著者
大浦 学
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

E-多項式はテータ写像により、モジュラー形式へと写される。ここで得られるモジュラー形式について、種数1の場合に次のようなことが知見された。 もともと E-多項式はアイゼンシュタイン級数に対応するものとして導入したが、アイゼンシュタイン級数と似た性質を持つことが観察できた。すなわち、基本領域内におけるゼロ点は原点から距離1の部分にあり、適当な重さの差がある場合、それらのモジュラー形式のゼロ点は分離的と呼ばれる性質を持つ。ただし、一般的には証明されておらず、これからの研究課題である。
著者
ディエゴ ミランダ サーベドラ
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ChIP-chipとChIP-seqライブラリーから高効率にエンハンサー検索をする計算方法を開発(Fernandez and Miranda-Saavedra, 2012)転写制御モジュールの再構成のための新手法を開発(Hutchins et al, 2013)上記の手法により、抗炎症反応系を制御するSTAT3の基本機能を解明(Hutchins et al, Blood, 2012; Hutchins et al, JAK-STAT, 2013).
著者
齋藤 佳菜子
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

HER2陽性乳癌患者において、抗HER2モノクローナル抗体であるTrastuzumabを投与することで、HER2特異的細胞性免疫応答がされるかどうか検証した。患者末梢血中に、HER2特異的細胞障害性CD8陽性T細胞が誘導されるかどうかテトラマーアッセイとELISPOTアッセイを用いて検討した。進行乳癌患者においては、trastuzumab投与後にHER2特異的CD8陽性T細胞をテトラマーアッセイにて検出する症例があった。しかしながら原発腫瘍の根治手術後、術後trastuzumab療法後においては検出困難であった。原発腫瘍の摘出後であるため、腫瘍量が少ないことからHER2特異的CD8+T細胞の誘導が検出できない可能性があった。しかしながら技術的な問題点として、HLA-A2402に拘束されるHER2エピトープの検出力が低いことが挙げられた。
著者
但馬 康宏
出版者
岡山県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

文脈自由言語の部分言語族のひとつである単純決定性言語について,そのある部分言語族は多項式教示可能であることを示した.この結果は,多項式時間での教示可能性と多項式時間での質問による学習可能性の本質的な違いの一例となっている.さらに,本研究により得られたアルゴリズムを文書の段落分割アルゴリズムに応用し,テキストデータを話題に応じた段落に分割する手法を開発した.この手法は,分割精度において従前の良く知られた手法よりも高性能であることが実験的に示された.またこれらを思考ゲームの着手決定アルゴリズムに応用し得ることを示し,実験的にその有効性を示した.
著者
穴澤 貴行
出版者
福島県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

膵島移植において、高い細胞収量と分離過程の細胞障害回避の両立は重要な課題である。ClassI/II比を最適化したcollagenaseにneutral proteaseを併用すると、従来法であるThermolysinの併用より高い収量が得られることが明らかにされた。また、膵島分離過程にClイオン阻害剤の添加、Clイオンフリーとした細胞外溶液の使用を導入して、膵島分離収量やViabilityはClイオンの制御により改善されることが明らかとなった。さらに、本邦での臨床背景にそって、心停止ドナーモデルを構築し、心停止モデルでも同様の結果が得られることを明らかにした。
著者
杉山 陽子
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

培養気道上皮細胞においてTNFα刺激で産生されるIL-8が麻酔薬プロポフォールによりGABAA受容体を介して増加した。GABAB受容体作動薬はIL-8産生量を変化させなかった。TGFα刺激における分泌型ムチンMUC5ACの産生を麻酔薬ミダゾラムが抑制したがGABAA受容体拮抗薬はその作用を抑制しなかった。気道炎症に重要なIL-8の産生過程をGABAA受容体が修飾している可能性があり、今後新しい治療ターゲットとなりうる。
著者
濱崎 雅弘
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,ソーシャルネットワークとソーシャルタギングを用いた情報流通基盤の研究を行う.利用者にとって価値のある情報を発見し届けるには,まず情報の価値を計量する方法が必要であり,そして利用者にとっての情報の価値を計量するためには,利用者の社会的関係や情報の位置づけを捉え利用する方法が重要である.本研究では既存の動画共有サイトにおける作者のソーシャルネットワークを,ソーシャルタギングを用いて分析し,コミュニティ内の構造を明らかにした.
著者
古川 匡恵
出版者
昭和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

オフィスブリーチは現在審美歯科において人気のある漂白法である。しかしながら、オフィスブリーチ法は熟練した術者においても術中に歯肉や口腔粘膜に漂白剤が付着してしまうことがある。その場合、歯肉に一過性の疼痛および白色化が起こるが、数時間後には症状は緩和し、白色化も消失してしまう。この漂白剤の歯肉に対する影響については文献などでは知られていないため本研究では、漂白剤の歯肉に対する為害性をin vitroで検討した。
著者
作田 裕美 坂口 桃子 佐藤 美幸 新井 龍
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

上肢リンパ浮腫は、リンパ節郭清を行った乳がん患者にしばしば発症する。リンパ浮腫の有効な治療手段が確立されていない中、国際リンパ学会において標準治療として認められている「複合的理学療法」を各施設で施行しつつある。しかしながら、標準化には至っていない(複合的理学療法とは、スキンケア、リンパドレナージ、圧迫療法、圧迫下での運動療法の併用を指す)。複合的理学療法の効果を「リンパ浮腫発症予測指標」を用いて検証した結果、有用であることが示唆された。
著者
細川 宜秀
出版者
群馬大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

我々は,これまでに,文書データに出現する地名表現をそれが指すランドマークの緯度経度に翻訳するための技術(ジオ・コーディング技術)追求を行ってきた.その技術の特徴は,空間的文脈認識を伴って地名の指すランドマークの緯度経度を自動算出することにある.ここで,空間的文脈とは,説明文を構成する語群のうち,文書に含まれる地名表現が指し示す意味(緯度経度)を特定するのに貢献する語群を表す.しかしながら,我々のジオ・コーディング技術は,ランドマークに関する知識メタデータベース(ランドマーク・メタデータベース)を前提とするため,そのメタデータベースに登録されていないランドマークの緯度経度を指す地名を含む文書データを翻訳対象外としてきた.本研究開発では,文書データベースを対象としたランドマーク・メタデータベースを自動生成するためのシステムの実現方式を実現した.本実現方式の主要な特徴は次の点にある:文書データベースから得られるランドマーク-単語間共起関係に基づいたランドマーク・メタデータ自動生成メカニズムの実現.これにより,先行研究で実現したジオ・コーディング技術の適用範囲を拡大することが可能になる.つまり,地理空間上に自動配置可能な文書数を大幅に増大させる.実験により,本実現方式の妥当性を明らかにした.
著者
越 森彦
出版者
白百合女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

18世紀フランスの法廷書類(「訴訟趣意書」)を一次資料とすることで、スキャンダル・ジャーナリズムとの関係から、ジャン=ジャック・ルソーにおける自伝的言説の成立過程およびその文体的特徴を明らかにすることを目的としている。初年次はフランスのパリ国立図書館において、次年次はスイスのヌシャテル市立図書館において、それぞれ『名高くも面白おかしい訴訟事件』と『我が肖像』の読解を行い、「公論」と自伝的言説の関係を分析した。
著者
吉崎 歩
出版者
長崎医療センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

L-selectinとICAM-1それぞれのノックアウトマウスではブレオマイシンによって誘導された皮膚硬化と肺線維化の有意な抑制が認められ、これとは逆にE,P-selectinとPSGL-1それぞれのノックアウトマウスでは線維化の増悪が認められた。このことは、L,E,P-selectin,ICAM-1よびPSGL-1が、未だ有効な治療法が開発されていないSScに対する新たな治療ターゲットとなり得ることを示していると考えられる。今後更なる検討を経て、SScの新規治療法が開発されることが期待される。
著者
佐藤 井一
出版者
兵庫県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

メルカプトコハク酸で表面修飾された金ナノ粒子を水溶液表面で集合させ、単結晶配列金ナノ粒子格子を作製した。得られた金ナノ粒子格子の光学誘電率は、構成粒子の粒径を変化させることで5から11まで変化することを確認した。また、金ナノ粒子をアモルファス状に押し固めた材料の電気伝導度は、構成粒子の粒径を変化させることで3.0S/cmから500S/cmまで変化した。この電気伝導率の温度係数は1.2×10^<-4>K^<-1>であり、バルク金の温度係数よりも一桁小さかった。本研究で得られた金ナノ粒子格子あるいは金ナノ粒子アモルファス体は、発熱による熱暴走を防ぐバラスト抵抗、もしくは、電子回路の高集積化の際のゲート材料として有望である。
著者
林 美里
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ヒトにもっとも近縁なチンパンジーを対象とした比較発達研究をおこなった。物を操作する行動を指標として、チンパンジーとヒトの発達過程を直接比較した。形の異なる積木をつむという物理的な特性の理解などの項目では、チンパンジーとヒト幼児の類似性が示された。一方で、社会的・恣意的な要因がかかわる課題はチンパンジーにとって獲得が困難だった。物を介した社会的な他者とのかかわりが、ヒトの発達に影響を与えている可能性が示唆された。
著者
村上 謙
出版者
埼玉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

これまで未開拓の分野であった明治大正期の関西弁資料の発掘とその資料的価値の検証をおこなった。具体的には、上司小剣による関西弁小説群と曾我廼家五郎による脚本類などである。またその検証結果をもとに、明治大正期の関西弁における文法問題の抽出、及びその研究と解明をおこなった。具体的には待遇表現や否定表現、音変化のあり方などである。
著者
ディーター トゥールース
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

有害化学物質による環境汚染は、人間の健康に大きな影響を及ぼしうる。微生物を用いて有害物質を無害なものに変換する技術はバイオレメディエーションとして知られており、こうした環境汚染に立ち向かう方法として有用である。より効率的なバイオレメディエーション法の開発に役立てるため、環境中で対象物質の分解を行う微生物を特定する新規な手法の開発を行った。開発された手法は高い感度と特異性を持つことが示され、さまざまな環境における分解者を特定することが可能であることがわかった。
著者
座古 保
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年アルツハイマー病に代表される、ミスフォールディングタンパク質が凝集することが原因で引き起こされる疾病が社会的問題となっている.本研究では生体内でタンパク質凝集を抑制する働きをしている分子シャペロンタンパク質の1つであるプレフォルディンがアミロイドβタンパク質やポリグルタミンタンパク質などの疾病タンパク質凝集にどのような働きをしているかを調べたところ、凝集が抑制されることを見出した.
著者
大崎 人士
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

正則ACツリーオートマトン(regular AC-tree automata)の葉言語(leaf-languages)を表現する正則可換文法(commutative regular grammar)は、線形算術制約および正数ベクトル加算系(non-negative vector-addition systems)と等価な表現力を持つ(Parikh1966他)。本研究では、正数ベクトル加算系の定義を、整数(正値、零、負値)から成る座標系上に拡張した場合、それに対応する可換文法が満たすべき代数的性質を解明する。本研究の主な成果は、可換クリーニ代数の公理系に新たな演算子i と6つの公理を導入し(i-可換クリーニ代数と呼ぶ)、i-可換正規文法は、整数ベクトル加算系と等価な表現力を持つこと、正則可換文法、線形算術制約、正数ベクトル加算系の同形関係は、整数制約上へ自然に拡張可能であることが示せたことである。
著者
香坂 俊
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

レジストリ登録されたデータを用いて(15施設、4000例)、PCI に伴ってみられた出血合併症の発症率の計算を行い、関連する臨床的因子の寄与度の定量化を行った。さらには、PCI施行後の適切な処方の用いられ方、そして休日と週末のPCI入院による実際の成績の違い等に関しての解析を行い、その結果を平成23年3月に行われた日本循環器学会にて発表、現在論文として学術誌に順次投稿している。また、四半期に一度程度継続的なフィードバックをかけて各施設の医療の質の向上に努めている。
著者
堀 啓子
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

明治時代から大正期にかけての日本近代文学の名作には、19世紀のアメリカで、廉価出版された小説から多大な影響を受けた作品が少なからずある。だがそうした作品の多くは、著作権意識が低かった時代から、その原著を明らかにせず、依拠した原作者名も不明となっている。本研究においては、そうした翻訳、あるいは翻案のうちのいくつかを具体的にとりあげ、それらに影響を与えたとされる原書を明らかにし、両者の比較を試みた。