著者
硴崎賢一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.206-216, 1993-02-15

PROLOGは他の言語処理系と比較してメモリ使用量が多いという問題がある。また、PROLOGの基本操作である単一化処理はメモリのアクセス頻皮が高いために、RISC技術などによるプロセッサの高速化の一方で、キャッシュミスによるメモリアクセスの遅延が、処理速皮を抑制する大きな要因となりつつある、本論文では、PROLOG処理系においてリストの内部表現のメモリ効率を2借に高めるとともに、メモリの参照頻皮を低下させる動的CDRコーディング方武を提案し、その性能評価を示す、本方式は、CDRコーディングの可能性を動的に検査するために、リストの多くの要素をCDRコーディングすることができる。CDRコーディングのための処理項目の増加による遠度低下は、RISCプロセッサの遅延スロットを利用して抑えている、CDRコーディング方式では、従来のCONSによる方式と比較して、メモリ参照の局所性が高くなりキャッシュミスの頻度を小さく抑えられるために、データサイズの大きな倣域では従来方式を越える性能が得られることが明らかになった、
著者
新美 康永 小林 豊 浅見 俊幸 三木 豊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.18, no.5, pp.p453-459, 1977-05-15
被引用文献数
2

This paper describes a highly predictive speech recognition system, developed as a voiceinput ptogramming system, in which a modified version of 'BASIC', named 'SPOKEN BASIC 1', is used. The system consists of four major components; acoustic processor, lexical matching procedure, syntactic processor and semantic processor. The acoustic processor transforms incoming speech signals into a sequence of labeled segments. The syntactic processor makes grammatical predictions using a left-to-right parsing scheme and a depth-first or a breadth-first tree search. The semantic processor refines those grammatical predictions and sends predicted words to the lexical matching procedure, which correlates them with the sequence of labeled segments. 142 sentences uttered by four male speakers were processed through the present system. It responded as follows: 116 sentences (81.7%) were correctly recognized, 19 (13.4%) incorrectly recognized and the others rejected.
著者
鯨津 宏樹 河野將人 植村 匠 内村 圭一 胡振程
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.83, pp.33-38, 2008-09-03
参考文献数
5

現在,デジタル地図はカーナピゲーションシステムやインターネットなどの地図情報サービスなど様々な状況で用いられている.これらのデジタル地図は,用途によって様々な縮尺のものが用いられている.これらの尺度の異なる地図データは,詳細な地図データから人間に見やすい簡略化地図データを作成することが計算速度や精度の問題により難しいため,全て手作業で作成されている.これらの問題を解決するため,詳細な地図データから簡略化地図データを自動生成する方法の研究を行っている.本論文では,簡略化地図作成の一環として,道路や河川などの幅を持つポリゴンデータのラインデータ化,及びデータの構成点間引き手法の提案と検討を行っている.In these days, we use digital maps in various situation. For example, it is a car navigation system or map information service on internet. Then, the digital maps are different scale by those situation. However, all these maps are made with manual labor in the problem of the processing speed and inaccuracy. Therefore, we examined a method to produce a simplified map from a detailed map automatically. In this paper.we propose the method of making line data with polygon data and making a simple data from a detailed data by removing the constitution point in order to make simplified maps automatically.
著者
中本聖也 北野光一 寺口敏生 田中成典 西江将男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.783-785, 2011-03-02

近年,リアルタイム性の高いCGMであるマイクロブログの利用が増加している.マイクロブログは,実世界とWebをリアルタイムに結び付けることができるため,位置情報サービスの分野で注目されている.しかし,マイクロブログに投稿される情報は膨大な量であり,特定の地域における話題のみを抽出することが困難である.そこで,マイクロブログから場所に関する単語のバーストを検出し,話題性が高い地域を抽出する研究が行われている.しかし,バーストのみに着目した解析では,日常的な地名の出現傾向の違いを考慮できない問題がある.そこで,本研究では,地域における話題を類型化することで,マイクロブログから地域の話題を適切に抽出する手法を提案する.
著者
佐々木 宣介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.70, pp.53-60, 2006-06-30
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究の大きな目標は,世界の全将棋種を対象に,ルールの変遷が各将棋種に対してどのような質的影響を与えたかを探ることである.これまで計算機による自動プレイによって将棋とその変種のデータを調べ,質的類似度についての評価を行ってきた.また,自動プレイ実験で使われる思考アルゴリズムでは駒価値の評価を利用しているが,既に廃れてしまった将棋種の駒価値の学習を強化学習の一種であるTD 学習法を適用することを提案し,実験を行ってきた.本論文では,実験対象とする変種に桂馬の働きを八方桂にする変則将棋を加えた実験を行った.また,将棋とその変種の面白さに関係する特徴として,ゲーム進行に際しての形勢逆転の頻度に着目して,自動プレイ実験によってこの頻度を調べ,比較した結果を報告する.This study explores how the evolutionary changes of the rules affect the characteristics of the games in the Shogi species. The author proposed the self-play experiment to obtain the statistical game data and analysed the similarity of Shogi variants. In this paper, the author analysed the variant of "Happoukei" (the piece KEIMA can move to all directions like the Knight of Chess). Next, the author observed the frequency of reversal on the games of Shogi variants and compared the characteristics of these variants.
著者
吉田 紀彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.12, pp.1530-1537, 1989-12-15
被引用文献数
1

シストリック・アレイ・アーキテクチャを 漸化式で定義された仕様から プログラム変換に基づいて導出する手法について述べる.アレイのセルの結合関係と内部動作 そして漸化式をプログラムの形で表現する枠組としては 以前に提案した関係型表現を用いる.関係型プログラムには これも以前に提案した高並列化変換戦術を適用することができる.本手法では 漸化式に対応する関係型プログラムを 変換規則 / 戦術 / 戦略の階層に則って段階的に書き換えていき シストリック・アレイに対応する関係型プログラムを得る.これを用いて 重畳フイルタ 行列乗算などについて アレイの導出に成功している.
著者
佐藤智貴 長谷川真也 鴨志田芳典 菊池浩明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.527-529, 2011-03-02

概要: パスワードは最も基本的な利用者認証方式である.印象に残りやすいパスワードを生成するには様々なノウハウがあり,機械的に生成する決定打はない.そこで,この研究では,日本語の文法違反を引き起こすと違和感を感じる事象に着目し,Google N-gramデータベースを単語出現頻度を考慮した生成方式を提案し,記憶力の差を定量的に評価する.
著者
横丸 敏彦 泉 知論 高橋 篤司 梶谷 洋司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.72, pp.1-8, 1995-07-20

LUTをベースとしたFPGAのテクノロジーマッピングに登場する,2段部分論理回路を最小数のLUTに割り当てる問題は,共通信号線を考慮しない場合,整数ビンパッキング問題となる.整数ビンパッキング問題ではビンの容量を固定した場合,全探索アルゴリズムにより多項式時間で最適解が求まることがよく知られているが,実用性に欠ける.本文では,整数ビンパッキング問題の高速近似アルゴリズムであるFFD法が容量を6以下に固定した時に最適解を求めることを示す.また,入力を制限することにより,容量を7および8に固定した時にFFD法が最適解を与えることを示し,容量を8以下に固定した場合に高速に最適解を求める多項式時間アルゴリズムを提案する.In technology mapping of Look Up Table (LUT) based FPGA, the problem of mapping a two-level subcircuit into LUTs is formulated as the Integer Bin Packing Problem without taking account of the advantage of input signals connected to more than one gate. It is known that Integer Bin Packig Problem can be solved in polynomial time by exhaustive search when the size of bins is fixed, however, which is not practical. In this paper, we show that First Fit Decreasing (FFD) which is a fast approximation algorithm solves Integer Bin Packing Problem when the size of bins is fixed to less than or equal to 6. We show that FFD gives optimal solutions for some class of instances when the size of bins is fixed to 7 or 8, and suggest a polynomial time algorithm which solves fast when the size of bins is fixed to less than or equal to 8.
著者
和田 弘 高橋 茂
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.107-109, 1960-09-15
被引用文献数
1
著者
平岡 茂夫 宮本 一伸 富松 潔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2520-2527, 2003-11-15
参考文献数
14
被引用文献数
8

Behind Touchは,携帯電話やPDAなどの携帯端末を対象とした入力デバイスおよび画面インタフェースである.携帯電話は,携帯性が重要視されるため,機器の大きさには限界がある.提案するデバイスは,携帯電話の液晶ディスプレイを大型化することを目的に,本体表面から12キーを廃し背面に位置させる.しかし,背面のキーは,ボタンを直接視覚で確認しながら操作することができない.本研究は,この背面キー操作を触覚デバイスと指の位置をディスプレイに表示することによって,高速で分かりやすく,直接的な操作が可能となる手法を実現した.Behind Touchは,背面キーに触れることでディスプレイに表示されたボタンを選択し,そのままの指の位置で背面キーを押すことで実行操作を行う.PDAやウエアラブルコンピュータ,または家電機器のリモコンなど表示ディスプレイが操作部と離れている場合でも,小型な入力デバイスで快適な文字入力などの様々な操作を提供することが可能となる.Behind Touch are input device and GUI for mobile medias like as mobile phones or PDA. Mobile phones have a limit in size, because portability is significant condition for them. In the proposed device, 12 keys are not arranged on the top but on the backside of mobile phone, in order to enlarge the liquid crystal display. However we cannot look the keys on backside to confirm their position when we operate. This research realizes a method to operate directly and speedily by interface which can help the operation of keys on backside by tactile sense device and Behind Touch's GUI of showing users' finger position. In Behind Touch, we select the button showing on display by touching the keys on backside and operate by pushing them. Behind Touch can offer comfortable text inputting or various operations with small-sized input device not only for PDA, wearable computer, but also remote controls of home electric appliances which their display are positioned away from the operating point.
著者
中嶋 謙互
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.641-646, 2006-06-15

日本ではしばしば,楽観的な見通しを述べるよりも,さまざま問題点を並べて悲観的な発言をするほうが「賢い」行動であるとされる.しかし,自分たちの未来に夢を抱き,技術や社会の発展のために努力を続けていくには,楽観的な見通しが必要不可欠である.私は,現在の日本において「楽観的な物言い」が不足しているとつねづね感じている.本論文では,50年後の情報科学技術について,現在,日本において活発に研究・開発されているロボットやコンピュータなどが,人々の生活や社会や考え方がどのように変わっているかについて,手元の時計を2055年に設定し,幅広くそして楽観的に考えた.最終的には,ソフトウェアの力によってハードウェアの潜在力を最大に引き出すことによって,想像もできないほど大きな価値を創造できることを強調し,その後,日本人の「モノ」作りの能力を21世紀において活かしていく方法についても考えていく.日本の経済と産業が世界の中で誰にも認められる存在を維持するために,日本人としてできることは何なのかがイメージできるような内容を目指した.この論文を読んだ若い人たちが,将来,日本が国際的に貢献し得る分野があることを知り,職業選択の参考にすることができれば望外の喜びである.
著者
朱文傑 武内 雄太 羽生 武史 吉田 脩二 石川 孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.31, pp.1-6, 2008-03-21

ウェブ検索から取得する情報量の増大に伴って、一度見つけたウェブページをもう一度見つけることが困難になる。ブックマークはウェブページ再検索のためによく利用されるが、ブックマークの数の増加につれて、ブックマーク自体の再検索が問題になる。本論文は、ウェブページの検索に使われたキーワードをコンテキストとしてブックマークを構造化することで,ブックマークの再検索を効率化するブックマークシステムの設計と評価について報告する。With the increase of information gained by web search, it becomes difficult to re-find the web pages found before. Though bookmarks are used frequently to help re-find web pages, re-finding bookmarks itself becomes difficult as the number of bookmarks increases. The paper reports on the design and evaluation of a bookmark system which makes the re-finding of bookmarks more efficient by organizing bookmarks by keywords as search context in web search.
著者
木村 泉 大野 健彦 松井 龍也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.23, pp.47-54, 1994-03-10
被引用文献数
1

日本語文入力用キーボード配列として、仮にすぐれた新配列が開発されたとしても、それが現に広く使われている配列(たとえばQWER)と強く干渉したとすれば、普及の見込みは少ない。それでは人々に、あえて新配列を練習してみようかという気を起こさせることはできない。この種の干渉がどのような仕組みによって起こるかを明らかにするため、3名のQWERTY熟練者にそれぞれドボラック配列英文打ち、ドボラック配列ローマ字打ち、および快速ローマ字配列(日電)を増田の練習法によって練習してもらい、干渉現象の発生状況を観察した。予備的解析結果について報告する。If a new, superior keyboard arrangement is to replace widely used one such as QWERTY, interferences between the new and the old arrangements must be minimal. Otherwise people will not invest time and effort for the allegedly superior one. This paper presents preliminary results of an experiment for revealing the nature of the interferences that occur to skilled typing of QWERTY when the typist practices Dvorak or NEC's Kaisoku keyboard arrangement.
著者
田中 理恵子 塚本 昌彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.39, pp.1-6, 1994-05-19
被引用文献数
3

本稿では,移動体を適応的にサポートするための考え方とそれに基づくプロトコルを提案する.移動体をサポートするためには,一般的にルータが,移動体の現在位置の通知とデータパケットのフォワーディングを行なう必要がある.ネットワーク構成や移動特性が様々に異なるネットワークにおいて,移動通知の方式とデータフォワーディングの方式を複数の方式の中から適応的に選択することによって,ネットワーク全体のトラフィック量を減らし,資源の有効利用を図る.IPネットワーク,CLNPのエリア内,エリア間,ドメイン間,無線LANなどにおいて移動体をサポートするのに適用可能である.In this paper, we propose a new strategy for mobile communication and a protocol based on it. To support host mobility, a router is generally required to notify the location of a mobile host to other routers, and to forward packets to the mobile host. By adaptively selecting notification mothod and forwarding method, the total traffic of control and data packets can be reduced under diverse network configuration (e. g., network topology) and wide range of mobility characteristics (e. g., migration frequency). The notion of adaptive support for mobile communication can be applied to IP networks, CLNP networks, and wireless LANs.
著者
堀 雅洋 加藤 隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.1071-1084, 2007-03-15
被引用文献数
2

ユーザビリティ評価手法の中でインスペクション法に類別される認知的ウォークスルー法(CW 法)は,分析者自身がユーザの振舞いをシミュレートしながら一連の質問に回答することによって,システムとの円滑なインタラクションの妨げとなる問題点を洗い出す評価手法である.CW 法は漸次改良が加えられてきたが,実用性を重視して簡略化された第3 版では質問記述が抽象的で回答しにくいといった問題が指摘されている.本稿では,操作の対象と行為の区別および知覚と解釈の区別を導入してD.A. Norman の7 段階モデルを拡張した.その拡張モデルに基づき質問項目の見直しと明確化を図り,CW 法の改良を試みた.Web ユーザビリティ評価を題材として問題発見効率について比較実験を行った結果,評価対象の特性を考慮して自明な質問を省略することによって,提案手法は第3版と同等の回答時間でより高い問題検出率を示した.The cognitive walkthrough (CW) is a usability inspection method where analysts are asked to simulate the user's cognitive behavior and answer a series of evaluation questions for each step of a task. Negative answers indicate that such steps will be difficult to learn and thus likely to cause usability problems. The CW underwent a series of modifications to improve its applicability to real-world development processes. The current version, much simplified from its predecessors, has now only four evaluation questions. These questions, however, seem to be so abstract that they are difficult to answer properly unless one has expertise in cognitive science and/or usability evaluation. In this paper we propose a modified CW method whose evaluation questions are formulated based on an extended model of human-computer interaction that explicitly distinguishes between object and action, and perceiving and understanding. Applied to Web usability evaluation, the modified CW was shown to be more effective in identifying usability problems while remaining as efficient as the current CW.
著者
藤井 叙人 橋田 光代 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.26, pp.9-16, 2008-03-07

市販テレビゲームにおいては,CPU の人間らしさというリアリティに,プレイヤの意識が高まりつつある.従来研究では,将棋や仮想空間における CPU の人間らしさの検討はなされているものの,市販テレビゲームのような戦略型ゲームにおいて,人間らしい行動や戦略を AI 技術を用いて実現した例はほとんどない.本稿では,CPU の「人間らしさ」の実現を目標とし,戦略型カードゲームの戦略を自動的に獲得する機構を提案した.戦略学習における困難性として,部分観測に起因した巨大な状態空間が挙げられるが,サンプリング,相手の行動予測,ゲームの特徴を考慮した次元圧縮により克服した.また,戦略学習機構によって得た戦略を,ルールベースの戦略と対戦させ,有効性を評価した.The computer (CPU) like a human has lately attracted considerable attention in the video game. The past studies report strategy-acquisition scheme for the board game such as shogi. However, there are few studies about these scheme applied in the video game. We aim at the acquisition of strategy like a human, we present an automatic strategy-acquisition scheme for strategic card game. Because of this card game includes many unobservable variables in a large state space, we suggest a sampling technique, action predictor, and value function. To evaluate our method, we carried out computer simulations where our agent played against a rule-based agent.
著者
佐藤 一誠 中川 裕志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.19, pp.107-116, 2007-12-15

Unigram Mixtureは教師なし文書分類などで幅広く使われている確率的生成モデルである.Unigram Mixtureは,混合モデルであり,実際の適用にはユーザは混合数決定問題をつねにかかえている.近年,このような混合モデルにおいて,Dirichlet Processを用いたノンパラメトリックベイズモデルが注目を集めている.Dirichlet Processを用いることでデータに合わせてモデル構造(混合数)を変化させることができる.本研究では,Dirichlet Processにより拡張したUnigram Mixtureに対して,Collapsed変分ベイズ法を用いてモデル学習する手法を示す.対数尤度とF-scoreによる評価により従来手法に対する有効性を確認した.Unigram Mixture is a probabilistic generative model that is widely used in unsupervised clustering of documents. Unigram Mixture is a mixture model and have a problem of how to determine the number of clusters. Recently, a nonparametric Bayes model using Dirichlet Process has gotten a lot of attention in this problem. Models using Dirichlet Process can determine the number of cluster corresponding to data. In this paper, we expand Unigram Mixture by Dirichlet Process and present a scheme that learns the model by Collapsed Variational Bayes inference.
著者
中村 真理 車谷浩一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.89-100, 2006-02-15
参考文献数
13

蟻は,局所的情報に基づいて行動する多数の個体間の通信によってコロニー全体で集合現象を示す社会性昆虫として知られる.本稿では初めに,蟻個体の分化とフェロモン信号の空間分布パターン形成を同時に取り扱う蟻コロニーモデルの設計手法を提唱する.この手法を用いて蟻の信号感受性を操作し,蟻個体の行動則に様々な構造を導入すると,コロニー全体の分業調整が可能になりモデルの改造が容易になる.その実例として本稿では次の2 通りのモデルを設計し,そのダイナミクスを分析・再構成する.まず1 番目の応用例として,蟻個体の道標フェロモン感受性を変えて蟻の行動則に新しいルールを順次付加し,3 種類の採餌行動モデル(非誘引・誘引・不応期モデル)を設計する.採餌行動に際し個々の蟻は探索・輸送・動員のサブタスクの1 つに従事する.蟻のサブタスク間配分を調整することにより,3 種類の採餌行動モデルは異なる採餌戦略を示す.なかでも特に蟻が信号感受性を切り替える不応期モデルは,デッドロックを回避する安定な挙動や無駄のない配分調整の結果,つねに最も高い採餌効率を示す.次に2 番目の応用例として,互いに独立な信号を用いてゴミ塚作りと採餌行動の2 つのタスクを同時に遂行する分業モデルを設計する.分業モデルの蟻の行動則では,反応拡散系としてふるまう2 つのタスクモジュールが互いに接続されている.この分業モデルは採餌効率を補償するよう両タスク間で弱い相互作用を示す.An ant colony comprised for many ants communicating by pheromone signals shows collective behavior through signal patterns formed by them. First in this paper, we devise a method for designing ant colony model, and next we apply the method to design following two types of ant colonies, introducing structures into ant's behavior rule by focusing on ant sensitivity to signals. In the first type, we modify design of three foraging models (trail, attraction and desensitization) repeatedly, changing ant sensitivity to recruit pheromone, in order to improve foraging efficiency by regulating allocation of ants to food-search, recruitment and food-carry subtasks. Out of these foraging models, the desensitization model shows the best foraging efficiency as a result of its stable behavior without deadlock and trade-off between food-search and recruitment subtasks. In the second type, we design a task-allocation model between foraging and waste-piling tasks, by coupling the two task modules using independent signals in ant's behavior rule. It shows weak interaction between the two tasks through distributions of desensitized ants in each task, which compensates for the decrease in foraging efficiency.