著者
佐藤 健治 溝渕 知司 西江 宏行 中塚 秀輝 佐藤 哲文 水原 啓暁
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我々はバーチャルリアリティ応用・鏡療法(VR/MVF)を開発し、様々な鎮痛方法でも痛みが軽減しない幻肢痛やCRPS(複合性局所疼痛症候群)患者での鎮痛効果を確認・報告した。当該研究ではVR/MVFの鎮痛効果をより継続させるためVR/MVF治療を音情報に変換し音楽を作成するシステムを開発した。我々はVR/MVF治療では体内に備わる痛みを和らげる機構(内因性オピオイドシステム)が活発になると考えていて、VR/MVF治療中に作成した音楽を家に持ち帰り日常生活の場で聴くことで、体内に備わる痛みを和らげる機構が再び活発となり痛みが和らぐと期待している。
著者
石川 正司
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

電気二重層キャパシタの性能向上を目指し,電極ならびに電解質の大幅な改善を試み,大きな成果を得ることが出来た。以下にその概要を記す。電気二重層キャパシタの電解質として,PVdF-HFPタイプのゲル電解質を適用した。この電解質を極限まで薄膜化しつつ,さらにゲル電解質と電極との界面接合の最適化を行い,これまでに無い高い性能を引き出すことに成功した。すなわち,高速の充放電を行った場合,通常の有機電解液キャパシタではキャパシタンスが減少してしまう大電流領域においても,キャパシタンスが全く低下しないゲル電解質キャパシタを構成することに成功した。このキャパシタは電解質厚みがわずか10ミクロンであり,しかも通常の活性炭シート電極を用いているにもかかわらず,このような高性能が発現したことは驚くべきことである。キャパシタの高性能化のもう一つの主要要素技術である電極の改善についても試みた。これにはフッ化物やアルコキシシランガスから発生させたコールドプラズマを電極材料の活性炭表面に照射し,細孔制御と表面官能基制御を行うことでレート特性の改善に成功した。さらに,活性炭に換え,カーボンナノチューブを一方向に配向させてそれをそのままシート状の電極とした,カーボンナノシート電極を開発し,二重層キャパシタの電極としてのテストを行った。その結果,この電極は超高速充放電に適合することが判明した。すなわち,通常の活性炭では全く充放電が不可能,つまり放電キャパシタンスがゼロになってしまうような大電流でも充放電が可能であることが明らかとなった。以上述べた技術について,可能なものはリチウム二次電池系にも適用を試みた。
著者
逢坂 正彦 矢野 豊彦 三輪 周平
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

先進核燃料における簡素かつ低焼結温度を可能とする粉末冶金プロセスとして、アスベスト廃材由来の化合物を焼結助剤に適用する概念を構築した。MgO、MoまたはSi_3N_4を母材とした先進核燃料の基本的な作製条件を見出した。
著者
林 祐太郎 郡 健二郎 小島 祥敬 佐々木 昌一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

今回われわれは,外因性内分泌攪乱物質の中でもダイオキシンに注目し,男子の生殖器奇形児のダイオキシン曝露量の指標として,患児を出産した母親の血液中のダイオキシン濃度を測定し,ダイオキシンが男子生殖器奇形の一因となる可能性について分析・評価した。実際には尿道下裂の患児の母親5名の血液中のダイオキシン濃度を測定した(採血した平成12年の段階での患児の年齢は1歳1例,3歳3例,5歳1例)。測定した化学物質はポリ塩化ジベンゾパラダイオキシン(PCDD)分画7種類とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)分画10種類であった。ダイオキシンの分析は,電子捕獲検出器付ガスクロマトグラフ法によって行った。得られたダイオキシン各分画の濃度を,最近環境庁が発表した一般環境住民の血液中ダイオキシン異性体別濃度平均と比較した。またそれぞれの分画の構成比率についても比較検討した。なお地域の偏りを少なくするために対象の5名は3県から選択した。それぞれの分画の濃度の比較で,1SDを越える異常値を示す症例はなかった。またPCDD,PCDF,PCDD+PCDFについても1SDを越えるものは認められなかった。分画の構成比についての検討では,ダイオキシン類の中でも最も毒性が強いとされている2,3,7,8-TetraCDDの割合が,環境庁の示した一般人のデータの平均を3例で上回っているほかに特徴的な所見はなかった。以上,尿道下裂の発生の増加に,近年問題にされている環境ホルモンのダイオキシンが関与しているかどうかを調査する一手段として,母親の血中ダイオキシン濃度を測定したが,一般人の血中ダイオキシン濃度との有意差を認めなかった。
著者
齋藤 友博
出版者
国立成育医療センター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

2316名の高校生の24,071人の生活習慣病の既往歴調査データから家族の性・年齢別虚血性心疾患既往割合を算出し、そのロジスティック解析から家族の性、年齢の違いによる既往割合への影響を定量的に検討した。性差のオッズ比は1.61、年齢差のオッズ比は1.07で性差、年齢差とも全年齢層にて有意であったが、70歳未満で双方とも大きく、そのリスク因子としての家族歴評価では性.年齢を考慮すべきであることが示された。家族の年齢のみならず、家族歴陽性者が女性家族である場合にはより大きなリスク要因として評価すべきであることを初めて明確に指摘した。次いで生活習慣病の家族歴の再現性を検討した。虚血性心疾患、脳卒中、糖尿病では、家族の性および年齢を定量的に考慮した方法を考案しその有用性を検討した。1584名の高校生の17,127人の両親、祖父母、おじおばの虚血性心疾患既往歴のロジスティック解析から家族の性、年齢の違いによるオッズ比1.60および1.06を得た。性差オッズ比年齢のオッズ比の8乗に近く、性差は年齢8歳の違いに相当することになる。そこで、各家族既往歴の高校生への負荷を各家族毎に(30/リスク年齢)の4乗で計算した。リスク年齢は10歳区分発症年齢または未発症では現在または死亡年齢である。年齢別既往割合は年齢の4乗に最も近いので4乗を用いた。年齢30歳未満は30とした。ここで女性家族ではリスク年齢から8歳を減じた。各家族のリスク値を両親では2倍、おじおばは父母方別に2人相当とし、祖父母を加えて12で除した。この家族リスク値と(総コレステロール-HDLコレステロール)/HDLコレステロールで定義される高校生の動脈硬化指数とのオッズ比をみたところ、家族歴リスク値を中央値で2分すると1.50、最低4分位と最高4分位では1.84といずれも有意となった。従来の家族歴評価法よりハイリスク高校生の把握能が優れていた。
著者
今福 恵子 深江 久代
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、難病患者の災害準備に対する意識調査、実態調査をALS協会や、静岡市保健所、三重難病相談支援センターの協力を得て調査した。その結果、災害準備をしている人は30%であった。さらに「何をどのように準備したらよいかわからない」といった自由回答もあったため、難病患者宅に訪問し、どのような内容がマニュアルに載せてほしいか意見を聞きながら、難病患者当事者の視点に立った災害マニュアルを作成した。
著者
岩野 英夫
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1)ドイツのマールブルク大学図書館を拠点にして、Hubnerが作成した目録に従い西洋中世裁判文書を収集し、解読を進めるとともに、ゲルマン法関係史料、文献を集めた。2)日本法制史研究者の助力を得ながら、日本中世の和与文書とそれに関係する文献を収集した。また日本三代実録に記録されている裁判関係記録を読み進めた。明法家を養成する仕組み、明法家の法律実務の手法を伝える史料や文献を収集し、読み進めた。3)先輩研究者からの聞き取りについては、三人の方にお話をうかがった。また故人となられた方お一人について、参加者の異なる二つの座談会をした。
著者
福澤 雪子 山川 裕子
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は産後1年間の初産の母親の対児愛着の経時的変化と母親の背景・特性及び育児ストレス状態やストレス対処能力との関連を明らかにすることにある.F市産科クリニックで出産した母親を対象に倫理的配慮の元に対面と郵送で調査した.調査票はBonding質問票,SOC,EPDS,育児ストレスと生活出来事調査票,属性票を用いた.平成17年2月〜19年2月期間内総対象数2497名(実数591名),回答2135名.産科的ローリスクの母親が多い。以下,初産の母親の結果である.分析対象数1047名.妊婦(32〜40週)145名,退院時255名,1カ月時274名,3カ月時137名,6カ月時124名,1年時112名.平均年齢28.9±4.4歳.Bonding得点退院時2.3±2.1点,6カ月時1.3±2.0点,1年時1.6±2,4点.退院時と3・6カ,月,1カ月時と3・6カ月時で有意差があり,対児愛着は産後1年でより肯定的に変化した.SOC得点は妊婦61.9±10.7点,退院時64.6±11.9点,6カ月時67.9±12。7点,1年時68.4±12.7点.妊娠中と産後1・3・6カ月・1年時,退院時と1カ月時で有意差があり,SOCは産後緩やかに向上した.EPDS得点は退院時5.5±3.6点(高得点18.1%),6か月時4.2±3.2点(高得点11.7%),1年時3.8±2.8点(高得点10.6%).退院時と全時期で有意差があり,退院時の精神状態が最も悪く,1年間に抑うつ状態の母親が9.6〜18.1%出現した.全ての時期で半数を超える母親が育児を負担に感じていた.日常生活でストレスを感じている母親は3カ月以降に半数を超え,家事ストレスが顕著だった.初産の母親の対児愛着やストレス対処能力,精神状態などに関する有意義な基礎的データを得る事が出来た.母親のストレスに応じた産後の支援が必要である.
著者
山田 和子 上野 昌江 柳川 敏彦 前馬 理恵
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

目的:4か月児健康診査(以下、「4か月」とする)、1歳6か月(以下、「18か月」とする)における母親の育児不安とその関連要因を明らかにするとともに、都市部と郡部の育児の違いを明らかにすることで、乳児からの育児支援の方法について検討する基礎資料を得ることを目的とする。調査方法:調査対象はA市(以下、「郡部」とする)の平成20年7月~12月生まれの児を持つ母親とした。調査方法は健診の問診票を送付時に本調査の調査票を同封してもらい、健診時に回収した。育児不安得点を平均点により2分して比較した。結果:調査の回収は4か月107名(回収率97.3%)、18か月103名(回収率92.8%)であった。4か月において、育児不安が強い群の方が、児への気持ち得点、母性意識得点は、有意に否定的であった。育児で心配なことも育児不安が強い群の方が有意に心配なことが多かった。郡部と都市部を比較すると、育児不安得点は、郡部の方が都市部より低かった。児への気持ち得点は、郡部の方が都市部より子どもへの否定的感情が弱かった。4か月と18か月の育児不安得点との相関をみたところ、4か月時に育児不安がある母親は18か月時点でも有意に育児不安があった。18か月において、育児不安が強い群の方が夫の育児参加や話しすることが有意に少なかった。まとめ:4か月で育児不安がある母親は18か月でも育児不安があることが多いことより、乳児期早期からの育児支援の必要性が示唆された。さらに、育児不安の状況は地域により異なることより、各地域の状況に応じた育児支援対策を行うことが必要である。
著者
関屋 俊彦
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

「能楽資料の調査と整理」という主目的については、ほぼ達成できた。東京はもとより佐渡島・長浜・山口・臼杵を訪れることができた。中でも佐渡島の山本修巳氏にお会いし、生田秀の多くの情報を得ることができた。『生田文庫新蔵書目録并解題』として100頁を越える冊子を近々冊子(非売品)にする予定である。これは改めて学術図書に応募したい。大蔵虎明著の間狂言本は、架蔵の大蔵虎光間狂言転写本と共に、これも学術図書に応募したい。両書ともほぼ翻刻は終えている。大蔵弥右衛門家の事情により中断しているが、再確認の依頼は取れている。
著者
向井 秀仁 木曽 良明
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

タンパク質や生理活性ペプチドが生合成され、また代謝・分解される段階では、同時に多数の断片ペプチドが生成されるが長い間これらは機能を持たない代謝産物であると考えられてきた。本研究では先行研究により発見されていた好中球活性化ペプチド、マイトクリプタイド-1に加えて、新たにマイトクリプタイド-2およびマイトクリプタイド-3をブタ心臓から単離・同定し、それらがミトコンドリアタンパク質由来の新規好中球活性化ペプチドであることを明らかにするとともに、これらマイトクリプタイドの受容体およびその細胞内情報伝達機構を明らかにした。
著者
向井 邦晃 三谷 芙美子 西本 紘嗣郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

低分量基底膜蛋白質であるAZ-1は、血管基底膜の構成因子として構造的細胞外マトリックス蛋白質、血管内皮増殖因子、同受容体、インテグリン群との結合能を持つ多価相互作用因子であることが判明した。この相互作用が血管内皮細胞の接着、増殖、管腔形成などを制御することにより、血管内皮増殖因子による細胞の活性化が抑制されて血管内皮の恒常性が維持されうることが示唆された。
著者
山口 智治 星 典宏
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

大型温室などの生物生産施設での高効率生産のため,気流,温・湿度,ガス濃度など,いわゆる室内空気分布の的確な予測とそれに基づく高度な環境制御システムの開発が要望されている。他方,計算機数値解析技術の一つであるCFD (Computational Fluid Dynamics)による室内空気流れ環境の解析法が生物生産施設分野での環境予測にも導入されて来ている。本研究は,生物生産施設内の空気分布に関して,CFDシミュレーションと現場実測から検討を行い,生物生産施設の新たな環境設計法の確立を目的としたものである。得られた主な成果は以下の通りである。1.CFD法をパッドアンドファン冷房温室に導入し,温室内の3次元気流速分布および温度分布についての検討を行った。CFDによる温室内気流および温度解析結果を実測データによって検証した結果,両者はよく一致した。さらに非栽培条件下のパッド冷房温室内の3次元気流速分布および温度分布を予測し,室内気流の主流域と還流域の存在を定量的に明らかにし,また気流分布に密接に関係する温度分布に関して水平および垂直方向の不均一性を示した。さらに,還流の影響でパッドからの低温空気が一部屋根空間に入り込み,冷房効果が低減されることを示した。2.CFDシミュレーション検証データを得るため,中国北京市と上海市および愛知県所在の実際のパッドアンドファン冷房温室における環境計測実験結果について詳細な解析を加え,夏季,高温多湿地地域にいても本冷房方式が有効であること,しかしながら室内に比較的大きい水平・垂直方向温度分布が形成されることを示した。3.パッドアンドファン冷房システムを備える野菜栽培温室を対象として,CFD法を援用し,草丈の高い作物(トマト)の栽培を想定した条件下における室内の気流および温度分布に関する数値計算を試みた。栽培畝方向と気流方向を平行させ,また植栽層にある程度の流路率があれば,換気時間の経過に従って,植栽層内部にも冷却効果が得られる可能性を示した。
著者
酒井 富夫
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、米国と北東アジアにおける飼料穀物について、供給及び需要主体としてのアグリビジネスの経営行動に焦点をあて,その安定的な需給構造のあり方を展望したものである。中国の自給率の動向は、北東アジアのみならず世界の需給関係に影響を及ぼす。自給率は、内外価格差、国内価格水準、国内の需給関係等と関連し、国内の需給関係は、供給と需要の動向及び農業政策に左右される。国内では、WTO加盟に対応し、国際競争力を高めるべく、農産物国内流通の市場機構を整備し、集荷・流通段階の競争構造が急速に形成されつつある。中国の消費地である南部の飼料穀物は、大連を経由して主に中国東北地方から移入している。しかし、消費地におけるアグリビジネスは、極めて市場対応的に行動しており、内外価格差次第では、調達先を海外へとシフトし輸入が増える可能性は十分ある。米国では、アグリビジネスの寡占化・多国籍化が進み、価格高騰時に大量の穀物を輸入するなどで国内市場価格を調整している。その結果、米国の生産農場の面積規模は大きいが、農業者の所得水準は決して高いものではなく、中堅的な家族経営階層が激減しつつある。中国でも、今後のアグリビジネスの成長によって、同様の事態が想定される。中国が、国内価格の調整のために、海外市場を活用するようになると、輸入依存の日本や韓国への影響は大きい。その場合、中国の飼料穀物生産艇家や日本や韓国の畜産農家にどのような影響を与えるのか、今後、さらに注日していく必要がある。農業構造の不安定化は、自給率の低下につながるのである。
著者
松葉 祥一 河野 哲也 廣瀬 浩司 村上 靖彦 本郷 均 加國 尚志
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、2008年に生誕100年を迎えるモーリス・メルロ=ポンティの哲学とくにその身体論に焦点をあて、これまでの研究を総括するとともに、新たな展開の可能性を探究することにある。彼の身体論は、哲学にとどまらず、社会学、精神医学、心理学、美学、教育学、看護学などの分野に刺激を与えてきた。近年さらに認知科学や脳科学、ロボット工学などの分野にも影響を与えている。そこで本研究では、2008年11月25・26日立教大学における国際シンポジウムを始め講演会や研究会、書籍などを通じて、こうした彼の身体論研究の深まりと広がりを総括し、新たな発展のための基盤を築いた
著者
津國 実
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

京都のハモ料理は、わが国の歴史的な食文化の一つである。しかし、水産物流通の国際化は、国外へハモの生産地域を拡大し、日本への大量供給を可能にした。その結果、国内のハモの需給バランスが崩れ、国産ハモの生産が減退し、食材自給による食文化維持が困難になっている。したがって、必要十分な国産ハモ生産を維持するために、産地において輸入品に対抗する高品質なハモ生産と新たな需要拡大が急務となっている。
著者
須江 國雄 渡辺 広明
出版者
佐野短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成17年度は、主に、西ヨーロッパ先進諸国(イギリス、フランス、ドイツ、イタリア)における最新の経済状況と半導体産業の動向、西ヨーロッパ先進諸国に進出をした日系企業の動向に関する調査研究と資料の収集を実施した。研究日程は、9月9日(金)午前中に、成田よりコペンハーゲンへ、コペンハーゲンよりイギリスのロンドンへ出発。9月10日(土)〜14日(水)には、イギリスの日本貿易振興会(JETRO)ロンドン・センターと在英日本商工会議所を訪問し、イギリスの最新経済概況と、世界とイギリス半導体産業の動向や、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。さらに、ロンドン市内のNECと東芝の経営責任者とのヒヤリング調査から、今後の経営戦略に関する調査研究をした。9月14日(水)には、イギリスのロンドンからフランスのパリに移動をした。9月14日(水)〜18日(日)には、フランスの日本貿易振興会(JETRO)パリ・センターと在仏日本商工会議所を訪問し、フランスの最新経済概況と、フランス半導体産業の動向や、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。さらに、パリ市内の日立製作所の経営責任者とのヒヤリング調査から、今後の経営戦略に関する調査研究をした。9月18日(日)には、フランスのパリからドイツのデュセルドルフに移動をした。9月18日(日)〜22日(木)には、ドイツの日本貿易振興会(JETRO)デュセルドルフ・センターとデュセルドルフ日本商工会議所を訪問し、ドイツの最新経済概況と、ドイツ半導体産業の動向や、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。さらに、デュセルドルフ市内のNECと東芝の経営責任者とのヒヤリング調査から、今後の経営戦略の調査研究をした。9月22日(木)には、ドイツのデュセルドルフからイタリアのミラノに移動をした。9月22日(木)〜25日(日)には、イタリアの日本貿易振興会(JETRO)ミラノ・センターと在イタリア日本商工会議所を訪問し、イタリアの最新経済概況と、日系進出企業の動向に関する調査研究の資料の収集を実施した。9月25日(日)の午後にミラノからコペンハーゲンへ、コペンハーゲンから26日(月)に成田に帰国をした。西ヨーロッパ先進諸国では、イギリス経済だけは好調であったが、土地価格が5年間で2倍に上昇したことで、若年層の住宅購入が困難化し、国内消費水準好調と関連して、個人の負債権者が増加しているのが問題である。他の3カ国はいずれも経済が停滞状況にあり、失業率はイタリアが8%で、他の2カ国は二桁台と深刻な状況にあり、特に、若年層での失業率が高い点が問題である。また、半導体産業は、日韓の半導体企業に圧倒されている。日系の進出企業数は、一時期の撤退傾向がストップをして、全体では一貫した増加傾向で推移しているが、特に、低賃金と経済発展による市場発展と拡大を見越して、チェコやハンガリー等の東欧諸国への進出増加が、近年の特徴でもある。
著者
美島 健二 斎藤 一郎 井上 裕子 山田 浩之 小原 久実
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

マウスの唾液腺組織におけるSP細胞が、唾液腺組織を再構築する能力を有する幹細胞である可能性を検討した結果、これらの細胞には、幹細胞の特徴的な性格(細胞周期の静止期に位置する性格や腺組織の再構築能を保持するなど)が認められない事が明らかとなった。また、その表面マーカーを詳細に解析した結果、当初、上皮系細胞と考えられていた唾液腺由来のSP細胞の殆どは、間葉系由来の細胞集団であることが明らかとなった。
著者
今村 速夫 酒多 喜久
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

ボールミリングによるナノ複合化によって、Mg水素化物を活性化して水素の放出過程を促進させることを材料開発のコンセプトに、Sn/MgH_2やSiC/MgH_2を検討した。MgH_2の微結晶中に高分散したSnやSiCのナノコンポジットでは、複合効果が発現して水素の放出温度が低下した。Sn/MgH_2系では、ナノ複合化の結果、MgH_2の水素放出温度が473K近くまで低下した。これはSnによるMgH_2からの水素放出過程における動力学的な促進効果よりも水素化物の熱力学的な不安定化に起因することがわかった。TDS(熱放出スペクトル),DSC(示差熱量分析),TG(熱重量分析)測定よりMg複合系では、複合化の結果少なくとも二種類の水素種が存在することがわかった。
著者
松浦 義昌 清水 教永 眞来 省二 浜口 雅行 坪内 伸司 田中 良晴
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、身体障害者個々の疾患レベルに適した運動処方の実際について、3年間の継続運動が身体障害者にどのような影響をもたらすのかについて検討した。対象者は、骨形成不全、頸髄損傷、脳性麻痺の障害を有する3名の身体障害者で、年齢は35歳〜43歳の範囲である。1週間から10日に一度の頻度で、それぞれの疾患に適した運動処方を3年間継続して行った。運動処方実施中は、心拍数、酸素摂取量、主観的運動強度(RPE)、脳酸素飽和度(StO2)及びヘモグロビン量(Hb量)を連続記録し、運動前後には血圧、血中乳酸及び内省報告を記録した。いずれの被検者についても、運動処方3年目に心拍数-酸素摂取量の高い相関関係が認められた。心拍数とRPEの関係についても心拍数-酸素摂取量の関係同様に、運動処方3年目に高い相関関係が認められた。StO2及びHb量については、運動前安静時、運動中及び運動後のいずれの状態においても顕著な変化は認められなかった。運動前後の血圧は、運動後に拡張期、収縮期ともに高くなる傾向が認められた。血中乳酸は、運動前に比べ運動後におよそ4〜5mmol/mlの増加が認められた。運動後の内省報告では、いずれの対象者についても気持ちが良い等の報告を受けた。以上のことから、身体障害者における3年間の運動処方は、健常者の場合とは一部異なるものの身体障害者の生理心理に種々な影響を与え運動の習慣化という生活習慣の改善および呼吸循環器系機能の改善の可能性を示した。よって本研究で用いた運動処方は、身体障害者の生活習慣病予防やより積極的な健康生活の向上のための有益な処方の一つであると考えられる。