単身)世帯が増加し、そこに独特の家族理念が生ずるという現状がある。
著者
浅井 さとみ 宮地 勇人 良原 栄策 大島 利夫
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

イミペネム、アミカシン、シプロフロキサシンのうち2系統以上の抗菌薬に耐性を示す薬剤耐性緑膿菌とアシネトバクターにおいて、多剤耐性化と遺伝子変異の相互関係、耐性遺伝子獲得の関係を調査した。その結果、薬剤排出ポンプの発現亢進が薬剤耐性緑膿菌と多剤耐性アシネトバクターのほぼ全例に関与していることが分かった。その一方で、薬剤排出ポンプの構成蛋白質の気質となるペプチドを供給する複合体蛋白(Bam複合体)の発現亢進はわずかであった。薬剤耐性の緑膿菌とアシネトバクターにおいて、薬剤排出ポンプ発現のモニタリングは感染制御に役立つことが示唆された。
著者
加地 大介
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本質主義のいくつかのタイプに関する比較考察の結果、実在的定義に基づく定義的本質主義を基礎としつつも傾向本質主義と最小本質主義をも部分的に取り入れた「範疇的力能本質主義」を採用した。それに基づきつつ、擬似的実体としての穴と虹の実在的定義を試みた結果、前者を充填可能性という力能を有する依存的耐続者として、後者を具体的実在対象としての実在的個別性を欠く現象的耐続者として規定した。さらに、実体的対象の本質の一部である耐続性を貫時点同一性としての純粋生成として捉え、その実在性を時制や生成とともに三位一体的に擁護した。
著者
高谷 光 磯崎 勝弘 清家 博史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

側鎖にPd, Pt, Ru等の触媒金属錯体の結合した新規なメタル化アミノ酸およびメタル化ペプチドの合成に成功し,これらのメタル化アミノ酸の相互連結あるいは自己組織化による金属集積制御に成功した.また,メタル化アミノ酸の自己組織化によって得られる超分子集合体が水中で作用する不均一系触媒として高い活性を示し,アルキン酸類の環化付加反応やアルコール類の過酸化水素酸化に高い活性を示すことを見出した.
著者
山田 隆 藤江 誠
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

青枯れ病菌巨大ファージRSL1ゲノムに検出した343個の遺伝子を対象にDNAマイクロアレイ解析を行い、感染期における4つの発現パターンを検出しゲノムマップ上に塗り分けた。持続的感染期に発現する12個の遺伝子を同定し、宿主菌増殖抑制/活性化制御等に関する機能解析を行い興味深い新規知見を得て、当初の目的を達成できた。病原細菌を薬剤を使わずファージを用いて持続的に制御する新システムとして重要と思える。
著者
秋山 好光
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では胃がんの発症進展および臨床病理学的諸性状に関わるmiRNAを探索し、その発現異常を検討した。その結果、miR-181cとmiR-212がエピジェネティックなメカニズムで発現抑制されていることが明らかになった。特に、miR-181cの発現にはCpGアイランドのメチル化が密接に関連していた。これらのmiRNAを胃がん細胞内で強制発現させると細胞増殖が抑制された。一方、CDX2転写因子の発現にはmiR-9が関与しており、リンパ節転移陽性胃がんでmiR-9の発現が高い傾向が認められた。以上、胃がんに関わる新規miRNAを複数明らかにした。
著者
齋藤 いずみ 遠藤 紀美恵 笹木 葉子 坂梨 薫 成田 伸 水流 聡子
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

目的:分娩時の看護人員配置の現状を把握し、根拠に基づく安全と質の保証された看護人員配置にするために、以下の4病院の分娩基礎データを収集した。地方の複数病院の分娩を集約化した公立病院の産科、専門特化した大規模産科病院2施設、混合科が進む産科の計4病院において、2003年1年間の全分娩事例約2500事例を調査した。文部科学省疫学研究の倫理指針に基づき実施した。方法:カルテ、分娩記録、助産録などからデータべースを作成し、月別・曜日別分娩数、曜日別入院数、曜日別異常分娩数、曜日別母体搬送数、曜日別緊急帝王切開数、曜日別児の体重別出生数、曜日別妊娠集数別出生数など、24時間分布としては分娩数、入院数、緊急帝王切開数、母体搬送数などを調査した。結果:月別分娩数は特に有意な差は見られなかった。曜日別分析:曜日別分娩数はハッピーマンデイ政策などにより、週の中盤に分娩が集中し、有意に人手の少ない週末は少なかった。妊娠週数の早い32週以前の分娩、出生体重1500g未満の異常分娩では、母体と児の安全のために週末に意思決定するためか金曜日に分娩が有意に高かった。特に母体搬送、緊急帝王切開では金曜日に高かった。曜日別時刻別分析では金曜日の午後から夕方までの時間帯に緊急帝王切開や分娩のリスクが高い分娩が多いことが明らかになった。24時間分布別分析:時刻別分析では、管理分娩の傾向が高い施設では日勤帯の分娩が多く、自然分娩が多く介入の少ない施設では24時間に分布していることが、統計的にも明らかになった。緊急帝王切開は人手のいない夜間帯にも少なくない現状である。考察及び課題科学的根拠に基づく分娩時の看護人員配置のデータとして非常に有益と思われる。また金曜日の午後から緊急性の高い児の出生や帝王切開が行われることは産科のみならず、NICUにも本情報を共有することが重要である。NICU の実態調査も必要性が高いと思われる。
著者
別府 正敏
出版者
東京薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、我々がすでに見いだしていたマクロファージの酸化細胞認識機能について、1)マクロファージ側の細胞表面レセプター分子である50kDaのレクチン様分子(p50)の実体解明、2)酸化細胞表面において認識される糖鎖リガンドの生成機構の解明、の両面から検討した。その結果以下の成果を得た。また、この認識様式は酸化細胞だけでなく、アポトーシスによって死につつある細胞の認識にもはたらくことを新たに見いだした。1.単離したp50の部分アミノ酸配列情報をもとに、PCR法にてヒト細胞のcDNAライブラリーから候補タンパク質をクローニングした。今後、このcDNAがコードするタンパク質が酸化細胞認識機能を有するかなどの同定作業を行う予定。2.p50の部分アミノ酸配列に対する抗体を作製し、この抗体を用いた蛍光抗体法により、マクロファージ細胞表面にp50が存在することを顕微鏡レベルで証明した。さらに、この抗体がマクロファージによる酸化細胞の認識を阻害することを確認し、p50が酸化細胞認識タンパク質であることが改めて裏付けられた。3.マクロファージはアポトーシスを起こした細胞を認識するが、アポトーシスT細胞の認識においても、酸化細胞に対する認識と同様、細胞表面のsialylpolylactosamine糖鎖を介した認識機構がはたらくことを見いだした。興味深いことにこの認識様式は、アポトーシス初期の細胞に対して働き、よく知られているホスファチジルセリン(PS)を介した認識よりも早く起こることが判明した。4.こうした認識を受ける細胞表面糖鎖は、T細胞ではCD43膜糖タンパクの糖鎖であることが判明した。さらに、酸化やアポトーシスを起こしたT細胞では、初期にCD43がクラスタリングすることが顕微鏡レベルで確認され、「細胞膜糖タンパク質がクラスタリングを起こすことによって細胞表面に糖鎖クラスターが形成され、マクロファージのレセプターにより認識されるようになる」という我々の提唱する仮説が証明された。
著者
申 東愛 南 京兌
出版者
北九州市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

福島原発事故は、世界各国のエネルギー政策に大きな影響を与えている。まず、本研究では、各国のエネルギー政策の持続性と変化について政治制度、政策参加者の利害関係、政党、産業構造で分析を行った。次には、エネルギー安全規制体制やその再編における相違を分析した。アメリカでは、原子力規制が「規制分離」であることに対して、日本、韓国では規制組織が経済産業省に設置され、規制機関の独立性が保障されなかった。
著者
小林 和裕
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

入手容易な出発原料から合成できる、オルト位(ベンゼン環の隣り合った位置)に官能基(化学的反応し易い置換基)を有するフェニルイソチオシアナート(ベンゼン環にイソチオシアナート基:-N=C=Sがついた化合物)誘導体を用いて、従来の方法では構築が困難であり、かつ医薬や農薬などの創製に役立つ可能性の高いヘテロ環(環の構成元素として、窒素,酸素、硫黄などのヘテロ原素を含む環状有機化合物)誘導体や新規へテロ環骨格の簡便かつ一般的な合成法を23方法開発した。
著者
中野 久松 三牧 宏彬
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

研究成果:アンテナ素子を電磁気的バンドギャップ(EBG)反射板上に極超低姿勢状態で配置し,この場合のアンテナ放射特性を明らかにした.(1)スパイラル素子2線式スパイラルアンテナをEBG板表面上から0.07波長以下の高さに配置.EBG表面とスパイラルとの間を誘電体で満たし,アンテナを75%以上に小形化することに成功.(2)カール素子カールアンテナをEBG板表面上から0.06波長の高さに配置.給電部付近のストリップ幅を変化させることにより,50Ω給電線とのインピーダンス整合に成功している.(3)逆Fアンテナ素子2素子逆F素子をEBG板表面上から0.03波長の高さに配置.これらの素子が,同相及び逆位相で給電された場合の放射特性を明らかにしている.電圧定在波比帯域は,同相給電で約10%,逆位相給電で約21%である,との結論を得ている.(4)折り返し線状素子折り返し線状アンテナをEBG板上から0.06波長の高さに配置.完全導体板上の折り返し線状アンテナと比べ,放射抵抗が増加することを明らかにしている.(5)パッチ素子円偏波パッチをEBGパッチで囲んだ場合の放射特性を検討.EBGパッチの効果により,直交偏波成分を低く抑えることに成功している.さらに,EBG板の短絡ピンの有無について,利得の観点から考察を加えている.意義:アンテナ素子と金属反射板との距離(アンテナ高)は,従来、1/4波長が標準となっていた.アンテナ高を極超低姿勢化すると、アンテナ特性は劣化する.本研究では,EBG反射板を用いて,アンテナ特性を劣化させることなく,極超低姿勢を実現した点に意義がある.重要性等:アンテナの超低姿勢を実現したことにより,アンテナ構造体の体積を極端に小さくすることが可能となった.小形化は搭載スペースが限られている移動体へのアンテンナ設置を容易にしている.
著者
中野 修治 竹嶋 美夏子 小野 美咲
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

フィトケミカルの抗癌作用の分子機序を異なったサブタイプの乳癌細胞で解析するとともに、一次予防へ応用可能かどうかをEMS誘導乳癌モデルラットで検討した。用いたフィトケミカルはイソフラボン、クルクミン、リコペン、ノビレチン、レスベラトロールで、すべて乳癌細胞に抗癌作用を示した。その分子機序はフィトケミカルによって異なるが、増殖とアポトーシスに関連する細胞内シグナル蛋白に働き、増殖抑制とアポトーシス誘導により発揮されることが判明した。動物モデルではイソフラボンやリコペンは乳癌発症を抑制することがわかった。フィトケミカルは乳癌の一次予防に効果があるだけでなく、癌の増殖・進展を抑制する可能性がある。
著者
浅野 健一
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

表現の自由と個人の人格権は共に、憲法で保証された基本的人権であり、その対立の調整は極めて慎重でなければならない。刑事事件報道における被疑者・被告人の人権と表現(報道)の自由との衝突に関する事例研究を行った。ケーススタディとして、1981年に逮捕され95年に無罪が確定した大分・みどり荘事件の輿掛良一さんの報道被害、94年6月の松本サリンでの河野義行さんに対する捜査とメディアによる人権侵害、米国アトランタ・五輪公園爆弾事件の第一通報者リチャード・ジュエルさんの事例を取り上げた。日米の犯罪報道を比較研究した。また、神戸市須磨区で起きた連続児童殺傷事件、東京電力社員殺人事件などでの被害者のプライバシー侵害問題も調査した。少年事件での実名・顔写真の掲載、文藝春秋の少年供述調書の掲載などが相次いだことで、これらの少年法違反の取材・報道に関して、現場記者、捜査当局者、一般市民などから聞き取り、アンケート調査を実施した。その結果、取材記者は警察情報にほぼ依存しており、捜査当局の監視機能は働いていないことが分かった。報道現場で犯罪報道の構造を改革を求める声が強いことも分かった。人権と報道のテーマは、97年8月末に起きたダイアナ元英皇太子妃の事故死で、世界的な問題となった。ジュエルさんと対メディア訴訟の代理人であるワトソン・ブライアント弁護士が97年10月に来日、二人から詳しく当時の事情を聞いた。さらに北欧、英国など諸外国の事例との比較も検討した。放送界でもNHKと民間放送連盟が97年6月に苦情対応機関、「放送と人権等権利に関する委員会機構(BRO)を設置.BROは98年3月に米サンディエゴ教授妻娘殺人事件報道に関して初の見解書を発表。プレスにおいては新聞協会が協力しないために、新聞労連が独自で98年3月に報道被害相談窓口をスタートさせた。日本に生まれつつあるメディア責任制度の問題点を明らかにして、その解決方法を提示した。
著者
森山 日出夫 清水 民子 勅使 千鶴 佐々木 享 野呂 アイ 宍戸 健夫 八重澤 美知子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

研究目的で日本に留学している学生・研究者の数は年々増加し全国で約10万人に達しており,その出身の国・地城や民族も多様化している。家挨同伴の留学も増加しており,その子育てに対する支援は,留学生本人に対する支援とともに,国際交流の重要な一環を構成している。本研究では,大学関係の保育園について現状と問題点を明らかにすることを主要な日的とした。調査対象として取り上げた保育所は,最初教職員組合による共同保育所として設立され,認可保育所へと展開してきた歴史を持っている。日本における保育運動の発展において先導的役割を果たした,この大学関保保育所の運動について関係各園の資料をもとにその意義と役割について詳細にまとめた。また,私立大学における保育所の実態についてその全てを網羅するには至らなかったが,主要な国立大学の保育所についてその原状と問題点を洗い出した。さらに,留学生支授という意味では大学内にある保育所以上に大きな役創を果たしている香推浜及び愛咲美保育国(福岡市)を対象に多様な視点から調査分析を行った。外国人留学生の子弟を多く受け入れている保育園では,日々さまざまな異(多)文化接触か行われている。次世代を担う子供達に対して実施されている国際理解を促進する手法の実態を明らかにし,そこで育っている子供達のみならず,受け入れた園の保育者及びそこに子どもを預けている外国人の親と日本人の親とが,それをどのように受け取り,自らの国際理解の深化に果たしている役割を明らかにし,その問題点と諸問題解決の支援組織の構築について検討した。こうした保育園で育った子供達自身が,その経験についてどのような意識を持っているか,又,その家族がどのような評価を下しているかなどについての分析が課題として残されている。
著者
吉塚 一典 濱田 臣二 縄田 亮太 川尾 勇達
出版者
佐世保工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,暑熱環境での運動時において熱中症などの事故やパフォーマンス低下を防ぐため,過度な体温上昇を抑制し,体温をコントロールする方法を検討するものである.本研究により,ランニング中(計21分程度のインターバル走)の体温をコントロールするためには,帽子の着用は効果がみられず,冷水を頭部にかけることが重要であることが分かった.また選手の感覚としては,強制対流が頭部に当たることで,無帽の方がより快適に感じていることが分かった.
著者
古谷 毅 犬木 努
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

家形埴輪は多様な埴輪群の中枢部に配置され、形象埴輪の中で最初に出現し前方後円墳の終焉まで造られた代表的な埴輪で、古墳時代集落や居宅の景観と他界観(世界観)が象徴的に反映しているとみられる。本研究では家形埴輪の群構成・階層性と東アジア農耕社会の建築・家形造形品との比較・検討から、日本列島の地域統合に大きな役割を果たした古墳葬送儀礼を分析し、古代国家形成期にあたる古墳時代の他界観(世界観)の解明を目標とした。形象埴輪群・家形土器の調査を実施すると共に、情報共有化のために古代史研究者を交えて古代手工業史における埴輪生産や家形埴輪の儀礼的意義の検討や韓国・家形土器と比較・検討する研究会を開催した。
著者
三村 泰臣
出版者
広島工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

神楽といわれる芸術は日本だけに存在する鎮魂/招魂の歌舞と考えられてきた。しかし神楽と同一の芸術は東アジア全域で観察することができる。本研究では環瀬戸内海神楽(瀬戸内海に隣接する中国/四国/九州地方の沿岸域に分布する神楽)の表象のうち湯立と鬼神舞(荒平)を軸に考察し、日本神楽の普遍性/固有性を解明し再定義を行った。
著者
境原 三津夫 櫻井 信人
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

指定入院医療機関を退院した触法精神障害者は家庭での受入れが難しく、民間の施設がその役割を担うことが多い。民間の施設においては、精神保健福祉士等の専門職の不足から受け入れに際しての負担が大きい。触法精神障害者がスムースに地域社会にもどるためには、専門職を十分に配置した中間的な施設の存在が必要であり、このような中間型の施設を充実させる必要がある。民間に頼るには限界があり、触法精神障害者の社会復帰を促進するには、指定入院医療機関のように公的な資金を投入した中間型施設の設置が必要であると考えられる。