著者
加藤 司
出版者
東洋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、人事担当者、新入社員の事実上の上司、新入社員、早期離職者、大学生などを対象に、質問紙調査や面接調査を実施しました。その結果、新入社員は、叱責されたり、軽蔑されたり、人前で恥をかかされたりするような、経験率が非常に低いだけではなく、そのような経験をすると強いショックを受けることが分かりました。そのため、実際に社会に出た時(入社した時)、上司に何か指摘されると、そのショックから立ち直ることができなくなり、すぐに会社を辞めてしまうこともわかりました。加えて、そのような理由で早期離職する若者は、たとえ、再就職することができても、同じような理由で、再び会社を辞めてしまう可能性が高いことがわかりました。
著者
西崎 真也
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成14年度においては、次のような事項について研究を推進した。《先進的な型推論アルゴリズムの調査・分析》近年提唱された先進的な型推論アルゴリズムについて、網羅的に調査をおこない、デバッグ作業の支援という観点から検討・分析に取り組んだ。とくに、コンカレント・プログラミングのための型推論や、セキュア・プログラミングのための型推論などを中心にすえた。《デバッグ作業を支援するための型推論の拡張》前項で調査した「先進的な型推論アルゴリズム」に対する検討を基にして、平成13年度の「デバッグ作業を支援するための型推論の開発」の成果の拡張に取り組んだ。《プロトタイプシステムの実装》平成13年度の「デバッグ作業を支援するための型推論の開発」で得られた理論的成果、および、前項により得られた成果について、プロトタイプシステムを実装することを通して、実際的な観点から、有用性について評価をおこない、従来の言語処理系における型推論との比較検討をおこなった。
著者
中井 隆介 若槻 麻里子
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高磁場MRI装置を用いて、顎関節部および咀嚼筋の種々の画像の取得、および、下顎運動時の動的画像の取得を行った。また、この下顎運動を医用画像から自動的に計測し、運動軌跡を抽出するソフトウェアの開発を行った。この解析の結果、下顎運動の左右方向の移動距離と咬筋の体積の左右比に正の相関があることが判明した。また、関節円板に異常がある被験者は、異常が無い被験者に比べ、下顎頭の左右方向の変位が大きいことがわかった。さらに、このMR計測情報を応用した有限要素法による力学解析を行ったところ、関節円板に異常のある被験者はより応力が高くなる要素が存在することがわかった。
著者
郭 沛俊
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平成18年度から20年度までの間に主な研究成果が以下のようになる。(1)可能性区間回帰モデルの提案と分析(2)不確実性下の一回限りの意思決定問題において、新しい意思決定フレームワークの構築・分析と応用(3)区間確率の同定・結合及び意思決定モデルの構築と応用(4)ラフ集合に基づくデータマイニングシステムの構築・応用及び内的競争因子、外的競争因子、顕著度に基づくIF-THENルールの簡略化手法の提案と応用(5)ファジイDEAモデルの提案と応用
著者
鈴木 健嗣
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

昨年度より構築している全身18自由度の人間型ロボットにおいて,初年度,第二年度の結果に基づき実験を行った.これは,ロボットのアクチュエータ部位において生じる過電流検知および逆起電力検知による物理的な作用の計測を詳細に行うものである.各モータドライバを通じてアクチュエータに供給される電流をセンシングすることにより,動作時のアクチュエータへの電流・電圧値データを収集し解析を行うと同時に,当初計画通りロボットの自己キャリブレーションに関する研究を行った.ロボットに初期状態から自身の各部位を自由に動作させ,最終的に,ロボットが自身で能動的に行動範囲を定める機構を持っことが出来ることを示した.特に,人間型ロボットの腕部を対象とし,ロボット動作時における各関節部モータに流れる電流とその時間変動に基づいて,稼働範囲を定める閾値をロボット自身の能動的な動作により獲得する手法を提案し,口頭発表を行っている.また,(1)無負荷状態,(2)腕の先端に一定荷重を付与,(3)動作中の想定外の衝突などにおいても,適切に自身の稼動範囲を能動的に獲得することが可能となることを示した.このように,機能としての「痛み」を人型ロボットに実装することで,ロボット自身が自身の姿勢と環境の変動に応じて適切な動作範囲を能動的に獲得できることを示した.本研究の成果を国際会議論文として投稿する準備を進めている.さらに,学習理論に関する論文をまとめ,学術論文として発表した.これは,事象の関連性から学習を行うモデルであり,ロボットが自身の稼動範囲マップを構築・更新するにあたり重要となる今後,本手法を稼動範囲獲得へ応用するとともに,車輪型移動ロボットなどの異常検知への応用を検討したい.
著者
田口 智清
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

遅い一様流中で回転する球に働く揚力および抵抗を気体分子運動論にもとづいて求め,球の大きさがある閾値を下回ると揚力の向きが逆転する逆マグナス現象を解明した.その際球周りの流れを調べるためのボルツマン方程式の新しい漸近的手法を開発した.また,揚力の計算を劇的に簡略化する公式を見出した.球の抵抗則における高次補正を得た.
著者
井上 暁子
出版者
熊本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

旧ドイツ領にあたるポーランド北部/西部国境地帯が、1980年代以降に書かれたドイツ語・ポーランド語文学においてどのように表象されるかという問題を、とくにその独特な「わたし語り」による記憶の描かれ方に注目して分析した。当該国境地帯は、この地域在住のポーランド語作家の文学においては多層的な記憶のテクストとして表象されているが、社会主義末期西ドイツへ移住し、体制転換後両国を行き来する作家の文学においては、国境地帯をめぐる様々なディスクールが移動者の視点から脱構築される。さらに、体制転換に伴う創作環境・流通形態の変化と、題材・テーマ・手法への影響に関して、10名の作家にインタビューを行った。
著者
高屋 亜希
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は本研究課題を行う最終年度にあたり、研究成果報告書『21世紀中国大衆消費社会における文学現象の研究』を刊行した。また21世紀以降の同時代中国における文化・社会現象について、広範な見取り図となる基礎研究資料『Chinese Culture Review(中国文化総覧)』vol.4を翻訳・出版した。現在、 vol.5の翻訳作業を進めており、今後もこの分野の研究情報プラットフォーム構築に努める予定である。本研究課題では、急激な大衆消費社会化が進行する21世紀中国で、文学というジャンルがどう意味づけを変え、他のジャンルや海外文化とどう関連しているかを調査し、研究を行ってきた。本年度は市場化が本格化した1990年代以降、市場を利用しながら若者サブカルチャーをリードしてきた、1970年代生まれの世代が果した文化的役割について考察した。その具体的研究の成果として、「慕容雪村『成都よ、今夜は俺を忘れてくれ』試論」および「「七〇后」とボヘミアン幻想の終焉」の論文2本を発表した。それ以前には社会主義体制を支える一員として、その社会的役割が国によって決められ固定されていた状況が、市場化とともに個人の意志で、転職など社会的役割を変えることが1990年代半ばから可能になった。こうした社会変化を背景に、当時、20歳代だった1970年代生まれの若者がビート文学や海外サブカルチャーなどを参照しながら、例えばバックパック旅行など、自由な移動に強い志向を持つ若者カルチャーを形成してきた経緯、およびそれらがインターネットの普及と結びつくことによって、1990年代末から21世紀初頭にかけて、アングラから一気に社会の表層に躍りでてきた、文化現象の一端が明らかになった。
著者
石川 昌紀 KOMI V Paavo NICOL Caroline 小田 俊明 伊藤 章
出版者
大阪体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

東アフリカ中・長距離陸上競技選手の強さに着目し,生理的指標から競技力に関係する要因について調査されてきたが,決定的な要因は明らかにされていない.本研究は,彼らのランニングスタイルを可能にする筋腱の形態的特徴,さらに彼らの効率的な走行を可能にする筋腱の機能特性に着目し調査した.その結果,彼らの下腿の長いアキレス腱と短い腓腹筋の筋束長が効率的な走行を可能にしている点,またこれまでの通説と異なり,彼らの長いアキレス腱モーメントアームが走効率を高める上で重要であることが明らかとなった.つまり,彼らの高いランニング効率は,彼らの形態的特徴を生かした少ない筋活動での走行がキーになることが明らかとなった.
著者
艮 香織
出版者
女子栄養大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本稿の目的は、家庭科の教育実践において、ジェンダー/セクシュアリティに関わる問題がどの領域・分野でどのように展開されているのかについて、課題を含め明らかにすることにある。教員(家庭科担当)を対象とした調査の結果、男女平等に関する教育は、「日常生活レベル」に重点が置いた内容が多く、性教育は主に「保育分野」で扱われていた。内容は、命の大切さを教える教師、生徒の性に関する現状に合わせて授業を組み立てる教師、ライフスタイルの一つとして性を教える家庭科教師に分けられた。また、一部の家庭科教師は多様なセクシュアリティや人権に関する内容は、家庭科で「現段階で扱える多様性の範囲」として捉えていることが明らかとなった。
著者
忍田 太紀
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

前房内に含まれる種々のタンパク質や生体分子の組成に関する情報を、非接触・非侵襲で得るための装置を作製した。光散乱法を用いたヒアルロン酸ナトリウム製剤中の微量エンドトキシンの添加・回収試験では、測定に必要なヒアルロン酸ナトリウム製剤の最低希釈倍率はPBS(0.01M,pH7.4)での40倍で、ヒト血清アルブミンの添加はエンドトキシンの回収率を向上させ、その測定プロトコールを確立した。
著者
椛 勇三郎
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

基本チェックリストの項目を複合的に活用することで、要介護認定リスクの高い者を効率よく選出できるアルゴリズムを構築するために、65歳以上の高齢者約3万人を約3年5か月間追跡した。結果、追跡開始時点において「年齢が82歳以上」、「単独世帯」、「今日が何月何日かわからない時がある」、「自分が役に立つ人間だと思えない 」の条件を満たすサブグループと「年齢が84歳以上」、「単独世帯でない」、「バスや電車で1人で外出していない」、「この1年間に転んだことがある」の条件を満たすサブグループにおいて、特に要介護認定割合が高かった。
著者
三好 恵真子
出版者
大阪外国語大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、「人間の感覚的評価による主観値」と「測定機器による客観値」の両面から食品テクスチャーを比較分析することが必須であるため、両測定に共通な試料として、実際の食品(ゼリー状食品)を想定した5種類多糖類ゲルを調製して用いた。多糖類ゲルを選択した理由は、食品系の味自体が淡泊であっても、各種ゲルの組織構造に由来する特有のテクスチャーの違いが、食品の総合的な美味しさやフレーバーリリース性等に及ぼす影響が極めて顕著に表れると考えたからである。まず力学測定では、動的粘弾性測定の温度依存性により、各種多糖類の温度変化に伴う構造変化を検討した。また各種多糖類溶液を0℃まで冷却して一度ゲルを形成させた後に20℃(提供時)および37℃(口の中に入れた時)まで昇温し、それぞれの温度にて周波数依存性や定常流測定を行って、各種ゼリーの力学的性質を明らかにするとともに、官能検査による主観値との対応を測る基礎資料とした。さらに熱物性に関しては、示差走査熱量測定(DSC)も行い、熱履歴に伴う構造変化を明確にして、官能検査の「口溶け」等との対応を検討した。力学測定と同じゼリー食品試料を用いて、本学に所属する外国人教師や留学生50名を対象に、官能検査を行った。ゼリーの固さや甘さの順番を記述してもらい、力学測定との対応を検討したり、ゼリーの嗜好特性に関する聞き取り調査から、民族性がテクスチャー評価に及ぼす影響について考察した。本結果は追調査を加えながら、現在論文としてまとめている段階にある。本学は、教育課程に25言語を設置しているため、食品テクスチャーの民族性に関する多様な分析が可能になる極めて恵まれた環境にある。科学研究費補助金によるこの研究課題は14年度で終了するが、今後は言語体系や食文化の相違および類似性などについても詳細に検討し、既存の食文化研究に新しい概念を導入していきたいと思う。
著者
新井 宗仁
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、α-ラクトアルブミン(α-LA)のフォールディング反応における遷移状態の構造特徴づけを、Φ値解析法を用いて行った。今年度は特に、α-LAのβドメインやCヘリックス周辺に変異を導入した一アミノ酸置換体を多数作成し、α-LAの遷移状態の構造解析を行った。平衡条件下でのアンフォールディング測定の結果、変異体はどれも野生型より不安定化しており、Φ値解析に有効な試料であった。次に、ストップトフロー円二色性スペクトル法を用いてこれらの変異体の巻き戻り反応とアンフォールディング反応を測定し、Φ値を計算した結果、I89A, I89V, I55VについてはΦ=0.4〜0.6程度であったが、W60A, K93A, L96Aについては、Φ〜0となった。これらの結果は、I89, I55の周りは遷移状態において側鎖の密なパッキングが部分的に形成されているが、W60,K93,L96周辺は、遷移状態では側鎖の秩序化はまだ起きていないことを示している。この2年間の研究結果を総合すると、α-LAの遷移状態の構造について次のような知見が得られた。(1)αドメイン内の側鎖は、天然状態様の密なパッキングをまだ形成していないが、(2)αドメインとβドメインの間、および、カルシウム結合部位近傍では、側鎖の密なパッキングが部分的に形成されている。ここで、モルテン・グロビュール(MG)状態においては、2つのドメイン間にあるCヘリックスが比較的安定なヘリックス構造を形成していることを考慮に入れると、α-LAのフォールディング反応は、MG中間体で形成され始めた構造が遷移状態に進むにつれて更に構造化していくという階層的な反応で記述できると結論づけることができる。
著者
樋口 匡貴 中村 菜々子
出版者
上智大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

コンドームの適切な使用を阻害する羞恥感情を低減するための介入プログラムについて,購入状況と使用・使用交渉状況に大別して検討を行った。購入時に関する検討の結果,インターネット上でVTRを閲覧させる介入プログラムの羞恥感情低減効果およびコンドーム購入の自己効力感の増加効果が確認された。また使用・使用交渉時に関する検討の結果,ウェブサイトでのインタラクティブな介入プログラムの羞恥感情低減効果が確認された。
著者
攝津 斉彦 深尾 京司 斎藤 修 バッシーノ ジャンパスカル 高島 正憲
出版者
武蔵大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

連携研究者とともに近代日本の府県別産業別GDPを推計した。本研究の特徴は、既存の推計がカバーしていない1874年のデータを新たに構築した点にある。新しいデータセットを使った分析によって明らかになった主要な事実は以下の通りである。①従来考えられているよりも明治初期の日本は豊かであり、②明治期の経済成長率は低かった(それはすなわち、江戸時代の経済成長率が高かったことを意味する)、③地域間格差は明治初期に大きく拡大し、その後格差の拡大に歯止めがかかるが、このような変化の背後には人口の地域間移動が大きく影響していたと考えられる。
著者
井村 祥子
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

クラシックバレエのピルエットについて,モーションキャプチャーシステム及び床反力計を用いて,ロシア人男性プロバレエダンサー5名及び日本人女性プロバレエダンサー10名のデータを取得し,逆動力学の手法により回転の生み出し方について調べた.平均回転数は男性4回転,女性2回転であった.動作開始時の両上肢の水平面内の回転で,全回転分の角運動量が得られた.女性ダンサーはこの時上体が正面から回転し, それを引き止める支持脚のトルクが回転を妨げる.よって開始時は下肢や上体を回転させず,床からのトルクを上肢に伝える必要がある.また回転数を上げるには,上腕を体幹に引き付け遊脚の位置を下げて対処する.
著者
姜 銀来
出版者
高知工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ヒトは、断片的な図形や文字から元の図形や文字を推理、認知できる能力を持っている。本研究では、(1)最短距離連接モデルを提案し、ヒトは断片情報の距離を基に、断片情報を認識していることが実証された。(2)完全な文字の認知に比べて、断片文字の認知の場合には、脳の両側前頭葉の活動が有意に増加することが分かった。(3)断片文字の認知力と無症候性白質病変との関連性が認められた。断片文字の認知力による認知障害の予測の可能性が示された。
著者
中村 五月
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高齢者の尿意の訴え方と援助方法の実態,尿意の訴えの有無に関連する要因を明らかにし,尿意を訴える能力に応じた援助方法を検討した.対象者は介護施設に入所する17名で,排尿援助場面での尿意の訴え方で「自発的に訴える」3名,「援助者が確認すると訴える」7名,「援助者が確認しても訴えない」7名に分類された.援助者の確認に対して尿意の訴えの有無に関連する要因を分析した結果,言語障害の有無,認知機能,ADL,援助方法には関連がなく,意欲に有意差が認められた.また,尿意の訴えの有無には「トイレの認知」が影響していた.尿意の訴えを促すためには排尿援助のみならず生活意欲を高める援助が必要であることが示唆された.