著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 石田 康行 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.160, 2017 (Released:2017-07-08)

目的 天ぷらの調理過程における経時的な水分蒸発量の変化が油表面に発生する気泡に伴う油のゆらぎ(以下、油の表面情報)と関係があることを報告し、これが天ぷらの衣または素材由来かを、衣の水分を重水に置き換え推定した。衣から素材への水分移動も同様の方法で推定し、水分移動は素材の硬さや糊化度に影響することを予想した1)。本研究では実験を繰り返すことで予想した水分挙動と素材への影響を確認し、油の表面情報が天ぷらのおいしさに及ぼす影響を検討した。方法 天ぷらはさつまいも(10×10×8㎜:水分66%)に水分62%に調製した衣(薄力粉1g、重水1.6g)をつけ、160℃、180℃、200℃の油で3分間揚げて作成した。加熱開始13秒後と3分後の衣とさつまいもの水(H216O)と重水(H218O)をGCMSの測定から水分挙動を、常圧乾燥法から水分量、グルコアミラーゼ法と走査型電子顕微鏡像から糊化度を調べた。 結果 揚げ温度160℃において加熱13秒後では、他の温度に比べ衣からさつまいもへの水分移動は少なく、糊化度や細胞破壊も小さかったが、さつまいもの水分は66%と多かった。加熱3分後は衣からの水分移動が見られ、さつまいもの水分は62%と多く、糊化度も高く、細胞破壊が見られた。さつまいもの出来上がりは衣からの水分移動が影響していると推定した。 [文献]1)小林他:日本調理科学会平成28年度大会要旨集、p90(2016)
著者
駒津 順子 田母神 礼美 大矢 勝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.643-652, 2019

<p> カルシウムを含む水垢汚れの酸洗浄に関する消費者情報を調査し, その科学的根拠の実験的検証を行った. 消費者情報を分析した結果, クエン酸利用を肯定し推奨する記述が多くみられた. またクエン酸とカルシウムの反応による沈殿について言及している消費者情報はほとんど見当たらなかった. 炭酸カルシウムの溶解実験によりクエン酸の洗浄力は塩酸や酢酸と同様に高いが, クエン酸は時間が経過すると大量の沈殿を生成することがわかった. pH測定, XRFによるCa定量及びHPLCによるクエン酸の定量の結果, 沈殿は炭酸カルシウムの再結晶化から始まり, 12時間後から炭酸とクエン酸の置換に進むことが分かった. また未溶解の炭酸カルシウムの存在が沈殿生成速度を大幅に増大することも分かった. 更にCaは炭酸塩よりもケイ酸塩や硫酸塩の方が除去困難であることも明らかになった. 以上の実験結果より, 消費者情報に多く見られるクエン酸による水垢の除去メカニズムに関する中和説が, 科学的なロジックとして問題があることが明らかになった.</p>
著者
石黒 初紀 阿部 加奈子 辰口 直子 蒋 麗華 久保田 紀久枝 渋川 祥子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.95-103, 2005

一般には炭火で調理されたものがおいしいと評価されることは多いがその根拠は明らかにされていない.そこで, 伝熱量および放射の割合を同等にした数種の熱源で鶏肉を焙焼し, 官能検査, においの成分分析を行った.さらに, 試料を焙焼する熱源から発生する燃焼ガスの成分分析を行った.官能検査の結果, においと総合的評価は[炭火焼き]と[ガス網焼き]を比較すると, 有意差は認められなかったが[炭火焼き]が好まれる傾向がみられ, さらにその匂いの差は識別できるものであった.そこで, においについて機器測定を行った.<BR>その結果, エレクトロニック・ノーズによる分析結果からセンサーが測定できるにおい成分の量は[ガス直火焼き], [ガス網焼き], [ヒーター焼き]は同等であるが, [炭火焼き]は他の熱源のものより低いことがわかった.このため, 炭火加熱により生じたにおいに何らかの違いがあることが考えられた.また, GCMSによる分析結果から, 官能検査により炭火加熱をした鶏肉の方が好まれた要因は, 香気成分組成において好ましくないにおいを持つ脂肪族アルデヒド類の割合が焼き網に比べ少なく, 香ばしい香りを有するピラジン類やピロール類の割合が多いためと考えられた.<BR>鶏肉の焙焼香の違いの原因は, 燃焼ガスにあるのではないかと考え, 燃焼ガスの測定を行った.その結果, 炭の燃焼ガスには, 焼き網よりも還元性の強い一酸化炭素や水素が多く含まれ, 酸素の含有量が少なかった.<BR>なお, この燃焼ガスの組成の違いと香気成分の生成との詳細な関連についてはさらなる検討が必要である.
著者
大竹 美登利 中山 節子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.148, 2011 (Released:2011-09-03)

目的:世界経済の急速な悪化によって、日本では、派遣、パートなどの低賃金で不安定な労働市場が拡大し、生活費の最低限を確保するために、長時間労働や複数の仕事を掛け持ちするダブルワークが増えているといわれている。そこで、2010年の家政学会では、収入階層が時間配分に与える影響について分析した。その結果、収入階層と時間量には一定の関係があったが、必ずしも収入が高いほど労働時間が長くならず、土日では収入階層が高いほど労働時間が短く家事時間や自由時間が長くなる傾向にあった。そこで今回は同様のデータを使用し、生活の質を規定すると考えられる余暇活動の内容が収入階層によって相違するかどうかを明らかにすることを本研究の目的とした。 方法:一橋大学経済研究所附属社会科学統計情報研究センターでは、学術研究目的使用する研究者に、秘匿処理を施したミクロデータを試行的に提供している。この募集に応募し承認を受けた(2007年12月官報4969号)、1991、1996、2001年の社会生活基本調査のミクロデータを使用し、収入階層による相違を分析した。 結果:収入階層による時間量の相違が明らかになった夫妻と子どもの世帯で、収入階層別に、夫妻のインターネットの利用、学習研究活動、スポーツ、趣味、ボランティア、旅行の余暇活動の頻度を分析したところ、どの活動においても、収入階層が高いほど頻度が高くなる傾向にあり、特に妻パート世帯ではその傾向が明らかとなった。そこで、夫婦と子どもの妻パート世帯の高校生を同様に分析した結果、親と同様に、収入階層が高いほど様々な余暇活動が活発に行われていた。逆に言えば、親世代の社会的文化的貧困さが、子ども世代にも再生産されていることが明らかとなった。
著者
野中 美津枝
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.342-350, 2015 (Released:2015-07-16)
参考文献数
24
被引用文献数
1

This survey identifies the body perception and lifestyle habits of high school students from the results obtained in a questionnaire survey of 1254 such students. High school boys had a body perception which was almost in agreement with BMI. In contrast, high school girls had a body perception which was fat rather than BMI; 90.9% of normal girls desired to be thinner, and even 48.1% of thin girls. A difference was found between the boys and girls in their diet method, the boys tending to diet by exercise, while the girls applied dietary restriction. Skipping meals, lack of sleep, lack of exercise, and stress resulted in poor health. Most high school students who ate three meals every day and did not feel stress were healthy.
著者
坂井 妙子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.37-44, 2010-01-15 (Released:2013-06-13)
参考文献数
57

In the late Victorian period, adorning one's dresses and parasols with blushing roses became increasingly popular with young British women. Although not an unusual rose species, blushing roses acquired a symbolic value, and were widely commercialized in the form of a book (Language of Flowers ). The language of blushing roses, “ If you love me, you will find me," emphasised ideal womanhood, so that the roses immediately became an acceptable fashion for young women. The blushing rose transformed itself from just another flower in the rose family to a symbol of young, modest, and beautiful women, as well as to fashionable commodities. This process was, however, complicated. It entailed the changing interpretation of facial expressions (blushing), the establishment of the symbolism of roses, the horticulture of roses, and the ways of representing ideal characters through one's dresses and accessories. This essay examines the ideological structures of blushing roses, and through it, explores Victorian desires and values.
著者
小林 史幸 小竹 佐知子 大久保 恵子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的:</b>南総里見八犬伝、椿説弓張月等の作者として知られる戯作者・曲亭馬琴(1767-1848年)は、身辺の出来事について詳細な日記をつけていた。その『曲亭馬琴日記』の天保2および3年(1831~32年)の2年間を対象とし、当時の食の状況を知ることを目的にして、特に菓子類について、その種類と用途に注目して文献調査をおこなった。<b>資料:</b>『曲亭馬琴日記』(中央公論社、2009)の天保2年と同3年の本文から菓子の記述を抜き出し、各種菓子の記録数および全体に対する記録数の割合を調べた。その際、種類別と用途別の2種類の方法で集計した。種類別の集計では1種類の菓子の記録1つにつき1回と数え、用途別の集計においては、1つの用途に必要とされる菓子の数を菓子の登場回数とした。また、砂糖については入手頻度と入手量からその使用状況を推測した。<b>結果:</b>日記に登場する菓子類を種類別にみると菓子、餅菓子といった大まかな分類の他、落雁、団子など個々の名称もあわせて25種類の菓子類に関する事柄が記録されていた(天保2年に143回、天保3年に162回の記録)。両年とも最も記録回数が多かったものは餅菓子(38回、55回)であり、正月準備に多種多様な餅を注文したものが多く見られた。次いで多かった砂糖(29回、36回)の場合は、白砂糖、黒砂糖の分類、分量等詳細に記録された日もあったが、砂糖を入手したということのみ記録された日もあった。用途では贈答、供え物、注文品記録、購入品記録等全部で20種に分類できた(169回、193回)。その中では貰い物が最も多く(68回、61回)、その送り主は大家にあたる人物、身内、友人、板元からの物が多数記録されていた。
著者
菅沼 恵子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>目的</b> 布の滑りやすさは美しい装いや衣服の着脱をスムーズにするなどの点で重要な性質である。この目的で裏地やスリップなどが用いられるが、汗などで湿潤状態になるとかえって滑りにくいと感じられることもある。先の研究によって布が含む水分によって摩擦係数が大きくなり、滑りにくくなること、またこの影響はナイロン、ポリエステルに比べて綿、レーヨン、キュプラでは大きいことがわかった。今回布の水分率と摩擦係数の関係を詳細に調べ、水分率による影響を数値で表した。<b>方法</b> 1)摩擦係数の測定 摩擦感テスターKES-SEを用いて、ピアノ線センサーにおける布の摩擦係数を測定した。ナイロンタフタ、ポリエステルタフタ、ポリエステルサテン、ポリエステルモスリン、キュプラ2種、レーヨンタフタ、スフモスリン、綿金巾、絹羽二重などの布を用いた。2)水分率の測定 水分率の自然対数に対して摩擦係数がほぼ直線的に変化する範囲の水分率(~約70%)を数段階調整し、摩擦係数測定後直ちに秤量ビンに移して重さをはかり、乾燥して絶乾質量から水分率を算出した。<b>結果</b> 水分率の自然対数―摩擦係数の曲線は①水分率に従って摩擦係数が増加する領域と②やがて飽和し、③その後過剰な水分によってやや摩擦係数を減じる領域に分けられる。水分率による影響の大きさは主に①に依存し、その領域では直線近似が可能である。そこでこの直線の傾きを求めて水分率の影響の指標とした。その結果、ポリエステルが織り方に依存せず最も小さく、次いでナイロン、その他の布はかなり大きく、ほぼ一定の範囲内の値となった。
著者
金子 省子 青野 篤子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.363-372, 2008 (Released:2010-07-29)
参考文献数
11

This study aims to clarify to what extent those directly concerned with the education at child-care facilities are aware of the state of affairs at their respective place of work with a view to helping improve for nursery schools and kindergartens to implement some necessary measures from the gender viewpoint. An investigation covering 38 nursery schools and 34 kindergartens shows that the gender distinction as to equipment and other considerations was generally more evident in kindergartens than in nursery schools. A questionnaire to the staff of five day-care centers helped clarify further the actual conditions of gender considerations as well as the staff members' gender viewpoint. Generally, it was learned that the gender division as well as its extent was left to the management' decision. Of 47 respondents, most expressed their views against the gender division. However, those who had learned about gender issues believed that there was a need of attending to the issue. In fact, there were some reported cases of having changed the status quo by talking among the staff members. It is to be noted that there exists a difference of view among them as far as gender distinction is concerned; the views are split even among those working at the same place. So much so that there is a need for those directly concerned with the child education to get together to improve the subject matter.
著者
小寺 真実 針谷 萌那 森 太郎 原 知子 久保 加織
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> 「近江の伝統野菜」14品目に含まれる杉谷なすび、下田なすの物理的特性を賀茂なす、千両二号と比較し、伝統野菜の普及の一助となる情報を収集した。<br><b>方法</b> 滋賀大学内農場で栽培した杉谷なすび、下田なす、賀茂なす、および千両二号の果実を供試した。赤道を中心とした幅2cmの輪切りなすを200℃で30分間加熱したものを焼きなすとした。クリープメーター(山電)により直径1.5mmの円柱状プランジャーを速度0.5mm/sで圧縮・貫入させて物性を測定した。色調は測色色差計(日本電色工業株式会社)を用いて測定した。官能評価は、滋賀大学の学生および教職員44名を対象に5点評点法により行った。<br><b>結果</b> 破断荷重値より、生なすの果皮は、賀茂なす、杉谷なすび、千両二号、下田なすの順に、果肉は、杉谷なすび、賀茂なす、下田なす、千両二号の順に硬いことが明らかになった。官能評価でも、生の下田なすが他品種に比べ柔らかいと判断された。焼きなすにすると、果皮は柔らかくなったが、杉谷なすびは他品種に比べ、あまり柔らかくなることはなく生の硬さに近かったが、もろさ荷重値は大きかったことから、噛み切りやすさがあると考えられた。杉谷なすびの果皮はL*値a*値b*値ともに他品種より低く、緑がかった深い紫色であった。果肉の色調では品種間に大きな差はなかった。焼きなすにすると、果皮のL*値a*値b*値は高くなった。果肉はa*値が高くなったが、品種間で色調が異なった。
著者
中沢 文子 高橋 淳子 宮地 昭弘 岩渕 康司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.655-659, 1992

根菜類, なす, 肉類など比較的含水量の多い食品を電子レンジで加熱し, 加熱中の食品内部の昇温過程を検討した.ゆで加熱では, 多数の食品がゆで水より速く昇温し105℃程度まで昇温した.直接加熱したいも類では, 一旦は118℃にも達してから100℃にもどり, 100℃に保持された.加熱による蒸気発生の初期には, 食品表面から抜けでる気体より食品内部に発生する気体が多いため, 内部の圧力が上がり沸点が上昇すると推察した.細胞組織がこの圧力に耐えられなくなり小数の破裂点が生じ蒸気の通り道が通じて圧力は緩和され, 100℃に戻ると考えられた.顕微鏡観察によると, 電子レンジ加熱したいもでは壊れた細胞壁が少数あり, 細胞内容物が流出していた.これが糊の役目をして, 電子レンジ加熱したいものテクスチャに影響を与えていると考えられた.
著者
神保 夏美 井元 りえ
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.119-132, 2019 (Released:2019-03-21)
参考文献数
60

本研究は, 食器と食物との関連についての諸外国と日本の研究動向を, 文化的影響を含めて比較することを目的とした. 研究方法は, 文献レビューによって得られた対象研究47件について, 1) 研究目的および主な調査項目, 2) 食器の検討要素, 3) 食器の提示方法に関して分類し比較を行った. 主な結果は次のとおりである. 1) 研究目的および主な調査項目については, 諸外国の研究では, 食器と「食物・食事の量」との関連の検討を目的とした研究が多かった. これは, 国際的な肥満者の増加の問題が背景にある. 日本の研究では, 食器と「食物・食事の質」との関連の検討を目的とした研究が多く, 特に「食欲」「おいしさ」について外観だけで調査したものが多かった. 2) 食器の検討要素については, 諸外国の研究では食器の「サイズ」と「食物・食事の量」との関連を検討した研究が特に多く, 日本の研究では食器の「色」と「食物・食事の質」との関連を検討した研究が特に多かった. また, 他の日本の研究の食器の検討要素には, 和食の文化的特徴が表れていた. 3) 食器の提示方法については, 諸外国の研究では, 「実物」が大半を占めたのに対し, 日本の研究では, 「写真/画像」が多かった. 考察として, 諸外国と日本における食器と食物との関連についての研究目的および方法は, 社会的・文化的な影響を受け, 異なることが示唆された.
著者
井関 詩緒 吉田 仁美 奥村 奈央子 松田 覚
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.813-817, 2001-12-15 (Released:2013-07-16)
参考文献数
16

The nitrate contents of vegetables and fruits sold in Nara were measured by using ultraviolet spectrophotometry. The average nitrate contents were highest in spinach (4628 ppm) and komatsuna (3861ppm), moderately high in raddish (3022ppm) and potato (2652ppm), and low in fruits (cherry, banana and apple) and tomato. The nitrate contents in vegetables varied according to the type and growing site. Soaking the vegetables in a low concentration of vinegar was found effective for removing the nitrate and nitrite. The results of this study are generally in accordance with those of previous studies, and indicate the necessity to establish limits for the nitrate contents of vegetables as soon as possible.
著者
島村 綾 小関 陽子 小泉 昌子 原 未来 折戸 美月 重村 泰毅 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.302, 2017 (Released:2017-07-08)

(目的)コーヒーの焙煎法の違いには、直火型、半熱風型、熱風型の焙煎機があり、この風味の違いは明らかではない。そこで、直火焙煎、熱風焙煎による短時間加熱、長時間加熱で調製したコーヒー液を用い、その風味を時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。(方法)同じコーヒー豆による焙煎方法の異なるコーヒー液を株式会社ドトールに依頼した。試料の濃度はbrix×1.5を用い、温度による違いを避けるために室温で用いた。メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルはコーヒーを好む本学女子学生10名で、測定時間は60秒とした。味の感覚属性は6属性(甘味、酸味、苦味、うま味、ナッツの味、渋味)を用いた。採点法による嗜好型官能評価も行った。コーヒー試料のアミノ酸分析も行った。(結果) 直火焙煎短時間加熱試料の味の評価は、初めに苦味、その後酸味を感じる。長時間加熱試料では先に苦味を感じ、その後に酸味、苦味、うま味、そして後味にうま味を有意に感じている。熱風焙煎の短時間と長時間を比べると、短時間では、苦味を先に感じ、ナッツの味もわずかに感じ、渋み、甘味、うま味、苦味を感じ、後味にはナッツの味、酸味を有意に感じている。直火焙煎と熱風焙煎を比べると、直火焙煎のほうが好まれることがわかる。採点法による総合評価において、焙煎方法に関係なく、短時間加熱試料が長時間加熱試料よりも有意に好まれた。
著者
荒木 裕子 山本 直子 上浦 沙友里 江本 彩乃 丸井 正樹
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>【目的】ネームはタイ北部で生産される伝統的な発酵ソーセージである。その製法は、新鮮な豚肉に食塩、にんにく、唐辛子、糯米飯を入れ常温で数日間発酵させて製造する。ネームは乳酸発酵により、pHが低下し、微生物の増殖が抑制され、完成したネームは適度に酸味があり、生食する人もいる。近年、日本でも製造され、市販品も見られるが、我が国ではネームに関する研究が少なく、安全性の検討もされていない。本研究ではネームを作製し、細菌叢の変化やpHの変化を経時的に調査した。<br>【方法】試験試料として1)ネームパウダー添加区2)ネームパウダー無添加区 3)ネームパウダー、にんにく、唐辛子無添加区の3種のネームを調製した。調製開始から完成までの4日間、24時間毎に採取して実験試料とした。細菌の測定では、一般生菌数、大腸菌群の測定、乳酸菌の測定をおこない、pHの測定も実施した。<br>【結果】ネームパウダー添加区では、ネームパウダーの主成分である無水グルコン酸により、調製後即時にpHの低下が見られ、細菌の増殖も抑制されていた。2)、3)の製法では、発酵1日目では大腸菌群が確認された。しかし、発酵の進行に伴い乳酸菌数が増加し、pHも低下した。それに伴い大腸菌群数が極めて減少した。ネームは製造手法により、発酵中の細菌叢や細菌数に差が見られたが、発酵完了時では全試料でpH低下がみられた。発酵により、ネーム本来の酸味と旨みが生じ、安全性も付加されることが示唆された。
著者
倉賀野 妙子 長谷川 美幸 和田 淑子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.307-314, 1984

クッキーについて, 定速圧縮破断による破断特性を明らかにするとともに, これらの基礎的物性値が硬さ, もろさなどの官能評価の客観的指標となりうるかどうかについて検討した.<BR>クッキーは小麦粉濃度を40, 45, 50%の3水準とし, バター, 砂糖, 卵の配合比はScheff&eacute;の3成分系の単純格子計画法に従って, おのおの9試料とした.応力-ひずみ曲線の測定はダイナグラフによった.<BR>1) みかけの応力-ひずみ曲線は材料配合比により著しく異なった.また, クッキーの破壊はみかけの破断ひずみが0.19~0.33cm/cmの少ない変形領域で発生し, みかけの破断応力は1.08~5.73×10<SUP>7</SUP>dyn/cm<SUP>2</SUP>, みかけの破断エネルギーは1.09~6.05×10<SUP>6</SUP>erg/cm<SUP>3</SUP>であった.<BR>2) みかけの破断応力<I>P<SUB>f</SUB></I>とみかけの破断エネルギーEnの間には高い相関が認められ, 回帰式<I>E<SUB>n</SUB></I>=-0.21+0.97<I>P<SUB>f</SUB></I>を得た.<BR>3) クッキーの材料配合比とみかけの破断応力, みかけの破断エネルギーとの間におのおの3次の推定式, 推定曲線を得た.<BR>4) みかけの破断応力<I>P<SUB>f</SUB></I>と官能による硬さの評価値<I>S<SUB>H</SUB></I>, みかけの破断エネルギー<I>E<SUB>n</SUB></I>と官能によるもろさの評価値<I>S<SUB>B</SUB></I>との間に, おのおの<I>S<SUB>H</SUB></I>=6.33log<I>P<SUB>f</SUB></I>-2.47, <I>S<SUB>B</SUB></I>=-3.46log<I>E<SUB>n</SUB></I>+1.18を得た.定速圧縮破断時のみかけの応力-ひずみ曲線から, クッキーの硬さ, もろさで表せる官能特性の程度を同時に推測できることが示唆された.
著者
高橋 久美子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.59-67, 2003

性意識のなかでもとくにセックス観に注目し, 父親と母親のセックス観が性教育に及ぼす影響について検討した.分析の対象は中学生の子どもをもつ188組の父親と母親である.主要な分析結果は以下のとおりである.<BR>取り上げた5項目のセックス観の全てにおいて, 父親に比べて母親は否定的で禁欲的な考え方をもっていた.父親と母親の意識の差は, とくに快楽の肯定と男性による女性の道具視の項目で大きかった.母親では, 禁欲の必要性の項目が快楽の肯定や女性の道具視の項目との間で関連が認められた.<BR>父親と母親のいずれも, 性に関する会話への抵抗感をもつ者が半数いた.子どもとテレビ視聴時のラブシーン場面において平静という者は予想外に多く, 母親でも半数いた.<BR>父親と母親のいずれも, 性教育の内容として取り上げた10項目のうち, 家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目はほぼ同数の5項目であった.しかし, 家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目の内容は対照的であった.家庭で実際になされた項目は少なく, 2~3項目でしかなかった.<BR>父親と母親のいずれも, 家庭での性教育の必要性の意識と性教育の実践とは関連が認められた.性教育の実践に対し, 父親では性に関する会話抵抗感は直接に関連し, 母親では家庭での性教育の必要性の意識を通して関連していた.さらに, セックス観のなかでも禁欲の必要性の意識と性に関する会話抵抗感との問で関連が認められた.
著者
佐藤 真実
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.89, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 日本の食生活が洋風化し、食料自給率、食品群別摂取量、家計支出は年々変化している。本研究では、消費に関わる食品や料理の嗜好度について性別、年齢、世帯構成別に違いを明らかにする。また1975年からの食嗜好の変遷について明らかにする。  方法 平成26年7月より県内の10歳代から80歳代までの男女1650名を対象にアンケート調査を行った(有効回答率89.1%)。調査項目は、119食品の料理や食品の嗜好度と摂取頻度、属性(性別、年齢、世帯構成)などについてである。嗜好度は9段階(1:もっとも嫌い~9:もっとも好き)の尺度を用いた。  結果 全体では、ごはん(7.47)、焼肉(7.27)、味噌汁(7.25)、みかん(7.23)などの嗜好度が高く、これらの料理や食品は性別、年齢別、世帯構成別で有意差が認められなかった。性別では、男性がラーメン(7.31)、刺身(7.31)、そば(7.07)、焼き魚(7.03)などの麺類、肉・魚料理で嗜好度が高かった。年齢別では、若年層の嗜好度が全体的に高く、とくにアイスクリーム(7.47)、鶏のから揚げ(7.44)などで嗜好度が高かった。年齢が高くなるほど焼き魚、野菜煮物、コーヒーなどの嗜好度が高くなった。世帯構成別では、一人暮らしの嗜好度が全体的に低かった(いずれも有意水準5%以下)。1975年と比較して、肉料理や魚料理の嗜好度はやや上昇、果物、嗜好飲料の嗜好度は減少傾向であった。平均嗜好度はどれも「少し好き」な状況であり、かつてのような料理や食品ごとの嗜好度の差は小さかった。
著者
宇都宮 由佳 益本 仁雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.60, pp.170, 2008

<B>研究目的:</B><BR> モチ米の発祥の地域ともいわれるタイ北部は,複数の民族が暮らしており,各民族の伝統文化,思想を色濃く反映したモチ米食の文化がある.ところが,近年の急激な経済発展と情報化が進み,流通インフラが整備されると,食文化の均一化・収斂化が認められる.そこで本研究では,各民族の伝統的なモチ米食について,その実態(名称,調理道具,作り方,食し方など)を調査し,民族間で比較分析することを試みる.今回は,タイ族,山岳民族のリス族,カレン族について分析する.<BR><B>研究結果:</B><BR> 大多数を占めるタイ族は,古来よりモチ米を主食としていたが,近年,電気炊飯器が普及しウルチ米が主食となりつつある.モチ米食は,山間部の村や伝統行事で見ることができる.主食とする場合は,蒸したモチ米を食す.行事の場合は,モチ米を挽き,粉にして「カノムジョ」など菓子の材料として用いる.<BR> 山岳民族の主食はウルチ米で,行事の時のみモチ米が食される.リス族は,新嘗祭で作る「カプッ」と正月(旧暦)の「カノムペーン」「カノムジョ」があり,村人総出で作る. 「カプッ」は,炒った黒ゴマと蒸したもち米をついて直径8cmほどの平たい円状に形成し,バナナの葉を九十九折にしながら餅を挟んでいく.後者2種は,タイ族から影響を受けたものである.<BR> カレン族は,「メートー・ピー」が代表例で,炒ったケシの実と蒸したモチ米をつき,伸し餅状(直径約30cm)にして,焼くまたは揚げて食す.「メートー・ポッムン,プックワ」は,生のもち米とピーナッツを笹の葉で包みと竹ひごで縛って茹でる.笹の葉の包み方で男型・女型を表し,名称が異なる.これらはクリスマスと病気の治癒祈願のとき各家庭で作られている.