著者
達富 洋二 森山 卓郎
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、教室談話の記録を分析した。その結果、生活語レジス ターによる発話には,生活語レジスターによる発話には指標的な機能をもつ発話があるという 特徴があることが明らかになった。教師が子どもの発話を聞く時に、生活語レジスターによる発話にはこれらの特徴があることを理解したうえで、子どもの発話に関与していくことで、教 室談話が創造的なものになることが分かった。
著者
南條 博 小林実 貴夫 高橋 正人 増田 弘毅 川村 公一 高橋 正人
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

骨髄より動員された内皮幹細胞と樹状突起細胞が、全身諸臓器の血管の活性化に直接関与することを成体で明らかにする目的で、本研究を遂行した。骨髄キメラマウス4ヶ月のトレッドミル負荷1週-4週後の全身諸臓器を詳細に観察した。得られた主な知見は以下の通りである。1)骨髄由来樹状突起細胞が多く出現している部位とまったく見られない部位に分かれているのが特徴で、一様の分布ではない。2)骨髄由来樹状細胞は肋間動脈開口部で多く見られる。3)骨髄由来樹状細胞の出現頻度はトレーニングマウスとトレーニングしないマウスで有意な差はみられない。4)骨髄由来樹状細胞の出現頻度はトレーニング1~4週で差はみられない。5)骨髄由来内皮細胞は上行大動脈起始部にみられる。6)心臓毛細血管では多数の骨髄由来内皮細胞がみられる。7)全身諸臓器の動脈、静脈、リンパ管に骨髄由来内皮細胞がみられる。さらに、週齢による骨髄由来内皮幹細胞と樹状突起細胞の動態を検討し、以下のことが判明した。8)骨髄由来樹状細胞は週齢とともに増加し、大動脈弓から下行胸部大動脈、72週では腹部大動脈に至る大動脈ほぼ全体に分布する。最終的に動脈硬化のない老齢マウスにおいて、骨髄由来樹状細胞が大動脈内膜全体に分布するという世界で初の知見を病理形態学的に証明した。
著者
池野 英利
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究ではマルチモーダルな刺激に対するミツバチの飛行行動について実験を進め、その行動の機序となる脳・神経機構の数理モデル構築を目指した。まず、聴覚、視覚、嗅覚刺激を対象に、風洞内での自由飛行、微小トルク計に固定したフライトシミュレータという異なる飛行状態での行動を観測する新たな実験プロトコルを開発した。フライトシミュレータを用いた飛行実験においては、前方に提示した図形の形状と色では刺激提示の位置普遍性に違いがあることを示した。また、前方からの聴覚刺激に対しては、音の強度、周波数だけでなく、リズムに対して趣向性を持つことを示した。嗅覚刺激に対する反応はフライトシミュレータにおいては明確には観測されなかったが、風洞を用いた自由飛行においては匂い刺激の存在する領域とない領域の境界付近において、飛行方向を急激に変える行動が見られた。この行動変容は、学習した場所付近を探索する飛行行動と記憶した刺激に定位する行動の切り替えが、このタイミングで生じている可能性を示唆するものであった。飛行軌跡を詳細に解析した結果、この急激な方向変化は脳における行動のスイッチングを反映しており、飛行行動を制御する2つのプロセスの存在が示唆された。この2つのプロセスの切換えタイミングによる個体行動のバラエティは、環境変化への適用性を高める役割を果たしている可能性を示唆するものである。
著者
岡 久雄 岡本 基 北脇 知己 岡本 基 北脇 知己
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では, スポーツや臨床医学で広く用いられている筋電図に代わり, 筋自身の収縮特性を反映する変位筋音図(MMG)を測定するために, 身体の不随意な動きに影響されない光反射型(フォトリフレクタ)変位MMGセンサを開発した。さらに, 運動中でも測定できるよう, 電気刺激を加えて単収縮変位MMGを計測するシステムについて検討した。さらに等尺性収縮時の筋疲労実験から, 運動単位の寄与について変位MMGを用いて考察した。
著者
三浦 康弘 池上 敬一
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

水面上の単分子層を一層一層固体基板上に積み重ねて作製するラングミュア・ブロジェット(LB)膜に圧力を印加し、分子超薄膜内に圧力に誘起される超伝導相を見出す目的で研究を行った。圧力の印加に伴い、膜の電気抵抗(室温)が上昇することが明らかとなった。また、膜の支持基板の硬さによって圧力効果も異なることも明らかとなった。圧力に誘起された超伝導相は見出されなかったが、圧力印加が分子超薄膜系の研究にも有効な手段であることが強く示唆された。
著者
高田 峰夫 山本 真弓 荒木 一視 三宅 博之 山本 真弓 高田 峰夫
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、在日バングラデシュ人と在日ネパール人を中心に、韓国(東アジア)とタイ(東南アジア)のバングラデシュ人とネパール人についても調査した。その結果、日本の各コミュニティーが日本を越えたネットワークを形成していることが判明した。一方、当初想定していた南アジア出身者としての両コミュニティーの結びつきは見られなかった。また、タイについては、東アジア(日本と韓国)とは異なったネットワークのあり方が見られた。これは、東南アジアに位置する(すなわち、国内にイスラム教徒がいる)仏教国という側面が影響していると思われる。
著者
松久三 四彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

わが国の現行時効法の意義と判例・学説の到達点及び議論されている重要問題に関する解釈論を網羅的に再検討し、諸外国の最近の改正の動向を比較研究することによって、わが国における将来の民法改正による時効法のあり方を探求した。具体的には、比較法研究としては、オランダ新民法典、ケベック新民法典なども視野に入れつつ、主として、ドイツ新消滅時効法、フランス債務法改正準備草案および改正法、ヨーロッパ契約法原則、ユニドロワ国際商事契約原則における時効法を対象として、これらの時効法ができるまでの経緯や個々の規定の立法理由、その後の批判等を検討し、日本の時効法の立法モデルを示した。
著者
荒川 良 福田 達哉 伊藤 桂
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1995年頃に日本に侵入したオオミノガに特異的に寄生するオオミノガヤドリバエは日本各地でオオミノガをほとんど確認できないほどに個体群を絶滅状態に追い込んだ。高知県においてもオオミノガはかつてほど見られなくなったが,絶滅にまでは至らないまま今日に至っている。オオミノガヤドリバエの侵入から15 年経過した段階で,高知県におけるオオミノガの生息状況を10年前の研究と比較し,オオミノガが絶滅しない要因を検討した。
著者
浅川 滋男 西山 和宏 東樋口 護
出版者
鳥取環境大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

東アジアから東南アジアにかけて広範囲に分布する家船居住の実態をあきらかにするための前提として、これまでの研究史を整理し、この地域における家船の分布図と家船呼称の分布図を作成した。一方、山口県の見島、マレーシアのペナン島とケタム島、ベトナムの香河、カンボジアのトンレサップ湖などで水上居住に関するフィールドワークを進めた。ベトナムのフエには約2万艘の家船が現存する。すてに相当の研究が蓄積されており、関係論文2篇を入手し、これを翻訳した。最も集中的な調査をおこなったのは、カンボジアのトンレサップ湖である。トンレサップは東南アジア最大の淡水湖であり、雨期と乾季で水位が約6メートル上下する。ここにチョンクニアスという大規模な水上集落が形成されており、そこにはおびただしい数の家船・筏住居・杭上住居が共存している。水上居住民の陸地定住化のプロセスを考察するにあたって、きわめて示唆にとむ。また、湖岸のスクウォッターとしての杭上住居だけでなく、一般農村の高床住居についても調査し、両者の構造・間取りを比較した。トンレサップ湖には、クメール人だけてなく、ベトナムからの難民が多数流入している点も興味深い。東南アジアでは、日本・中国では消滅しつつある家船居住が現在なお迫力をもって息づいており、これらの調査研究成果を中心にして、報告書を刊行した。
著者
宮本 久雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

平成18年度は従来の3人称的言語による人間論,宗教論,文化論の分析を突破して現代世界の苦悩にみちた現実に学的に関わろうとして「物語り論」(ナラトロギア)によって1人称の「わたし」がどう他者と和解し,共生しうるのかという可能性を探求した。それが新倫理学構築の契機となるように出版やシンポジウムや研究交流を推進した。そのためまず第一に,東京大学出版会から平成19年の1月から3月にわたって「物語り論シリーズ」を刊行した。第1巻は「他者との出会い」,第2巻は「原初の言葉」,第3巻は「彼方からの声」をテーマとし,文学,精神医学,社会思想,自然科学,哲学,芸術などあらゆる分野から物語り論を探求した。第2に東アジアとの交流を深めるべく,韓国西江大学で出張講義をなし,また同大学の哲学・倫理学の教師と学生と共に東京でシンポジウムを開いた。5月の京都国際会館のシンポジウムでは,日,中,韓にユネスコの参加者も加え,「和解と共生」をテーマに活発な議論が展開された。さらに秋期には,ウィーン大学,プラハ大学で東方キリスト教諸派の代表者も含めて「宗教間対話の共生」のテーマの共催シンポジウムを開いた。その成果は『雑誌エイコーン』にのせられ刊行された。本年度はこうして新エチカの多様な地平が拓かれた。
著者
中田 達広 河内 寛治 流郷 昌裕
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

【背景】大脳領域では虚血再灌流後に、虚血部位に活性化microglia/macrophageが集積する事が知られている。今回我々は、脊髄虚血再灌流障害発症後のこれらの細胞の役割について検討した。【方法】雄Witar ratを、下行大動脈を13分遮断再灌流して虚血再灌流対麻痺モデルを作成し、下肢運動の神経学的評価を軽症、中等症、重症に分けて検討した。脊髄組織の頸髄、腰髄を採取し、免疫蛍光染色、real-time RT-PCRにて検討した。さらに、GFPラット骨髄移植ラットを用い、上記実験を施行した。【結果】GFP骨髄移植ラット実験において、虚血再灌流後の亜急性期の主体免疫細胞がresident microglia(RMG)ではなく、bone marrow-derived macrophage (BMDM)であることが示された。再灌流2日後、重症群ではBBBの破綻が著明であった。再灌流7日後、Sham群は、全部位RMGのみが観察された。軽症群では、RMGとBMDMが混在するように観察された。中等症群下部脊髄では、ほとんどのIbal^+細胞は、樹状活性化BMDMであった。一部の細胞はsynaptic strippingが観察された。重症群では、中等症群に比べ、大量のアメーバ状BMDMが集積していた。虚血再灌流7日後の抗TNFα, IL-1β, iNOS, CD68, IGF-1抗体等を用いた二重蛍光免疫染色により、これらの炎症性サイトカイン、iNOSは中等症群以下ではBMDMにほとんど発現しなかった。それに対し、重症群でほぼ全BMDMがこれらを発現していた。中等症樹状BMDMの一部にIGF-1の発現を認め、重症群では全アメーバ状BMDMでこの発現を認めた。real time RT-PCRでは、重症群はPCNAのmRNAの上昇を認め、活発に増殖していることが示された。【考察】脊髄虚血病理像は、不全麻痺症例では重症度とともに樹状BMDM浸潤数が増え活性化する。完全麻痺例では、BBBの破綻とともにアメーバ状BMDMの浸潤が大量に生じ、両者の病理像は大きく異なる。不全麻痺症例では、樹状BMDMによる神経細胞保護の動きが見られる。重症例ではアメーバ状BMDMは貪食と共に、神経再生に関与している可能性がある。
著者
藤野 敦子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

二つの分野における研究成果が挙げられる。一つは、非正規の働き方の家族形成に及ぼす影響に関しての日仏比較である。日本では、非正規の働き方が家族形成に負の影響をもたらしていることが明らかとなった。今一つは、歴史的な観点から、児童労働が生じる経済メカニズムを考察した。日本の場合には、労働需要サイドや労働供給サイドの原因だけではなく、雇用制度,ジェンダー問題などによっても児童労働が生じていたことが明らかとなった。
著者
川田 進
出版者
大阪工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は以下の二つの仮説を実証することを目的とした。「チベット問題を読み解く鍵は東チベットにある」。「東チベットの宗教上を読み解く鍵は漢人信徒にある」。前者の仮説証明は概ね達成することができたが、後者は継続調査が必要である。調査対象地域は当初四川省カンゼチベット族自治州とアバ羌族チベット族自治州を予定していた。しかし、研究期間中に「2008年チベット騒乱」が発生したことにより、青海省内のチベット人居住地区も調査対象に加えた。「2008年チベット騒乱」について、その動向を時系列に追い、発生の原因と特徴をつかむことができた。中国共産党の宗教政策を検討するためにラルン五明仏学院とヤチェン修行地にて定点観測を実施した。統一戦線活動の実態を知る上で、ゲダ5世・ゲダ6世と中国共産党の政治的結びつきを明らかにした。
著者
伊藤 武廣 宮崎 樹夫
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の成果は,直観幾何の学習と論証幾何の学習の間にある不整合の特定と,直観幾何の学習と論証幾何の学習を接続するためのカリキュラムの開発である。前者については,命題の全称性の認識における不整合と,中学校数学の論証幾何カリキュラムにおける「証明」の定義における不整合を特定した。後者については,内容知での接続のために,中学第1学年図形領域「空間図形」カリキュラムを開発するとともに,方法知「証明・説明」での接続のために,証明の学習の諸相を整理するための枠組みを開発した。
著者
尾花 裕孝 古田 雅一
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

食品の放射線照射は、食品の微生物管理や品質保持に効果がある。本研究では、照射時のラジカル反応により脂肪成分が変性して照射特異的に生成する2-アルキルシクロブタノン類(シクロブタノン)を検知指標とする食品照射履歴を化学分析により検知する分析法開発を第一目的とした。加熱溶媒による効率の高い抽出、低温下の脱脂、固相カラム精製を組み合わせた前処理法により、EU公定法ではGC/MS測定までの前処理操作に約2日を要するが、それを7、8時間に短縮することができた。牛肉、豚肉、鶏肉、鮭などにγ線を照射し開発した分析法によりシクロブタノンを分析したところ、すべての試料で、照射線量とシクロブタノン生成の用量一反応関係を確認した。シクロブタノン生成量は試料の脂肪含有量が影響したが、脂肪の多い試料で0.5kGy、少ない試料でも1kGy程度の線量まで検出できる感度であった。加熱加工・調理の影響を検討するために、照射食肉を加工・加熱調理してシクロブタノン分析を行った。その結果一般的な加熱・加工では食品の内部温度は100℃以下でありシクロブタノンは安定であったが、加熱温度を200℃に上げるとシクロブタノンは消失した。従って加熱加工・調理後の照射食肉類の照射履歴も検知可能であることが判った。食肉類の照射は冷凍状態で行われることが多いが、低温時のシクロブタノン生成は室温に比べると少ないことが明らかになり、低温時には元の脂肪酸構成を反映しにくいシクロブタノン生成比率であった。1年の冷凍保存を目安に冷凍保存後も照射の検知ができるかを検討したところ、生肉類ではシクロブタノンは若干減少したが照射検知には支障はなかった。加工食品では生肉類よりも大きく減少する例もあった。また、室温保存と比較すると、冷凍保存の方がシクロブタノンの安定性は高かった。
著者
尾崎 浩一 佐藤 明子
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

昆虫の網膜における視物質発色団の代謝経路について,(1)光により11-シス形レチノイドを生成する蛋白質の同定と,(2)不完全変態昆虫における発色団代謝経路の解明とそれに関与する蛋白質の同定,の2点に焦点を絞り研究を行った。その結果,ショウジョウバエの網膜特異的酸化還元酵素(PDH)が光異性化蛋白質であることを見出した。また,コオロギの発色団代謝経路をHPLC解析により明らかにし,それに関与するレチノール結合蛋白質を発見した。
著者
松崎 毅
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究によって得られた知見は以下の通りである。1.ブロードサイド等の安価な出版物として大衆向けに書かれた歌、俗謡、連祷、哀歌等のジャンルにおいては、隠蔽の意図そのものが希薄であるのに対し、読者層が階級的に限定される牧歌、恋愛詩、瞑想詩、宗教詩等のジャンルについては、偽装および隠蔽的含意の生成の両面において、ジャンルの果たした役割が大きかった。2.恋愛詩、瞑想詩等のジャンルが主に偽装として機能するのに対し、牧歌はジャンル自体のコードを通じてより能動的に意味の生成に関わっていた。また、読者はそのコードについての理解を共有することにより、王党派としての階級的文化的な結束を強めたと考えられる。3.王党派文学の隠蔽性は、実体論的権威を神秘化し、かつその神秘化された知の占有を誇示することにより、内乱による敗北後も王と王政主義者達がその権威を維持し続けるための重要な機能を果たしたと考えられる。4.恋愛詩、瞑想詩、宗教等のジャンルにおける偽装の機能について、いくつかの具体例を明らかにした。特に、いわゆるキャバリエ詩人から宗教詩人へと「転向」したヘンリー・ヴォーンの宗教詩に、ピューリタン批判の極めて辛辣な政治的言説が隠蔽されており、それが「私的な祈り」としての宗教詩が前提とする「語り手=詩人」という解釈の枠組みを逆手に取った極めてジャンル・カンシャスな企てであったことを明らかにした。5.ジャンル理論に関する最新の知見、個々のジャンルの歴史的成り立ちやそこに含まれる従属的な諸コードに関する知見、また同時期の散文ジャンルについての知見を得ることができた。今後は個々のジャンルの問題に加え、理論面での研究をより強化したいと考えている。
著者
日野 剛徳 田口 岳志
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

北部九州に位置する有明海沿岸低平地域の表層には、海成の有明粘土層と非海成層の蓮池層からなる軟弱粘土層が厚く堆積している。これらの軟弱粘土層の上では、諫早湾干拓や有明海沿岸道路のビッグプロジェクトを始めとする種々の建設現場が存在し、化学的地盤改良技術の採用、あるいは検討がなされている。化学的地盤改良技術は決して新しいものではないが、その社会問題化が後を絶えない。この課題を解決するために、本研究では : (1)化学的改良土における物質循環の解明 ; (2)物質循環が認められる場合の具体的な課題の解明 ; (3)この結果が化学的改良土の品質や周辺環境に及ぼす影響の解明、に取り組み、(4)対策の提案を行うことにより、地域・社会貢献を果たそうとするものである。有明海沿岸域に堆積する採取直後の粘土、浮泥および底泥に生石灰(以後CaO と呼ぶ), 酸化マグネシウム(MgO)および高炉セメントB種(BB)を添加した化学的改良土の改良特性および溶出・固定特性に関する検討を行い、次の結果を得た : 1)通常のタンクリーチング試験におけるpHと浸水日数の関係から、CaOではほぼ12以上のpHを示し、BB、MgOの順でpHの値は小さくなり、どの固化材においても浸水日数の経過に伴うpHの変化は認められなかった ; 2)他方、エアレーションを与え好気性環境を再現した場合のタンクリーチング試験のpHと浸水日数の関係では、生石灰150, 250kg/m^3のものは浸水当初に高いpHを示したものの、28日間の浸水期間中に全ての改良パターンで改良前の値まで減少した ; 3)硫酸水溶液を用いたタンクリーチング試験では化学的改良土の劣化速度が進み、主成分の溶出特性に違いが認められた ; 4)タンクリーチング試験と実環境との間の具体的な対比および地表・地下における化学的改良土の環境影響・変遷の考え方について新たな視点・対策案を見出せた。
著者
吉田 敬 高村 明 梶野 敏貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではニュートリノがマヨラナ粒子で磁気モーメントを持つ場合における超新星ニュートリノのフレーバー変換と超新星ニュートリノの観測可能性について調べた。その結果、ある特定のニュートリノ振動パラメータの場合にはスーパーカミオカンデで観測される超新星ニュートリノスペクトルの時間進化や将来の液体Ar検出器で観測されるニュートリノイベントにニュートリノ磁気モーメントによる効果が検出されうることが得られた。また、Ic型超新星での軽元素合成やr-過程元素合成のニュートリノ振動に対する影響も調べている。
著者
田中 克俊 田中 美加
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

労働者を対象とした集団睡眠衛生教育及び行動療法を用いた個人睡眠保健指導の効果を調べることを目的としてランダム化比較研究及び準ランダム化比較研究を行った。その結果、睡眠衛生教育及び個人睡眠保健指導は、労働者の睡眠や日中の眠気、精神健康度の改善に有意な効果があることが示された。