- 著者
-
深谷 達史
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学年報 (ISSN:04529650)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, pp.30-46, 2019-03-30 (Released:2019-09-09)
- 参考文献数
- 95
- 被引用文献数
-
2
本稿では,2017年から2018年に『教育心理学研究』に掲載された論文と,2018年9月に開催された日本教育心理学会第60回総会で発表された研究を中心に,近年の教授・学習・認知研究を概観した。レビューの一つの視点として「主体的・対話的で深い学び」に立脚し,子ども(学習者)の学びに関する知見を,主体的な学び,対話的な学び,深い学び,それぞれに関連する研究と,3つの学びを統合した授業デザインに関連する研究とに分け,整理した。また,新学習指導要領の理念を実際の教育として実現するためには,教師研究が重要となることから,大人(教師)の学びに関する知見をもう一つの視点として設定し,レビューを行った。その上で,(1)教師研究は重要であるにもかかわらず,本領域において数多くなされているとはいえず,教師の学びを明らかにするような更なる発展が望まれること,(2)実践への関心が高まっているにもかかわらず,実践カテゴリーの論文数は増えておらず,研究者が実践の機会を持つなど実践研究を行う基盤を構築する必要があることなど,今後の研究を進める上での課題と展望が示された。