著者
菊谷 正人
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

企業結合の先進国である英・米の会計基準および国際会計基準(IAS)または国際財務報告基準(IFRS)を検討するとともに、わが国の会計基準(「企業結合に係る会計基準」と「企業会計基準第22号 : 企業結合に関する会計基準」)との国際比較を行うことによって、企業結合会計基準の国際的収斂を確認することができた。企業結合会計として「パーチェス法」が強制適用されることになったが、のれんの会計処理として国際的には「減損テスト法」が基準化され、わが国では「20年以内規則的償却法」が基準化された。「フレッシュ・スタート法」は論議されるに止まり、制度化されるには至っていない。
著者
山形 眞理子 松村 博文 鐘ヶ江 賢二 田中 和彦 俵 寛司
出版者
昭和女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

平成21年度にベトナム中部・ホアジェム遺跡の第二次発掘調査を行った。カムラン湾岸に位置する鉄器時代埋葬遺跡である。この遺跡で甕棺墓に副葬される土器群は、フィリピン中部カラナイ洞穴、タイ南部サムイ島出土土器と酷似する。考古学的な考察から土器の年代は紀元後2~3世紀と推定され、埋葬人骨の放射性炭素年代もそれを裏付けた。東南アジアに国家が出現する時期、南シナ海を渡って交流した人々の存在が明らかになった。
著者
多田 雄一
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

オヒルギの耐塩性遺伝子を同定するために、3種のオミックス技術を活用した。それらは、塩応答性遺伝子の同定とその機能解析、アグロバクテリウムを宿主としたオヒルギcDNAの網羅的な耐塩性スクリーニング、プロテオーム解析による塩応答性たんぱく質の同定である。これらによって選抜された遺伝子のいくつかが、シロイヌナズナに耐塩性を付与することを確認した。
著者
小野 大助 中村 正樹
出版者
地方独立行政法人大阪市立工業研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

非環状アセタール基または1,3-ジオキソラン環を有する3種類の新規両親媒性化合物を考案し、その合成方法について明らかにした。すべての分解性両親媒性化合物の臨界ミセル濃度cmc は、通常型に比べ、低い値を示したことから、これらは良好なミセル形成能を有していることがわかった。すべての両親媒性化合物は、酸性条件下で容易に分解した。4間後の生分解度は、60%以上と良好であり、通常型の界面活性剤よりも優れていた。両親媒性化合物をスチレンをモノマーとする乳化重合反応に用いた場合、重合反応終了後、酸添加により界面活性剤を分解させることにより、容易に高分子量ポリスチレンの単離を行うことができた。タイプ3を用いた場合、ポリオキシエチレン系の市販非イオン界面活性剤よりも生成ポリマーの重合度が大きく、分子量分散度が小さくなった。また、塩析によりポリマーを析出する必要がないためポリマー中のナトリウムイオン濃度が市販非イオン界面活性剤よりも少なった。
著者
鎌野 邦樹 花房 博文 舟橋 哲 大木 満 大野 武 小西 飛鳥
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、民事上の日常的・基本的な紛争において、《より多くの国民が望み納得する解決》をアンケート調査等を通じて統計的に明らかにし、その結果を踏まえて、わが国の立法、判例、学説を検証することを目的とするものである。以下の1、2に記載の調査・研究を通じて、以下の3のような研究成果をあげた。1.アンケート調査項目の選定及びアンケートの実施 不動産の取引、不動産の利用、動産の取引及び不当利得に関する15項目の具体的紛争事例を設定して、千葉大学、早稲田大学、明治学院大学、白鴎大学、平成国際大学、明海大学において、約1500名の学生に対して、望ましい法的紛争解決についての意向・意識調査を実施した。2.アンケート調査項目に関する立法・判例・学説及び外国法の調査・研究 上記アンケート項目に関するわが国の立法の経緯、判例、学説等の状況及び外国(ドイツ、フランス、イギリス等)の立法・判例・学説等の状況について文献にて調査・研究をした。また、平成18年9月には、ドイツのベルリン大学及びゲッチンゲン大学にて、本研究に関連するテーマについて、ドイツの研究者及び実務家と意見交換をした。3.アンケート調査結果の分析と総合的考察 上記1のアンケート調査を集計・分析し、また、上記2の調査結果を踏まえて、各調査項目に係る法律紛争について、《より多くの国民が望み納得する解決》とは何かという観点から、わが国の立法、判例、学説を検証し、それらの問題点・課題を指摘し、今後のあるべき方向性を明らかにした。ただ、いくつかの点については、本研究の今後に残された課題とした。
著者
牛込 三和子 笠井 秀子 松下 祥子 輪湖 史子 加藤 修一 川村 佐和子 長谷川 美津子 徳山 祥子 江澤 和江
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

〔目的・方法〕近年、医療保険制度の改訂など在宅療養支援体制の拡充により、在宅看護対象者に人工呼吸器装着や酸素療法などを必要とする高度の呼吸障害を有する人々が増加している。慢性・進行性の呼吸障害を有する神経・筋疾患在宅療養者における呼吸障害の進行を非侵襲的測定方法によって把握し、換気療法など適切な医療処置の導入やその安全な実胞における看護活動での使用の有用性について検討した。対象は進行性筋ジストロフィ13例(デュシャンヌ型10例、福山型3例)、筋萎縮性側索硬化症10例で、病状進行にそって、長期的に経過を追って資料を収集、神経難病専門看護婦、神経専門医と討論し考察した。〔結果・考察〕1.呼吸障害の早期把握には、進行性筋ジストロフィにおいては、呼吸障害出現前からバイタルサイン、自覚症状観察に加えて換気量計(レスピロメトリ)を用いた1回換気量(TV)および努力換気量(MAX VC)測定、呼吸障害兆候出現が予測される時期からはPCF(peak cough flow)による咳嗽力評価、経皮血中酸素飽和度(パルスオキシメトリ)の夜間睡眠中終夜測定、経皮血中二酸化炭素分圧測定を定期的に行うことが有用である。筋萎縮性側索硬化症においては、病初期から自覚症状の観察と換気量計によるTV、MAX VC、呼吸障害初期徴候出現時期から夜間睡眠中終夜の経皮血中酸素飽和度(パルスオキシメトリ)および経皮血中二酸化炭素分圧の測定を定則的に行うことが有用である。在宅人工呼吸療法導入期看護プロトコールの基礎資料として提示した。2.人工換気補助療法実施者においては、さらなる呼吸障害の進行に伴う換気補助方法変更の判断指標として、経皮動脈血酸素飽和度および経皮血中二酸化炭素分圧測定を定期的に行うことが有用である。3.在宅看護では、測定結果を解釈し、診療計画や看護計画に反映するうえで、ケアチーム各員の相互共働と時間的余裕を見込んだ活動が不可欠である。また、療養者のセルフマネジメント能力を高めることへの支援が重要であり、今後の課題として取り組んでいる。
著者
美馬 達哉 澤本 伸克 松橋 眞生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

経頭蓋的直流刺激法:Transcranial Direct Current Stimulation : tDCS)は、近年、新しい脳刺激手法として神経科学研究および臨床応用が行われている。本研究計画では、tDCSの作用機構を、皮質基底核ループに着目して、複数の非侵襲的神経イメージング手法を組み合わせることによって解明した。この結果によって、tDCSがヒトの脳に与える影響を多面的に解明することができ、今後の研究発展につながると期待される。
著者
新田 英雄
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,非均一な強電磁場内の相対論的電子(陽電子)による放射とγ線による対生成現象を中心として,臨界電場中の真空の安定性に関係する諸問題を理論的に考究したものである。まず,相対論的イオンによる束縛状態対生成の理論を構築した。結晶軸に平行に入射した相対論的イオンの静止系では,結晶場は周期的パルス状のコヒーレント仮想光子となりいわば「仮想X線レーザー光」とみなせることに注目した。その静止系電場は,臨界電場以上の値に相当する。そのため,電子が結晶場内を進行する相対論的イオンの内殻軌道に電子が生成される束縛状態対生成が生じる可能性がある。これは,強電場QEDの検証として重要なだけでなく,エキゾティック原子や反水素の生成に応用できる。本研究ではこの対生成過程を,陽電子の終状態に平面波,電子の終状態に相対論的水素様波動関数を用いた計算を行った。得られた結果を,近未来型X線レーザーを仮定したMullerらの理論と比較したところ,イオンを同条件で入射した場合十分現実的な膜厚の結晶で同等以上の対生成確率が得られることが分かった。次に相対論的な電子が,結晶の軸ポテンシャルが形成する電場(10^<12>V/cm程度)に入射するという条件で,誘導型の対生成を波束を用いて研究した。これは,電子の進行方向における静止系から見れば,Kleinパラドックスと等価な状況となる。本研究では,Kleinパラドックス型対生成の基礎を調べるために,相対論的な波束の運動を数値的に計算した。また,電子波束の運動の基礎研究としてNelsonの確率過程量子化法を用いた波束の計算を行った。
著者
織田 初江
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

糖尿病に関する生活改善のために必要となる自己管理能力の測定用具として、糖尿病自己管理エンパワーメント尺度の開発を目的に本研究を行った。その結果、尺度項目として3因子39項目が選定された。この尺度における3因子の累積寄与率は、63.6%であった。また、下位尺度間相関では3つの下位尺度は互いに有意な正の相関を示した。各下位尺度のα係数は、いずれも0.9以上の高い信頼性を示した。
著者
南谷 靖史 東山 禎夫
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ナノ秒の超短パルス高電界(数100kV/cm)を印加するとがん細胞が自発的死 (アポトーシス)を起こし, 体への負担が少なく治療できることがアメリカでの最近の研究で報告され, 実際にマウスを使った実験でがん細胞がなくなることが示されている。この効果による新しいがん治療法は, 薬のような副作用がなく, 粒子線, 放射線より安全簡便安価な方法であり実現が望まれる。治療実験では電界を患部に印加するのに針を突き刺しているが, 患部が深い場合, 複雑な部位にある場合針を刺すのが難しい。この問題の解決方法として治療を非外科的に行えるよう複数の指向性アンテナから電磁波を患部にスポット集中し, 高電界を印加する方法について研究した。パルスの持つ周波数成分を高周波化するため水コンデンサを用いた回路に水ギャップスイッチを用いたパルス発生回路を製作し, 250MHzの周波数成分を持つパルスを発生できた。1波長ループアンテナにより電界強度を測定した結果, 最大電界強度112kV/mの電磁波を放射することができた。さらに釣鐘形2焦点集束板を製作し電磁波を集した結果, 微小ループアンテナを用いて放射電界強度分布測定を行ったところ最大電界強度は11.3kV/cm,約5mm×5mm×3mmの範囲で10.8kV/cm以上の電界強度まで集束されていた。この電界強度は電極を用いて直接がん細胞に高電界を印加したときには治療効果が期待される電界強度である。さらにパルス電磁波による生成電界を大きくするためアンテナへの印加パルス電圧の高電圧化の検討を行い, 水コンデンサへの充電パルスの圧縮回路を追加することで高速充電が可能となり50kVまで充電できるようになった。これにより250MHzの周波数成分を維持しつつ集束点での電界強度を15.3kV/cmまで35%上げることに成功した。今後100kV/cmの電界強度を目指すとともに細胞への影響を調査する。
著者
田中 康寛
出版者
武蔵工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

架橋ポリエチレン(XLPE)を絶縁材料として用いるCVケーブルは交流高電圧用の送電ケーブルとして使用され、優れた絶縁性能とメンテナンスコストが低いことから、直流送電への適用が期待されているが、直流高電圧を印加すると、予期せぬ絶縁破壊が発生することから、高電圧直流送電には用いられたことがない。この絶縁破壊は空間電荷と呼ばれる電荷の蓄積現象によるものであると考えられてきたが、これまでは絶縁破壊と空間電荷を直接関係付ける現象は報告されていなかった。しかし近年になって、XLPEの原材料である低密度ボリエチレン(LDPE)に高電界を印加することで、多量の塊状空間電荷(パケット状電荷)が試料内部に蓄積し、局部的に電界が上昇し、絶縁破壊に至る現象を確認した。この現象を解析するために高電界を試料に印加でき、空間電荷分布を簡便に測定できるシステムを開発した。平成18年度はこの測定装置を用いてLDPE中の空間電荷分布を計測し、これまでの空間電荷挙動を再確認したとともに、LDPEにナノサイズの酸化マグネシウム(MgO)を添加することにより、同条件の電圧印加でもパケット状空間電荷が発生しないことを見出した。さらに、高温・高電界で空間電荷を測定できる測定装置を開発し、LDPEおよびナノサイズのMgOを添加したLDPEに高温で高電界を印加する実験を行い、MgOを添加した試料では、高温・高電界でもパケット状電荷が発生しにくいことなどを見出した。平成19年度は、バケット状電荷の発生モデルを数値的に解析するとともに、MgOをLDPEに添加することにより電荷の注入が抑制されるメカニズムとして、MgOとLDPEの誘電率の差が電気的ポテンシャルの井戸を形成し、その井戸に電荷が捕獲されることで、それ以上電荷が注入されないというモデルを考案し、その検証のためのシミュレーションと実験を行なうことで検証した。
著者
佐藤 健二 余語 真夫 河野 和明 大平 英樹 湯川 進太郎
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、トラウマの筆記表現(筆記開示)が心身の健康増進・高次認知機能に及ぼす影響に関して、文化心理学・健康心理学的観点から検討することであった。自由に感情や思考を筆記する従来の方法は、健康と認知の効果に関して、統制条件のそれを上回れないことが我が国とベルギーでは示唆された。しかしながら、トラウマに対する認知的再体制化が促進される構造化開示は、精神的健康(外傷後ストレス反応の低減)および高次認知機能(ワーキング・メモリー容量の増大)を改善させることが我が国において示唆された。
著者
田中 正之
出版者
武蔵野美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、モダンアートの展示空間について歴史的調査を行い、展示空間が規定する作品の存在様態や意味生成について考察を行うものである。とくに所謂ホワイト・キューブ的展示空間とは異なる、いわばそのオルターナティヴとも言える展示空間と展示形式(ハノーファーにおけるエル・リシツキーの「抽象の部屋」など)に関しての歴史的調査を行い、ホワイト・キューブとは異なる展示空間の在り方、そしてそれによって生み出される作品の意味について考察する。
著者
岩田 遵子
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、子ども同士の関係性が親密になり、どの子にも居場所が保障されるようなクラス集団の形成過程において、定型的・儀礼的なコミュニケーションの積極的意義を明らかにしたものである。定型的表現は、一般には子どもの個性的な表現を抑圧するものとして否定されるが、これらはノリの共有を促し、親密な人間関係形成を促すこと、また、それが演技パフォーマンスの向上のみならず、知的能力の向上とも関連していることを明らかにした。
著者
橋本 あり
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

乳癌を例とした解析の中で、GEP100-Arf6-AMAP1シグナルがEGF刺激による乳癌細胞の浸潤活性に重要であることを明らかにしてきた。申請者らの研究成果から、VEGF刺激による血管新生においてもGEP100-Arf6-AMAP1シグナルが重要な役割を担う共通のシグナルであることを明らかにした。また、GEP100がPHドメインを介してリン酸化VEGFR-2と複合体を形成すること、VEGF刺激によるGEP100-Arf6-AMAP1シグナルの活性化はVEGFR-2の951番目のリン酸化チロシンを介していること、そしてGEP100/VEGFR-2の結合を阻害する低分子化合物を見い出した。さらに、病理学的解析からGEP100-Arf6-AMAP1シグナルが創薬標的としての可能性があることが示された。
著者
高橋 秀晴
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

2007年10月31日に秋田県に寄託された小牧近江資料約20000点を用いて、小牧の執筆意識や推敲過程について考察した。また、プロレタリア文学系作家群及び鎌倉文士群からの書簡の分析を通じて小牧との交流状況を明らかにし、妻福子、長男左馬介との往復書簡によって、私人としての小牧を立体化した。他方、ハノイやパリを現地調査し、文献上得られていた知見を確認したり、新たに特定することに成功した。以上により小牧の全体像を明らかにし、その結果を、論文、口頭発表、書籍等という形で公表した。
著者
河野 誠司 中町 祐司 笠木 伸平
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、関節リウマチ(RA)の病態におけるmiRNA-124の関与をインテグリンβ1制御の面から明らかにし、miRNAによるRAの病態解明と診断・治療への応用を図ることを目的とし、以下の結果を得た。(1)RA患者培養滑膜細胞にmiR-124を強制発現させると、インテグリンβ1の発現減少が見られた。(2)ラット・アジュバント関節炎モデルで、miR-124を投与したところ、関節炎の軽減が認められた。さらに関節組織において、インテグリンβ1の発現低下を認めた
著者
牧岡 朝夫
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

アメーバの嚢子形成及び脱嚢はヒトへの感染型の形成及び感染の成立のための重要な過程である。本研究は両過程に必須なアクチン細胞骨格再編成の重要分子であるアクチン脱重合因子コフィリン並びにプロフィリンに注目し、アメーバゲノム中の両遺伝子の同定、塩基配列の決定、系統解析、組換えタンパク質の調製、局在及び両過程における発現解析を行い、分子種による違いを明らかにした。
著者
織田 公光 相田 美和
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

低ホスファターゼ症は組織非特異型アルカリホスファターゼ遺伝子の突然変異に起因する先天的な代謝異常症である。しかし、遺伝子上の変異がどのように本疾患の発症に係わっているのかに関してはよくわかっていない。本研究では、重症の低ホスファターゼ症で報告されたジスルフィド結合に関わる2例の変異と、優性遺伝することが知られているミスセンス変異の解析を分子レベルで行い、その発症メカニズムを示した。
著者
織田 顕祐 米田 健志
出版者
大谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、仏教の中国伝来をインド文化圏と中国文化圏との東西交流と見たときに、一体どのようなことが見えてくるのかその実態に迫ることである。従来、仏教の東漸は篤信の外国三蔵によって行われたと簡単に考えられてきたのであるが、そうした面が否定できないにしても、より大きな働きは文化圏同士の交流にあったのではないかと考えるべき点がいくつもある。中国に仏教が伝来したのは、ほぼ紀元1世紀頃であり、2世紀中旬以降になると経典翻訳も次第に数を増してくるが、この時代は中央アジアにおいて大月氏国が隆盛となる時代と重なっている。この時代の中国における仏教受容を伝える中国側の歴史資料は、伝説的な要素が多くて信用することができないと一般的には考えられているが、こうした点を今回改めて検討した結果、いくつかの理由によって記述に信愚性が高いことが明らかになった。こうした点から考えるに、インドと中国を結ぶ大月氏国の存在は想像以上に大きかったはずであり、こうした点の研究がますます重要であることが明らかとなった。また、漢代の牟融撰述の「理惑論」にはある程度詳細な仏伝や、仏経は万巻に及ぶといった言及があり、後漢当時の訳経のみによっては到底知ることのできなかったはずの記述がなされている。こうした事実は牟融が後漢の都であった洛陽を離れて、交趾(現在のハノイ)に至って初めて知ったことであった可能性が高い。こうした点から考えるに、当時交趾には相当量の仏典が齎されていたことが想像され、仏教の東漸が中央アジアの陸路経由ばかりでなく、インドシナを経た海路によっても盛んに行われたことを窺わせる重要な事実であると言うことができる。言うまでもなく、物流という面から見れば、海路によるほうが圧倒的に有利であり、「物」としての経典の将来はこうした面を見逃すことができないと考えられ、こうした視点に立った研究が一層重要である。