著者
福渡 努 柴田 克己
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.57-63, 2009 (Released:2011-05-25)
参考文献数
16
被引用文献数
3

The relative availability of water-soluble vitamins to free vitamins in a white bread diet consumed by Japanese male and female subjects was determined. The subjects, 9 female Japanese college students in experiment 1, and 7 male Japanese and 5 female Japanese college students in experiment 2, consumed the test diet with or without a water-soluble vitamin mixture for five consecutive days, and the water-soluble vitamin levels in a 24-h urine sample were measured. The ratio of the urinary excretion rate for each water-soluble vitamin in the test diet to that in the water-soluble vitamin mixture was determined as the relative availability. The relative availability of each vitamin was as follows: B1, 55%; B2, 50%; vitamin B6, 85%; niacin, 60%; pantothenic acid, 70%; folate, 50%; biotin, 85%; and C, 95%.
著者
飯島 陽子 長尾 望美 小池 理奈 岩本 嗣
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.82, 2016 (Released:2016-08-04)

【目的】ゴボウは、日本で食される代表的な根菜の一つであり、独特な香りが特徴である。また近年、各種野菜のスプラウトは栄養価が高く人気が高まっているが、ゴボウスプラウトはまだほとんど市場に出回っておらず、その風味特性については不明である。そこで本研究では、ゴボウおよびゴボウスプラウトの香気特性に着目し、香気成分の分析、組成比較を行った。 【方法】ゴボウはスーパーで購入し、ゴボウスプラウトは種子を2週間既定条件で栽培した。それぞれのサンプルを液体窒素で凍結粉砕し、これを分析サンプルとした。そのヘッドスペースガスにおける香気成分をSPME法で捕集し、GC-MS分析を行った。また、GC-MSで検出された各成分についてはGC-においかぎを行い、香気特性を調べた。 【結果及び考察】ゴボウの香気成分のうち、2-methoxy-3-(1-methylpropyl)-pyrazineおよび2-methoxy-3-(2-methylpropyl)-pyrazineが最もゴボウ様香気に寄与していた。主成分分析によってゴボウとスプラウトの香気組成を比較したところ、スプラウトでは、pyrazine類のほかにc-s-3-hexenalなどの青葉の香りに関与する成分も検出され、スプラウトのフレッシュ香に関与するものと考えられた。
著者
山口 智子 大樌 春菜 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.101, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】小麦粉の代替品として米粉に注目が集まる中、昨今、米粉パンから製造した米パン粉が開発されている。縁者らはこれまでに、市販されている種々の米パン粉と小麦パン粉について、フライ調理過程における吸油率の比較を行い、米パン粉の吸油率が小麦パン粉に比べて低いことを明らかにしている。本研究では、パン粉の粒度による吸油率や着色度の相違を明らかにすることを目的とした。【方法】試料として、米パン粉(生)、小麦パン粉(生)、市販小麦パン粉(乾燥)2種を用いた。米パン粉(生)と小麦パン粉(生)は、原材料とその配合割合ができるだけ同じになるようにパンを焼成し、常温で72時間経過後にフードプロセッサーで粉砕、粒度2、3、4mmのパン粉を作成した。水分は常圧乾燥法で、吸油率は全国パン粉工業協同連合会2008による簡易測定法で、着色度は色彩色差計で測定した。また、米パン粉と小麦パン粉を用いたハムカツについて、5段階評点法による官能評価を行なった。【結果】米パン粉(生)の吸油率は約30%であり、小麦パン粉(生)より吸油率に低い傾向がみられた。米パン粉(生)では粒度によって吸油率に相違はみられなかったが、小麦パン粉では粒度の小さい方が吸油率が低かった。フライ調理後の着色度については、米パン粉(生)は小麦パン粉より明度L*が低く、赤味a*が強く、黄味b*が弱くなる傾向があった。また、全パン粉において粒度の小さい方が明度L*が高く、黄味b*が強い傾向がみられた。粒度3mmのパン粉を用いたハムカツの官能評価の結果、米パン粉のフライは小麦パン粉のフライに比べて衣の色が濃く、衣がかたく、口当たりがやや悪いものの、味が良く総合評価も高かった。
著者
山口 智子 小谷 スミ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】新潟県では米粉の消費拡大による食糧自給率の向上を図っており、米粉パンや麺類、クッキーなど米粉を使った食品が数多く開発されている。これまでに演者らは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を用いたアレルゲンフリー米粉パンの製造方法を確立している。本研究では、このHPMCの膨化作用を米粉ドーナツの製造に応用し、玄米粉を配合した米粉ドーナツの吸油率、硬さ、おいしさについて検討を行った。<br>【方法】白米粉はH21年度新潟県産コシヒカリDKタイプ(新潟製粉(株))を、玄米粉はH21年度新潟県産コシヒカリ((株)新生バイオにて製粉)を、増粘剤HPMCはSFE-4000(信越化学工業(株))を使用し、白米粉に対して玄米粉0、25、50、75、100%配合したドーナツを製造した。比較対象として小麦粉ドーナツも製造した。ドーナツメーカーで成形後、180℃のサラダ油で4分間揚げ、吸油率の測定と官能評価を行った。さらに、常温保存および冷凍保存したドーナツの硬さを、卓上型物性測定器(TPU-2S(B)、(株)山電)にて測定した。<br>【結果】吸油率は米粉ドーナツで約18%、小麦粉ドーナツで約26%となり、米粉ドーナツの方が有意に吸油率は低かった。玄米粉の配合割合の違いによる有意差は吸油率にはみられなかったが、硬さに関しては、玄米粉の配合割合が50%以上になると有意に硬くなった。官能評価において、外観の色は玄米粉の配合割合が高いほど悪いと評価され、総合的なおいしさでは玄米粉を25%配合した米粉ドーナツが好まれる傾向にあった。米粉ドーナツは常温で保存すると硬化が進むが、冷凍保存することにより硬化が抑制される傾向がみられた。
著者
工藤 彩 川端 博子 生野 晴美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.59, 2011

<B>目的</B> 授乳期においては体型の変化や授乳により妊娠前とは違った衣服が求められ、ブラジャーに関しては授乳専用品が利用される。授乳専用ブラジャーは一般に母乳パッドと共に使用され、乳頭部の保護と母乳を吸収する役割を果たす。本研究では、綿の授乳専用ブラジャーに3種のパッド(不織布と吸水ポリマーからなる使い捨て、綿100%布製、ポリエステル100%布製)を装着し、パッド内部の温度・湿度環境の実態把握と着用感の比較を目的とする。<BR><B>方法</B> 授乳期の女性の協力を得て、日常生活の中でパッドに付着する母乳の量と、パッド内部の温度・湿度の推移を把握した。室温28℃・湿度60%の人工気候室内で、女子学生被験者15名が30分間安静を保ち着用感の評価をした後、母乳にみなした37℃の温水を4mlパッド内部に注入し、安静30分後に再び着用感評価を行なった。5名については、小型のロガー付きセンサーを用いてパッド内部の温度・湿度を測定した。<BR><B>結果</B> 交換時までに使い捨てパッドに付着する母乳量には、同一人物でも、左右差があるなど一定の傾向はみられない。多い時には10gを超えるケースもある。パッド内部の温度は36℃前後、湿度は90%を超え、高温多湿である。一方、女子学生では温度33℃、湿度40~50%前後であった。<BR> 人工気候室内の被験者5名の水注入前のパッド内温度・湿度の平均は35℃、60%前後で、3試料間には温度・湿度ともに差はみられない。水注入後には、使い捨てでは温度・湿度はほとんど変化しないが、綿とポリエステル製では温度はともに下降した。湿度は、綿では急激に、ポリエステルでは緩やかに上昇するが、30分後には両者とも約90%になる。このことから、布製では母乳の漏れがある時にドライな環境を保つのが難しいと考えられる。不快感においても、水注入前には3試料間に差はみられないが、水注入後には使い捨てがもっとも優れていると評価された。
著者
森内 幸子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.1115-1119, 1986-12-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
21
著者
五十嵐 由利子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】1Kプランの学生アパートにおいて、空間の有効利用の観点からベッドとして使用できるロフト付きアパートがある。しかし、実際にベッドとして使用していない学生も多いことから、ロフトがどのような使い方がされているのか、また、ベッドとして使用されていない要因について検討することを目的とした。【方法】ロフト付きアパートとロフト無しアパート(自宅生も含む)居住の大学生を対象に、アパートの選択理由、ロフトの印象、入居時と現在のロフトの使用実態、使用状況が変化した理由などについてのアンケート調査を行った(有効回答数:195)。さらに、ロフト付きアパート4戸(1戸のみベッドとして使用)を対象に夏季の温熱環境の実測調査を行った。調査期間は、2011年6月~8月末までである。【結果】<u>アンケート調査</u>から以下のことが分かった。①ロフトの印象として、おしゃれ、近代的と回答したものが多かった。②ロフト付きがアパートの選択理由の上位ではなかった。③ロフト付きアパート居住者は入居時ベッドとして使用していたものが73%であったが、現状ではベッドが30%、物置が49%と、ベッドの使用が少なくなった。③入居後にロフトの使用方法が変わったもの37人のうち、物置へ変更が33人と最も多く、その理由として夏の暑さが多かった。また、<u>温熱環境の実測調査</u>の結果、ロフトをベッドとして使用している住戸のみ、夜間のロフト温度が冷房停止後も30℃を超えにくかったが、他の3戸は冷房中でも30℃を超えていた。
著者
中川 まり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.12, pp.789-798, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
29

This study examines whether wives in double-income families with children facilitate husbands' participation in housework, manage or restrict household performance, and whether such behaviors affect husbands' participation in housework. The study used the concept of maternal gatekeeping. It is reported that wives who play the role of gatekeepers of childcare and housework may facilitate husbands' engagement in childcare and housework, manage the housework, or restrict their engagement. This study focused on 285 wives in double-income families with children under the age of 13. A questionnaire survey was conducted in August 2015 via the Internet. A structural equation modeling analysis yielded two major results. First, the more frequently wives discourage husbands' participation in housework, the less husbands participate in housework. Second, wives' facilitation of husbands' participation in housework increases husbands' participation in housework. This study concludes that wives in double-income families should facilitate their husbands' participation in housework to avoid the double burden of employment and housework.
著者
浦部 貴美子 小塚 智子 道明 美保子 灘本 知憲
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.791-795, 2013 (Released:2014-12-19)
参考文献数
12

We evaluated the antibacterial activities against Staphylococcus aureus of cotton fabrics dyed with water extracts from 16 species of wild grasses on the basis of “JIS L-1902 Test Method”. (1) After 18 h of cultivation, the viable counts of the cotton fabrics dyed was from 3.1 × 102 to 3.0 × 105 cells, and fewer than the viable counts (2.9 × 107 cells) of the standard cotton fabrics without dyeing. Above all, the cotton fabrics dyed with extracts from Vitis saccharifera, Oenothera biennis, Commelina communis, Reynoutria japonica and Eupatorium lindleyanum had high antibacterial activities. (2) Bacteriostatic activities and bactericidal activities of 16 kinds of cotton fabrics dyed were measured, and so bacteriostatic and bactericidal activities of all samples were more than 3.0, and 0.9, respectively. However, the correlation wasn't shown between these activities and minimum inhibitory concentration of extracts against the growth of S. aureus.
著者
新海 シズ 竹山 恵美子 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.24, 2009 (Released:2009-09-02)

[目的]市田柿は長野県飯田・下伊那地方に多く見られる在来の渋柿であり,果肉成分や脱渋機構は明らかにされている.一方,柿の葉はラジカル消去作用,アレルギー抑制作用などが明らかにされているが市田柿の葉においての報告はほとんどみられない.そこで,市田柿の葉の有用性を探るために抗酸化力および抗菌効果について検討した. [方法] 試料は,飯田女子短期大学構内の市田柿の葉を5月から9月にかけて採取し,蒸留水で洗浄後凍結乾燥した.その乾燥葉に100倍量の沸騰蒸留水を加え5分抽出後,No.2のろ紙で濾過し抗酸化試験に用いた.抗菌試験は7月に採取した葉を用いて,抽出時間10分および20分で行った.抗酸化力は抗酸化能測定キットを用い,発生したCu+をマイクロプレートリーダー(490nm)で測定した.抗菌試験は Escherichia coli および Staphylococcus aureus 株を用い,カップ法で行った.また,試料に含まれるポリフェノール含量はFolin-Denis法で定量した. [結果] 市田柿の葉の熱水抽出物の抗酸化力は,5・6月に採取した葉がおよそ1,300μmol/L( Cu還元力)と高く,8・9月に採取した葉は814,853μmol/Lと低下し5・6月の葉の6割程度であった.また,抗菌試験においてはStaphylococcus aureusに対して抗菌効果が見られたが,Escherichia coli に対しての抗菌効果はあまりみられなかった.ポリフェノール含量は,柿の葉抽出時間20分のものが2,016μg/mlであり10分のものより多かった.
著者
伊東 清枝 石川 由里子 新井 映子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.355-361, 1989

メレンゲおよび焼きメレンゲを調製する場合に添加する砂糖量および酸類が, 卵白の起泡性および膨化性におよぼす影響について検討した結果, 以下のことが明らかとなった.<BR>1) 卵白に添加する砂糖濃度を 50~200% の範囲で変化させてメレンゲを調製した結果, 砂糖濃度の増加にともなってメレンゲの比重は大きくなったが, 焙焼した焼きメレンゲの比重は 180% の場合に最小となった.すなわち, 卵白溶液中に含まれる水分に対して飽和量 (卵白重量の180%) の砂糖を添加した場合に, 最も膨化性のよい焼きメレンゲが得られた.<BR>2) 焼きメレンゲの膨化性は, 焙焼中の水分蒸発量と密接な関係があり, 水分蒸発量が少ない焼きメレンゲほど膨化状態がよかった.<BR>3) 卵白に酒石英, クエン酸および酢酸を添加してpH 4.8 に調整した後起泡させた結果, いずれの酸類もメレンゲの起泡性は助長されたが, 焼きメレンゲとした場合には, 酒石英添加のみ, 砂糖濃度の影響を受けずに膨化性が高まることがわかった.
著者
内村 理奈
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
巻号頁・発行日
pp.214, 2009 (Released:2009-09-02)

17世紀以来フランスでは清潔(propreté)であるためには白いリネン類が不可欠であるとされてきた。当時の礼儀作法書がそれを推進したからである。当時のパリの水は汚染されており、水で身体を清潔な状態にすることは不可能であったため、白いリネンの下着類をたくさん所有し、それを着替えることで、身体の衛生状態が保たれると考えられていた。白いリネン類によって実現された当時の清潔観については、清潔と衛生観念の歴史の中ですでに論じられてきている。18世紀まで続く高価なレースを含む白い下着類の大流行は、以上のような社会的背景から生まれてきたと言ってよい。 たとえば、当時の白いリネンの中で最高級のオランダ亜麻布は、良質な軟水に恵まれ、最も高度な漂白技法をもっていたオランダで漂白された布であった。当時の白い下着類の流行を下支えした漂白屋(blanchisserie de toile)の技法について、ディドロとダランベールの『百科全書』とジョベールの『職業技術辞典』を手がかりに明らかにする。 漂白技法は地方によって異なり、アイルランド方式、オランダ方式、フランドル方式などがあった。『百科全書』に記されているのは、パリ北部のサンリスに設立された漂白屋の工程である。これによると、草地に面した川沿いに建てられた5棟の異なる工房、つまり、水車小屋、洗濯場(ブウリー)、石鹸でこすり洗いする工房(フロットワール)、牛乳で漂白する工房(レトリー)、仕上げ工房(プロワリー)、そして草地において、順番に異なる作業が、異なる職人の手によって長い時間を要して行なわれた。このようにして作られた白い布は、リネン屋(lingère)に卸された後に服飾品に加工され販売されたのである。
著者
長尾 慶子 喜多 記子 松田 麗子 加藤 和子 十河 桜子 三神 彩子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.11, pp.903-910, 2008 (Released:2010-07-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1

環境に配慮した調理法である「エコ・クッキング」を行うことで、CO2排出量の削減が期待できる。本研究では、日本の全家庭において「エコ・クッキング」を行った場合、地球温暖化防止の為に、どの程度CO2排出量を削減できるかを検討した。主婦19名を対象に一般的な朝食、昼食、夕食別に調理を行ってもらい、その際に使用したガス量、電力量、水量及び生ゴミ量を測定した。その後、「エコ・クッキング」についての講座を受講してもらい、再び同じ献立を講座を参考に調理してもらった。「エコ・クッキング」を行うことで、1回目と比較して、ガス、電気及び水使用量と生ゴミ量に大きな減少がみられた。その結果、日本の全家庭において「エコ・クッキング」を行った場合、CO2削減効果は24~32%削減されることが試算された。
著者
片山 佳子 外山 剛之
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.172, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 落花生は、様々な用途に使用され消費されているが、その加工工程において、薄皮は多量の産業廃棄物となる。しかし、落花生薄皮にはポリフェノールであるレスベラトロールが多く含まれていることから、高い抗酸化作用を持つと考えられる。そこで本研究では、この多量に廃棄されてしまう薄皮をお茶のような飲料として利用できないかと考え、ポリフェノール量および抗酸化活性を測定するとともに、官能評価による嗜好性を分析することを目的とした。方法 落花生薄皮1gに抽出温度(80,85,90,95,100℃)を変えた水200mLで20秒間抽出したものを試料液とした。ポリフェノール量の測定は、Folin-Denis法にて行った。抗酸化活性はラジカル消去能をDPPH法で測定し、Trolox相当量として算出した。嗜好型官能評価は、外観、香り、味、苦味、総合評価の5項目を5点評点法により評価し、分散分析法により検定を行った。結果 ポリフェノール量と抗酸化活性は、抽出温度が高くなるにつれて高い値を示し、抽出温度100℃が最も高い結果となった。これは水溶性の抗酸化物質であるポリフェノーが多く溶出されたためと考えられた。また、ポリフェノール量が多いほど高い抗酸化活性を示したことから両者には高い相関性があり、落花生薄皮茶の抗酸化活性の主体はポリフェノールであることが考えられた。官能評価は、当初、高温抽出では薄皮の渋味が懸念されたが高温の100℃抽出が総合的に好まれた。このことから落花生の薄皮茶は高い抗酸化活性をもつ飲料として利用できることが示唆された。
著者
竹原 広実 佐々 尚美 梁瀬 度子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.674-686, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
21

We conducted a written questionnaire survey focusing on people's feelings about Japanese-style rooms, with the objective of elucidating the future prospects of such rooms. Among younger respondents, we found a relationship between their feelings and the number of Japanese-style rooms, the presence of contiguous Japanese-style rooms, and the age of their current residence. Many young people who feel an attachment to Japanese-style rooms use them for special purposes such as seasonal events or as a parlor. Reasons cited for the necessity of Japanese-style rooms were that they are soothing, are an essential part of the Japanese identity, and allow users to assume comfortable postures. The most common reason given for why such rooms are unnecessary was that there is no disadvantage of not having a Japanese-style room. Advantages cited for such rooms matched the reasons given for their necessity. The most commonly cited disadvantage was the burden of maintaining such rooms.
著者
小林 由実 上田 善博 加藤 邦人 石田 康行 河村 益徳 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 70回大会
巻号頁・発行日
pp.160, 2018 (Released:2018-07-28)

目的 天ぷらのおいしさは衣と素材から評価される。衣は水分蒸発により得られるサクサク感、素材は天ぷら中の水分により蒸されて得られる食感や旨みから評価される。このことから天ぷらのおいしさは揚げ過程の水分の動きが重要になると考える。また、これまでおいしい天ぷらを揚げるための適切な状態(様子)は明確にされていない。そこで、油面の様子と水分の動きの関係を調べ、それが出来上がりに及ぼす影響を明らかにし「揚げ過程の油面の様子からおいしさを評価する方法」を検討した。方法 1)試料:さつまいもに衣(薄力粉:卵水=30:50g)をつけ、油(160,180,200℃)で4分加熱した。2)油面の様子:泡により発現する油面のゆらぎを高速度カメラで撮影し、画像解析した。3)水分の動き:蒸発量は秤の上で天ぷらを揚げ重量減少量から調べた。衣と素材の水分の動きは衣の水分を重水(H218O)にし、衣と素材の水分を区別して推定した。4)衣と素材の品質:衣は水分量、気泡数(破断応力波形を微分波形へ変換した時のマイナスピーク数)、素材は水分量、硬さ、糊化度(グルコアミラーゼ法、SEM)、おいしさは官能評価から調べた。結果 油面の様子と水分蒸発量は一致した。衣の水分は揚げ直後に多く蒸発し、これが衣のサクサク感に、素材の水分は揚げ直後から蒸発したが衣から移動した水分により素材中の水分が保たれ、これが出来上がりの硬さや糊化度に影響すると予想した。