- 著者
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新海 シズ
竹山 恵美子
福島 正子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 61回大会(2009年)
- 巻号頁・発行日
- pp.24, 2009 (Released:2009-09-02)
[目的]市田柿は長野県飯田・下伊那地方に多く見られる在来の渋柿であり,果肉成分や脱渋機構は明らかにされている.一方,柿の葉はラジカル消去作用,アレルギー抑制作用などが明らかにされているが市田柿の葉においての報告はほとんどみられない.そこで,市田柿の葉の有用性を探るために抗酸化力および抗菌効果について検討した. [方法] 試料は,飯田女子短期大学構内の市田柿の葉を5月から9月にかけて採取し,蒸留水で洗浄後凍結乾燥した.その乾燥葉に100倍量の沸騰蒸留水を加え5分抽出後,No.2のろ紙で濾過し抗酸化試験に用いた.抗菌試験は7月に採取した葉を用いて,抽出時間10分および20分で行った.抗酸化力は抗酸化能測定キットを用い,発生したCu+をマイクロプレートリーダー(490nm)で測定した.抗菌試験は Escherichia coli および Staphylococcus aureus 株を用い,カップ法で行った.また,試料に含まれるポリフェノール含量はFolin-Denis法で定量した. [結果] 市田柿の葉の熱水抽出物の抗酸化力は,5・6月に採取した葉がおよそ1,300μmol/L( Cu還元力)と高く,8・9月に採取した葉は814,853μmol/Lと低下し5・6月の葉の6割程度であった.また,抗菌試験においてはStaphylococcus aureusに対して抗菌効果が見られたが,Escherichia coli に対しての抗菌効果はあまりみられなかった.ポリフェノール含量は,柿の葉抽出時間20分のものが2,016μg/mlであり10分のものより多かった.