著者
加藤 慶太 根本 崇弥 庄司 雄哉 水本 哲弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.430, pp.35-39, 2015-01-29

磁気光学効果を用いた導波路型光アイソレータの温度依存性について検討する.導波路型光アイソレータの特性は,材料の屈折率及び磁気光学係数の温度依存性によって温度とともに変化する.今回,シリコン導波路型光アイソレータの温度依存性を測定し,これまで明らかにされていなかった磁気光学ガーネットCe:YIGの屈折率温度係数dn/dT=2.5×10^<-4>K^<-1>とファラデー係数の温度依存性dθ_F/dT=13deg/cm/Kを得た.また,これらの値を用いて,アイソレーション特性の温度依存性を低減したシリコン導波路型光アイソレータの設計を行った.一例として,シリコン導波路の断面形状550nm×220nmにおいて,非相反移相器長265μm,相反移相器長4.3μmとすることで,0〜70℃の温度変化に対してアイソレーション波長の移動量が0.081nmという良好な特性をもつアイソレータの設計を示す.
著者
山中 顕次郎 漆谷 重雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.208, pp.77-82, 2012-09-20

ディザスタリカバリに備えたバックアップの遠隔転送を目的に,利用者が指定した速度で転送を行うファイル転送方式を提案する.本方式には,ネットワーク遅延やパケットロス率,それらの動的変動に関わらず,指定速度を守る,という特徴がある.このため,インターネットなどの安価な共用回線を介して,時間制約のあるファイル転送を行うのに有用である.本方式を用いて,海外パブリッククラウドとの間(ネットワーク遅延270ms)でファイル転送を行い,560MbpsとLAN並みの転送速度を達成したので,その実験結果も報告する.
著者
白井 喜代子 中村 隆夫 楠原 俊昌 山本 尚武
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.179, pp.1-4, 2004-07-07
参考文献数
4

簡便な装置により無侵襲的な測定ができるという特長を持つインピーダンス法は,生体情報計測に適しており皮膚インピーダンスを用いた多くの応用計測がある.しかしながら,皮膚インピーダンスには個体差や部位差が存在し,これらは目的因子の変動と重なり評価を困難にしている.今回,応用計測を障害する個体差および部位差を較正するために,一般的なデータをもとに構築する皮膚インピーダンスの標準化モデルを提案した.各パラメータにおいて測定値とモデル皮膚インピーダンス値との相関は高かった.また,規格化皮膚インピーダンス値の変動係数は測定値の変動係数の約60%に減少し,本法の妥当性を確認できた.生体情報計測に標準化モデルを活用することは,測定値そのもので評価する方法と比較し診断精度は高く,今後の応用計測に有用と考えられる.
著者
野口 啓介 水沢 丕雄 山口 尚 奥村 善久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-2, 通信2-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.777-783, 1997-09-25
参考文献数
13
被引用文献数
1

携帯無線機器に用いられる小形アンテナの一つにヘリカルアンテナがある. へリカルアンテナの直径および軸長が波長に比べて小さい場合, 励振されるモードは垂直モードとなり, モノポールと同様の指向性をもち, 偏波は直線偏波をとる. 0.1波長程度より小さい小形のへリカルアンテナでは放射抵抗が小さく, Qが大きくなり, インピーダンス整合が問題となる. 本研究では, 垂直モードヘリカルアンテナについて2線式とし, その場合のインピーダンス特性について解析している. へリクスを2線式にすることによりアンバランスモードとバランスモードとの複合モードの利用が可能となる. その結果, 放射モードであるアンバランスモードのインピーダンス成分をステップアップできること, 非放射モードであるバランスモードのインピーダンス成分がインピーダンス整合に寄与できることが明らかとなった. また数値解析の結果は実験により確認している.
著者
野口 啓介 水澤 丕雄 山口 尚 奥村 善久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.95, no.354, pp.35-40, 1995-11-16
参考文献数
10

現在用いられている小形アンテナの一つに1線式へリカルアンテナがあり, 携帯電話, PHSの携帯端末用アンテナの一部として使われている. ヘリカルアンテナの高さが波長に対して小さい場合垂直モードで動作し, 微小ダイポールと同様な放射指向性を持つことが知られている. しかし1線式ヘリカルアンテナでは整合がとりにくいこと, 広帯域化が困難であることなどの問題点がある. 本論文ではヘリカルアンテナの整合および周波数帯域を改善する手法の一つとして2線式ヘリカルアンテナを提案する. 解析手法はモーメント法を用い, ヘリカルアンテナのパラメータを変化させ整合および広帯域化の方法についで検討する. さらに2線式ヘリカルアンテナの試作実験を行い理論値との比較を行う.
著者
田村 誠志 白石 優旗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.512, pp.29-32, 2015-03-13

聴覚障がい者は,健聴者と比較して,文章を読み取る際に意味を正確に捉えることが困難な事例が多く見られる.一方,既存の手話辞典には写真や絵を記載しているだけで,手話の空間的な特徴を捉えておらず,手話学習者が手話のイメージを構築することは困難である.そこで手話の空間的特徴を考慮した書記法を開発し,手話を書記言語に変換する.手話を元にした書記法ならば,聴覚障がい者の情報保障の質の向上を図ることができる.更に,本書記法を用いることで,手話学習者も手話を容易に学ぶことが期待できる.
著者
小澤 孝夫 吉川 昌孝 田辺 浩行 水谷 誠彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.709, pp.63-68, 2000-03-16
参考文献数
12

手話辞典には, 日本語の単語ごとに対応する手話動作(手の動き、指の形等)を説明する文章およびイラスト図(人物線画像)が掲載されている.この研究では、このイラスト付き説明文から, 仮想3次元空間においてバァーチュアル・パペットが行う手話アニメーションを自動的に作成するシステムを試作している.説明文に対しては手の動作と指の形等を求める言語解析, イラスト図に対しては手の領域と指の形等を求める画像解析を行い, これら2つの解析結果を総合して手話動作を構成するというマルチモーダル情報処理により手話アニメーションを構成する.説明文の言語解析あるいはイラスト図の画像解析には、手話動作の説明あるいはイラストであるという特殊性を考慮し、能率よい手法を用いている。
著者
桐川 翔太 小川 貴史 斎藤 利通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.419, pp.25-29, 2012-01-19
参考文献数
13

本論文では、簡素なパルス結合スパイキングニューロンを用いたベース信号に対する分岐現象について考察する。まず単体においてベース信号にはフィルターを介し、様々な波形を作り出すことで多彩な分岐現象を見ることができる。次にこれらをパルス結合することによって、正弦波や三角波を用いた時には見られなかった分岐現象について考察しながら、回路実験を行って現象を確認する。
著者
小西 泰輔 太郎丸 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

π/4シフトQPSK変調方式の検波方式としては,従来回路構成が容易である遅延検波が用いられる.しかし,BER特性においては同期検波の方が優れている.同期検波方式を用いた場合には,検波後の信号は8つの位相点を示し,遅延検波で用いられているゼロクロスによるクロック再生ができない.本文では,検波後のIQ信号のレベル差の絶対値が1,0,1,0と繰り返されることに着目したクロック再生法と1シンボル先行したシンボルとの位相平面上での距離(または位相)の誤差を用いたクロック再生法を提案する.
著者
渕井 亮 鍾 寧
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.386, pp.43-48, 2011-01-17
参考文献数
7

近年の情報技術の急速な発展に伴い株券電子化が実施され,株式投資がより身近なものとなっている.投資者はより多くの収益を得るために正確な予測を必要としている.既存の株価分析手法であるテクニカル分析は,未来を予測するのではなく,現在の状態を確認して売買を判断する指標である.そこで本研究では,データマイニング手法の一つであるサポートベクターマシン(SVM: Support Vector Machine)を利用し,分類問題と回帰問題の両面から株価の値動き方向性予測を行う.また,テクニカル分析と組み合わせて分析を行うことで,精度の高い方向性予測を目標とする.
著者
カシヤプ クムド 和田 忠浩 片山 正昭 山里 敬也 小川 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.95, no.590, pp.95-100, 1996-03-18
参考文献数
4
被引用文献数
2

本論文は, 送信機の非線形増幅特性が帯域制限スペクトル拡散CDMAシステムの特性に与える影響について述べている. 非線形増幅特性としては, バンドパスハードリミタ(BPHL)を考える. また変調方式として, 帯域制限による包絡線変動が比較的小さいπ/4-shift QPSKとπ/2-shift BPSKを採用し, 多元接続時におけるビット誤り率特性を求め, 非線形増幅の下における両変調方式の有効性を示した. また帯域制限された信号を非線形増幅することによるスペクトルの広がりについても, 帯域外幅射電力で評価し特にπ/2-shift BPSKが良い特性を示すことを明らかにした.
著者
柳瀬 崇 平野 浩太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播
巻号頁・発行日
vol.98, no.356, pp.97-101, 1998-10-23
参考文献数
7

ここでは筆者らが昨年度に分散アンテナを用いてPHSによる通話実験を行った結果に対して, PHSの変調方式であるπ/4シフトQPSKにおける分散アンテナの定量的な解析を行い, 理想的な開空間においてπ/4シフトQPSKでの2-ダイポール分散アンテナのBER特性を明らかにしている.ここで得られた結果はPHS以外の無線システムへの適用も可能である。
著者
長谷川 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.1066-1075, 2008-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
10

近年の医工学技術の進歩は,これまで治療が困難と思われてきた手足の運動や言語機能に重篤な脳障害を持つ患者が,他者と円滑に意思疎通を行ったり,電動義手を自在に制御したりできるような道を開きつつある.その代表的な手段として最近,社会の注目を集めているのが,ブレイン-マシン インタフェース(BMI:Brain-Machine Interface)という脳と外部機器を直結する技術である.つい最近までSF映画の中だけの話かと思われていたこの技術は,今や少予高齢化の進む現代社会の様々な問題を解決するイノベーション技術として期待されている.本稿では,BMIのコア技術である高次脳機能解明に向けた実験・解析手法を現場の研究者の立場で紹介するとともに,世界で進行中のBMI研究の現状や,筆者の目指す新しいタイプの認知・情動型BMIの開発に向けた取組みを紹介する.その上で,将来の展望や課題に対しても考察を加える.
著者
大森 馨子 五十嵐 由夏 和氣 洋美 厳島 行雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.432, pp.7-10, 2012-02-02
参考文献数
6

痴漢場面で触られることの多い身体背面部に提示された触覚情報の判断とその回答に対する確信度について,手のひらに提示された場合との比較検討を行った。さらに,触覚情報の動きの有無によって触判断や確信度が異なるのか検討した。その結果,手のひらで触判断を行う場合にくらべ,身体背面部における触判断の正確性および確信度は低下することが明らかとなり,触覚情報のみで判別することは難しい可能性が示唆された。また,動きの有無によって正答率に差は見られないが,確信度については動きがある場合に高まることから,動けばそれが何であるか分るはずだといった思い込みによって,誤認が増加している可能性が示唆された。
著者
榎本 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.566, pp.43-48, 1999-01-28
参考文献数
8
被引用文献数
1

帯域遅延積が大きい通信路はロングファットパイプと呼ばれている。このロングファットパイプではTCPの性能が低下するといわれている。一方、イントラネットワークあるいはインターネットのバックボーン回線は高速化しつつあり、全国に配置されたサーバー間での高速データ転送等はロングファットパイプの領域に達すると考えられる。本稿では、TCPの動作を解析モデルを使用して定量的にとらえることにより、ロングファットパイプでの性能低下の原因をあきらかにし、その対策案について考察する。
著者
橘 誠 才野 慶二郎 久湊 裕司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.113, no.366, pp.123-128, 2013-12-12

HMM音声合成は統計的な韻律のモデル化により,話者性やスタイルを柔軟に多様化することができる.本稿では,その表現力を波形素片接続型の歌声合成システムであるVOCALOID^<TM>に取り入れる方法として,歌唱表現が現れる重要な特徴と考えられるピッチの変化をHMMでモデル化,生成する歌唱スタイル生成手法を提案する.HMM音声合成手法を歌唱スタイルのモデル化に利用する際には,未知の音高に対しても適切なパラメータ生成を行う必要がある.そこで本研究ではピッチベンドチェンジを用いたモデル化を提案する.また,長い時間伸ばされる音符に対して自然な変動を付与するため,ノート内を複数のセグメントに分割した単位でモデル化し,多段階のコンテキストクラスタリングを導入して楽曲構造と音符内の変動を階層的に表現する.また,この手法をVOCALOID^<TM>3の機能であるJob Pluginとして組み込んだ例を紹介する.
著者
杉井 信之 土屋 龍太 石垣 隆士 森田 祐介 吉元 広行 鳥居 和功 木村 紳一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.407, pp.33-36, 2009-01-19
参考文献数
9

薄膜BOX-SOI(SOTB)は,低不純物濃度チャネルでランダム不純物統計揺らぎ(Random dopant fluctuation: RDF)が小さいために,平面型CMOSとしては最もしきい値電圧(V_<th>)ばらつきが小さい.本研究では,RDFばらつきを低下させた後でのばらつき要因について検討し,より低いばらつきを実現するために必要な点を議論する.短チャネル効果抑制とシリコン(SOI)膜厚の均一性が重要である.また,よく指摘されている,PMOSに比べてNMOSのばらつきが大きい原因がチャネル不純物による可能性が高いことを示す.
著者
TAKANO Chisa AIDA Masaki
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on communications (ISSN:09168516)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.1559-1567, 2005-04-01
参考文献数
13
被引用文献数
11

We have proposed diffusion-type flow control as a solution for the extremely time-sensitive flow control required for high-speed networks. In our method of flow control, we design in advance simple and appropriate rules for action at the nodes, and these automatically result in stable and efficient network-wide performance through local interactions between nodes. Specifically, we design the rules for the flow control action of each node that simulates the local interaction of a diffusion phenomenon, in order that the packet density is diffused throughout the network as soon as possible. However, in order to make a comparison with other flow control methods under the same conditions, the evaluations in our previous studies used a closed network model, in which the number of packets was unchanged. This paper investigates the performance of our flow control method for an end-to-end flow, in order to show that it is still effective in more realistic networks. We identify the key issues associated with our flow control method when applied to an open network model, and demonstrate a two-step solution. First, we consider the rule for flow control action at the boundary node, which is the ingress node in the network, and propose a rule to achieve smooth diffusion of the packet density. Secondly, we introduce a shaping mechanism, which keeps the number of packets in the network at an appropriate level.