著者
井関 正久
出版者
中央大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

平成17年度は、平成15-16年度に「地球の友・インターナショナル」アムステルダム本部、「地球の友・ヨーロッパ」ブリュッセル本部、ドイツ環境自然保護連盟BUND(「地球の友・ドイツ」)のベルリン連邦本部、ハンブルク州支部、リューベック地区支部、そしてウィーンの「グローバル2000」(「地球の友・オーストリア」)で収集した一次資料、および各団体の活動家や職員に対して行なったインタヴューを、昨年度から引き続いて整理・分析し、論文執筆に取り組んだ。そして、上述した「地球の友」とその加入団体を事例に、欧州におけるNGOの国際ネットワークの形成過程とその国際政治への影響に重点を置いて、実証的な論文を作成した。論文執筆の際、NGOを含む市民運動・社会運動全般、そしてそれを取り巻く国際関係について考察し、さらに理論的に吟味するために、政治学・社会学・歴史学等に関するさまざまな和書・洋書を購入した。それとともに、上述の各団体の現状について追加調査するため、インターネットを駆使して、各NGOのニュースレターや活動報告をはじめとする最新資料も収集した。このため、図書やコンピューター機器類・消耗品類といった物品購入費が、今年度の主要経費となった。研究成果をまとめた論文は、「欧州における環境NGOの国際連携-『地球の友』およびその加入団体を事例に」という題目で、日本国際政治学会編の政治学雑誌である『国際政治』に投稿し、論文は当雑誌の第142号に掲載された。さらに、平成18年3月20日、中央大学ドイツ学会研究会にて、「ドイツ環境NGOの国際連携プロセス」という題目で研究発表を行ない、とくにドイツの事例に焦点を当ながら、研究成果の一部について報告した。
著者
能見 勇人
出版者
大阪医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

マウスアロ臓器移植モデルからマクロファージ(Mφ)抑制実験の正確な結果を得るためには予想以上の時間的を要することが判明したため、有効な結果を得るため、まず細胞レベルの移植モデルで解析を先に行った。C57BL/6マウスにCTL抵抗性の細胞であるMeth A腫瘍細胞(MA)を3×10^6個、腹腔内移植するとアロ腫瘍細胞であるMAは約14日で完全に拒絶される。この急性拒絶に働く腹腔浸潤細胞の細胞傷害活性の中心はアロ活性化Mφ(AIM)であことは以前にも報告した。今回ドナー側にGFP蛍光蛋白のトランスジェニックしたC57BL/6マウス(GFPマウス)を使用し、GFPマウス由来のAIMが標的細胞を噛み切るように傷害する様子を蛍光顕微鏡下に撮影し動画的に連続撮影することに成功した。(GFP-AIMは蛍光を発するため、ドナー側の細胞であることが容易に確認できる。)GFP-AIMにより噛み切られたMA細胞は細胞内容を細胞外に噴出するように破壊され、細胞膜が遺残物のように残ることが判明した。Mφがアロの細胞を噛み切るように傷害することは画期的な発見でこれを明確に裏付けできた。しかし、このAIMの攻撃が、アロに対する攻撃効果であるのか、MAが腫瘍であるから攻撃しているのかを鑑別する必要であることが判明したため、まだ断定的なことが言えない状態である。このため、腫瘍に反応するAIMを除いた後、残ったAIMにおいて現在噛み切り機構ににつき再度観察を繰り返している。並行して、このGFP-AIMは癒着性の高い細胞であることから、(1)癒着性の高い細胞を取り出し、これがターゲットMAを攻撃することにより、変化する様子を蛍光下に各14時間以上連続撮影して、精査中である。またMφの活動を抑制すると考えられるトラニラストを各濃度(3μM~300μM)存在下にAIMの変化を(1)と同様に観察しているが、これに関しても今のところは決定的な効果の検出には至っていない。推測ではトラニラストは活性化された後のAIMに作用するのではなくAIMが活性化段階に作用するものではないかと考え次に調査する予定である。
著者
能見 勇人
出版者
大阪医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

アロ拒絶のeffector細胞は、キラーT細胞(CTL)やNK細胞であるとされてきたが、CTLでは説明がつかない事象も報告されている。我々は、マクロファージ(Mφ)が活性化されeffectorとなることを示してきた。マウス腹腔内にアロ移植したMeth A腫瘍細胞が拒絶される際のEffector細胞の分画がNK1.1陽性よりMφの表面マーカーとされるMac1陽性分画に細胞障害活性が高いことを確認した。また、Meth A細胞に対する抗体をin ivtroで追加するとアロ移植後の腹腔浸潤細胞の細胞障害活性がやや高くなることからもMφがeffector細胞であること示唆する結果を得た。
著者
加藤 精一
出版者
兵庫医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度は,18年度に引き続き大阪大学で開発されているP2PフレームワークであるPIAXを用いて,望遠鏡のコントロールをネットワークを介して遠隔制御するソフトウェアの開発を行うとともに,こうした望遠鏡を提供するユーザとそれを利用するユーザがP2Pネットワークでコミュニティを形成した際に,お互いを信頼するために必要な基準を提供する仕組み提案した.以下具体的に述べる.(1)望遠鏡システムについて晴れている地点の望遠鏡を選択するために,各地の気象センサのデータを利用して予測し,空間的に補間することでセンサの無い場所の気象状態を把握できるようにした.(2)レピュテーションシステム望遠鏡を共有するようなコミュニティにおいては,各ピアが信頼できるかどうかをリソース提供側,使用側ともに判断する必要がある.我々はこれにWebのページランクなどで用いられるEigen trustモデルを元に,信頼できないピアを効率的に排除する手法の提案を行った.
著者
内藤 直樹
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ケニア・ダダーブ難民キャンプ複合体において、ソマリ系長期化難民と地域住民であるケニア・ソマリが構築した社会.経済的関係の様態に焦点をあてた現地調査を実施した。2011年末の時点で40万人を越える難民の大量流入がもたらすインパクトは、難民と地域住民との間に対立関係を生み出す要因となっている。その一方で、難民と地域社会の人びとの双方は、約20年もの長期にわたる相互交渉の過程で、生活上の争いを回避する制度や、商品の委託販売関係、土地の貸借・売買制度などの共生を可能にする方途を練り上げてきたことが明らかになった。
著者
見市 建
出版者
岩手県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

資料の収集と読み込み、武装闘争派への継続的なインタビューを通してその思想と社会的な背景を明らかにした。また武装闘争派の映像およびインターネットの利用、穏健な福祉正義党党員による出版ビジネスについての研究成果を発表した。イスラーム主義勢力はそれぞれの目的を達成するために、「市場」動向に敏感に反応し、思想やイデオロギーをVCDや書籍、ウェブコンテンツとして「商品化」をしている。報告者はイスラーム主義を広くインドネシアの社会的文脈に位置づけ、その市場戦略を詳細に分析した。
著者
佐藤 康史
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、骨髄間葉系幹細胞(MSC)を複製可能アデノウイルスのvehiclesとして用いたin vivo腫瘍ターゲッティング療法を開発することを目的とした。各種消化器癌に対してMSCが実際に腫瘍局所へ特異的かっ効率的に集積できるか否かにつき検討した。またtet on systemを組み込んだ複製可能アデノウイスルの作製を試みた。(1)in vivoマウス腫瘍モデルでの基礎的検討-MSCの腫瘍集積性の検討各種消化器腫瘍細胞として、MKN28,MKN45などの胃癌細胞株やhuh7,Hep3Bなどの肝臓癌細胞株を用いた。これらの細胞をnude mouseに対し皮下接種し生着後に1×10^5に調整したMSCを20日間に3回尾静脈投与した群と直接腫瘍内投与する群を設定した。さらにその2週間後に全身の臓器を含め摘出し凍結固定した。これらについて蛍光顕微鏡や坑MSC抗体(A02)を用いて腫瘍内に集積したMSCの割合と分布を検討した。全身の臓器および腫瘍を摘出し検討したところ、いずれも腫瘍特異的なMSCの集積がみられた。とくにHuH7において著明な集積がみられた。(2)tet on systemで制御可能な複製可能アデノウイスルの検討自らの複製に必要なEIAを癌特異的プロモーター(AFP)で制御し、しかもp53を不活化するE1B-55Kを欠失させた構造を有する複製可能アデノウイルスAdAFPep/Repを作製した.本virusを改変しE1Aの発現をtet on systemで制御するためTREとその下流にAFPepの転写因子であるHNF-1遺伝子を組み込んだアデノウイルスを作成しこれらをMSCに感染させたところ、Doxycycline添加により効率よく複製を開始した。これを用いin vivoでの有効性につき検討を行っている。以上のことから、各種消化器腫瘍の移植マウスモデルにおいて、MSCは腫瘍に集積可能でありこれにtet on systemで制御したAdAFPep/Repを搭載するシステムが可能であることが示された。
著者
前田 幸男
出版者
東京都立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究のデータ収集計画の過程で、従来とは異なる角度から政党支持・内閣支持の意味につき理論的に検討する必要を感じ、集計された世論調査データの推移を実際の国政の変化と対比させつつ検討する作業を行った。1993年以来の政党の離合集散は、政党支持の測定について、いわゆる五五年体制下では必ずしも明確に意識されなかった諸問題を認識する絶好の機会を提供していると考えたからである。その成果は、後掲の「中央調査報」論文に掲載した。また、内閣支持率の推移を検討する過程で、首相・内閣評価の問題について基礎的な情報を収集する必要を感じ、本調査の質問票には小泉首相を支持する・支持しない理由についての自由回答を付け加えた。本研究のデータ収集は計画より数か月遅れたが、予定された三重県松阪市で2004年12月に行われた。2005年1月末にデータは納品され、現在データ・クリーニングを兼ねた記述的分析が行われている。初期段階で注目するべき成果としては、A・Bの分割調査票形式で行った実験において、「政治」と「政府」では、有権者の反応に興味深い差が見られたことである。即ち、「政治」に対する信頼が「政府」に対する信頼よりも若干高めに出るのみならず、「わからない・答えない」の比率は「政治」についての信頼の方が低い。また、社会福祉質問では、「財政が苦しくても」と「増税してでも」という二つの似通った言葉を使い分けたが、そこにおいても統計的に有意な差が確認できた。今後は、分割票の特性を生かして、一体どのような属性の人々が、如何なる条件で異なる反応を示しているのか検討を続ける予定である。本調査で採用した政治知識尺度を利用することで、従来は得られなかった興味深い知見が得られるものと考えている。
著者
伊藤 圭一
出版者
明倫短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

低エネルギー電子線(low-energy electron beam : LEB)をメチルメタクリレート樹脂(MMA)に照射した際の物性を測定し、LEBがMMA樹脂に及ぼす影響を検討した。調査項目は表面硬さ、飽和吸水量、接着性である。それぞれの試験結果からはLEB照射と未照射の条件において有意差は認められなかった。本研究で実施した試験結果からは、対象とした義歯床用レジンに対してLEB照射を行っても物性を低下させないことが示唆され、LEBがMMA樹脂に与える影響を検討することができた。
著者
小川 敦司
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

特定の分子が存在する時にのみ、その濃度に応じてタンパク質が発現する仕組みを2つ作った。1つは原核細胞の翻訳システム中で働くもので、もう1つは真核細胞の翻訳システム中で働くものである。これらの分子応答性タンパク質発現システムは、生体システムを利用しているため、生体内外におけるバイオセンサーとして期待できる。また、簡単な調整によって、ターゲット分子を変換することができるため、汎用性も高い。
著者
曽川 一幸
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

原発性肝細胞癌診断に用いる腫瘍マーカーは画像診断に及ばなく、新たなマーカーの探索が急務である。探索では原発性肝細胞癌患者術前後血清20組(計40検体)を使用し、血清中のメジャータンパク質12種類を除去し、MB-LAC ConA, MB-LAC LCAを使用し、N型糖タンパク質を抽出後、逆相HPLCで分画した各フラクションを二次元電気泳動で解析した。手術前後血清10組以上で、Desmoplakin、Elongation factor 2、Heat shock protein HSP 90-beta、Lamin-A/C、Involucrin、Serpin B3、Serpin B4、Glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、Protein S100-A9は手術前で発現量が高く、特にGrowth/differentiation factor 5の発現量の増加がみられた。検証では健常者血清、慢性肝炎患者血清、肝硬変患者血清及び原発性肝細胞癌患者血清各50検体を使用し、Growth/differentiation factor 5 のELISA kitを用いて解析した。肝硬変患者血清と原発性肝細胞癌患者血清との間で統計学的有意差(p<0.01)が認められた。
著者
藤井 拓人
出版者
富山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

様々な癌細胞に異常発現するナトリウムポンプα3アイソフォーム(α3NaK)は、通常ナトリウムポンプが存在する原形質膜ではなく、rab10の存在する小胞に局在していた。ヒトおよびマウス癌細胞を用いたin vitro実験およびin vivo実験の結果、細胞内小胞に分布するα3NaKは、癌細胞の生存および成長に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
著者
石川 永子
出版者
公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,事前復興の概念と参加型まちづくり技術を用いて,地域に暮らす災害時要援護者(特に障がい者)の避難・避難生活・復興という各フェーズの支援計画を事前に立案・策定するための,市民参画のプロセス・デザイン手法の開発を目ざした.そのなかでも,第一段階として,災害発生から避難所等の避難生活の期間について,神戸市兵庫区での実践研究を行った.災害時に住民による避難所の運営に関して,障がい者と地域コミュニティ・専門家・行政等が協働するイマジネーションスキルを向上させるためのトレーニングプログラムを企画・実践し,そのプログラムの効果と課題をCBRの戦略の考え方を用いた訓練のプログラムの試行と参加者の評価に関する調査を行い,それらをCBRの戦略のなかで重要とされる事項を参考にしながら分析した.
著者
高田 雅美
出版者
奈良女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

非常に小さい特異値を持つ行列の特異値分解が可能となるように改良を行った. また, 様々な特異値分解アルゴリズムの性能を調べるためのテスト行列の作成法について, まとめた.
著者
日置 寛之
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

レンチウイルスは長期発現が可能であるという利点はあるものの、目的遺伝子の発現量が他のウイルスベクターよりも弱いという欠点があった。そこで、神経細胞特異的かつ高発現を可能にするレンチウイルスの開発を進めた。神経細胞特異的プロモーター(SYNプロモーターなど)の制御下でGFPを発現させた場合、ウイルス注入から一週間程度ではGFPの蛍光輝度は非常に弱く、GFPの発現を検出するには免疫染色法が必須となる。そこで、SYNプロモーター下でテトラサイクリン調節性トランス活性化因子(tTA:Tet-Off)を神経細胞特異的に発現するウイルス、Tet応答性プロモーター下でGFPを発現するウイルスを二重感染させるシステムを開発した(Double Lentiviral Vector Tet-Off Platform)。神経細胞特異的に発現したtTAはTREプロモーターを活性化し、その結果GFPの蛍光輝度は40倍程度まで増大した。8週間に渡ってGFPの発現を観察したが、神経細胞特異性に変化はなく、また細胞傷害性も認められなかった。
著者
甲本 卓也
出版者
広島市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

2元線形ブロック符号のトップダウン(適応)型再帰的最尤および準最尤復号法を考案し、アルゴリズムの有効性を計算機シミュレーションにより示した。従来、最尤復号法の効率的なアルゴリズムとしてはトレリスダイアグラムを用いるヴィタビ復号法が広く知られていたが、実行に際して必要な加算、比較といった演算の回数と記憶容量の問題から、構造がよく知られた2元線形ブロック符号においても符号長64程度までしか計算機シミュレーションによる誤り特性の解析ができなかった。本研究では符号の持つ再起構造に着目し、従来法には無い、次に示す改善を具現化可能なアルゴリズムを考案した。第一に加算に関して、再利用される可能性のある加算結果をメモリに格納し、必要に応じて計算済み結果を再利用し、加算に関する重複計算を完全に除去した。この改善点の実現に伴い、メモリ使用量は増加するが、適応型アルゴリズムとして実現しているため、従来法に比較しても総合的には大きな問題にはなっていない。第二に比較演算に関して、従来法では同じ比較演算が複数の箇所に散在していることが多く、演算の種類が加算の結果の種類の概ね2乗に達するため、比較演算が同一かどうかの判定が簡単ではない。そめため、重複した比較演算が従来法には多数含まれていたが、提案アルゴリズムでは、符号の構造に関する情報を利用することにより、比較演算の重複箇所そのものを理論的に特定し、可能な限り共有することにより、従来法で大きな問題となっていた比較演算の数を劇的に削減することに成功した。第三に、従来法では最適化問題の解法をまじめな総当り的手法によって実現しているため、加算、比較といった演算の回数は、入力系列に無関係に固定的な数値となっていた。提案アルゴリズムでは、枝刈りの手法を最大限活用することにより、入力系列に加えられている雑音の大きさに応じて計算量が変化するようにしている。つまり、雑音が小さな入力系列に対する復号は早く停止するため、平均計算量の低減が可能となっている。以上のような改善に関するコンセプトを実現した最尤復号法および最小重み探索を用いる準最尤復号法のアルゴリズムとして考案し、ソフトウエア実装した。最尤復号法に関しては、よく知られたいくつかの符号として、(128,64,16)RM符号、(128,64,22)拡大BCH符号に関して数値演算シミュレーションにより、精度の高い誤り制御特性を初めて得るとともに、平均的計算量に関して、ヴィタビ復号法などの従来法と比較して劇的な低減が実現されることを示した。また準最尤復号法に関しては、いくつかの符号長256および512のRM符号に関して、優れた誤り制御特性と小さな平均計算量を実現する優れた復号法であることを示した。
著者
多田野 寛人
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究課題では,複数本の右辺ベクトルをもつ連立一次方程式を解くためのBlock Krylov部分空間反復法の高速・高精度アルゴリズムの研究を行った.本研究課題を通してBlock Krylov部分空間の安定化手法を開発し,同法の計算量削減による高速化を行った.開発手法を素粒子物理学分野の格子QCD計算に適用し,有効性を確認した.
著者
和田 圭二
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

分散型電源の代表である太陽光発電が国内をはじめ欧米諸国において急速に普及している。そのため,配電系統にインバータが多数接続されるようになってきた。本研究課題では,太陽光発電用インバータが複数台接続された場合における,伝導ノイズの発生状況とノイズフィルタの設計手法について研究を行った。また,複数台インバータのスイッチング手法についても検討を行った。主となる研究対象は,50W〜100W程度の太陽電池モジュールの背面に接続するACモジュールと呼ばれる太陽光発電の方式とした。この方式の場合には,20〜30台の小容量(50W〜100W)のインバータが同時に動作するために,伝導ノイズの発生量がインバータの動作状態やフィルタの接続法によって大幅に変化する可能性がある。まず,2台のフライバックインバータ同時動作の場合について研究を行い,インバータのスイッチングのタイミングを180度ずらすことによって,ノイズ成分が等価的に2倍になることを実験により明らかにした。一方,複数台インバータを非同期でスイッチングさせることによって特別な制御を用いることなくノイズ発生量を低減できることを示した。また,ノイズフイルタの設計では,フィルタの寄生容量を考慮して設計を行い,各インバータにノイズフィルタを設置するよりも-括設置することによって伝導ノイズを効果的に低減可能であることを解析と実験により明らかにした。以上の結果は,今後予想されるインバータ複数台動作時におけるノイズ抑制手法に関するフィルタ設計法の指針を与えるものであり,分散電源装置のさらなる普及・促進のための重要な研究成果を得ることができた。
著者
村橋 毅
出版者
日本薬科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題では、開発した包括的二次元HPLCがディーゼル排出粒子中の成分の分析以外にも幅広く使用できることを確かめるため、近年に話題となっている化合物の分析に適用した。(1)平成19年度は大気中の発がん性/変異原性多環芳香族化合物の分析法を開発した。(2)平成20年度は内分泌かく乱物質の代謝生成物の分析法を開発した。(3)平成21年度は生薬中の残留農薬分析法を開発した。(4)平成22年度は魚介類中の内分泌かく乱物質の分析法を開発した。
著者
高橋 勅徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、欧米における企業家研究の理論的・方法論的転回を踏まえた、理論的・経験的研究を行うことを目的としている。理論的研究としては、制度派組織論、社会企業家研究および経営学の実践的転回に関する文献レビューを実施し、あらたな理論的フレームワークを提示した。経験的検討については、主として大阪市におけるクリエイター集積、沖縄県・北海道におけるエコツーリズム、老舗企業の事業転換に関する調査を行い、経験的分析を行った。本研究課題から得られた研究成果は、国内の主要学会で研究報告を実施した上で、査読付き論文として掲載された。