著者
村上 純 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1675-1681, 1993-08-15
被引用文献数
1

入力信号系列がいくつかの正弦波と付加的な白色雑音により構成されている場合に、雑音成分を低減する処理は、ディジタル信号処理の主要な目的の一つである。その手法の一つに、対象とする系のテプリッツ形線形予測モデルを構成して、より低いランクのテプリッツ形近似行列を計算する手法がある。近似行列が求まれば、雑音成分を低減した信号が再現される。具体的な計算方法は、特異値分解(SVD)を利用したWilkesらの方法が一般的に用いられている。しかし、この方法は、SVDを何度も計算するので、かなり計算時間がかかる。そこで我々は、同様な近似行列を計算する、より高速なアルゴリズムを開発した、本手法は、周波数艦定でよく用いられる相関行列を、離散フーリエ変換の回転因子から成るベクトルの積で近似する事法を応用したものである。計算の高速化のためには、固有値計算の一手法であるブロックベき乗法を利用して、すべての特異値を近似的に一度で求めるようにした。
著者
戸次 圭介 横田 孝義 浜田 亘曼
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.605-613, 1988-06-15

高機能LSIの論理設計期間を短縮するためには 後れた論理DAシステムが必要となる.論理設計はテータパス 制御回路 およびこれらの構成要素となる機能モジュールのそれぞれの設計に分類することができる制御向路には結線論理方式とマイクロプログラム方式があるが 大規模で複雑な論理回路はほとんど後者の方式が採用されている.そのためマイクロプログラム方式の制御回路の設計を自動化することが重要となる.そこで本論文では マイクロプログラム方式の制御回路の構成方式をモデル化し この構成モデルに基づいた論理合成アルゴリズムを検討した.これにより マイクロプログラムのアドレス順序情報と分岐機能を定義する情報から マイクロプログラムのアドレス制御を行う部分の論理回路を自動合成することが可能となった.本方式は宣言的データとして表現された制御構造モデルを用いて論理回路の自動合成を行うものであり モデルの蓄積により容易に設計空間の拡張が可能となるまた論理型言語Prologを用いて本アルゴリズムの実装を行い 実際に回路の合成を試みた結果 本アルゴリズムが実用可能となることが確認できた.
著者
藤井 寛 山中 康史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.1945-1955, 1997-10-15
被引用文献数
29

ディジタル画像流通においては品質を保持したコピーおよびネットワークによる転送の容易さに起因する,違法コピー氾濫の防止が重要な課題である.違法コピーの危険性から提供者には見本画像の公開に抵抗があり,そのため利用者は事前の内容確認が困難である.我々は画像情報流通を阻害する本問題を解決する,JPEGおよびMPEG1画像データのスクランブル方式を開発した.本方式は暗号を用いて画像データを変換し,品質を劣化させたスクランブル画像を生成する.スクランブル解除は暗号鍵によって制御され,高速な変換に基づくリアルタイム・スクランブル解除によって違法コピーを防止できる.効果的宣伝と違法コピー防止のためにはスクランブルの程度が制御可能であることが望ましい.本方式はブロック内パラメータ,密度,領域の3つのパラメータでこれを制御する.さらに,画像データは複数の鍵によって多重にスクランブルすることも可能である.多重スクランブルは鍵の個数による画像品質制御および複数の著作権の存在する画像の保護に利用できる.During the distribution of digital images,protection against peracy is important because it is easy to duplicate digital data without deterioration and to spread pirated versions through networks.Providers of image data cannot disclose the original data for fear of piracy,yet still need to advertise their products and to allow customers to evaluate a product prior to paying for it.This paper presents a method for scrambling image data encoded in JPEG or MPEG1 in order to solve this problem.Our method uses a cipher algorithm for data transformation to generate a deteriorated version of the image data.Its high-speed transformation enables real time descrambling,thereby preventing illegal copying.For effective advertisements and copyright protection,the degree to which image data is scrambled should be controllable.Using our method,scrambling can be controlled by the intra-block parameters,density and area.The method also allows a single image to be scrambled a number of times using different scrambling keys.Multiple scrambling can be used to determine the image quality based on the level of payment.It can also be used to protect image data composed of several parts,the copyright for each part being owned by different authors.
著者
長谷川 修 金出 武雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1795-1807, 2003-07-15
被引用文献数
5 3

人と車両が入り混じる,対面通行の一般道路映像中の移動物体を対象に,(1) {車両,人物,その他} の識別および車両ならばその種別の識別,(2)対象が含む主要な色の推定,を同時に行うビジョンシステムを試作した.識別する対象の種別は,実験システムの入力映像中に多く見られた,{小型作業車,セダン,バン,トラック,人物(単数,複数とも),その他(ノイズなど)}とし,また色は {red-orange-yellow,green,blue-lightblue,white-silver-gray,darkblue-darkgray-black,darkred-darkorange} の色グループから選択させた.入力映像として晴天もしくは曇天の午前9時から午後5時の間の映像を用いた実験の結果,種別と色の識別結果が双方ともオペレータの目視による識別結果と合致した場合を正答として,91.1%の正答率を得た.また本研究では,上記の機能を利用し,あらかじめ設定した特定対象(種別と色の組合せから特定される)を映像中から検出させる実験も行った.特定対象を {FedEx社の集配車,郵便車,パトカー} に設定して行った実験の結果,92.9%の正答率を得た.こうした識別や推定の機能は,統計的線形判別法(線形判別分析)と非線形識別則(重みつきK-最近傍法)を組み合わせる手法を導入して実現した.This paper describes a vision system that recognizes moving objects(cars and humans) on general streets. The system classifies objects based on shape appearance and estimates their colors from images of color video cameras set up toward a street.The input images were obtained between 9:00 a.m. and 5:00 p.m. in fine or cloudy weather conditions.The types set up in the system are {human, sedan, van, truck, mule (golf cart for workers), and others}, and the colors are {red-orange-yellow, green, blue-lightblue, white-silver-gray, darkblue-darkgray-black, and darkred-darkorange}.Moreover, the system can selectively extract specific targets, such as FedEx vans, police cars, mail vans and others from objects based on classified and estimated results. For classification and estimation, we cooperatively used a stochastic linear discrimination method (Linear Discriminant Analysis: LDA) and a nonlinear decision rule (weighted K-Nearest Neighbor rule: K-NN).
著者
高橋 静昭 安原 治機 長嶋 祐二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.1080-1086, 1987-10-15
被引用文献数
1

模擬試験の得点や共通一次の自己採点などから 入試における合格最低点を推定する場合 合格者の学力の水準と入学の難しさの2つは 合格最低点とは微妙に異なる.それは 模擬試験の得点等と大学入試得点の相関係数の値が1より小さいことに起因する.もし相関係数が1ならば 合格最低点の入試得点者のみが 最低点に対応する模試の境界得点者となる.しかし 相関係数が1より小さくなるに伴って 合格最低点よりやや高い入試得点者と低い得点者の双方が模擬試験の対応する境界得点となることが多くなる.合格率が1/2以下のときには 高得点者の方が少ないので前者の人数が後者を上まわる.したがって模擬試験の対応境界得点近傍の受験者の合格率は 1/2より小さくなる.さらに同様の関係で 合格最低点近傍の受験者の模試の平均点は模試の境界得点より低くなる.逆に 合格率が1/2を超えているときは 模試の境界得点の受験者の合格率は1/2より大きくなる.これらの関係は 従来公表されている難易度では十分に説明されていない.本論文では 模試得点や自己採点等の変数Xとそれによって評価される大学入試得点Yが 2次元のガウス分布に従うものとしてモデル化し 合格最低点 最低合格者の水準および合格難易度の3つを定量的に定義し検討する.さらにこの統計モデルを用いて 合格者の中の入学手続者の入試得点上の分布を表現し 入学手続の予測に応用することを提案する.
著者
中村 嘉志 並松 祐子 宮崎 伸夫 松尾 豊 西村拓一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1349-1360, 2007-03-15
被引用文献数
13 8

本論文では,位置センサや方向センサを用いなくても,方向に関連付けられた赤外線タグを複数利用することで,人やモノなどのオブジェクトのトポロジカルな二次元の位置関係および向き関係を推定できる手法を提案する.実世界における人を対象とした状況依存型システムでは,人やモノの位置関係をいかにして手軽に取得するかが重要な課題の1 つである.特に人は,何らかの意図や意味があってそこにいるため,位置や向き関係の情報はその人の状況を反映していることが多い.とりわけ向き関係の情報は,向き合っているのかそれとも背中合わせなのかによって同じ位置関係にあっても意味が異なるように,人対人や人対モノの関係において位置関係だけでは困難なより詳細な状況を反映すると考えられる.そこで本論文では,実世界でのオブジェクトの向き関係に着目し,それらから空間全体でのオブジェクトの位置および方向を推定する新たな手法を提案する.計算機シミュレーション実験と試作システムの実機実験を通じて,本手法が位置および向き関係を実世界において推定できることを示す.This paper proposes a method for estimating an object's two-dimensional (2D) position and orientation based on topological information collected using infrared tags without any special location sensors or direction sensors. Estimating a user's location and articles irrespective of circumstances is an important issue for context-aware systems. Because users are present in a location with some purpose or intention, a user's position and orientation clearly reflect their context. Especially, orientation information can reflect a more detailed context than that obtained merely according to the location: people standing face-to-face or back-to-back would have vastly different contexts. In this paper, we particularly examine an object's orientation and describe a new method for estimating an object's position and orientation in an indoor, real-world environment. With a simulation and an implemented prototype system, the experimental results demonstrate the feasibility of our estimation method.
著者
町田 史門 梶山 朋子 嶋田 茂 越前 功
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2092-2103, 2014-09-15

SNS(Social Networking Service)が幅広い年齢層に急速に普及し,SNSに投稿されるライフログにより,多くの人々がコミュニケーションを活発化している一方,SNS投稿に起因したプライバシ侵害のトラブルが多く発生している.その原因の1つとして,SNSユーザによる,個人に関する情報の漏洩がある.本論文では,SNSユーザの不用意な投稿による個人に関する情報の漏洩が,実際に発生していることを確認するために,Twitterアーカイブにおけるこのような情報漏洩の存在率の試算評価を行った.次に,本試算評価を受け,SNS投稿時に発生する情報漏洩を自動検知する第一歩として,非公開とすべき情報の内容分類と開示レベルを対応付けた,SNSにおけるプライバシ侵害情報分類表の提案とその評価を行った.さらに本分類表の特性を活かし,センシティブデータの漏洩有無の通知と,SNS投稿者を中心としたネットワーク内における公開対象者の自動設定を提供するシステムを提案した.Social Networking Service is rapidly becoming popular for all ages nowadays. Users communicate by posting messages in SNS. On the other hand, posting messages through SNS increases invasion of privacy. One of the reasons is SNS users themselves often leak their sensitive data unintentionally. In this paper, to confirm leakage of sensitive information by unintentional posts, we evaluate the abundance ratio of sensitive data in Twitter archive. As a result, we define and evaluate a classification table of invasion of privacy for SNS that is based on classification according to contents of information which should be kept private, and disclosure level as the first step to detect privacy leaks automatically. We also propose a system that provides automatic configuration of disclosure target based on SNS egocentric network.
著者
関口 博之 英保 茂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2827-2837, 1999-06-15
被引用文献数
8

鍵盤楽器の演奏は手と指のダイナミックな動きによって実現される. 手指の動作速度には物理的な限界があるとともに その動作可能範囲と方向は手指の腱 筋肉 骨格構造の制約を受ける. したがって 鍵盤楽器の演奏においては 手指への負担や動作の無駄を抑えた 合理的な手指の動作が求められる. しかし打鍵指の選択や手指動作に対する自由度はきわめて大きく 手本なしに理想的な演奏動作を習得することは難しい. 本研究の目的の1つはこの「理想的」な演奏動作を 直感的に理解可能な3次元動画等を用いて提示することである. ここでは理想的演奏動作を 1. 譜面に忠実な演奏結果が得られること 2. 手指への負担を抑えた動作であること 3. 手指の運動量 (変位・速度・加速度) が最小化されていること の3点をともに高いレベルで満足する動作ととらえ 本稿ではこの演奏動作を生成するアルゴリズムについて述べる. 本研究のもう1つの目的は「人間的」な演奏を計算機上で実現することである. 従来の計算機による演奏は 1音1音を正確に発音する一方 音楽的表現に欠けたものになりがちであった. これは単にテンポや音量に 乱数的な変動を加えるだけでは解決できない. これに対し 提案手法では手指の動作を介して演奏結果を得ているため 人の手指の動作特性を仮想空間内の手オブジェクトに反映させることにより「人が弾いている」ような効果が容易に得られる. これをさらに発展させれば ニュアンス表現をともなった自動演奏も実現可能になると考えられる.The piano performance is realized by the dynamic hand and finger movements, which are constrained due to tihe anatomical components, such as tendons and skeletons. We have developed an algorithm that generates a kind of the optimal movements of hands and fingers at the piano performance. The optimal movements are obtainable by 1) finding the most appropriate finger assignments, 2) finding the smallest hand movement to play, and 3) calculating the finger position and bend angles to attack the key. The appropriate hand and finger movements in piano performance, obtained and shown in understandable 3D animations, will be quite useful for students in piano lesson. Another aim of this research is to realize a humane performance by computer. In this system, the sound is generated as a result of the interaction of fingers and a keyboard in the virtual space. So it is easy to modify the character of performance by changing the physical characteristics of the hand and fingers. This special feature will be useful to prodube mofe realistic (humane) sounds of music than that of the computer music of today.
著者
堀江 郁美 山口 和紀 柏原 賢二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.2830-2839, 2006-09-15
参考文献数
17

ウェブサイトにおいて,一貫性のない構造は読者を混乱させるということが指摘されている.そこで,本研究では一貫性のない構造を発見する方法として高階ランク分析を提案する.高階ランク分析は,ウェブを有向グラフと見なし,非有基的集合論を基にした高階ランクを用いて,ウェブサイトから一貫性のない構造を発見するものである.この高階ランク分析の有効性を確かめるために,4 つのウェブサイトに高階ランク分析を適用し,各々のウェブサイトにおいて一貫性のない構造として発見されるページが特殊なものや誤ったものであることを検証した.An irregular structure that differs from the typical structure in a Web site might confuse readers, thus reducing the effectiveness of the site. In this paper, as a method for detecting such irregular structures, we propose higher-order rank analysis. In the analysis, viewing the Web as a directed graph and employing a higher-order rank based on the non-well-founded set theory, we are able to detect irregular structures differed from the typical structure of a target site. To test the effectiveness of our method, we applied it to several Web sites in actual use, and succeeded in identifying irregular structures within the sites.
著者
市野 順子 金山 尚史 田野 俊一 橋山 智訓
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.1570-1580, 2012-05-15
被引用文献数
1

大型ディスプレイが普及しつつあるが,ユーザ個人に対する影響を定量化することはほとんど行われていない.本稿では,大小の2つの物理サイズの異なるディスプレイ上での,ユーザのテキスト読解を比較する3種類のタスクからなる実験を提示する.本実験では,2つのディスプレイの観視距離を調整することによって,観視角度を一定に保った.実験の結果,ディスプレイサイズの違いが,個人のテキストメディアの短時間の読解タスクパフォーマンス―文字・単語といった小さい単位のテキスト情報の探索タスクと,文・段落といった大きい単位のテキスト情報の理解タスクのいずれにおいても―に影響を及ぼさないことが分かった.映像や画像メディアの場合,大きいディスプレイはユーザを自己中心座標系の視点に偏らせ,小さいディスプレイは外部参照座標系の視点に偏らせることを示した先行研究の結果と,本研究が注目したテキストメディアに関する実験結果が大きく異なる結果となった.Large wall-sized displays are becoming prevalent. Although researchers have articulated qualitative benefits of group work on large displays, little work has been done to quantify the benefits for individual users. In this article we present an experiment that compares user's the performance of text reading on a large display to that on a small display. In these experiments, we held the visual angle constant by adjusting the viewing distance to each of the displays. Results from the experiment, which included three kinds of tasks, suggest that physical display size doesn't affect individual performance on text reading tasks.
著者
西森 雄一 狩野 均 西原 清一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1094-1102, 1997-06-15
被引用文献数
4 1

時間割編成問題は,制約条件を満たすように,科目を時間帯に割り当てる探索問題である.従来のシステムでは,カリキュラムが単純な高校の時間割編成が対象であったが,本論文では,より複雑な大学の時間割を制約充足パラダイムにより編成する方法を提案する.大学の時間割編成問題は,課せられる制約条件が多種多様であり,また探索空間が膨大である,という問題点がある.そこで本論文では,制約を,個別に科目への制約,2科目間の関係に関する制約,時間割表全体の整合性に関する制約に分類整理することにより,前者の問題点を解決する.また,後者に対しては,制約に違反点数を与え,その違反点数の最小化を規範とする山登り法を導入し,さらに対話によってユーザと協調して探索を進めることにした.本システムは,編成の基になる時間割を作成する初期割当作成と,その時間割から不具合のある割当を反復改善する割当改善の2段階より成る.本システムを筆者らの大学の実際の時間割編成に適用した結果,人手による編成では数時間かかるところを,数十分で編成ができることを確認した.Timetabling is a search problem to assign the subjects to the time-slots so that various constraints are satisfied.Conventional timetabling systems are applicable to comparatively simple problems such as high school timetabling.In this paper,we propose a method for scheduling univerisity timetables,which have two major problems:first,it is hard to represent concretely all various kinds of constraints,and,second,the search space is extremely large.To resolve the first problem,we classify all the constraints into three groups:the constraints claimed per each subject,the binary constraints to be satisfied between two subjects,and the constraints concerning the total consistency of the timetables for the second problem,we introduce penalty per constraint to make the min-conflicts hill-climbing strategy try to minimize the total penalty.Further,our system interacts with the user to exchange suggestions each other.Timetabling is performed in two steps:generation of an initial assignment and iterative improvement of the total penalty to optimize the timetable.Applying our interactive method,we actually constructed timetables for our university,where the planning time is considerably reduced.
著者
小林 健一 飯倉 道雄 川田 直樹 伊原 征治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1636-1642, 2001-06-15
被引用文献数
2

デジタル・ビデオを利用してライブ中継などを行う場合,データを蓄積せずに,高速にシーンの切り替わりを検出するリアルタイムでのシーン検出技術が必要である.本稿では,リアルタイムでデジタル・ビデオのシーン切り替わりを検出する方法として,明度のサンプルを分散分析する検出法を提案する.本検出法では,隣り合う2フレーム間で画素の明度をサンプル抽出し分散分析を行い,その結果を利用してシーンの切り替わりを検出する.サンプル抽出法として,明度の平均値を用いる方法と,明度のダイナミックレンジの平均値を用いる方法について評価実験を行った.実験の結果,両方法ともリアルタイムでのシーンの切り替わりの検出に有効であることを確認した.Real-time detection of video scene breaks without storing video data is very important for a live broadcast by digital video.In this paper,we present a method of real-time detection of scene breaks using analysis of variance with samples of luminosity between frames.The method detects scene breaks using the result of analysis of variance with samples based on luminosity of pixels in continuous 2 frames.We have experimented the method with samples of the average luminosity and dynamic range of luminosity,respectively.Both results showed the method can detect scene breaks efficiently.
著者
杉原 厚吉 伊理 正夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.962-974, 1987-09-15
被引用文献数
12 8

ソリッドモデラにおける最も重要な問題の一つは 図形の交差判定である.図形要素が非常に接近したとき 数値計算の誤差が図形の交差の順序を逆転させることがある.このような誤った判定に基づいて図形を操作すると たとえば立体の表面の表と裏が部分的にひっくりかえったりして システムの暴走の原因となる.これを防ぐために 従来のシステムでは"非常に接近した図形要素は同じ位置を占めているとみなす"という便宜的処理にたよっており 暴走を完全に防ぐことはできていない.本論文では 計算誤差による交差判定の誤りを完全に防止できる多面体モデラの一設計法を提案する.これは 最近 数値計算や計算量の理論などの分野で認識され始めている "有限の桁数で表された原始データを厳密に正しいものとみなすと それを用いた計算結果の符号判定もやはり有限の桁数の計算で厳密に行うことができる"という"新しい観点"を利用したものである.まず この観点からソリッドモデラにおける図形の表現法・操作法をみなおす.そして 多面体を構成する各面の方程式の係数を唯一の基礎的データとみなし すべての図形操作をこのデータにさかのぼって行うことにより 基礎的データの5倍の精度の計算で上の目的を達成できることを示す.また 予備的な計算実験例もあわせて報告する.
著者
西山 晴彦 大久保達真 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.997-1007, 1997-05-15
被引用文献数
13

人間は想像力に富んだ動物であり,提示された情報が不十分であると,想像によりそれを補おうとする.たとえば,ラジオの野球中継を聞いているとその状況を思い浮かべようとし,美しい風景の写真を見るとその音を想像する.このような提示された情報をもとに不足している情報を創出することを「メディアの補完」と呼ぶ.人間はこのメディアの補完を生活の中で自然に行っている.本研究では,言語メディアから画像メディアの補完に焦点を当て,風景描写文から風景画像を創り出すシステムPicnyckを提案する.風景画像は,用いられる構図により我々に異なった印象を与える.たとえば同じ山の風景でも,富士山なら「雄大な」感じがするし,日本アルプスのようにギザギザした山は「荒々しい」感じがする.風景の構図が人間の感性に影響を与えることは,古くから知られており,画家や写真家といった美術専門家により研究され,体系化されている.筆者らは風景画像を作成するに際し,この構図が感性に与える影響を考慮した.評価の結果,Picnyckを用いることにより,風景描写文から人間の感性を考慮した風景画像が作成できることが分かった.Recently,the word "multimedia"is highlighted as an environment that can process image,audio,data and text.Even though it is so difficult to transfer human's subjective impression just through characters in the past,the multimedia environment makes it possible to transfer that in addition to normal communication.To lessen the time and trouble of multimedia authoring,we propose a scheme to complement media environment and apply it to multimedia authoring.It is well known that composition of landscape pictures has influence on human feeling.And the relationship between the compositions of landscape pictures and human feeling has been researched by artists for a long time,and systematized.We implemented "Picnyck"to demonstrate a scheme that complement media environment.The system has database of picture parts which are related landscape pictures such as "mountain","sea","cow"and so on.The system retrieves suitable picture parts from database and synthesises them into one landscape picture.By this technique,it is possible that general user create multimedia information at ease.
著者
飯村 伊智郎 加藤誠巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.12, pp.2831-2841, 1994-12-15
被引用文献数
6 2

近年車載ナビゲーション・システムの普及が著しいが、目的地までの最適経路を提供するものは少ない。最適経路を算出するためには道路ネットワーク・データを必要とするが、例えば(財)日本デジタル遺路地図協会の作成した目本全国の基本遺路は約23万個のノード、約52万本のリンクより成り、その経路探索用データのデータ容量は約8MBと大きく、ディスクヘのアクセス・読み込み時間、探索を実行するために必要なRAM領域,ならびにCPU時間が増大し、実用に耐えなくなることがある。従来からこれらの問題点を解決するためいくつかの方法が提案されているが、種々の問題点があった。本論文では日本全国の道路ネットワークを復数個の領域に分割し、任意の2つの領域間の最適経路を算出するために必要にして十分な領域の集合をオフラインで算出してテーブル化することにより上述の問題点を解決している。このようなルックアップ・テーブルを用いることそれ自体は審易に考え得るところであるが、本論文ではこれを日本全国の道路網に対し実際に適用した場合について、実用的な領域分割数を明らかにすると共に、領域分割の仕方として郡レベルの行政区域に分割すると、テーブル作成に要する時間を多少なりと減少させるのに有利であることを示している、すなわち郡レベルの行政界は一般に河川や山脈等の地形的特性と密接な関係を有していることが多く、このような行政区界を横切る道路は少ないと考えられるためである。本論文ではこのように領域分割の仕方に一つの示唆を与えると共に、ここで採用したルックアップ・テーブル法により探索頒域を限定した経路探索法が、やはり最適経路を与えることが保証されている従来のDijkstra法およびA*アルゴリズムと比較し、総所要時間および必要とするRAM容量の面で現用のハードウェァの下では大幅に有利であることを示している。
著者
町田 史門 梶山 朋子 嶋田 茂 越前 功
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2092-2103, 2014-09-15

SNS(Social Networking Service)が幅広い年齢層に急速に普及し,SNSに投稿されるライフログにより,多くの人々がコミュニケーションを活発化している一方,SNS投稿に起因したプライバシ侵害のトラブルが多く発生している.その原因の1つとして,SNSユーザによる,個人に関する情報の漏洩がある.本論文では,SNSユーザの不用意な投稿による個人に関する情報の漏洩が,実際に発生していることを確認するために,Twitterアーカイブにおけるこのような情報漏洩の存在率の試算評価を行った.次に,本試算評価を受け,SNS投稿時に発生する情報漏洩を自動検知する第一歩として,非公開とすべき情報の内容分類と開示レベルを対応付けた,SNSにおけるプライバシ侵害情報分類表の提案とその評価を行った.さらに本分類表の特性を活かし,センシティブデータの漏洩有無の通知と,SNS投稿者を中心としたネットワーク内における公開対象者の自動設定を提供するシステムを提案した.
著者
奥村 香保里 毛利 公美 白石 善明 岩田 彰
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2159-2167, 2014-09-15

セキュリティ基盤技術やシステム構築・運用技術が高度化しているにもかかわらず,個人情報の悪用やプライバシーの侵害への利用者の懸念は高い.従来は安全な技術によって利用者は安心すると考えられていたが,システムが安全なだけでは安心して利用できるとは限らない.利用者の安心感の要因について検討することは,安心して利用できるシステムの開発,およびサービスの提供の助けになると期待できる.そこで,本研究では情報システムにプライバシー情報を登録する利用者の安心感の要因について,質問紙調査と因子分析を行った.その結果,“能力・知識因子”,“ユーザビリティ・プリファレンス因子”,“身近な他者因子”,“主観的な信用因子”,“安全性因子”の5因子が抽出された.抽出された因子は,先行研究の因子と異なり,対象の評判やうわさ,家族や友人などの身近な他者とともに登録することが安心感の要因になることが分かった.また,共分散構造分析の結果から,安心感の因子が“論理的要因”,“主観的要因”の2つに分かれるという構造が解釈できた.このことから,論理的要因と主観的要因の両方の内容を備えていることが安心感につながると考えられる.
著者
安藤 駿 猪瀬 裕介 増田 英孝 佐々木 良一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2149-2158, 2014-09-15

近年,テレビ番組やWEB放送などでTwitterなどを用いて視聴者の意見を取得し反映するケースが多い.このような場合にはリアルタイムで有益な意見を抽出し,放送に活かすことが望ましい.著者らが開発中のITリスク問題に関する合意形成支援システムSocial-MRCにおいても,数千人規模の参加者の合意形成を支援するためにUSTREAMを用いて放送し,Twitterを改良したものを用いて意見の収集を図っている.しかし意見の数が膨大になり,人の力だけでリアルタイムに意見を分類することは困難である.そこで自動的に有益な意見を抽出する必要があるが,放送を見ながら実時間で意見を記入する場合は,Twitterに限らず投稿される意見は短い文章が多く自然言語処理だけでは満足な結果を得ることが難しい.一般的に機械学習の素性として名詞を用いることが多いが,名詞は議論の内容に依存することが多く,学習時には出てこなかった未知の話題を含む有益な意見が出てくることも多い.このような問題を解決するため,投稿者に選択してもらった意見の対象および意見の種類の項目を素性として用いるとともに未知の名詞の出現頻度を素性に用いるMAUOS方式を開発した.この方式をSocial-MRCを用いた「青少年への情報フィルタリング問題」の合意形成に適用することによって,短い文章において新しい傾向を持つ意見を高い精度で分類することができたので報告する.
著者
松尾 比呂志 内野 一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.9, pp.1172-1179, 1990-09-15
被引用文献数
3

検索指示文と各テキストの見出し文(検索対象文)との文間類似度を用いてテキストを検索する方式について述べるテキストの検索方式として 文の中からキーワードを抽出して比較する方式が知られているが 単語間の比較であるため 検索指示文「頭が痛い」でキーワード「頭痛」が付与されたテキストを検索できないまた 検索指示文および各検索対象文を意味構造に変換して比較する文照合方式も試みられているが 「頭痛がする」と「頭が痛い」の関係のような 複数の単語の組合せが一方の文の単語と同義の関係にある場合の検索は行えないこのような類義関係も扱える方式として 文の意味を意味属性の集合で近似的に表すことにより 検索指示文と検索対象文との間の類似度を算出して検索する方式を提案する具体的には ?文中に含まれる単語の意味を 複数の意味属性の集合で表現する ?文の持つ意味を 文中に含まれる単語の意味属性の集合として扱う ?意味属性の集合間の類似度を 文間の類似性の尺度とする本方式を適用したテキストベース検索システム(TBRS)を実現し 「けがや病気の応急手当」に関するテキストを対象に評価実験を行ったその結果 約90%の検索成功率を得ることができ 本方式の有効性を検証した
著者
奥乃 博 湊 真一
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.1789-1799, 1995-08-15
被引用文献数
2 1

BDD(二分決定グラフ)はブール関数のコンパクトな表現方法である。我々は、BDDを使用して組合せ問題の複数の解を同時に表現したり、ATMSといった多重文脈型真偽維特システムの機能拡張をする方法を検討してきた。与えられた問題記述あるいは制約条件からBDDを構築する過程は制約充足問題の解法とみなすことができる。本稿では、2種類のBDD、算術諭理式が使用できる通常のBDDと組合せ集合が使用できるZBDD(Zero?Suppressed BDD)を取り上げ、それらを用いた割約充足問題の解法を検討する。制約充足問題のデータと制約条件のコーディング方法を提案し、N?Queens問題や魔方陣の問題などの具体的な問題を取り上げ、2種類のBDDによる解法を評価する。さらに、BDDによる解法を、制約充足問題での一貫性アルゴリズムやATMSと比較し、評価を行う。BDDでは、一旦適用された制約条件が以降ずっと成立するという単調一貫性維持が成立する、一方、ZBDDでは、組合せ集合演算の性質から、制約条件が適周する対象によって制限される。しかし、この結果ZDDDでは段階的解法が容易となる。