著者
中野 淳太
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

環境適応は、その環境の文脈の影響を受ける。そこで文脈の異なる3種の空間において、温熱環境調整手法および適応特性について実測調査を行った。屋外滞在空間における実測調査の結果、複数季節に渡る評価では外気温が主たる環境変動要因となり、それ以外の文脈因子が過小評価されることがわかった。環境適応の理解を深めていくためには、対象とする環境適応の時間特性を踏まえた、適切な評価期間の設定が重要である。
著者
目黒 強
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は、明治から昭和にかけて広く読まれた雑誌である『日本少年』(実業之日本社)を取り上げ、大衆青少年雑誌における不良少年像を検証した。『日本少年』を検証するに際して、二つの理由から、ジャンル小説に注目することにした。第一の理由は、青少年像が典型的に表現されていることが予想されるからである。第二の理由は、「物語」という形式が読者に対する青少年像の伝達を補助していると考えられるからである。そこで、『日本少年』におけるジャンル小説を検証したところ、「立志小説」(「悲哀小説」を含む)・「冒険小説」・「探偵小説」・「滑稽小説」の四つのジャンルにおいて、青少年像の傾向に違いが認められた。とりわけ、上述のジャンル小説のうち、「立志小説」(「悲哀小説」を含む)と「探偵小説」において、本研究の目的である「学歴社会から疎外された青少年像」が提示されていることが判明した。「立志小説」(「悲哀小説」を含む)においては、苦学型の立身出世が描かれる傾向にあった。とりわけ、有本芳水の「悲哀小説」では、主人公の置かれた境遇が学歴社会から疎外された者の悲哀として強調されていたことからもうかがえるように、明治中期までのような楽観的な立身出世物語からの変容を指摘することができる。「探偵小説」においては、犯罪者が成人として描かれることが多いことに加えて、未成年者が犯罪者集団に含まれる場合には外国人として描かれていたことから、日本人の不良少年を描くことに消極的であったことが指摘することができる。
著者
河西 秀哉
出版者
大阪産業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、第一次世界大戦後から1950年代後半までを対象時期として設定し、象徴天皇制の思想的基盤の解明を試みようとしたものである。第一次世界大戦後の世界的君主制の危機を踏まえ、日本でも近代天皇制の再編に関する構想が提起された。昭和戦前期にももちろん断絶した部分もあるが、構想が継続し、敗戦後へと繋がった。それは、大衆化・現代化といった問題への対応だったと考える。
著者
鳥谷部 輝彦 何 子珺
出版者
東京藝術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、江戸時代の日本で編集された七絃琴の楽譜『東皐琴譜』の最初期の完成稿を中国の七絃琴の歴史に対して位置付けた。その研究過程で、日本所蔵で中国逸失の明代七絃琴文献の中から一点の孤本と二点の善本を選び、その歴史的価値と資料的価値についても整理した。また、日本の七絃琴の歴史にとって重要な廃絶曲を特に二曲選び、中国人七絃琴奏者によって復元的に解釈して仮録音した。
著者
荻 崇
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、噴霧乾燥法と含浸法を用いて、中空ポーラス構造を持つ白金担持カーボン微粒子の合成を行い、電極触媒性能を測定した結果、開発された触媒が市販の触媒粒子よりも優れた性能を示すことが明らかとなった。さらに、白金がドープされたロッド状の酸化タングステンナノ粒子を合成し、光触媒性能を評価した結果、0.12wt%という少量の白金添加量で優れた性能を持つことを明らかにした。
著者
上代 圭子
出版者
東京国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

①「婚活」「結婚」「出産」をキーワードとして日本人女性アスリートのキャリアプロセスを明らかにすることと、②Role Exit Theoryの有効性を検証することを目的に実証研究を行った。その結果、トップリーグでプレーする際には不安を抱かず、現役中にも引退後に不安を抱かずに、自主的に引退を迎え、未練も持たない。だが、結婚を意識することによって、キャリアプロセスを決定していた。つまり、彼女たちのキャリアトランジションには、結婚にともなう性役割観が影響を与えると言える。したがって、Role Exit TheoryおよびRole Exit Modelには女性特有の要因を考慮した修正が必要である。
著者
安倍 雅史 ハラナギ ホセイン・アジジ ハニプル モルテザ
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

西アジアの肥沃な三日月地帯は、地中海式農耕の起源地として知られている。1990年代には、肥沃な三日月地帯の中でも、西側のレヴァントで最初に農耕・牧畜が開始されたと考古学会では考えられていた。しかし、今世紀に入り急速に発達した遺伝子研究は、対照的に東側のザグロスでも独自に農耕・牧畜が誕生した可能性を示している。筆者は、研究の空白地帯であったザグロス地域における農耕・牧畜の起源、またこの地域からの農耕・牧畜の拡散のプロセスを解明するため、イラン・ザグロス地域を対象に考古学調査を実施した。その結果、中央ザグロスで誕生した農耕文化がどのように東漸していったか、具体的な知見を得ることができた。
著者
渡邉 英徳
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

開発したシステムによって,災害の進捗状況をリアルタイムで可視化・アーカイブ化することができ,その結果は事後の報道内容とよく一致していた.成果物は多数のユーザに活用され,公開直後の3日間で30万ページビューを超えるアクセスがあった.加えて,その後に発生した多様な災害に対応するアップデートを施した結果,災害発生タイミングに合わせてアクセス数が増加し,これまでに60万ページビューを超えるアクセスがあり,TV,新聞,ウェブメディアで数多く言及された.このことから,研究代表者らの手法が効果を発揮しており,災害速報システムとして社会に定着しつつあると推測する.
著者
樋口 一貴
出版者
(財)三井文庫
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

古来日本絵画において大気の表現は、画家の空間を把握する認識のありかたが如実に示される部分である。室町時代以来わが国の水墨画に多大な影響を与え続けてきた中国・南宋時代の画家牧谿や玉澗の大気表現は、薄墨を滲ませるように用いたものであった。一方着色画においては、狩野・土佐・長谷川派などが金泥や金箔で雲あるいは霞をあらわしており、平面的で概念的・装飾的印象を与える。空の色が今日我々がイメージするところの青色であらわされるのは、18世紀後半までまたねばならず、19世紀になって葛飾北斎筆『富嶽三十六景』シリーズの目にも鮮やかな青い空が巷間を席巻したのは日本絵画の空間表現における一大革命といえる。本研究では以上のように江戸時代における大気表現が装飾的なものから青い空へと変遷する過程を考察するものである。平成16年度は、14、15年度の研究に基づき、空を青く表現する絵画の調査・データベース化を進めた。この成果として、研究発表「浮世絵風景版画の大気表現-『冨嶽三十六景』の青い空」(平成16年12月21日、於慶應義塾大学)を行った。また、本研究を補い、同時に本研究から発展する問題意識として、大英博物館にて狩野休栄筆「隅田川長流図巻」の資料調査を実施した。この資料は当該研究に関連し、なおかつ平成17年度科学研究費補助金に応募中の課題「江戸都市景観図に関する総合的研究」へとつながるものである。
著者
渡部 圭一
出版者
自治医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、歴史民俗学的な視点から「頭役帳」の特徴を明らかにすることで、これまで等閑視されてきた宮座組織における長期的な帳簿(記帳史料)に対する研究の進展を図った。
著者
杉本 香織
出版者
文京学院短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、ヘミングウェイの死後出版作品のマニュスクリプト研究を通じて、遺族や出版社による編纂方法とその問題点を指摘し、ヘミングウェイが生前目指した独自の自伝的アプローチの様相を明らかにした。3年間の研究期間で遂行した作品は、計4作品(『海流の中の島々』『エデンの園』『移動祝祭日』『危険な夏』)。本研究の採択前に研究を終えていた『夜明けの真実』の考察と併せ、最終的にはヘミングウェイの死後出版作品群(長編小説)全体の総括を行った。In this project, I focused on four posthumous works written by Ernest Hemingway : Islands in the Stream, The Garden of Eden, AMoveable Feast and The Dangerous Summer. Based on my research at the Hemingway Collection in Boston, where his original manuscripts are kept, I accomplished two things. First, I defined different editing methods and how they deviated from his original manuscripts by comparing an original manuscript with its corresponding published text. Second, I clarified some of the struggles Hemingway went through when he attempted - and failed - to create a new style of writing auto/biography.
著者
星野 英人
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の主題は、1細胞レベルで起こる転写制御の変化を生物発光技術のみによりリアルタイムかつ定量的に評価するシステムを構築することにある。ストレス応答性転写因子の経時空間的な細胞内局在変化とその転写制御機構を対象とした"リアルタイム"生物発光イメージング技術への発展と二色同時観察のための新規の生物発光プローブ群などの基盤技術を開発した。
著者
森本 剣太郎
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は,持続可能な魅力的ある朝市について特性導き出しこれを一つの地域資源として活用することを最終目的として,①アンケートやヒアリング調査による量的データを収集し,また②現地調査を通して朝市の細かい特性を導く質的データを収集し,これを整理分析した2カ年の研究である.その結果,朝市の魅力キーワードを抽出し,朝市が持続的に地域活性化を担う考察した.
著者
稲森 公嘉
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

フランスの社会保障制度は、国民連帯の理念に基づき、社会保険を基軸に据え、社会扶助及び社会事業により補完する体制をとっている。社会保険と社会扶助はかつて明確に区別されていたが、今日では区別の相対化が見られる。医療・介護サービス保障におけるCMUとAPAは、それぞれ固有の課題はいろいろあるが、社会扶助と社会保険の組み合わせ、あるいは扶助的な要素と非扶助的な要素が混在したハイブリッドな性格の給付として、今後の展開も含め注目に値する。
著者
松井 剛
出版者
一橋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、北米市場おける日本産マンガ出版の分析を通じて、グローバル・マーケティングが直面する文化障壁について考察した。北米で出版された日本産マンガの出版データベースと業界関係者へのインタビューなどによれば、大衆的な文化製品の輸出する際には、進出先市場で共有されている文化規範と、輸出される文化製品に対応する進出先の文化製品に関するステレオタイプという2つの障壁に直面することが明らかになった。
著者
森尾 吉成
出版者
三重大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

次の5つの研究テーマについて得られた結果を報告する.1.一定時間追跡した動物体の移動軌跡から作業者を特定する方法画像中の作業者の移動軌跡を一定時間追跡し,移動距離が大きい動物体は作業者と見なすシステムを開発した.2.日向および日陰に左右されない作業者の動き検出方法圃場の同一箇所にレンズ絞りを最適化した日向専用カメラと日陰専用カメラを1台ずつ設置することにより,日向および日陰領域が同一画像内に存在する状況においても安定して作業者を追跡できるシステムを開発した.3.複数台のカメラを用いて作業者の位置を検出する方法圃場内を移動する作業者の絶対位置を検出するシステムとして,圃場2隅に1台ずつ設置した合計2台のカメラを用いて,カメラの光軸と作業者がなす角度から作業者の絶対位置を検出する方法を提案した.実験では,15m四方の圃場に対して30cmの解像度まで位置を検出できる結果を得た.4.パン・チルト・ズーム機能を有したカメラを利用して圃場内の位置に関係なく作業者を追尾する方法パン・チルト・ズームカメラを使って屋内作業工程を監視する視覚センサを開発した.コンテナの積み上げや搬出作業においてコンテナの段数をリアルタイムで認識し,音声や映像を用いて段数を作業者に伝達するシステムを開発した.実験ではリアルタイムで安定して動作することが確認できたため,屋外での利用に向けて研究をさらに発展させていく.5.カメラ設置高さに制約される作業者追跡限界領域の検討15m四方の圃場に対して,焦点距離が3.5mmのレンズを取り付けたカメラを地上高約1.5mの高さに設置した場合に1画素が約30cm相当となる領域が存在したことから,カメラの設置高さをできるだけ高くし,十分な画像分解能が得られるよう複数カメラの組み合わせ方法を提案した.
著者
村田 昌巳
出版者
サレジオ工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

1926(大正15)年に宣教師団を率いて来日したサレジオ会イタリア人神父ヴィンチェンツォ・チマッティは、布教のために日本語の学習に励んだ。しかしながら、非効率的な学習環境により、その高い志にもかかわらず日本語の習得は高い水準には達しなかった。当然ながら個人的な能力の問題もあろうが、時期的には、外国人の視点からの日本語研究も日本国内で行われ、また、イタリア国内でも当時日本語教育が行われていた事実もあることから、学習に必要な情報及び教材の欠如・不足がその主たる要因であると結論づけた。
著者
加藤 禎行
出版者
山口県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成18年度は本研究計画の最終年度に該当しており、研究課題に関する書誌調査・文献収集・資料解釈などの作業に継続的に従事しつつ、新声社出版物の書誌データベースを作成した。ここでは書誌データを、書名・著者名・判型・製本・構成・目次細目・奥付データ・出版広告情報等の項目に、簡易に分類し、書誌情報を一覧する環境を整えた。最終年度においても、残存未確認出版物が若干残ったが、研究計画終了後においても継続的に情報を充実させていきたい。そして、佐藤儀助が森山吐虹に新声社を売却し、さらに森山吐虹が新声社の出版活動を停止させた後、旧新声社出版物紙型によって他の出版業者から出版された異本についても、判明した情報をまとめた。これらの出版業者は、文学同志会・人文社・上田屋書店・精華堂書店・渡辺書店・文禄堂書店ほかで、実に多岐に亘っている。また、『創作苦心談』『花吹雪』を昭和一〇年代に朝日書房が刊行した事例があり、新声社異本の問題は、さらなる未発見の書物について継続的に探索することが不可欠である。上記のような研究活動のために、国内旅費、謝金、物品費(コンピュータ関係消耗品、雑誌購入費、複写費など)、その他(図書相互貸借送料など)を支出した。なお、平成18年度中の成果公表ではないが、平成19年度刊行予定の国文学研究資料館編・リプリント日本近代文学において、新声社出版物である、小島烏水『扇頭小景』・正岡芸陽『嗚呼売淫国』・田山花袋『ふる郷』の解題を担当し、それを公表する予定があることも申し添えておきたい。
著者
佐藤 憲行
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究ではハルハ・モンゴルを研究対象地域とし、一次史料を用いて、清代モンゴルに建設された漢人商業地区「買売城」の視点から、蒙漢の社会経済関係の内在的理解を目指した。家畜窃盗事案の分析を通じて、従来指摘されてきた「搾取-被搾取」関係とは異なる蒙漢の経済関係の一側面を明らかにした。また漢人耕作者管理、及び耕作地をめぐる諸問題の分析から、モンゴルにおける漢人管理に関する規定の成立過程を明らかにした。
著者
森田 真樹
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の最終年度である本年は、研究計画にしたがって、研究の総まとめとして、米国及びカナダの教科書や諸資料の補足的収集、資料の整理と分析を主に行った。本研究の遂行において、米国と比べ、カナダ関係の教科書や文献の収集が予想以上に難しく、カナダの歴史教育や教科書分析が予定よりも遅れてしまったが、昨年度末に実施した、トロント大学やブリティッシュ・コロンビア大学等での資料収集活動を中心としてカナダでの現地調査とその後の資料収集で、ある程度の資料を分析することができた。また、カナダは、州ごとに教育制度が異なっており、社会系教科のカリキュラム構成も多様であるため、州カリキュラムの収集・分析にも着手した。本年度は、主に後半で、米国とカナダの比較を行い、同様に多文化社会であり、多文化主義が浸透している両国において、類似する内容や構成の方法をとる部分もあるが、主流派の歴史に、補足的に少数派の歴史が加えられることが多い米国に対して、カナダの場合は、より積極的に多文化社会を作り上げていこうとする内容が組み込まれていることが分かった。加えて、本年度は、本研究の我が国への応用可能性について検討する過程で、アジアカップでの、いわゆる中国人サポーター問題が起こったこともあり、それらについても検討を進めた。我が国の研究の進展のためにも、カナダ社会科(とくに、歴史教育)の本格的な検討が重要となることも分かり、今度も継続して研究を進めていく必要があると考えている。なお、本年度は、予定していた資料の入手に時間がかかったことなど、諸般の事情により、予定していた学会報告などができなかったが、関連する論文が投稿中であるのに加え、三年間の研究の成果のまとめを、来年度の早い段階で学会報告及び論文投稿できるよう準備している。